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イベントレポート

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2014年7月23日(水)19:00~21:00
2014年7月30日(水)19:00~21:00

大槻 水澄(MISUMI) / ボイストレーナー

<第3回・第4回>
もっと伝わる、もっと輝く
働く女性のための"歌う"ボイトレ

声が小さい、震える、相手に聞き返される・・・。声の悩みのほとんどは、日常的に抱えているカラダの緊張や姿勢の悪さ、呼吸法、発声のクセが原因。しかし、ちょっとしたコツとトレーニングで、声は驚くほど変わる。トレーニングの中でも「歌う」ことは一番効果的。声の高低や強弱だけでなく、音色や微妙なニュアンスづけまで、歌うことで、豊かな表現力を身につけることができる。社内外のプレゼンテーションやコーチングなど、さまざまなシーンで声を使ってコミュニケーションしている女性のために、4回に渡って特別セミナーを開催した。

響きのいい声で「歌うように話す」

3回目を迎えた「“歌う”ボイトレ」。ストレッチによるウォーミングアップからスタートし、つづいてはため息を長くのばしての発声。コツは「息がなるべく出ないように」。「はあー」と出した声をストップウォッチで計ると27秒。「これが40秒くらいつづくようになればベスト」とMISUMI氏。
「おすすめなのは、お風呂の浴槽の中でブクブクと泡を出しながら息を吐くこと。長くのばすことを心がけているうちに、身体が勝手に効率のいい呼吸法を模索しはじめるはずです」
ウォーミングアップが済んだところで、全員で『もりのくまさん』を合唱。しっとりと歌ったり、元気に歌ったり、口角を上げてにこやかに歌ったり、手拍子もまじえて立ち姿で歌う。その次は動きながら歌う。そして歌で体がほぐれたあとは、いよいよ「話すトレーニング」に挑戦。題材は『桃太郎』。「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました」から始まる童話を、歌で学んだ声の出し方を使って読んでみる。大切なのは「自分なりの響きのいい声で読むこと」と「歌うように話すこと」だ。実は「本当にうまい歌い手は歌うときも話すように歌う」という。
話すときのポイントは音程感。音程感がないとその言葉は聞いていて「お経になる」。逆に音程の幅が広いと聞いている人は「この人には表現力がある」と感じる。前回教わったように、声を出すときは丹田を意識して、上に向かって声を出す。表情筋を使って口角を上げれば、自然と声は明るくなる。
「声に注目すると、顔を見なくても相手の表情がどうなっているかもわかるはずです」
参加者に背中を向けて発声するMISUMI氏。その声からは、顔が笑っていることがわかる。
もうひとつ大事なのは「リズムをつけてテンポよく話す」こと。緩急をつけ、流れるように話すことで話のパフォーマンスは上がる。聞く側も切れ切れな言葉よりは流れるような喋りの方が聞いていて気持ちがいいものだ。

「思い込み」と「勘違い」で見た目に自信をつける

『桃太郎』でコツを得た参加者に課せられたのは「3行自己紹介」。グループごとに分かれての自己紹介は、「新入社員風にさわやかな声で」、「落ち着いた雰囲気で」、「峰不二子みたいなセクシー声で」と「お題」を設定。MISUMI氏からのアドバイスは「女優になりきること」。そのためには「自撮り」が有効だという。 「最初は恥ずかしいかもしれないけれど、ムービーに撮ると、どこが問題か、どう話せばいいかが見えてきます。とてもいい勉強になるし、声に表現力がつくと声だけで何時間でも遊べるようになります。声っておもしろい、と感じるようになっていただければ嬉しいですね」 トレーニングの3回目はこうして終了。つづく4回目のセミナーが開かれたのは1週間後の7月30日。今回は1人30秒の持ち時間での最終プレゼンテーション。緊張気味の参加者を前に、まずはMISUMI氏が自らの経験を交えながらの「人前で話すときのポイント」を説明してくれた。
主なポイントは「見た目を決める」、「立ち姿を決める」、「つかみを決める」、「視線を決める」、「度胸を据える」の5つ。「プロのボーカリストになったとき、強烈なルックスコンプレックスを持っていた」と話すMISUMI氏。自分に自信がないから声が出ない。それを克服したのは「ベストオブミー」をつくることだったという。「首から上はすげ替えられない」けれど、ダイエットをしたり、髪型を変えたり、服にお金をかけたりすることはできる。MISUMI氏の場合、そうするうちに自分に対して「私、イケてるかも」という勘違いが起きたという。
「この瞬間が自分に自信を持つチャンス。思い込んだ者の勝ちだと思ってください」
「立ち姿」は言いかえれば「戦闘態勢」。
「いい姿勢は発声のためにいいのはもちろん、かっこよく見えますし、自信もつきます」
ただし、慣れないうちは無理に姿勢を取ると身体に負担がかかる。これは日々のストレッチで少しずつ慣らしていくといい。
「つかみを決める」のは、お笑い芸人もボーカリストも一緒。人前で話すときは「最初につかめると非常に楽」だという。壇上に出るときは颯爽と歩く。立ち止まったところでまわりの人を見て「こんにちは」といい声で挨拶をする。こういうときに大切なのはやはり自己紹介。ここで「この人、おもしろそう」と思ってもらえれば、たいていは最後までうまくいく。

緊張しないといいパフォーマンスはできない

「視線」は「泳がないこと」。聴衆が大勢いても「一人ひとりの顔をゆっくり見る」。もし人と目を合わせるのが恥ずかしければ、「人と人の間」を見ること。人は相手が自分を見て話していると感じると共感してくれるものだ。そしてスポットライトが当たっているような舞台のときは「ライトは味方、私はスター」と思うこと。こうした「視線」のトレーニングは「自宅で鏡を見て話す」ことが効果的だ。
最後の「度胸を据える」は、素人にはなかなか難しいところ。あがってはいけないと思うとよけいにドキドキが増す、というのはよくあることだ。こういうときはたいてい身体の重心が上に上がっているので「深呼吸をして重心を下げる」ことを意識する。緊張をおそれないこと。なぜならば「人間は緊張したり興奮したりした方がいいパフォーマンスができる」からだ。
「緊張したらどうしよう、ではなく、よっしゃ興奮してきた、集中できる準備ができてきた、と思うことにしましょう。あとは、出番前にお茶を飲んだり、ガムを噛んだり、近くに子どもの写真を置いたり、と、自分なりの〈儀式〉を持つこともおすすめです」
こういうときはオーディエンスの気持ちも考える。もし自分が聞き手だとしたら、あたたかい目で話し手を見るはず。それに気付くだけで気持ちは楽になるはずだ。 後半はアドバイスを胸に全員がプレゼンテーション。1回目の自己紹介に比べると、当然ながらそれぞれ声や話し方に変化が見られ、「“歌う”ボイトレ」の効果が感じられる。あとはこのセミナーで覚えたことを忘れずに練習をつづけるだけだ。
MISUMI氏の「夢」は「声の悩みやストレスを持つ人をなくすこと」。
「街中で歌いながら歩くような変わった人を増やしたい。そして、自分の声が好きになる人をもっと増やしたいと思います」

講師紹介

大槻 水澄(MISUMI)
大槻 水澄(MISUMI)
ボイストレーナー
有名アーティストやビジネスエグゼクティブにボイストレーニングを提供する「マジカルトレーニングラボ」代表。ボーカル、バックボーカル、コーラスアレンジャー、作詞家として、ロート製薬、サントリー「-196℃」、資生堂「アネッサ」などのCMをはじめ、世界的に有名なイギリス人アーティスト、ロイ・ハーパーの『Dream Society』、米倉涼子主演映画「ダンボールハウスガール」のサウンドトラックなど、500曲以上の音楽制作に携わる。自身の強靱な声を徹底分析するとともに、解剖学、フィジカル・トレーニング、呼吸法などを独学で学び、独自のメソッドを開発。声本来の可能性を最大限に引き出すトレーナーとして、また、声とボーカルのノウハウを知り尽くしたアドバイザーとして、業界のみならず、ビジネスパーソンにも圧倒的な信頼を得ている。