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イベントレポート

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2013年4月25日(木) 19:00~21:00

高橋 秀嘉(たかはし ひでよし) / ダイビング、スキーインストラクター

世界の海を潜る

地球儀を見るとその大半は水の世界。ダイビングを始めるとその水のある所すべてがフィールドとなる。透明なブルーの海の中では、多彩な生物たちが顔をのぞかせ、壮大な景色がひろがり、海に潜ることでしか見ることのできない驚きや発見、感動的なドラマがある。今回はタヒチ、モルディブ、シパダン(マレーシア)などのさまざまな世界の海を潜ってきた高橋氏にダイビングの経験を通して、海の素晴らしさ、魅力についてお話しいただく。

海の中はサプライズに満ちている

セミナー冒頭、高橋秀嘉氏がGoogle earthで見せてくれたのはタヒチのランギロア島。南太平洋に浮かぶ環礁の島は、インリーフを囲んで陸地がドーナツ状に延びている。細い陸地には道が1本延びるだけ。その左右は海。一方は波穏やかなタヒチアンブルーのラグーン。そして一方は紺碧のオーシャン。鮮やかな対比に会場からは「うわあ」と声があがる。
「これがティプタパス。ここに潜るとどんな世界が待っているか。あとで写真をお見せします」
陸地が途切れ、オーシャンとインリーフがつながった細い水路。ここがランギロア島での「メインのダイビングスポット」。今日は世界各地の海を潜ってきた高橋氏が、なかでも「いちばん印象的」と感じているこのランギロア島のティプタパス、それにモルディブの海、メキシコのセノーテでの洞窟ダイビングを写真と映像で紹介。ランギロア島の衛星写真からスタートしたセミナーは、素晴らしい水中世界を旅する2時間となった。
高橋氏の職業はダイビングインストラクター。都内でダイビングショップを経営するかたわら、冬期は長野県のスキー場でスキー学校を運営。帝京平成大学では救急救命士コースで講義を行なっている。ダイビングショップでの初心者講習数は11年連続で全国1位。2010年にはラスベガスで『プラチナプロ5000インストラクター』の表彰も受けたというベテランのインストラクターだ。もっとも、本人に言わせればダイビングに興味を持ったのもスキーを始めたのもきっかけは「単純」。
「僕がこの世界に入ったのはバブルの頃。『私をスキーに連れてって』や『彼女が水着にきがえたら』といった映画に影響されてダイビングやスキーを始めたんです」
18歳でダイビングと出会い、それを職業とした高橋氏。25年たった今も「いまだに海に潜るときは広大な海が持つ筋書きのないドラマにワクワク、ドキドキしながら潜っている」という。
「ダイビングを始めると、旅行先が海の中にまで広がります。海の中は本当にサプライズに満ちている。そこでの感動をバディと共有する。それがダイビングの魅力です」
スキューバダイビングは2人1組の「バディシステム」で潜るのが基本。ツアーでは大勢で潜ることも多い。他のスポーツと違ってダイビングには競争がない。潜るときは性別も年齢差も関係ない。全員が感動を共有し、みんなで楽しむ。高橋氏はそんなダイビングを通して「人が大好きになっていった」と語る。

世界の海、そして日本の海

高橋氏がこれまで巡って来た世界の海は、タヒチ、モルディブ、シパダン、フィジー、パラオ、ナッソー、ラパスなど10数ヶ国。どこも「ダイビングをしていなかったら訪れていなかった」であろう場所だ。
「こんなふうにダイビングは自分の旅行観も変えてくれるんです」
旅先では海の中だけではなく、もちろん現地の人との出会いや陸上での体験も得られる。映画『ジョーズ』のロケ地であるナッソーでのサメの餌付け体験、インドネシアでのコモドドラゴンさがし、ラパスでのアシカとの遭遇、オーストラリアでの初めてのマンタとの出会い……披露されるエピソードはどれも「ワクワク」に満ちている。すべてはダイビングが与えてくれたものだ。
ダイビングで忘れてはならないのは「日本の海」。沖縄の海の透明度は「世界で3本の指に入る」ものだし、小笠原では鯨に会える。冬の北海道では「アイスダイビング(流氷ダイビング)」も楽しめる。伊豆七島の御蔵島ではイルカと一緒に泳ぐことができる。高橋氏はここ2年はその日本の海の中でも岩手の被災地へと仲間とともに足を運んでいる。遅々としながらも少しずつ進んでいる陸上の復興に比べ、海の中はほとんど手つかずの状態だ。沈んだゴミはダイバーたちが手作業で引き揚げる。これはダイバーでないとできないことだ。
「僕は無能なインストラクターなんですが、少しでも支援になっているのなら嬉しいです。」

タヒチ、モルディブ、メキシコ……伝えたいダイビングの素晴らしさ

セミナーの後半では冒頭でも紹介したタヒチのランギロア島ティプタパスの映像を上映。世界最高と言われる透明度の海の中へはゴムボートでエントリーする。まず寄って来るのはサメたち。「サメたちは僕たちを品定めするとすぐ消えてしまう」と高橋氏。だがすぐに次の客が到来する。「キンキン」という鳴き声とともに猛スピードでやって来るのはイルカの群れだ。驚くことに、イルカたちはダイバーの目の前まで来るとぴたりととまり、おなかを出して直立する。「撫でて」とおねだりしているのだ。
信じられないような写真に会場にはため息が。中にはイルカのひれと手をつないで泳いでいるダイバーもいる。岩棚を離れれば、そこは潮の速い「パス」。ダイバーたちは外海から流れるこの潮に乗って、「掃除機に吸い込まれるような感じ」で浅いインリーフへと移動して行く。その間にもハンマーヘッドシャークやカジキ、マンタなどの「大物」が次々に登場する。これが「タヒチの海」なのだ。
つづいてはモルディブ。ここでは「神様がくれたネックレス」と呼ばれる島々にある人気のダイビングスポットを船で巡る。見物は世界最大の魚であるジンベイザメ。大きな口を開けての補食シーンは圧巻だ。
最後はメキシコのセノーテ。ユカタン半島にあるこのダイビングスポットは、海ではなく森の中にある。潜るのは「セノーテ」と呼ばれる泉だ。洞窟となっているこの泉は「息をしていることすら忘れるほど美しい」。ブルーの世界に織り成す光のカーテン。水面を見上げればそこには木があり、飛んでいる鳥が見える。そうと言われなければ水中とは思えない幻想的でクリアな鍾乳洞の景観。そこをダイバーたちはガイドに案内されゆっくり進む。あまりの美しさに誰も言葉が出ない。地球上にはこんな場所があり、ダイビングをするとこうした感動が得られるのである。
「僕は実は東京ディズニーランドなども好きなんですけど、やはり自然がつくったものが与えてくれる感動は違います」
高橋氏の夢は「ダイビングをもっと広めること」。インストラクターは「自然とみなさんの間をとりもつ仕事」だ。
「若い人が入って来やすいダイビング業界づくり。少しでもその役に立ちたいと思っています。」
仲間とともに体験する、自然が与えてくれる感動や一瞬の出会い。そんな自然が織りなす筋書きのないドラマが、人々を魅了し続けるのだろう。

講師紹介

高橋 秀嘉(たかはし ひでよし)
高橋 秀嘉(たかはし ひでよし)
ダイビング、スキーインストラクター
1970年東京都生まれ。海や山などの自然と人がふれあう機会が増えたらという想いから1993年に東京世田谷にブルー&スノーダイビングスクールを設立。現在では葛西、FC加盟店の柏を含め3店あり2000年から11年連続初心者講習数全国1位を記録。2010年には米国ラスベガスにてプラチナプロ5000インストラクターに日本人2人目の表彰を受ける。現在はダイビングスクール、スキースクール経営のほか、帝京平成大学にて年に数回教壇に立ち、社団法人レジャースポーツ産業協会の東日本環境保全部長として水中環境保全活動にも力を入れている。