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イベントレポート

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2013年6月13日(木)19:00~ 21:00

菊池 祐二郎(きくち ゆうじろう),越川 友輔(こしかわ ゆうすけ) /   

適度な運動とは何か
~ 正しい健康管理と自分に合った運動の見つけ方 ~

日常の身体活動量が低下した状態にある運動不足は、エネルギー摂取量が相対的に過剰となり、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧症を招き、脳血管疾患や心臓病に繋がる。これらの対策としては、その基礎となる生活習慣病を予防・治療することが不可欠で、運動による体力の増進が重要。しかし、健康診断で医師に「適度な運動を心がけてください。」と言われても、何をどう始めたらよいのか・・・。そんな疑問にお答えするために今回は、医師の視点から生活習慣病の予防および健康維持・増進のための運動の有用性と、健康運動指導士の立場から個々にあった"適度な運動"の具体的な中身を実践を交えながらお話いただきました。

自覚症状がない生活習慣病は健康診断でチェックを

 医師はよく生活習慣病の恐れがある患者に「適度な運動をしなさい」と勧める。だが、「適度な運動」とはいったい何か。どんな運動をどれだけすればいいのか。その答えは病院ではなかなか聞くことができない。そこで今回のセミナーでは血管外科医の菊池祐二郎氏と、菊池氏が通うフィットネスクラブのインストラクターである越川友輔氏をお招きし、医療のプロである医師および運動のプロである健康運動指導士であるお二人に、健康維持、生活習慣病予防のための「適度な運動」についてお話いただいた。
前半はまず菊池氏による生活習慣病の説明。なぜ生活習慣病なのかは言うまでもない。現代人はその生活習慣上、塩分や脂質、カロリーの過剰摂取や運動不足、睡眠不足、ストレス過剰などに陥りやすい。これが進むと、高血圧症や糖尿病、高脂血症、肥満症などになってしまう。また、厄介なことに、こうした生活習慣病には「痛い」や「苦しい」といった自覚症状がない。だから気が付くと進行しているのだ。
「生活習慣病を防ぐには健康診断や人間ドックで自分の体の状態を知ることが大切です。」と菊池氏。自分の体の状態がわかったら、生活習慣を変える。喫煙や過度の飲酒、暴飲暴食は避け、運動をすること。運動が「メタボ」対策に有効なのは実証済みとのこと。

健康づくりはドクターやスポーツトレーナーと一緒に

 厚生労働省でもこうした運動を含む「身体活動」を通しての健康づくりを推進している。2006年に策定された「健康づくりのための運動指針2006」では運動の他、「歩行」や「掃除」、「子どもと遊ぶ」、「芝刈り」などの生活活動に充てた時間を1週間単位で合計し、「23エクササイズ」を超えるようにと提唱している。「エクササイズ」は身体活動の量を表わす単位。例えばランニングなら4分で1エクササイズ、買物時や犬の散歩程度の歩行ならば20分で1エクササイズとなる。こうして考えると、フィットネスクラブなどで集中して運動ができれば23エクササイズを達成することはそう難しくはない。もちろん、すでに生活習慣病になっている人は運動をするにも注意が必要だ。
「ジムで運動する前には一度は医師の健康診断を受けること。そして自分にどんな運動が合っているか、スポーツトレーナーに相談すること。健康づくりは自分とドクターとトレーナーの三者で進めていくといいでしょう。」
 後半はそのスポーツトレーナーである越川氏が登壇。普段はフィットネスクラブ『エスフォルタ赤坂』でトレーナーをしている越川氏は、菊池氏個人の「パーソナルトレーニング」のパートナーでもある。
 モニターに表示されたのは「3%」という数字。これは今現在、フィットネスクラブに通っている人の数を総人口に対して表わした割合だ。3%というのはけっして多い数ではない。この割合は過去10年変わらないという。ただし、中身は微妙に変化してきている。
「最近とくに増えてきたのが40代以上の方々。それもお医者さんに勧められて生活習慣病予防に、という方が目立ちます。」
 全体から見れば、わずか3%。とはいえ、フィットネスクラブに関心のある人は少なくない。実は全体の半分ほどの人は「何か運動をしなければ」と感じていることがすでに大学の調査などで判明している。
「人間が運動行動に至るまでの間には、無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期の5つのステージがあります。3%の人たちは維持期の人たち。残りの人たちにいかに維持期の段階へと進んでもらうかが私たちのテーマです。」

体が動かせるのは幸せ。自分に合った運動をしよう

 フィットネスクラブは知らない人から見ると何となく「敷居が高い」ものだ。見学や体験入会に来てもパンフレットを持ち帰って終わりというパターンが珍しくない。そんなとき、多くの人が口にするのは「自分に合った運動が何だかわからない」という言葉だ。越川氏たちトレーナーはそうした人たちに向けて目標を設定し、オリジナルメニューを組む。ダイエットならダイエットに最適な運動。やり過ぎず、足りな過ぎずといった「適度」な運動なら楽しみながらできるし、継続もしやすい。
 よく言う「体力」とは「筋力」「筋持久力」「全身持久力」「柔軟性」を合わせたもの。これが欠けていると姿勢が崩れて「猫背」や「反り腰」「いかり肩」などになる。解決するにはストレッチが効果的だ。
「では、菊池先生に前屈をしてもらって柔軟性をチェックしてみましょう。」
 最初に前屈した際は床に手の届かなかった菊池氏。しかし越川氏が下半身のストレッチをするとたちまち柔軟性がアップした。これには菊池氏本人はもとより参加者からも「おお」とどよめきが。ストレッチだけでも「体力」をあげることはできるのである。
 健康維持に必要な運動時の心拍数などで確認できるストレッチのためのセルフチェック、運動を3ヶ月単位で期分けすることのメリットなどを解説してもらったあとは、越川氏が勤務する『エスフォルタ赤坂』を動画で紹介。「運動の習慣化」がいかに大切か知っている越川氏にとって、「夢」は「フィットネスクラブのインフラ化」だという。
 セミナーの最後は、医師としての菊池氏にメッセージを寄せていただいた。
「世の中には病気で運動がしたくてもできない方々がいます。体が動かせるのは幸せです。ドクターとトレーナーとの三角形の関係性を大事にして体づくりに励んでください。」
健康は豊かな人生を送るための必要条件のひとつ。医師とトレーナーによる今回のセミナーは自身の健康をより意識することができた有意義な2時間となった。

講師紹介

菊池 祐二郎(きくち ゆうじろう),越川 友輔(こしかわ ゆうすけ)
菊池 祐二郎(きくち ゆうじろう),越川 友輔(こしかわ ゆうすけ)
  
菊池 祐二郎(きくち ゆうじろう) 写真左
医療法人財団順和会 山王病院・山王メディカルセンター 血管外科医

東京医科大学卒業。前東京医科大学心臓外科医局長、医学博士。一般外来のほか抗加齢医学(アンチエイジング医学)にも従事し、むくみの相談や血栓の予防、生活習慣病予防や治療に携わっている。

越川 友輔(こしかわ ゆうすけ) 写真右
フィットネスクラブ エスフォルタ赤坂店チーフフィットネスパートナー・健康運動指導士

横浜リゾート&スポーツ専門学校卒業。健康運動指導士。担当者制のフィットネスクラブ≪エスフォルタ赤坂≫に勤務しており、お客さまごとに専用の運動メニューをご提案・作成・ご案内しておりQOLの向上やシェイプアップ、健康維持のお手伝いを行っている。