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イベントレポート

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2014年3月27日(木) 19:00~21:00

伊藤 榮治郎(いとう えいじろう) / 株式会社クルーズライフ 代表取締役

地球は、ますます、おもしろい。
~極地旅行編~

旅行者のニーズが大きく変化し多様化する海外旅行。世界中の情報が瞬時に入手できる時代となったいま、多くの旅行者が新たな旅先を求めている。前回のアフリカ編に次ぐ第2弾は、極地旅行編。今や冒険家たちだけの旅ではなくなった北極・南極旅行の魅力について、極地旅行のプロフェッショナルにご紹介いただいた。
聞き手:樫村 衣子(ANAセールス株式会社海外旅行商品部)

極地旅行、その感動は「一度体験したら忘れられない」

昨年はアフリカでのサファリを紹介した『地球は、ますます、おもしろい』。第2弾となる今回は27回の極地旅行経験を持つ株式会社クルーズライフ代表取締役の伊藤榮治郎氏をお招きし、北極、南極のクルーズ旅行についてのお話を伺った。聞き手は、世界の秘境や世界遺産巡りなど、魅惑的な旅行商品『ワンダーアース』を提供するANAセールス株式会社の樫村衣子氏。前半は砕氷船による北極点観光、後半は南極周辺の島々や南極半島を巡るクルーズを、画像や映像を交えながらお話しいただいた。
北極や南極と聞くと、一般の人が抱くのは「地球の果て」、「おそろしいところ」というイメージ。事実、19世紀に行なわれたフランクリンの北西航路探検では隊長はじめ全員が消息不明となっているし、南極探検でもアーネスト・シャクルトン率いる探検隊の漂流記など、悲劇や壮絶な冒険譚には事欠かない。ただし、それは昔の話。伊藤氏によれば「私たちの住んでいる地球ですから行けないところはありません」。そして極地というと「雪と氷しかない世界」のようだが、実際に行ってみると「その感動は一度体験したら忘れられない」という。クルーズで巡る北極圏や南極圏には、フィヨルドの大自然やさまざまな野生動物、太陽が沈まない白夜、あるいはオーロラが舞う夜空など、「絶景」や「感動」が溢れている。そうした場所に、現代の旅行者は、氷に弱い木造船や犬ぞりではなく、設備の整った近代的な砕氷船やクルーズ客船で訪れることができる。極地旅行は「老若男女問わず、誰でも楽しめるもの」なのだ。
北極圏クルーズで人気が高いのはスピッツベルゲン島。日本ではあまり知られていないが、北緯80度近くに浮かぶこの島は「野生動物の王国」だ。ここで出会えるのはクジラやシロクマ、セイウチ、アザラシなど。上陸用のボートに乗って氷河の間近に迫ったり、フィヨルドの景色を堪能できる。8月ならばオーロラに遭遇する確率も高いという。

北極点で記念の寒中水泳

北緯90度の北極点をめざす旅となると、行く手には氷原が待ち受けている。氷の厚さは3、4メートル。これを大型砕氷船が割って進む。心配なのは船酔いだが、シベリアやカナダに囲まれた北極の海は穏やかで、船が揺れることはない。ただし航海中は「大迫力の毎日」だ。砕氷船が氷を割って進む様は壮観の一言。360度の氷の海を、船は氷しぶきをあげながら走る。船内では北極の環境や野生動物についてレクチャーが開かれる。途中はユーラシア最北の群島、フランツ・ヨーゼフ諸島にも立ち寄る。極点到達時は「盛大なお祭り」。シャンパンで乾杯し、氷上でバーベキューを楽しむ。気球やヘリコプターで遊覧飛行もできる。極点のポールのまわりを歩けば、それは「地球を一周旅した」こととなる。おもしろいのは「北極点大飛び込み大会」。乗客たちは、極点到達を記念して、次々に氷の海に飛び込む。
「人間は感動すると水に飛び込みたがるんですね。いつも乗客の半分は寒中水泳を楽しんでいます。これは南極でも同じです」
北極への旅は「地球の素晴らしさを教えてくれるもの」。現在、存命中の人で北極点まで行ったのは2、3,000人ほど。人がまだ味わっていない感動を得るのに極地旅行はおすすめといえる。
もうひとつ、北極圏以上に人の手が入っていないのが南極だ。1959年に採択された南極条約では南緯60度以南を「南極」と呼ぶ。そこにあるのは日本の37倍の大きさを持つ南極大陸だ。ここには約30か国62箇所の観測基地があるが、南極条約によって石油や鉱物などの資源開発はすべて凍結されている。この南極大陸が発見されたのは19世紀の後半。アザラシ漁の漁師が発見したとされているが、しばらくの間は資源独占のために公表されることはなかったという。その後、1911年にロワール・アムンゼンが南極点に到達。同時期には日本の陸軍軍人である白瀬矗も極点を目指す探検に出ている。

軽装備、そして豪華なクルーズ船で楽しめる現代の極地旅行

海が静かな北極と比べ、南極への旅では揺れを覚悟しなければならない。出発点は南米最南端の港町ウシュアイア。船はここを出てドレーク海峡を渡って南極大陸西部の南極半島を目指す。運がよければ穏やかな航海となるが、南緯60度付近では大揺れになることが多い。こういうときは船室のベッドで横になっているのがいちばん。体を横たえていると三半規管への負担が小さくて済むからだ。
その後、南極圏に入ると船の揺れは「ぴたっと収まる」。そして凪の海に現われる氷山や氷河を持つ陸地の近くで乗客はゾディアックボート(ゴムボート)に乗り換え上陸を果たす。陸地やその周辺の海ではゼンツウペンギンやアデリーペンギン、ヒゲペンギン、キングペンギンなどのペンギンや、ゾウアザラシ、ヒョウアザラシ、ウェッデルアザラシなどのアザラシが観察できる。ワタリアホウドリやキョクアジサシなどの野鳥も飛び交う。圧倒的なのは、ザトウクジラやミンククジラなどの鯨類だ。これが南極の海では「もういいからというくらい、わんさと見られる」。それもボートのすぐ間近でブリーチングをする。
極地旅行の楽しみは、もちろんこれだけではない。そこにはクルーズの楽しみもある。客船は動くホテル。ラグジュアリーな内装は、とても極地に向かう船とは思えない。エレガントな客室に豪華な食事。ことに南極クルーズで使用される『オーシャン・ダイヤモンド号』は元々日本の客船だったこともあって、ほとんどの客室にバスタブが付いている。これは日本人には嬉しい設備だ。
気になる服装は「『ユニクロ』のヒートテックで十分」。他に乗客が用意するのは海岸上陸用の防水性のズボンやサングラス、帽子など。ゴム長靴は船内で貸し出され、防寒上着の「パルカ」は進呈される。あと欲しいのは日焼け止め。極地といってもこの程度の装備で気軽に旅が楽しめるのが今の時代だ。
樫村氏の「夢」は「自分がつくったツアーでみなさんとともに夢を分かちあう」こと。そして伊藤氏の「夢」は「極地クルーズを通し、みなさんに夢のような素晴らしい体験をしてもらう」こと。
「北極にも南極にも太古の自然が残っている。極地は地球の息吹を感じられる場所です。嘘か本当か、ぜひ実際に行って確かめてほしい。きっと素晴らしい旅ができるはずです。そして夢は持ち続けていれば必ず叶うものです!」

講師紹介

伊藤 榮治郎(いとう えいじろう)
伊藤 榮治郎(いとう えいじろう)
株式会社クルーズライフ 代表取締役
前職の旅行会社では38年勤務。クルーズ旅行を30年以上手がけ、2003年、クルーズアドバイザー認定委員会より、高度な専門知識・経験を持つクルーズマスターの第1号として認定される。30歳の時、南極添乗をきっかけに極地旅行に魅了され、以来、南極と北極へは27回の旅行経験をもつ。現在はクルーズ旅行を手掛けるクォーク社の日本の正規代理店として、北極と南極の旅を専門に取り扱っており、夢と感動に溢れた浪漫の旅を紹介している。