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イベントレポート

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2012年12月18日(火)19:00~21:00

瀬戸 圭祐(せと けいすけ) / NPO法人 自転車活用推進研究会 理事

"自転車の楽しみ"に嵌るシアワセ

いまや空前のブームとなっている自転車。しかし、利用者の多くは、自転車の"奥深い楽しみ"と "シアワセ"の一部しか楽しめていないのではないだろうか。 「より快適に、健康に、気持ち良く乗る術を徐々に極めて行く シアワセ」 「さまざまなライディングテクニックを身に付けて行く シアワセ」 「自転車を所有し、自分仕様により良く作り上げていく シアワセ」 「距離や高度を稼いだり、スピードを楽しむ シアワセ」 「ツーリングで新しい発見をしていく シアワセ」 「自転車を通じた仲間が増えていく シアワセ」 など数え上げればキリが無い「"自転車の楽しみ"に嵌るシアワセ」を、みんなで共有しよう!

自転車は「人間の本能にマッチした乗り物」

昨今の自転車ブームを反映してか、ほぼ定員いっぱいの参加者で埋まったd-laboコミュニケーションスペース。『“自転車の楽しみ”に嵌るシアワセ』と題されたこの日のセミナーは、ツーリングやレースへの出場などの実践はもちろん、入門書やマニュアル本の執筆など多角的に自転車の普及に務めている“ジテツーリスト”の瀬戸圭祐氏が講師。その内容は、まさにこれから本格的に自転車に乗ろうという人に聞いてほしい「自転車入門セミナー」となった。
瀬戸氏がまず話してくれたのは「自転車は創造のスポーツ」であるということ。
「外に出れば、家の前の道はどこまでも続いている。歩ける場所ならどこでも楽しめるのが自転車なんです。」
原点は「好奇心を持って楽しむ」こと。そこには年齢も性別も関係ない。ビギナーだろうが、ベテランだろうが、「要は楽しんだ者の勝ち」だ。
「人間には『この先には何があるのだろう』といった好奇心や探究心がある。自転車はそういう本能にマッチした乗り物なんです。」
外だけではない。自転車は「家の中でも楽しめる」。パーツを交換し、自分仕様の自転車に改造する。それを飾って楽しむ。関連書を読んだりテレビでレースを観戦する。こうしたことも「自転車の楽しみ」だ。
自転車のメリットは数え上げたらキリがない。経済性もそうだし、健康にもいい。化石燃料を使わないから環境にもよい。先の東日本大震災は不幸な出来事であったが、一方で帰宅困難な状況に陥った都市部の人々が自転車の利便性を再発見するきっかけにもなった。いまや「ジテツウ=自転車通勤」を始める人はあとを絶たない状況だ。渋谷や新宿、青山などにはそうした人たち向けのバイクステーションがオープンしている。地方でも町おこしを兼ねたヒルクライムやロードレースが次々に開催されている。販売も好調で、人気モデルは発売されて数か月で売り切れが当たり前。スポーツバイクを扱う専門店も続々とオープンしている。こうした動きは日本だけではなく海外も同様。CO₂削減にもつながるということで政府が後押しをしている国も多い。

フィールドは無限大

では実際に乗る時には、どんな種類の自転車を選べばいいか。瀬戸氏は「ミニマムで5万円の投資をしてほしい」と訴える。なぜかといえば、自転車には買ったあとのカスタマイズの楽しみがあるからだ。そのためにはある程度のフレームを備えた自転車がほしい。その最低ラインが「5万円」という数字なのだ。
もちろん、いわゆる「ママチャリ」でも自分仕様にカスタマイズは可能だ。
「サドルを高くするだけでペダリングが楽になるし、タイヤの空気圧を上げるだけでも、驚くほど軽快になります。このようなちょっとしたカスタマイズでも『自転車っていいな』と感じるはずです。」
自転車の種類は多い。クロスバイクにマウンテンバイク、ロードバイク、小径車、折り畳み自転車などなど。さらにジャンルごとに違うタイプがあったりする。そのなかで瀬戸氏がビギナーに推しているのがクロスバイクだ。これはマウンテンバイクとロードバイクの「いいとこどり」をしたもの。「誰でも簡単に扱える」し、「ツーリングでも速く走れる」。つまり、なんでもござれのオールラウンダーだ。事実、巷でもっとも売れているのもこのタイプ。ボリュームゾーンだけに各メーカーも力を入れている。
ちなみにショップはやはり「ディスカウントストアではなく、スポーツバイクを多く扱っている専門店」をお勧めしたい。こうした専門店は買うときも親身になってくれるし、購入後の面倒見もいいからだ。目安としては、「雑誌に広告を出しているような店ならだいたいはいいショップ」だと考えておけばいい。
ここで話は「自転車の特異性」へ。自転車には3つの特徴がある。1つは「何歳でも、誰でも楽しめる」ということ。つまり「生涯スポーツ」であるという点だ。そして「自由」と「随意性」。燃料切れの心配がなく、乗るだけでなく押したり担いで運んだりが可能。「輪行」という旅の方法もある。そのフィールドは無限大と言っていいのが自転車なのだ。ちなみに瀬戸氏は中学高校時代に日本全国を走り、富士山や御岳山なども自転車を担いで登ったというキャリアの持ち主。学生時代は海外の難ルートを数々走破し、「モンスター瀬戸」の異名をとったサイクリストだ。「フィールドは無限大」を自ら証明してきた瀬戸氏だけに、その言葉には説得力がある。

自転車を通じて社会貢献がしたい

大きな旅はむろんのこと、ちょっとしたサイクリングでも自転車は「シアワセ」を与えてくれる。自分が住んでいる町を走るだけでも「こんなところがあったのか」という発見があるのが自転車だ。「ラーメン屋さんをまわるのが好き」という瀬戸氏。何かを食べに行く、観に行く、そうしたテーマをもって走るのもまた「シアワセ」だ。日本各地には総延長3500キロメートルにも及ぶ自転車専用道もあるし、観光地にはレンタサイクルがある。まずは気軽に走るといいだろう。
ライディングのコツは「無理をしない」「頑張らない」こと。
「ペダルは踏むものでも漕ぐものでもない。クルクル回すものだと思ってください。」
なるべく身体に負荷をかけずに、一定の回転数で回すのがポイント。そのためにはギアチェンジを頻繁に行う。筋肉運動ではなくエアロビクス運動。これが身体にいい。ダイエットにも成人病予防にも自転車はぴったりだ。
聞いているといいことずくめの自転車のようだが問題もある。歩行者や車との事故が増えているのだ。また、ルールやマナー違反も目立つ。自転車が社会の敵となるのは悲しい。それを防ぐために瀬戸氏はNPOや財団法人の活動を通して、自転車の普及とともに安全走行の提唱やヘルメットの着用促進などの啓蒙活動に積極的に取り組んでいる。
「夢」について、瀬戸氏は「夢は実現するためのもの」と答えてくれた。
「中学のときは日本一周が夢だった。そして世界を走りたいと思った。本を出したいとも思った。今は自転車を通じて社会貢献がしたい。」
その1つひとつの「夢」をクリアしてきたことで自分はシアワセになってきたのだという。
「私は自転車を通じて多くのものを学ばせていただきました。1人でも多くの人に自転車に親しんでいただき、シアワセになってほしいです。」
シアワセの第一歩は「自転車に嵌る」ことだ。

講師紹介

瀬戸 圭祐(せと けいすけ)
瀬戸 圭祐(せと けいすけ)
NPO法人 自転車活用推進研究会 理事
自転車通勤やツーリングをアクティブに楽しむ“ジテツーリスト”。中学高校時代に日本全国を走り、その後北米大陸ロッキー山脈、北極圏スカンジナビア山脈、欧州アルプス山脈、西ヒマラヤ/カラコルム山脈、ヒンズークシュ山脈などを単独縦断走破。主な著書に「ジテツウ完全マニュアル」(ベース ボールマガジン社)、「爽快!自転車バイブル」(毎日新聞社)、 「自転車ツーリングビギナーズ」(八重洲出版)、 「自転車生活スタートガイド」(水曜社)などがある。現在は大手自動車会社に勤務しつつ、NPO自転車活用推進研究会理事や(財)日本自転車普及協会の事業評価委員などを務め、自転車の楽しみとシアワセを広める活動を行っている。