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イベントレポート

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2014年4月26日(土) 14:00~15:30

エンリケ・カレーラ,松木 亜里沙(まつき ありさ),yukiko / 後援:パラグアイ共和国大使館

音を通して感性を磨く
南米楽器「アルパ」ミニ演奏会

「アルパ」という楽器をご存知だろうか。 「アルパ」はラテンハープとも呼ばれ、16世紀にイエズス会の宣教師が持ち込んだクラシックハープが原型。南米の先住民が現地の材料で制作して各地に広まり、パラグアイを中心にメキシコやコロンビアなどで演奏されている。 「アルパ」は弦の弾き方によってギターやピアノ、打楽器のような音が出せる。今回はアルパデュオ「ソンリーサ」のエンリケ・カレーラ氏、松木亜里沙氏、そしてアルパ奏者でもあり、色彩教育・五感教育の講義を企業および教育機関で担当しているyukiko氏をお招きし、南米の感性豊かな音色を通して感性を磨くミニ演奏会を開催した。

「アルパ」、その原形はヨーロッパのハープ

今日の講師は、アルパ奏者のエンリケ・カレーラ氏と松木亜里沙氏、yukiko氏の3人。参加者の目は民族衣装を身にまとった講師陣とそれぞれの「アルパ」に釘付け。演奏会の冒頭は、まずアルパについて、そしてその生まれ故郷のパラグアイという国に関して、進行役のyukiko氏の説明から始まった。
「アルパというのはスペイン語でハープのことです。16世紀、スペインが南米を征服したとき、キリスト教を布教しにやって来た宣教師たちが持ち込んだハープがその原型となっています」
宣教師たちが先住民の人々に楽器の作り方を教えると、元来手先の器用なパラグアイの人々はハープに似たものを作り上げた。それが少しずつ形を変えてできたのが現在のアルパだ。
「わかりやすく言うと“パラグアイハープ”。触れればすぐに音が出る楽器なので、簡単な曲だったら初めてでも弾けます」
見た目は高さが150センチもあり、存在感たっぷりのアルパ。しかし実は爪や指の腹で弾けば誰でも「ドレミ」を奏でることのでき、弾くときも楽譜を見ないため素人や子どもにも親しみやすい楽器だ。
アルパの故郷であり、カレーラ氏の出身国であるパラグアイは南米の内陸国。
「名前は聞いたことがあるけれど、どこだかわからない。そういう人が多いかと思います」
アルゼンチンやブラジルなど、周囲の国々に比べると国土が狭く、日本人には馴染みが薄いパラグアイ。カレーラ氏や松木氏はアルパの演奏を通じて日本にパラグアイを紹介している。本業が色彩総合プロデューサーのyukiko氏は「色」にも注目。この日、カレーラ氏やd-labo男性スタッフが着用した「アオポイ(織物)」のシャツや、yukiko氏と松木氏が身にまとった「ニャンドゥティ(刺繍)」の民族衣装などの繊細かつデリケートな色遣いは、「どこか日本文化に近いものを感じさせてくれる」という。ユニークなのは国旗。パラグアイの国旗は表と裏でデザインが違う。表側は中央部に国章が、そして裏には平和と正義の意味が込められた「ライオンと赤い自由の帽子」が描かれている。このような表と裏のデザインが違う国旗は世界で唯一のものだ。

繊細かつ力強いアルパの音色

アルパとパラグアイの紹介が終わったところで、パラグアイ原産のマテ茶の試飲会。最近は日本でも飲料メーカーがペットボトルで販売するようになったマテ茶は、パラグアイの人々にとって、もっとも親しみのある飲み物だ。ビタミンやミネラル、亜鉛、鉄分などが含まれていて、肉食文化のパラグアイでは野菜の代用品としても飲まれている。ただし、日本のようにペットボトルで売られていることはない。人々は水筒とボンビーリャ(マテ茶を飲むための専用ストロー)などの「Myマテ茶セット」を持ち歩き、いつでもどこでも飲みたいときに飲んでいる。何人か集えば「回し飲み」が始まる。雑談をしながらマテ茶を飲む。これがパラグアイの人々の日常だ。ちなみにマテ茶とは熱い茶のこと。冷やして飲んだり、水でつくったりする場合は「テレレ」と名前が変わる。作り方には「けっして、掻き混ぜてはいけない」などのコツがあり、混ぜると苦味が出るため美味しさが半減してしまう。この日のd-laboではチーズやタピオカを原料にした現地の菓子も配布。ちょっとしたティーパーティーのようになった。
つづいて、カレーラ氏と松木氏のアルパデュオ『ソンリーサ』にyukiko氏も加わった演奏会。子どもの参加者も多い会場に合わせ、1曲目は「みなさんがよく知っている曲を」と、『となりのトトロ』が演奏された。3つのアルパが織り成すハーモニーは想像以上の素晴らしさ。絢爛かつ優しいアルパの音色は聴いていてうっとりとしてくる。「奏でる」といった言葉がぴったりの演奏は、参加者全員をたちまち魅了した様子。1曲目が終わると同時に、会場には盛大な拍手が響いた。
2曲目はパラグアイの有名な曲である『牛乳列車』。この曲はシュポシュポと音を鳴らして走る蒸気機関車をイメージしたもの。
「聴いていると力強さを感じるはずです。自然ゆたかなパラグアイの大地を汽車が走っている。そういうところを想像して聴いてみてください」(yukiko氏)
曲が始まると、カレーラ氏の見事な指さばきで機関車のブラスト音やドラフト音が再現される。全体が力強くテンポのいい曲は、1曲目とはまた違うアルパの魅力を伝えてくれる。こんなふうにアルパという楽器には、さまざまなジャンルの音楽をカバーでき、しかも弾き方によってはピアノやギター、打楽器のような音を奏でることができるといった特徴がある。

アルパを通じて日本の人々にパラグアイを知ってもらいたい

3曲目は力強さとは反対にアルパの繊細な一面を見せてくれるディズニー映画『アラジン』の主題歌である『A whole new world』。胸に響く美しい曲は土曜日の午後のゆったりとした時間によく合う。
ラストの4曲目は「みなさんも知っている南米の曲」ということで『コーヒールンバ』を演奏。ノリのいい曲に会場からも手拍子が。
「こうした曲を演奏すると仲間意識ができる。アルパはコミュニケーションのツールでもあるんですね」とyukiko氏。
見事としか言いようがない3人の演奏。そのスタイルは意外なまでに「自由」だ。
「担当するパートが分かれている他は自由。もともと楽譜を使わないものですし、練習と本番で弾き方が違うこともよくあります。演奏中は相手がやっていることを聴きながら、どうしようかと考えて弾いています」(松木氏)
最後はd-laboから恒例の「夢」についての質問。カレーラ氏の「夢」は「日本のみなさんにアルパを知ってもらうこと」。「学生時代、パラグアイに留学すると言ったらパレスチナと間違われた」という経験を持つ松木氏は「アルパを通じてパラグアイのことをみんなに知ってほしい」。そして「色」のプロであるyukiko氏は「色や音色を軸に日本やパラグアイを伝えていきたい。人間の心理や五感と、色との関係性を大事にしていきたいですね」という夢を語ってくれた。
セミナー終了後は講師を囲んでの記念撮影。さらに希望者にはアルパに触れられる「体験」コーナーを実施。素晴らし音色を聴き、本物の楽器に触れることもできた充実した時間となった。

講師紹介

エンリケ・カレーラ,松木 亜里沙(まつき ありさ),yukiko
後援:パラグアイ共和国大使館


エンリケ・カレーラ
アルパデュオ「ソンリーサ」

パラグアイの首都アスンシオン生まれ。4歳よりギター、10歳よりアルパを始める。1993年「ロシャス・アルパコンクール」準優勝、1995年「グアランバレ・コンクール」アルパデゥオの部優勝、2005年「パラグアイ全国アルパコンクール」プロ奏者の部優勝。大統領官邸に招待を受け、公的行事にて演奏を行う。2010年サッカーキリンチャレンジカップ日本対パラグアイ戦にてパラグアイ国歌斉唱。現在は日本にて演奏活動及びアルパ講師として活動。日本版のアルバム「Sabor a Paraguay 音彩」が発売中。


松木 亜里沙(まつき ありさ)
アルパデュオ「ソンリーサ」

3歳よりクラシックピアノを始める。大学在学中にアルパと出会う。2005年パラグアイに留学。同年11月パラグアイ最大の音楽祭「グアランバレ・フェスティバル」インターナショナル部門優勝。2007年「第6回全日本アルパコンクール」優勝。2009年11月ファーストアルバム「Angelita」をリリース。


yukiko(ゆきこ)
「スタイル・プロモーション」主宰

株式会社永谷園入社後、スタイリスト・カラーコンサルタントに転身。フランスベッド株式会社、株式会社セブン&アイ・ホールディングスなど衣食住イベントやTV-CMに数多く携わる。2005年より、企業や教育機関にて色彩やファッションの講師として人財育成に関わる。受講生は8,000人に及び、現場から色彩教育や五感教育の重要視する。2010年より<色彩の有効活用>を提案し、プロデュースを行う「スタイル・プロモーション」を主宰。行政や海外留学生、ファミリー向けに色彩・五感教育セミナーも担当する。色彩およびファッションの専門家として『日経WOMAN』(日経BP社)『美的』(講談社)、『王様のブランチ』(TBS)などメディアにも出演。撮影スタイリング・取材・イベントや商品企画・講義を行う傍ら、アルパ奏者:エンリケ・カレーラ、松木亜里沙に師事しパラグアイイベントや代々木公園で開催される各国のフェスティバルでアルパの「音色」も届けている。