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イベントレポート

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2015年4月4日(土)13:30~15:00

天野 友江(あまの ともえ) / 野菜ソムリエ

知って食べるともっと楽しい。魅力いっぱいの野菜。~春野菜編~

旬の野菜には、旬の食べ方がある。美容によい野菜、疲れた時におすすめの野菜など、野菜のことをよく知ると、もっと楽しく美味しく食べられる。
近年、広く認知され始めた「野菜ソムリエ」という資格がある。
これは「畑と食卓の架け橋」とされ、野菜・果物の魅力を周囲に伝えるプロに付与される。
現在、さまざまな人がこの資格を取得し、静岡では約1000人のジュニア野菜ソムリエが活躍している。
今回は、地元ローカルテレビの木曜レギュラー"ベジとも"こと天野友江氏をお迎えし、春野菜についての知識や買い物に役立つ野菜の選び方・レシピなどについてお話しいただいた。

いいコトたくさん!春野菜

冬は体に脂肪や毒素を溜め込んでしまうもの。春になり、一枚一枚洋服を脱ぐように、体もデトックスが必要になってくる。
春の芽吹き時は成長の季節。内にこもっていた生命力を、心身ともに伸び伸びと解き放つ手伝いをしてくれるのが春野菜だ。
春野菜の特徴は、
(1)新陳代謝を活発にする、
(2)独特の苦味を持つ、
(3)爽やかな香りの3つ。
独特なほろ苦さの元になっている植物性アルカロイドは、腎臓の濾過機能を活発にし、水分とともに老廃物の解毒を促してくれる。
子どもの頃、苦いものが食べられなかったのは、体が必要としていなかったから。
大人になって、苦い物を美味しいと感じるようになるのは、体が欲してきている証拠だという。
以下、春野菜のそれぞれの特徴と、選び方のコツ、美味しい食べ方をまとめる。

●セルリー(セロリ)…静岡では浜松が生産地として知られている。
葉の方が抗酸化作用を持ち、老化防止におすすめなβ(ベータ)カロテンや、むくみ対策によいカリウムが豊富。ぜひ葉まで食したい。
セルリーに含まれる精油成分アビオイルは、いらいら気分を落ち着かせてくれる効果が。
採れたては繊維質が少なく食べやすいが、時間が経つにつれて筋張ってくる。また、冬の方が流通中に劣化しにくい。
保存する時は、葉と茎を切り分けて保存すると良い。

【選び方】茎の部分のまきがしっかりしているもの
【おすすめの食べ方】セルリーと桜えびの塩分を利用した焼きそば

●ウド…「独活(うど)の大木」ということわざがあるが、木ではなく草の一種。
2~3mまで成長するが、固くて食には向かず、また草のため木材にも使えない。これが転じて大きくても役に立たない人のたとえとなった。
3~5月が旬で、シミの原因となるメラニン抑制に効果的。
春は一年の中でも紫外線が厳しい季節なので、ぜひ積極的に摂りたい。不足すると抵抗力が落ち、疲れやすくなるといわれるアスパラギン酸が豊富。

【選び方】全体的にうぶ毛があるもの、太くて葉までピンとしているもの
【おすすめの食べ方】うどの酢味噌和え ※酢と合わせるとアスパラギン酸を効果的に摂取できる

●ノビルとエシャレット…これらのネギ属の野菜は、カリウムが豊富で筋肉の痙攣を防ぐ効果がある。
マラソンなど激しい運動の前の摂取がおすすめ。
ノビルは、醤油と昆布とともに松前漬にして食べるのがおすすめ。エシャレットは、光をあまり当てずに育て若採りしたらっきょう。
もともとは「根ラッキョウ」として売り出したが、東京築地の青果卸業者・川井彦二氏が「名前が地味で売れない」と「エシャロット」と命名。
やがて香味野菜の「エシャロット」が流通するようになり、混同を避けるために根ラッキョウの方を「エシャレット」とした。

【見分け方】ノビル:葉の断面が平らで根が丸い エシャレット:葉がネギのように空洞で根が細長い
【おすすめの食べ方】細く伸びた根の部分もきれいに洗い、丸ごと素揚げに

●新玉ねぎ…白・茶色・紫の玉ねぎと、小玉ねぎの4種類があるが、春に出てくるものを総称して「新玉ねぎ」という。新玉ねぎを乾燥させ保存性を高めたものが、一般的に流通している茶色の皮の玉ねぎとなる。
アリシンが豊富に含まれ、血液をさらさらにする効果がある。また、茶色の玉ねぎの皮は捨てられがちだが、「ベジブロス(=野菜の出汁)」と呼ばれる美味しい出汁になる。

【おすすめの食べ方】新玉ねぎの炊き込みご飯。緑の葉の部分を切り落とした玉ねぎと通常どおりの水加減の米を炊飯する。
炊き上がった後、柔らかくなった玉ねぎをご飯と混ぜ、小口切りにした葉の部分を散らす

●菜ばな…食用・油用・観賞用の3種類がある。観賞用のものは薬品を使用しているため食べられないので注意。食用として多く流通している「菜ばな」は、もともとアブラナ科の花がトウ立ちしたもの。
天野氏一番のお気に入りは白菜の菜ばな。やわらかくまろやかで、甘さもあり美味しい。
ほかにピリッとした辛みのあるからし菜や、鼻にツンとくるような辛みで薬味としても利用できる大根、甘味があるプチベール、小松菜、チンゲンサイの菜ばながある。
中国野菜の紅菜苔(コウサイタイ。べに菜ばなとも呼ばれる)は、アントシアニン色素を含み、抗酸化作用がある。
花芽の部分があるので、手で優しく扱うこと。つぼみの内が味が良い。
また、ゆでるとアントシアニン色素が抜け、紫から緑へ色が変化するが、ビタミンCが壊れにくくなる。妊娠中に摂取が必要とされる葉酸や、ビタミンB6が豊富。カルシウムと一緒に摂取すると効率よく吸収される。

【おすすめの食べ方】ピクルス(サッと湯がいてから調理する)・グラタン・ちりめんじゃこと合わせたおひたし

●プチベール…“小さい緑”を意味する静岡生まれの野菜。芽キャベツを掛け合わせることで、ケールの苦味は薄れ、甘味が強い野菜になった。イチゴやミカンに匹敵する糖度11~13度を持つ。抗酸化作用を持つβカロテンをカボチャの約3倍含む。
鼻の粘膜を保護し、花粉症にも効果的なビタミンAも豊富。
また、美肌効果があるビタミンCはケールの約2倍、ミネラル分も多い。

●スティックセニョール(スティックブロッコリー)…中国野菜・芥藍(かいらん)とブロッコリーの掛け合わせ。茎まで食べられるようになったブロッコリー。

【おすすめの食べ方】茎の部分にベーコンを巻いて炒める

●さとうエンドウ(さとうざや)…名前のとおり、砂糖のような甘さが特徴で、さやごと食べられる。ビタミンCが豊富。おしりの部分からカールを描いている方へ一周するように筋をとると簡単できれい。

【おすすめの食べ方】アンチョビの塩分と合わせて炒めるとワインに合う一品に

●アスパラガス…野菜は畑と同じ環境で保存するのがよいと言われているので、冷蔵庫では立てて保存を。近年流通するようになったホワイトアスパラガスは、フランスで「マドモアゼルの指先」と称されるほど高貴で繊細な野菜。
70%は水分のため乾燥させないように保存すること。
斜光栽培という非常に手間がかかる栽培のため、価格も高め。照明次第では黄色や緑に変わってしまうので注意が必要。

【選び方】太いものの方が筋が気にならない。先端の三角がとがって割れていないもの
【おすすめの食べ方】春先のものは丸ごとグリル。6月頃からは筋っぽくなるので、ピーラーで剥いて調理する

トマトは夏野菜?実は春が美味しい!

アンデスの高地で生まれたトマトは、極力乾燥させながら育てると美味しくなると言われている。
寒い冬の間、少ない水分でじっくりと時間をかけて成長すると、力強く味が濃くなる。
対して夏のトマトは、成長が早く水分が多くさっぱりした味に。
夏にいただくには夏トマトとしてのメリットがあるが、美味しい時季は実は春なのだとか。
トマトには、ビタミンA(皮膚や粘膜を強くし、風邪などの感染症にかかりにくくする)、ビタミンC(美肌効果、感染症やストレスに強くする)、ビタミンE(抗酸化作用、血行の流れをよくする)、カリウム(体内の余分な塩分の排泄を促す、筋肉の痙攣を防ぐ)、食物繊維(便通を促す水溶性食物繊維)、鉄分(血液の中で赤血球のヘモグロビンの成分になる)、カルシウム(骨や歯の構成成分)といった豊富な栄養を含むが、中でもリコピン(赤い色素、抗酸化作用)は女性にとって嬉しい美容効果が期待できる。リンゴを切ると、切り口が茶色に変色し、水分が失われてボソボソになる。
これは酸化によるもので、体の中でも同じことが起きているのだという。体の酸化(=サビ)の原因になる活性酸素は、ストレス、激しい運動、加工食品の摂取、喫煙、飲酒、電磁波の影響、大量の薬の摂取、紫外線、油分の多い食事、汚染された大気を吸い込むことが原因で増加してしまう。
そこでおすすめなのは、抗酸化作用のあるトマトを加熱して食べること。
また、トマトには、昆布にも含まれる旨味成分「グルタミン酸」が豊富で、旨味調味料として使うこともできる。
ラタトゥーユやここ数年人気が出てきたトマト鍋、すりおろしてドレッシング、ミネストローネ、ケチャップ、トマトパスタなど、調理法は多岐にわたる。
天野氏オリジナルレシピの「うまトマト」は中玉のトマト3コとにんにく1かけを刻み、塩とはちみつをお好みで加えて一晩おくという手軽な一品。
味噌汁や煮込み料理に入れると絶品なのだそうだ。
トマトを選ぶポイントは、
(1)丸くて固く、実が引き締まっている、
(2)皮が赤く、ツヤがある、
(3)おしりの部分に放射状に広がるスターマークがある、
(4)ヘタがピンとしていて緑色、
(5)手にとって、ずっしりと重いものだそうだ。

注目の食材「おからパウダー」

野菜ソムリエの資格以外にも、静岡県内唯一の豆腐マイスター協会の認定講師でもある天野氏。
「おからパウダー」という食材が、今、たいへんおすすめだそうだ。
豆乳を絞った後に残るおからは、劣化が早く1日しか鮮度を保てない。そのため多くが産業廃棄物として処分されてきた。
しかし栄養満点なおからをなんとか活用できないかと開発されたのが「おからパウダー」。
高温の熱風にあて乾燥させることで、常温でも5か月程度の保存が可能に。
生でもいただけるが、おからと同様に活用したり、ハンバーグの具材にしたりとさまざまな活用法がある。
テレビでも紹介した「おから美人ヨーグルト」を会場で実演。
ヨーグルトにきなこを入れる容量でおからパウダーを入れて混ぜた後、オリーブオイル(ココナッツオイルでもよい)、はちみつ、ビタミンEが豊富な砕いたアーモンドを入れる。
おからには、食物繊維やミネラル、タンパク質が豊富。「食べるヨーグルト」としてぜひ腸をきれいにしてくれるレシピとして取り入れたい。


生きることは食べること。栄養価に優れる野菜は、私たちの一番身近で欠かせない医療だ。
しかし、日々進化していく食材を知るにはどうしたらいいのか。
野菜ソムリエは、そんな時「畑と食卓の架け橋」になってくれる存在だ。
「野菜の話を中心に、楽しい食卓づくりのお手伝いをしていきたいですね」と天野氏は締めくくった。

講師紹介

天野 友江(あまの ともえ)
天野 友江(あまの ともえ)
野菜ソムリエ
静岡県出身、在住。ベジフルキューピット代表。野菜ソムリエコミュニティ静岡の第三代会長。
レシピ開発、大人向け食育講座、お料理教室、フルーツカービングなど、野菜・果物を美味しく楽しく食べるお手伝いや、生産者と生活者の架け橋として全国に活躍の幅を広げている。
地元ローカル番組でも木曜レギュラーとしても活躍中。