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イベントレポート

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2014年5月21日(水) 10:30~12:30

合同会社こどもみらい探求社 /

~こどもの専門家・保育士がお届けする~
こどもの力がぐんぐん伸びるあそび方講座

「こどもとどう遊べばいいの?」、「こどもにどんなおもちゃを買えばいいの?」
親であれば一度は悩む「こどものあそびかた」。「こどもの力を伸ばすあそびにはちょっとしたコツとポイントがあるんです」と語る保育士のふたりに「あそびのコツ」についてお話しいただいた。

こどものための「環境づくり」がしたい

「『こどもみらい探求社』ってどんな会社なんだろうという方も多いと思いますので、今日はまず会社の簡単な説明と私たちの自己紹介からスタートしたいと思います」
講師の小竹めぐみ氏と小笠原舞氏は、もともと同じ幼稚園で働いていた同僚。
「こどもたちにとっての生活とは、園が全てではありません。電車の中、デパートの中、公園、そして家…こどもたちを取り巻くのは、あらゆる『社会』です」
保育士が、そのノウハウや経験を社会づくりに役立てることは出来ないのだろうか? ふたりは思い切って現場を飛び出し、「こどもにとっていい社会をデザインしていこう」と決意。昨年6月に「こどもみらい探求社」を設立し、こどもに携わる人材や組織の育成などの「人的環境づくり」と、空間デザインやイベントの企画、コンテンツ・商品開発などの「物的環境づくり」を軸として活動をつづけている。
「この会社を始める前、私たち2人は、それぞれ現場でこどもと関わりいわゆる普通の保育士として働いていました」
そう語る小竹氏と小笠原氏がなぜ起業したのか。そこには保育や幼児教育の現場だけではできない「環境づくり」をしていきたいという想いがあった。世の中には「こどもたちのために」というコンセプトでモノづくりやサービスを提供している人がたくさんいる。
「そういう人たちと手をつないで、一緒に企画を考えたりコンテンツを開発したりすれば、『こどもたちのためになること』がもっとできるんじゃないかと考えたんです」
例えば小竹氏は、幼稚園勤務時代に興味を抱いたのは「世界のこどもたち」。休暇を利用しては海外へ行き、現地の人々の暮らしに接しながら知見を得た。その経験から「対話」の大切さを感じ、当時より志を同じくする小笠原氏とともにそれを実践する「オトナノセナカ」という団体を設立。次いで「こどもみらい探求社」を立ち上げた。

「あそび」とは「探求すること」

「こどもたちは普段からあそびを通していろいろなことを学んでいます。何も考えずに遊んでいても、実はそこに発見やヒントがあるんです」
そういうときに役立つのが、紙コップや洗濯バサミなど、日常の生活にあるちょっとした小物だ。この日は会場の一角にこどもたちが遊べるスペース=「asobi基地」を用意。そこで参加者のこどもたちに実際に遊んでもらった。見ていると、こどもたちは用意した紙コップやセロハン紙などを並べたり叩いたり、あるいは積み木のように積んだりと、自分なりにあそびを発見していく。大人でも一緒に遊べばすぐに「ともだち」になれる。ここでは「駄目」とか「走らないで」といった否定的な言葉はNG。大人は見ていてもどかしいとつい手を貸してしまうが、それも避けた方がいい。こどもが好きなように思う存分遊ばせてあげることが大切だ。「自分であそびを発見したときのこどもはすごくいい笑顔を見せてくれます」と小笠原氏。と同時に、楽しんでいるときのこどもというのは笑ったり、興奮して騒いだりするとは限らない。ときには真剣な表情でひとつのことに集中していることもある。
こどもたちが「asobi基地」で遊んでいる横で、大人の参加者は「こども力チェック」。シートの質問に答える形で、自分の中にどれだけこどもの感覚や感性が残っているかを確認してみる。そして、たいていの大人には「大人スイッチ」と「こどもスイッチ」がある。そのスイッチを使い分けてみることで、こどもたちの求めるものが見えてくるという。
「こどもたちが興味や関心を持って夢中になったり、集中して取り組んでいることを、私たちは〈探求あそび〉と呼んでいます」
大人が「やってみなよ」とお仕着せでさせるあそびは、本当のあそびとは言い難い。
「大人にさせられるあそびは〈あそび〉ではなく〈挑戦〉や〈勉強〉といった位置づけ。もちろん、経験は大事ですから何でも触れてみるのはいいことですが、こどもが自分から興味を抱かないものは〈あそび〉にはなりません」
こどもにとっては、行動そのものがあそびだ。
「積む」ことも「描く」ことも「たたく」こともあそび。「挟む」ことも「投げる」ことも「引っ張る」ことも、「のぞく」ことも「嗅ぐ」こともすべてそこに含まれる。

あそびを通して、「考え、工夫し、力を伸ばしていく」

ここで「あそび方」のケーススタディ。
「“はがす”ことや“のぼる”ことが好きなこどもがいたとして、何を用意してあげますか?」
この問い対し、参加者からは「シール」、「マジックテープ」、「マグネット」、「ソファー」、「階段」、「洗濯物」と答えが返ってくる。どれも「おもちゃ屋さんでは売っていない」、日常生活で使う物ばかりだ。
「その子が何をやりたいのか。そこを見抜くことが大切です」
あそびの環境を整えてあげたら、あとは口や手を出さずに見守るか、同じ目線で一緒に遊ぶ。こどもたちはあそびを通じて自分なりに考え、工夫し、正解を探していく。物がなければ代わりの物をさがす。そうやって頭を使い、力を伸ばしていく。
「こどもの力が伸びるかどうかは、実は環境次第なんです」

あそびのなかで
じぶんと出会う。ひとと出会う。
地球と出会う。感動と出会う。
もっとあそぼう。こどももおとなも。
あそびが未来をつくっていくのだから。

「あそび方講座」はこの言葉で終了。参加者全員に「振り返り=感想」を聞いたところ「今まではこどもにとってつまらないことをやらせていたかもしれない」、「今日からはこどものペースに合わせてみます」、「ただおもちゃを与えるのではなく、こどものなかにあるものを引き出してあげたい」、「限られた時間の中でこどもと接しているとつい口も手も出してしまうけれど、もっとこどものことを考えてあげたい」といった感想が。そして最後に講師2人にはそれぞれの「夢」を語っていただいた。
「こどもたちといると毎日がすごく楽しい。こどもたちは何気ないものを、自分なりに楽しむ方法を知っています。そうした彼らの力をもっと伸ばしていけるような環境づくりをしたいですね」(小笠原氏)
「私の夢はこどももおとなも、暮らしを楽しむ心をもつこと。私は、日々の変化やキラキラした瞬間をこどもたちに教えてもらいました。だから自分自身も、日々の小さな変化に目を向け、毎日の感動を大切に生きたいです」(小竹氏)

講師紹介

合同会社こどもみらい探求社
合同会社こどもみらい探求社

現場で保育士をしてきた2人は、様々な子どもと大人に出会いました。そこで考えついたことは、“子どもと大人の架け橋となれたら、もっと明るい未来がつくれる!”ということ。大人も子どもも「違い」を活かし合える社会の実現に向けて、「保育士 x 社会デザイン」をテーマに様々なアプローチから探求し続けています。合同会社こどもみらい探求社HP

小竹 めぐみ(めぐ せんせい)

世界の家を巡る1人旅を通して、家族の多様性を独学。幼稚園の先生、ベビーシッター、こども園や保育園の保育士など様々な立場で子ども・家庭に関わる。

小笠原 舞 (まい せんせい)

18歳から子ども達に関わるボランティアを続けながら、2年間の会社員時代を経て、保育士となる。保育士の社会的地位向上と保育士の専門性を社会に広げ、新しい子育て支援の形を探求している。