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イベントレポート

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第1回2015年2月 4日(水) 19:00~21:00
第2回2015年2月18日(水) 19:00~21:00
第3回2015年2月25日(水) 19:00~21:00

古賀 まみ奈(こが まみな) / フラダンサー・ハワイアンミュージシャン

d-labo女子部開催 ハワイを知り、フラを踊ろう!
本格的なフラを踊りたい女性のための「フラ入門」〈全3回〉

フラはハワイ諸島に伝わる民俗舞踊であり、ハワイ諸島の歴史や文化、伝統的な美意識や価値観の中で培われてきた。後に、ハワイ諸島が観光地として開発されていくと、フラはエンターテイメント性を増し、一層洗練された表現がされるようになった。今日のハワイ諸島でもフラは人気が高く、競技会などを通して、活発に継承・創造がなされている。今回のd-labo女子部では、「本格的なフラを踊ってみたい!」という女性のために、全3回に渡って「フラ入門」セミナーを開催。ハワイ諸島の歴史と文化を学びつつ、祈りと美しさに満ちたフラの世界を楽しく体験する機会となった。

神話の中に登場するフラ

「テーマに沿った学びの中で参加者同士の交流が深まれば」といったコンセプトで開催されているd-labo女子部。5回目の今回はフラダンサーでありハワイアンミュージシャンである古賀まみ奈氏を講師に迎えての「フラ教室」。3回に渡る教室は、ハワイの歴史やフラダンスの由来を学ぶことから始まって、歌に踊りのレッスンと、限られた時間ながら本格的にフラに接する充実した時間となった。

「太平洋に浮かぶハワイ諸島はオアフやマウイ、ハワイ島など主要な8つの島の他に、無数の小さな島々からなっています」

それぞれの島々には「島の花」があり、「島の色」がある。例えば、ハワイ観光の玄関口であるオアフ島だったら花は「イリマ」で色は「黄色」。フラの起源であるとされているカウアイ島の花は「モキハナ」、島の色は「紫」となっている。毎年、フラの競技会が開かれているハワイ島は「オヒア・レフア」が島の花で、色は「赤」と決められている。

ハワイというと観光地。そのイメージからすると「気楽で暖かい」感じがするが、「先住ハワイ人の世界観には壮大なものがあります」と古賀氏。口頭で伝承されてきたハワイ諸島の成り立ちは「大地と天が交わってできたもの」とされている。そこには4大神が存在し、それぞれが「戦い」や「豊穣=作物の実り」、「生命」や「海」の恵を司っている。そしてこうした神話はさまざまなパターンが語り継がれ今に伝わっている。フラもまた登場するのは神話の中。フラを初めて踊ったのは火の神ペレの妹であるヒイアカ。ヒーラーとして活躍するヒイアカの冒険譚はハワイの人々に長く親しまれてきたものだ。そして実際のフラダンサーたちがフラの女神と崇めるのはラカ。こちらはカウアイ島にそれを祀った神殿跡が残っている。

観光的フラから古典的フラ=カヒコへの回帰

では、フラとはそもそも何なのか。ハワイ先住民には文字や絵画による伝承がないため、それが初めて「目撃」されて記録されるには18世紀の西洋人の渡来を待たねばならない。が、もちろんフラはそれ以前から踊られていた。フラダンサーの役割は3つ。ひとつはラカを支える「宗教的」「巫女的」な役目。もうひとつは人々が集まる際の芸能。それに部族の王を讃えるための踊り。歌詞を表現するのは声とパントマイム。当時の踊り手は男女両方で、人々はほとんど裸で踊っていたという。しかし、そうした古典的なフラはヨーロッパから宣教師たちがやって来ると「公の場では踊らぬように」と禁止されていく。19世紀後半に、カラーカウア王によって一時的にフラの復興が試みられるも、フラがまた踊られるようになったのは20世紀に入ってから。ただし、これは観光地としてのハワイをアピールするために「つくり直された」もの。弦楽器や英語の歌詞で踊られるフラは世界的に広まったが、一方ではハワイ文化をもう一度見直そうという「ハワイアンルネッサンス(ハワイ文化復興運動)」も起こり、フラはその中心として「再創造」されていくことになる。ハワイ島で競技会が始まったのもその頃のこと。ここでは太鼓と歌による古典的スタイル(=カヒコ)のフラが踊られている。

1回目の教室ではこんなふうにフラの基礎知識を勉強。2回目はいよいよ実践。前半はまず配られた資料を手にハワイ語の歌詞を練習してみた。いわゆる「チャント=祈り」であるハワイの歌は現地では「メレ」と呼ばれている。その歌い方は5種類。会話風だったり、早口であったり、リズミカルであったりと、それぞれに様式がある。フラで踊られることが多いのは「2つか3つの音をゆっくりのばすオリオリ」や「力強さを表現するアイハア」。ここでは「オリオリ」を体験。「低く太い声で」という古賀氏の指導で発声してみた。幸いなことにハワイ語は日本人には発音がしやすく相性がいい。全員がコツをつかんだところで、実際に踊る「リリウエ」を合唱。後半はいよいよダンスにチャレンジ。いくつかあるステップの内でも基本となる「カホロ」から踊ってみた。

「現代曲」と「カヒコ」で楽しくダンス

「手はグーにして腰に置いて。膝を少しゆるめて垂直に沈んでください。今のしゃがんでいる状態を常にキープするのがフラです」

大切なのは無理をせずに自分にとって楽なところにポジションを設定すること。

「今度はお尻を動かしてみましょう。おへそから上は動かないのが絶対条件です」

そうやってポーズや動きを覚えたところでステップを開始。腰や足など下半身を動かしたあとは上半身の動き。両手を使ってフラらしい動作をとってみる。指先を揃えて「手旗信号のように」左右の手を上げ下げする。こうした動きは、もちろん歌詞の内容を表わしている。歌われている「リリウエ」はフラでは人気の曲。ハワイ王朝最後の女王であるリリウオカラニ女王を讃えるものだ。

Lili’u e noho nani mai
Ko kino e, ki’i milimili
Ko maka e noweo wale
Ko papalina e, kuku ana
Ko po’ohowi ani pe’ahi
Kou poli e, nahenahe wale
Kou kuli e, nuku moi ho’i
Kou wawae pahu wai luna e
Ha’ina ‘ia mai ana ka puana
Lili’u e, noho nani mai
Eo e Lili’u i kou inoa
Ka hae kalauna o Hawai’i nei

1番から3番までの歌詞は女王の瞳や頬、肩や膝などその容姿を表現している。そして最後に「ハワイの王族の冠を頭にのせたあなたよ」と歌を彼女に捧げている。フラダンサーの役割は、その歌詞の意味を「ミュージシャンをバックにフロントでお客さまに伝えること」。練習中、古賀氏が用いている楽器はひょうたんの形をしたイプヘケ。中が空洞の打楽器が奏でる音は古来からのフラ=カヒコで用いられてきた音色そのものだ。

3回目の教室では前回学んだ「リリウエ」をひたすら練習。幾度も幾度も重ねていくうちに、動きはすっかりフラダンスのそれとなっている。最後は弦楽器をBGMとした「現代曲」とイプヘケを使っての「カヒコ」の両方で踊ってみた。

古賀氏の「夢」は「フラを楽しむ日本人が増えること」。

「日本人のフラダンサーっていいよね、と言われるように私も貢献していきたいですね」

講師紹介

古賀 まみ奈(こが まみな)
古賀 まみ奈(こが まみな)
フラダンサー・ハワイアンミュージシャン
東京藝術大学楽理科卒業。東京大学大学院文化人類学専攻修了、同専攻の博士課程中退。皇太子奨学金の奨学生として、ハワイ大学大学院音楽学科博士課程で学ぶ。その間に、フラの世界最高峰のフラの競技会メリーモナークフラフェスティバルに出場、同時に伝統的歌唱法で競われる歌の競技会カヒメニアナに、マノアヴォイシズの一員として参加し、優勝する。2007年に帰国後、「古賀まみ奈フラスタジオ」を開校。後進の指導にあたると同時に、ミュージシャンとしてさまざまなフラチームの演奏のサポートを行なっている。