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イベントレポート

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2014年10月5日(日)14:00~16:30

清水 ともえ(しみず ともえ) / 生き方ライター

自分史をつくる
~ワタシの"核"になるものとは?~

自分の人生の軸となっているものは、いったい何か。人の価値観の形成には、両親からの影響や小さいころに受けたショッキングなできごとなど、さまざまな要素がかかわっている。他人から見れば取るに足らないようなことが、本人にとっては大きな転機になっていることも...。今回は、自分の「これまで」を見つめ直し、「これから」を考えたい人のために少人数制のワークショップ型セミナーを開催。2人1組になって互いにインタビューをしながら、「自分史」の作成をすることで、自分の"核"を見つける機会となった。

「人の生き方」への興味から始まった「自分史講座」

普段はフリーランスのライター、ディレクターとして活躍している清水ともえ氏。手がけているのは、企業のホームページやWEBマガジン、ジュエリーカタログのディレクション、企業向けのライティング講座の講師など多岐にわたる。その中でも、もっとも力を注いでいるのは人物インタビューだという。
「私が興味を持っているのは〈人の生き方〉。人間や幸せといったものに興味があるんです」
地元・名古屋では情報紙『シティリビング名古屋』で「女の生き方」についてのコラムを連載している他に「自分史講座」も開催。今回のセミナーも、そうした「人の生き方」への興味から企画されたものだ。
なぜ「人の生き方」なのか。そこには清水氏が小学校の頃から抱いてきた「幸せとは何か」という問いがあるという。この講座で清水氏が説く幸せとは「自分に嘘をつかずに生きること(=自然体でいること、ありのままの状態)」と「自分を活かして生きること(=お役目を果たすということ)」。「お役目を果たす」人の例として挙がったのは、自然分娩に力を注いできた産婦人科医の吉村正氏。吉村氏は自らの人生を「わしは産婦人科医になってほんとうによかった」と振り返る。人生はけっして楽なものではないが、「自分に嘘をつかず」、「自分を活かして」生きていくことができる人は、やはり「幸せ」だ。
自分史講座は、「自分史で『自分の軸=核』を振り返ることで、自分に嘘をつかない生き方、自分を活かす生き方に近づいていこうというもの」。ここで言う「自分の軸」とは「生き方」。清水氏の場合なら「人への興味」がその軸となり、現在の活動そのものへと体現されている。「自分史を書く」という行為は、自分自身を知るという行為に他ならない。
とはいえ、自分史に限らず、いざ書こうとするとなかなか書けないのが文章というもの。ここでは清水氏のアドバイスに従って、誰でも実行可能なワークに挑戦してみた。

自分史年表で振り返る「子どものころ」と「大人になってから」

参加者全員に配られたのは「自分史年表」。「子どものころ(幼少期を中心に18歳くらいまで)」と「大人になってから(重要な意思決定を、両親の意思と関係なく自分でするようになってから)」という2つの項目に分かれた年表の空白欄に「自分史」を書いてみる。記入が終わったら隣同士2人でペアになり、年表に基づいて互いにインタビューを行なう。
まずは「自分史」の執筆作業。「子どものころ」で書くのは「親との関係の中で、イヤだったことや、コンプレックスになった出来事」など。参考として示されたAさんの場合は、幼少期は「常に5つ年上の優等生タイプの兄と比較され、兄を意識していた」。8歳のときには「サッカー少年団に入りたいと思ったが、親からは『進学ために今は習字やそろばんを習いなさい』と言われ、悔しいけれど断念した」。高校3年の大学進学時には「歯の悪い両親のために歯学部を希望したが、親からはなんでそんな学部を……と一蹴された」。
振り返ってみると、子どものころのAさんは「親の期待に応えること」がベースとなり、「個性を出さないよう、自分を抑えて生きてきた」ということがわかる。こうやって考えると、誰にでも親との関係の中での「自分史」はあるはず。また、「大人になってから」ならば、「人生のどん底」や「重要な出来事」を経験しているはず。具体的に言うならば「挫折」や「就職・転職」、「失恋」、「仕事での失敗とその学び」など。そこに「影響を受けた人や本」、「助けとなった過去の経験」などが加われば、「自分史」はより厚みを増す。清水氏自身を例にするならば、いったんは安定したメーカー企業に就職したものの、「一度きりの人生だから、好きなことを仕事にしたい」と思い、両親の反対を押し切って「畑違いの出版社に転職した」。出版社には6年勤務。そこで経験を積み、2012年にフリーランスとして独立を果たした。転職をしたのは25歳のとき。このときに選んだ「自分に嘘をつかない生き方」が、今の清水氏につながっている。

ペアインタビューで「自分の軸」を見つけ出す

ワークの冒頭では、20分間で自分史を年表のシートに記入。つづいては隣同士ペアとなってのインタビュー。記入した文章はそう長いものでなくても、こうしてあらためて人に話すことによって「自分史」はどんどん掘り下げられ、中身の濃いものとなっていく。
ルールは「パートナーから聴いた話はこの場限りのこととする」こと。そして話すときは「できるだけ心の内側をさらけ出す」。その際、「他人からどう思われるかを考える必要はない」。聞き手は「パートナーの最大の理解者になったつもりで相槌を打ちながら聞く」。「話し手」が話しているときは遮らない。話は漫然とではなく、パートナーの思考・行動の共通パターンや、思考・行動のエンジン、人生の軸になっていることは何か、それを見つけ出すつもりで聞く。そして質問をする際は自分の興味よりも、パートナーが自分の「軸」を見つけやすいように「キーワードになりそうなこと」を選んで聞く。
インタビューは「話し手」が新たに気付いたことなどを振り返る時間=2分と「聞き手」が感想を言う時間=2分を経て終了。見ていると、誰もが自分について尽きることなく語っている。どんな人でも、人に語れるだけの「自分史」がある。それを教えてくれるのがこのペアインタビューだ。
セミナーの最後は「人は何のために生きるのか?」という問い。アリストテレスは「幸せになるため」と答えている。
清水氏自身の「夢」は「人の生き方」を、そして「幸せ」をさらに追求していくこと。「生き方ライター」としての今後の活動に注目していきたい。

講師紹介

清水 ともえ(しみず ともえ)
清水 ともえ(しみず ともえ)
生き方ライター
1981年生まれ、同志社大学文学部哲学専攻卒業。出版社に6年間勤務し、月刊誌やMOOK、企業のカタログや販促物のディレクションやライティングを制作。独立後、「人」と「生き方」をテーマに、各界で突き抜けて生きる人へのインタビューを重ねる。「自分史講座」や「文章講座」なども多数実施。自分らしく生きる人を応援するのが夢。