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イベントレポート

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2014年7月 9日(水)19:00~21:00
2014年7月16日(水)19:00~21:00

大槻 水澄(MISUMI) / ボイストレーナー

<第1回・第2回>
もっと伝わる、もっと輝く
働く女性のための"歌う"ボイトレ

声が小さい、震える、相手に聞き返される・・・。声の悩みのほとんどは、日常的に抱えているカラダの緊張や姿勢の悪さ、呼吸法、発声のクセが原因。しかし、ちょっとしたコツとトレーニングで、声は驚くほど変わる。トレーニングの中でも「歌う」ことは一番効果的。声の高低や強弱だけでなく、音色や微妙なニュアンスづけまで、歌うことで、豊かな表現力を身につけることができる。社内外のプレゼンテーションやコーチングなど、さまざまなシーンで声を使ってコミュニケーションしている女性のために、4回に渡って特別セミナーを開催した。

「伝えられる声」を目指そう

講師のMISUMI氏は、長年ロックボーカリストとして活躍してきた一方で、ボイストレーナーとしても多くのアーティストやビジネスエクゼクティブにボイストレーニングをしてきたこの道のプロフェッショナル。d-labo女子部のセミナーでは、その持てるノウハウを4回に分けて参加者に伝授。日頃、声のコンプレックスを抱える女性たちに「自信」を与えてくれた。ここではその1回目と2回目をレポート。基礎知識である「声についての話」からスタートしたセミナーの内容をお届けする。
「最初にみなさんに質問いたします。みなさんは自分の声が好きですか?」
30名近い参加者のうち、MISUMI氏の質問に「めっちゃ好き」と答えた人は皆無。ほとんどの人は「そうでもない」か「嫌い」で、「まあまあ好き」な人はわずか。実はこれは当然の結果。のど飴メーカーのカンロが2011年に実施したアンケートでは、声に自信のある人は全体の26.6パーセントで、残りは「いまいち」か「自信がない」のだという。
「自信がないと思うのは、今日からやめましょう」とMISUMI氏。そもそも「いい声」などというものは世の中にはない。あるのは「好きな声」か「嫌いな声」のどちらかだけ。
「だったら、好きと思った方がいいですよね」
大事なのは「思い込み」と「勘違い」。「たいていの歌手は『わたしっていい声』と勘違いして歌手になる」とMISUMI氏。
「声という楽器は一生変えることができません。だから、みなさん少なくとも自分の声を好きになってください」
声に関して多くの人がストレスを感じているという。何か言っても聞き返されたり、声を出したいときに緊張から出せなかったりする場面は、仕事や普段の生活でよくある。MISUMI氏が指導しているボイトレのゴールは「ストレスを感じることなく、伝えたいこと、伝えたい思いを100%伝えられる声」。
「次のゴールは自分の声のポテンシャルを発揮すること。ポテンシャルを発揮できれば、その次は人を感動させることができます。そこまでいったら“声マスター”。まずは〈伝えられる声〉を目指しましょう」

ボイトレとは「赤ちゃんの頃の遠い記憶を思い出す」こと

1回目のセミナーではトレーニングのポイントを説明。大切なのは「毎日楽しく続けられるトレーニングを見つけること」と、「身体のメカニズムをしっかり理解すること」、そして「自分に必要なトレーニングを重点的にやること」。つまらないことはつづかない。だからトレーニングは楽しく行なう。毎日変わる体の調子には微調整が必要。そのためには腹式呼吸や筋肉、声帯の仕組などを頭で理解すること。ボイトレは本格的に学ぶと時間がかかるが、プロを目指すのでなければ自分にとって必要なことだけを学んで最短時間でストレスを解決することができるという。
では、そもそも「声」とは何なのか。「声」は「音」。その音の正体は「空気の振動」だ。
「声のクオリティを決めるのは、呼吸と振動です」
呼吸が良ければ声はよくなる。その声を生み出しているのは喉にある声帯だ。声帯を空気が通ると、粘膜が振動し「声の種」をつくる。そこで勝負を分けるのは空気の量ではなく圧力。「大きい声」ではなく、「通る声」を目差すことが大切だ。また、人間の声帯はちゃんと使えば3オクターブもの音域をカバーできる。
「わたしたちは完ぺきな体を持って生まれて来ているんです。いい声が出ないのは持ち主に問題があるからです」
思い出したいのは生まれたての赤ん坊だったときのこと。赤ちゃんは仰向けになっておなかを動かして「おぎゃー」と泣く。これは「完璧な腹式呼吸」だ。だが、人は年齢を重ねるとともに、さまざまな理由でその完璧な発声を忘れてしまう。
「ボイトレは、できないことをやるトレーニングではなく、赤ちゃんの頃の遠い記憶を思い出すものです」
障害となっている自分の問題点を見つけてストレスをなくす。そうすれば「いい声は必ず出ます」。
1回目のセミナーの後半は、参加者一人ひとりの自己紹介タイム。各自の「声」を聞いた講師からは全員にミニアドバイスが贈られた。

姿勢を整えて「いい呼吸」を

2回目のセミナーは、いよいよ実践。まずは隣り合った者同士で写真を撮りあい自分の姿勢をチェック。あらためて見ると、背中が丸まっていたり、首が前に出ていたりとあまり格好良くなかったりする。
まずは全身をリラックスさせるためのストレッチを実施。MISUMI氏の指導で腕や肩、背中などをストレッチ。筋肉をほぐし、正しい呼吸ができるように身体を整えていくことに努めてみた。
次に座り姿勢を整える。意識したいのは「座骨」や「背骨」、「腕」、「肩甲骨」など。座っているときの座骨は立てることが重要。すると姿勢がたちまち良くなる。その際、腰に負担がかからぬように動かしてみて、ちょうどいい位置を探る。すると背筋も自然とのびる。胸は開き気味にして、腕は肩を上げずにリラックスさせる。頭は中心を首に乗せるように意識し、足の膝は90度に曲げておく。そして声を出すときは前ではなく頭のてっぺんから上に向かって出す。そうすると「無駄な力を入れなくても通る声が出る」。
次は「呼吸の説明」。よく響く声の条件である「腹式呼吸」とは、胸郭をなるべく動かさずに腹部を膨らましたり、へこましたりして行なう呼吸のこと。ポイントとなるのは身体の中心である「丹田」だ。「丹田」があるのはだいたいへその下辺り。ここに力を感じることできれば「リラックスできていい声が出るようになります」。
全員で丹田に手を当て息を吐く練習。
「ゆっくりと押しながらシュッという音を出してください。ひっこめて、押して。しんどいけどがんばって!」
次は肺全体に空気を入れる深呼吸。このときに使われるのが、横隔膜や肋間筋などの「呼吸筋」だ。これらは呼吸でしか鍛えられない。毎日、丹田を意識しての深呼吸をすることで呼吸筋は柔軟に、かつ強くなる。「声を出してため息をつくこと」や「口角を上げること」も大事。声を出す「ため息」は筋肉を弛緩させてくれる気持ちのいいもの。口角を上げれば声はこもらない。気が付くと響く声が出ている。
最後は全員で『大きなのっぽの古時計』を合唱。実践に入ったところで2回目のセミナーは終了した。 

講師紹介

大槻 水澄(MISUMI)
大槻 水澄(MISUMI)
ボイストレーナー
有名アーティストやビジネスエグゼクティブにボイストレーニングを提供する「マジカルトレーニングラボ」代表。ボーカル、バックボーカル、コーラスアレンジャー、作詞家として、ロート製薬、サントリー「-196℃」、資生堂「アネッサ」などのCMをはじめ、世界的に有名なイギリス人アーティスト、ロイ・ハーパーの『Dream Society』、米倉涼子主演映画「ダンボールハウスガール」のサウンドトラックなど、500曲以上の音楽制作に携わる。自身の強靱な声を徹底分析するとともに、解剖学、フィジカル・トレーニング、呼吸法などを独学で学び、独自のメソッドを開発。声本来の可能性を最大限に引き出すトレーナーとして、また、声とボーカルのノウハウを知り尽くしたアドバイザーとして、業界のみならず、ビジネスパーソンにも圧倒的な信頼を得ている。