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イベントレポート

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2015年1月24日(土) 14:00~16:00

松田 光一(まつだこういち) / グラフィック・アーティスト

夢を叶える絵
―世界遺産を描く旅より―

"世界遺産"は、地球と人類が築いてきた掛け替えのない自然と歴史によって生み出され、過去から現在へと引き継がれてきた宝物。松田氏はそんな世界遺産に魅力を感じ、世界遺産をモチーフにした絵を描き続けてきた。「絵を通じて世界を大切にする心を創りたい」と語る同氏に、世界遺産を巡る旅の経験や、楽しくて不思議な世界遺産アートへの熱い想いを作品と共にお話しいただいた。

僕の夢は「生涯が終わる時まで絵を描いて生きていくこと」

松田氏は過去にミッドタウン、二子玉川でもセミナーを開催したアーティスト。今回も、「夢を叶える絵」と題して、自身の歩んできた道、夢を叶えてきた経験をお話しいただいた。
和歌山県出身の松田氏。幼いころから絵を描くことが好きで、大阪芸術大学へ進学。卒業後は会社員として仕事をしながら、絵を描き続けていた。「なかなか旅行に行けなくて、行きたい場所の絵を描いていた」と、苦笑まじりに当時を振り返る。
「僕は、小さいころからいろんな絵を描いてきましたが、母にほめてもらったことがなかったんです。でも、あるとき、エッフェル塔の絵を描いて、初めて『この絵はいいんじゃない』と言ってもらえた。それが、この絵です」
松田氏の代表作のひとつであるその作品は、ピンクを基調とした明るい色彩の中に、エッフェル塔がすっと伸びやかに立っている美しい絵。「エッフェル塔に行ってみたい」という憧れの気持ちで描いた。
「母が初めてほめてくれて、そして、買ってくれた絵です」
自分自身の中にある、画家として生きていきたいという気持ちと、世界遺産への想いを、改めて実感するきっかけにもなった作品だった。
「世界遺産の『地球にとって、人にとって、大切なもの』というコンセプトが僕は好きなんです。大好きだから、描き始めました。『絵を描いて生きていく』ことが僕の夢ですが、その活動のテーマに、『世界遺産の素晴らしさを伝える』ことを掲げています。今日は、僕の活動を知っていただきながら、皆さんにも、夢について考えてもらえればいいなと思っています」

「現在」と「過去」から探り出す夢のヒント

ここから、松田氏ならではの「夢を叶えるきっかけづくり」が始まる。まずは自分の「現在」を知ること。スクリーンには、松田氏が三重県の熊野古道センターで行なった、子供たちとのワークショップが映し出された。
「子供たちと自然の中に入って、スケッチをしました。絵を描く、というのは、すごく孤独な作業なんですけど、この時は、みんなで一緒に描くことができて、とても楽しかった。これはこれで、僕の夢がひとつ叶った瞬間でしたね」
熊野古道、モンサンミッシェル、マチュピチュ、パキスタン、カッパドキア、グランドキャニオン。松田氏が訪れた世界遺産と、そこで描き上げたスケッチの写真が次々とスクリーンに映し出される。 スケッチは、エモーショナルペインティング。現場での空気感を大切にしたいから、ペンを使って、見たままを、できるだけ速く紙に描く。最終的にパソコンで色鮮やかに仕上げられた作品が映し出されると、参加者から思わず歓声があがった。これまでに訪れた世界遺産は80数か所。「国境を越えて、世界を大切にする。心を創る」をテーマに、創作活動を続けている。
ここで、参加者へ松田氏から提案が。
「隣の人と二人一組になって、互いに自分の現在の状況を教えあってみてください。名前、仕事、趣味、マイブーム、今日一日のスケジュール。もちろん、言いたくないことは言わなくて構いません。今日、この場で、偶然隣に座ったのも何かの縁ですから」
最初は戸惑っていた参加者たちも、少しずつ自分のことを話し始める。次第に打ち解け、会場は笑い声も聞かれる和やかな雰囲気に。
「皆さん、よろしいですか? では次は、過去に行きましょう」
プロジェクターに映し出されたのは、松田氏が会社員だった28歳の頃の絵。ワーキングホリデーでカナダへ行なった際に、あるセミナーで描くことになったという。絵の中では片手にマイク、片手にビジネスバッグを持った人物が、たくさんの笑顔に囲まれている。
「バカみたいな絵ですけど、世界を周りたい。いろんな人に想いを伝えたい。そんな気持ちがあったのかなぁと思います」
「おとんは設計士、おかんは油絵を描いていて、いとこは漫画家、おじいちゃんは水墨画、おばあちゃんは鉛筆でデッサンを描いていた」という環境で、3歳の頃から絵を描いていた。芸大時代に描いていたのは「地獄みたい」な、「複雑でよくわからない絵」ばかり。10年間のサラリーマン生活では、デザインやマーケティング、企画などに携わり、4社で働いた。
「こうして過去を振り返っていくと、やっぱり『絵を描いて生きていた』ことがわかる。これが夢のヒントですね。カナダで描いた絵に込められた夢も、じわじわと叶っていますし」
ここで参加者は再び、隣の人と、今度は自分の過去について語り合うことに。資格、留学経験、大好きな本、スポーツ経験、小さい頃の夢などについて話をする。
「皆さん、きっと夢のヒントに気づいたんじゃないかと思います」

描ける夢は、叶う。5W1Hで夢を具体的に考える

最後は、未来。松田氏は、自身のこれからの夢を紹介しながら、夢を叶えるためのアプローチを提案していく。
「一言で夢といっても、いろいろあります。僕の小さい頃の夢は『からあげのいっぱい入った部屋に入りたい』というものでしたが、そういう夢から、世界平和といった崇高なものまで、夢にはレベルや性質があります。それをとにかく書き出していって、自分の夢の“ライフコンセプト”をつくってみましょう」
そこで有効なのが、5W1Hで考えること。「What(好きなものは何か)」、「Where(自分らしくいられる場所、心から成長できる場所はどこか)」、「Who(自分以外の誰のためなら働けるか)」、「When(夢のためにいつ動けるか)」、「Why(なぜ生きるのか)」に加え、「How(どのくらいの費用が必要か)」を、それぞれ書き出してみる。
「僕のライフコンセプトは、『世界のすべてを描くこと』」。そのために、個展をやったり、大学で教えたり、自分のアトリエをもったりしています。自分で想像できない夢は、叶いにくい。逆に、夢を絵に描くことができれば、それが叶う可能性は圧倒的に高くなる。僕はそのことを、自分の経験から知っています」
実際に参加者も、5W1Hで自分のライフコンセプトを探った後、夢を絵に描いてみることに。
「描けたら、隣の人と夢をシェアしてください。夢は自分ひとりで叶えられるものではなく、誰かとシェアすることで、実現に近づくことができるもの。僕自身、あんなことやりたい、こんなことやりたいとあちこちで話しています。そうすると、不思議に協力してくれる人や、企画の話がやってきてくれるんです」
今日初めて会った人と、夢をシェアする。知らない人にだからこそ言える、という思わぬ効果もあったようで、会場では、携帯電話の写真を見せたり、相手の話に感心したりと、積極的に夢を語り合う姿が見られた。
最後には、参加者から「会社をつくりたいのですが」といった具体的な質問も。今日のこの2時間が、参加者の背中を、それぞれに押してくれたに違いない。
「描ける夢は、叶います。僕はこれからも、自分がやりたいことはなんだろう、と未来を考えながら、絵を描き続けていきます」

講師紹介

松田 光一(まつだこういち)
松田 光一(まつだこういち)
グラフィック・アーティスト
和歌山県出身の画家。大阪芸術大学芸術学部デザイン学科卒。株式会社イデアリデア代表。世界遺産が大好きで、写真や資料から行きたい世界遺産の風景を描くようになり、少しずつ描いた場所へ訪れる機会が巡ってくる。世界遺産を旅しながら、現代の壮大な風景と願いをキャンバスに落とす。スケッチとCGで世界遺産を描く現代画家。