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イベントレポート

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2015年4月 7日(火) 10:00~14:00

竹之内 健一(たけのうち けんいち) / フリーランス広告フォトグラファー、あおぞら写真事務所 代表

春のお散歩写真ワークショップ

花と緑でいっぱいの長久保公園を散歩しながら、スナップ写真の撮り方について学ぶワークショップ。 基本的なカメラの操作から印象的な写真を撮るコツまで、実際に撮影をしながら学ぶので、すぐに上達が実感できる。撮った写真はプリントし、コーヒーを飲みながら鑑賞。初心者から中級者まで楽しめる内容となった。

明るさとボケをコントロールして印象的な写真を

タイトルを「春のお散歩」としながらも、当日はあいにく朝からシトシトと雨が。しかし、集まってきた参加者に、竹之内氏は「公園に行きます!」と宣言。

「長久保公園には大きな木がたくさんありますから、これくらいの雨なら大丈夫です。雨が強くなってきたら、温室があるのでそこに逃げ込みましょう(笑)」

今回のワークショップでは、撮影技術を学ぶとともに、撮った自信作を湘南T-SITE内の「カメラのキタムラ」でプリントし、鑑賞会をする楽しみもある。

「今は、スマホのカメラが進化したこともあって、ほとんどの人が“カメラマン”になっている時代だと言えます。でも、大量の写真は、たいてい、データのままパソコンに保存されていますよね。そうではなく、ぜひ、プリントをしてもらいたい。写真をプリントすると、それでコミュニケーションがとれるからです。アルバムを家族一緒に見る…素晴らしい時間ですよね。今日は、撮影した写真をA4サイズで1枚、L版で3枚、プリントします。みんなで鑑賞会をして、コンテスト形式で1位から3位までを決めますので、張り切って撮影してください」

今回のテーマは「明るさのコントロール」と「ボケのコントロール」。竹之内氏が自身の作品例を見せると、暗い背景に鮮やかに浮かび上がる紫陽花や、木漏れ日に透けたような葉脈の表現に、会場からは「おおーっ」「キレイ!」という感嘆の声が上がった。

「今日は、撮影モードを『A』か『AV』にして、絞り優先モードに挑戦してみましょう。撮りたいものにピントを合わせてそれ以外をボカす、という、ボケコントロールを学びます。たとえば、この紫陽花の写真。花の質感を見せるために、一カ所にピントを合わせて、背景や、他の紫陽花は、マイナス補正で暗くしています。ボケと明るさのコントロールで、被写体を印象的に見せることができます」

まずはd-labo内でボカシの練習。被写体にできるだけ寄って1枚、さらに同じ場所からF値(絞り値)を変えながら何度か撮ってみることで、ボケ方がどう変化するかを把握する。カメラによって、光を捉えるセンサーの大きさが違うので、ボケ方も異なってくる。自分のイメージした写真を撮るためには、自分のカメラの特性を知ることが必須だ。

雨の長久保公園で、咲き誇る桜を撮影

レクチャー後、徒歩で長久保公園へ。参加者たちは歩きながら自己紹介をしたり、竹之内氏に質問をしたりと、和気あいあいとした雰囲気。公園に着いてみれば、4月に入って一週間経つというのに、桜がまだまだ咲き誇っていた。雨ということもあって、花見の人もおらず、貸し切り状態での撮影に。

「こういう写真を撮りたいんだけど、とか、この花を撮るにはどうしたらいいか、とか、その都度、どんどん質問をしてください。ひとつひとつのケースについて、『僕だったらこう撮ります』とアドバイスします。経験を積み重ねていくことが、撮影技術をアップするコツです」

参加者たちは思い思いの場所から桜を狙う。ちょうど満開の枝を撮る人、花びらが散ってピンクの絨毯のようになった足元にカメラを向ける人。ギリギリまで接写する人、広場の反対側まで歩いて行って遠景を撮る人。公園のあちらこちらで、皆熱心に撮影を続ける。

「ちょっとしゃがんで、低い位置から撮ってみると、まばらな花でも密集したように写ります」

「横だけでなく、縦で撮ってみると、画面の中での花の割合が増えますよ」

「目の前のものをどうにかしよう、というのではなく、自分の撮りたい絵があるところを、歩いて探すんですよ。足で稼いでください(笑)」

次々に飛ぶ竹之内氏のアドバイスを受けては、また撮って、再び画面を見ながらアドバイスを受ける。さらに参加者同士、撮った写真を見せあってお互いに参考にしながら、さまざまな撮り方にチャレンジしていく。

小さな黄色い花を被写体にして、「手前ボケ」「玉ボケ」のレクチャーも行なった。「ボケ」というと背景をボカすことを連想するが、手前をボカせば、奥の被写体がドラマティックに見えるし、背景の明るい色を丸くボカす「玉ボケ」なら、写真にかわいらしさが演出できる。参加者たちは黄色い花にレンズを向けながら、桜とはまた違った写真撮影を楽しんでいた。

コーヒーを飲みつつ、写真をプリント、鑑賞会へ

撮影を終えて湘南T-SITEに戻った参加者たちは、1号館1階の「カメラのキタムラ」へ。モニターを使って、プリントする写真を選ぶ。2号館2階にある人気のサードウェーブコーヒー「FRESCA」提供のコーヒーを飲みながら、参加者同士、写真を通してコミュニケーションをとる楽しい時間となった。

約1時間後。テーブルの上には自信作がズラリと並んだ。竹之内氏が、1枚1枚を講評する。

「枝を画面に斜めに走らせた構図がいいですね」「花の奥行きを重ねることで、黄色い花をすごく華やかに見せています」「新芽をあえて逆光で撮っていますね、これは難しいテクニックです」「手前の花にピントを、奥に傘をさした人物をボカした、情緒のある写真ですね」

そしていよいよ、竹之内氏が選ぶ、本日の1位から3位を発表。

3位は、モノクロでプリントした桜の写真。

「モノクロで暗めにプリントしたことも素敵ですが、花びらに水が載っているこの感じが、しっとりした今日のけだるい雰囲気をよく表現しています。空気感が出ている、印象的な作品ですね」

2位は、花の質感をしっかり出した桜の写真と、トイカメラモードで撮った写真の2点。

「桜の花をしっかりと撮って、リアルな質感を出した作品と、トイカメラモードで色とりどりの花壇をヴィヴィッドに撮った、アートのような作品。こんなふうに、カメラの性能も駆使して、いろんな写真を楽しんでほしいと思います」

1位は、ピンクと緑の植栽が美しいバランスで画面に収まっている、桜の写真。

「春の公園写真、として、完璧な作品。主題が桜ということがちゃんと伝わってくる。あの広い公園の中を、あちこち動いて、この構図を探して撮った、というのもすごい」

どの写真も、雨の中、傘をさしながら撮ったとは思えないクオリティ。プリントした作品は、大切に持ち帰っていただいた。

「写真を撮ったときを、第一のシャッターチャンスとするならば、プリントをするときは、第二のシャッターチャンス。どの写真を選んで、どうプリントするか。明るくしたり、暗くしたり。写真を撮るだけでなく、プリントする楽しさも、もっと知ってほしいですね」

講師紹介

竹之内 健一(たけのうち けんいち)
フリーランス広告フォトグラファー、あおぞら写真事務所 代表
湘南エリアを中心に広告写真、家族写真を撮る傍ら、写真の魅力を伝えるワークショップを開催。また 辻堂海浜公園イベント、辻堂ローカルマーケット等の地域を元気にする活動、ビーチマネー等の海をきれいにする環境活動を積極的に応援している。