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イベントレポート

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2014年12月2日(火)19:00~21:00

吉形 玲美(よしかた れみ) / 浜松町ハマサイトクリニック院長

女性ホルモンのゆらぎとの付き合い方
-肩こり、疲れ、不安感...そんな不調、放置していませんか?-

女性の身体は、思春期、性成熟期、更年期、老年期とライフステージごとにさまざまな形でゆらぎ、変化する。肩こりや疲れやすさ、漠然とした不安感、イライラ、肌の乾燥などのちょっとした不調も、実は女性ホルモンの影響が考えられる。「病気ってわけではないし」、「これくらいは仕方がないか」という症状でも、自分の身体をしっかり知ることで対策可能なことが多いため、あきらめたり放置したりしないことが大切。今回は、浜松町ハマサイトクリニック院長の吉形氏をお招きし、女性医療や、日々のちょっとした習慣、食生活の工夫からできる、女性ホルモンのゆらぎとの付き合い方についてお話しいただいた。

人生で経験する生理の回数は「昔の10倍」

年代=ライフステージごとに変化する女性の体。その大きな原因となっているのが女性ホルモン。女性は閉経前までは女性ホルモンを分泌し、それ以降は分泌が停止する。これによって起こるさまざまな症状が「更年期障害」だ。今回のセミナーでは産婦人科医の吉形玲美氏を講師にお招きし、思春期から更年期に至るまでのライフステージの流れを見ながら、女性の健康について考えてみた。「今日の話は、産婦人科医の先生も詳しくない領域にも触れていきます。ここに来られた方はラッキーだと思ってください」と吉形氏。まずはテーマである「女性ホルモン」について、基礎知識の部分からお話しいただいた。
女性ホルモンを分泌するのは卵巣。卵巣はエストロゲン=卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2つの女性ホルモンをつくっている。閉経するまでの女性の体は常にこの2つの女性ホルモンに晒されている状態。その分泌量は生理のサイクルに応じて多かったり少なかったりする。これが「女性ホルモンのゆらぎ」だ。ことに性成熟期である20~30代の女性は「週単位で小刻みにゆらいでいる」。エストロゲンの分泌量は「生理のときがいちばん低く、卵胞期で増えて排卵期でピークになる。そのあと妊娠の準備をするのでもう一回ピークを迎え、妊娠しなかったら役目を終える」。一方の黄体ホルモンは「排卵のあとに出てくる」もの。こうしたホルモン量の変化は「基礎体温をつけていれば自分でもわかる」という。そしてそれを把握することによって「生理とうまく付き合う方法」も見えてくる。というのも、女性ホルモンはメタボになりにくいなど体を守ってくれる機能を持っている反面、生理痛や生理不順、不正出血、PMS(月経前症候群)など、生理を巡る体のトラブルの原因にもなるからだ。女性で生理痛を感じる頻度は「昔の10倍」。晩婚や少子化などの影響で現代の女性は昔の女性に比べて人生で経験する生理の回数が10倍ほどに増えている。故にトラブルの数も10倍というわけだ。
「イライラしたり、眠くなったり、不調になることが多いのは排卵期から生理までの黄体期。生理痛も含めてこうしたトラブルがある人は、一度婦人科を受診してください」

上手に使えばメリットの大きいピル

生理や生理前のトラブルとともに、最近増えているのが子宮筋腫や子宮内膜症。これも「早いうちに見つけると、手術をせずに外来の薬だけで閉経までもっていける」。こうしたことも踏まえて、成人女性ならば「かかりつけの婦人科」をひとつは持っておきたいところだ。 
女性を悩ませる生理痛の原因は「プロスタグランジンという子宮の内膜から出るホルモンが血行障害を起こす」こと。これも鎮痛剤を使えば「楽に乗りきることができます」。その中で知っておきたいのが「ピル」。ピルというと避妊薬のイメージが強いが、実はピルには過剰なホルモンを下げ、生理周期を整えたり、生理痛を緩和してくれたりという働きがある。ホルモンに晒される量が減るので「ニキビにも効く」。良性の乳性疾患も減るし、卵巣を休ませるので卵巣がんのリスクも減る。実は「メリットの大きい薬」だという。
ここで配られたチェックシートを使って自分の体をチェック。「基礎体温でわかるのは〈排卵の有無〉」、「いちばん妊娠しやすいのは〈生理から14日前頃〉」、「妊娠に適切な体格BMIは〈21~23〉」、「妊娠準備におすすめのビタミンは〈ビタミンE〉」、「性成熟期の女性が意識してとりたい栄養素は〈たんぱく質〉、〈鉄〉、〈葉酸&ビタミンB群〉、〈亜鉛〉」といった知識を学習。つづいては閉経から更年期を迎えた女性の体についての話を聞いてみた。
これは「生涯現役をめざして知っておいてほしいという話」。女性は男性に比べて平均寿命は長いが、細かくみると「寝たきり」などの不健康寿命が平均13年、人生の7分の1もあったりする。そうならないためには、プレ更年期といった時期からの予防治療が大切。そこでポイントとなるのが「骨」と「血管」だ。女性は閉経を迎えると女性ホルモンが急激に減る。新陳代謝を繰り返す代謝臓器である「骨」は、女性ホルモンがストッパーとなって「こわれるのをとめてくれている」という。だが、年齢を重ねてそれが減ると「つくるよりもこわす方が多くなって骨密度が下がる」。骨密度が減れば、骨粗しょう症になりやすいし、転倒などでの骨折のリスクも高くなる。残念ながらこれは「女性であるということ自体がリスク因子」。また「骨」は血管系やコレステロールとも関係しているため、閉経後はメタボや糖尿病などへの注意も必要となる。
こうした更年期の体の変化に対応するには「カルシウム」、「ビタミンD、K」、「EPA、DHA」、「イソフラボン(エクオール)」などの栄養素が有効。それでも足りなければ、ホルモン補充療法で「閉経後崖から突き落とされるよう」に減る女性ホルモン低下のカーブを「階段を下りていくようにゆっくりにしてあげる」といった方法もある。

更年期以降の女性にすすめたい「エクオール」

栄養素の中でとくに注目したいのはイソフラボン。なぜかといえば、イソフラボンは体内に吸収されると腸の中で「女性ホルモンの作用が強い」エクオールという物質に変化するからだ。エストロゲンと似ているエクオールは女性ホルモンが低下して起きるトラブルを予防するにはぴったり。男性の体にも脱毛予防や前立腺肥大の予防などに効果がある。このイソフラボンをたくさん含んでいる食品の代表が大豆。ただし、誰もが食べれば体内でエクオールをつくれるというわけではない。日本人は全世代平均で約半数。欧米人だと2、3割。「つくれない」という人には市販されているサプリメントがおすすめ。更年期障害に対して、エクオールのサプリメントは2、3か月使用した場合で「約8割の人の症状が改善する」という。
「女性の方は、成熟期はピル、更年期はホルモン補充療法、ライフステージに沿ってホルモンから考える治療をしていってください」
まずは「いい婦人科の先生を見つけること」。
「とくに更年期以降の方は女性医療の視点から診てくれる先生に出会えると、人生がより充実したものになるはずです」 
吉形氏の「夢」は「女性のウェルエイジングを叶えるためライフステージに沿った世代別検診をスタンダードなものにすることと、エクオールの認知拡大」だ。

講師紹介

吉形 玲美(よしかた れみ)
吉形 玲美(よしかた れみ)
浜松町ハマサイトクリニック院長
東京女子医科大学病院産婦人科での診療、研究を経て、「高度な女性予防医療を皆さまにお届けしたい」という思いから浜松町ハマサイトクリニック院長に就任。カウンセリングを大切にし、更年期、妊活期など、ホルモンの影響によって変化する各世代が求める予防医療と治療を提供している。大人の女性の健康の鍵として、TV、雑誌で話題の「エクオール」の臨床研究でも活躍。日々の診療や学会活動などを通じて新しい女性のトータルヘルスケアについて発信中。