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イベントレポート

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2015年4月29日(水)14:00~16:00

近藤 義忠 (こんどう よしただ) / JPBA公認プロボディボーダー

マリンスポーツを通して見える海の魅力について

「海は多くのことを教えてくれます。海から学んだ事は、僕という人間を一回りも二回りも大きくしてくれました。時にはやさしく包んでくれる。時には厳しく 突っぱねられる。そんな海の魅力と波に乗る楽しさを多くの人に伝えたい。マリンスポーツ、とくに今回はボディボードを通して感じている海の魅力を語りつくします」。聞き手として、日本初のプロボディボーダーよる、ボディボード専門店有限会社バズコーポレーション代表の内田美智子氏を迎えて海の魅力について対談していただいた。

“余った波”を楽しむために生まれたボディボード

18歳で、サーフィン・ボディボードのオリンピックと称される「WORLD SURFING GAMES」に日本代表として出場し17位に。その後プロに転向し、7度の日本チャンピオンに輝いた近藤氏は、ボディボードのみならず、日本のマリンスポーツ界を牽引する存在だ。今回のセミナーでは、日本における女性初のプロボディボーダーであり、昨年、国内のボディーボードメーカーを集めた日本ボディボード工業会を立ち上げて業界の活性化に尽力する内田氏を聞き手に、マリンスポーツの魅力について語っていただくこととなった。会場のプロジェクターには、近藤氏をはじめとするプロ選手が大きな波に挑んでいく映像が映し出されている。

そもそも、ボディボードはどういうスポーツなのだろう。

「ボディボードは、100cmくらいのボードに腹這いになった状態で波に乗る、ハワイ発祥のスポーツです。1970年頃に、トム・モーリーという人が考えだしました。サーフィンが盛んなハワイでは、沖の方のいい波はサーファーたちで取り合いになりますが、ショアブレイク(波打ち際で浅瀬に崩れる波)は余っているわけです。そういう波を、安全に、かつ、アグレッシブに楽しむためのスポーツが、ボディボードなんです」

映像は、ハワイ・オアフ島の北にあるノースショアでのパイプラインを、果敢にくぐり抜けて行くボディボーダーたちを映し出している。内田氏が解説する。

「ボディボードフリークが集まる、世界でもトップレベルのボディボードが見られる場所ですね。こちらは、パイプラインチャレンジコンテストのときの映像ですね。近藤君は、日本人最高位の7位という結果を残しましたが、どんな気持ちでしたか?」

「自分自身と波との戦いでした。ものすごく集中していたので、逆に、パイプラインをくぐったときの記憶があまりないんですよね」

ボディボードには、スピン(波に対して水平に一回転する)、エルロロ(波の力を利用して縦に回転する)、エアリアル(スピードをつけて波から飛び出す)といったテクニックがある。サーフィンに比べて目線が低いので、スピード感があるのも魅力だ。近藤氏はチューブライディングが得意だそうで、「その瞬間のためだけにやっていると言ってもいい」と言う。近藤氏が背中にカメラを付けた状態でチューブライディングをしている映像が流れると、そのスピードと、太陽の光を受けて目の前でキラキラと輝く波の美しさに、会場から歓声があがった。

「朝日に向かっていくライディングですね。波の輝きを独り占めできる、最高の瞬間です」

平塚の海にもビッグウェーブは来る!

平塚生まれの平塚育ち。14歳でボディボードを始めた近藤氏は、国内外の大会に出場する日々を送っているが、ふだんは地元、湘南の海で波に乗っている。

「日本全国で波乗りをしてきましたが、湘南は、ほかの場所とはやっぱり違いますよね。雰囲気が明るいし、海と町の距離が近い。サーフィンやボディボードの文化が根付いているのも特徴です」

プロジェクターには、大きな波に乗る近藤氏の写真が。「これ、実は平塚なんです」と近藤氏が言うと、会場からは「ええー!」という声が。湘南でも日によってはビッグウェーブが来ることがあるそうで、「混んでしまうので本当は教えたくないんですけど(笑)、いいポイントがあちこちにあるんです」とのこと。片瀬江ノ島にショップを構える内田氏も、「明日はいい波が立ちそうだ、という日は、わくわくして眠れない(笑)。まだ暗いうちから、鎌倉から湯河原までウェーブハントで二往復…なんてこともあります」と、波乗りの魅力を力説。

「ボディボードは、ボード自体がコンパクトでソフトなので、手軽で安全。海水浴場でもできるので、ファミリーでも楽しめますよね。浅瀬に立って待っていて、波が来たらピョンと乗る、というのでも、十分楽しい」と近藤氏が言えば、内田氏も「私のショップでもスクールをやっていますが、子どもから、これまでの最高齢は67歳の女性まで、幅広い年齢層の方がチャレンジしています」と例を挙げる。

「誰でも手軽に楽しめる。でも、チューブライディングや技など、ハードなところまでやっていこうとすれば、どんどん高いところまで行ける。この幅の広さも、ボディボードの魅力だと思います」

海で遊び、海を知ることで世界は広がる

ボディボード、サーフィンをはじめ、最近人気のスタンドアップパドルボード(ロングボードの上に立ってオールを使って波に乗る)、ボードを使わず体ひとつで波に乗るボディサーフィンなど、多種多様なマリンスポーツがあるが、近藤氏や内田氏のように、“波に乗る”人々は、いったい海のどんなところに魅了されているのだろう。

「海に入ると、いろんな癒しがある」「自然が相手なので、コンディションがつねに違うのが面白い」「同じ波には2度と出会うことができない。だから、いつまでも続けられる」「いい波が来るまで、ずっとビーチで待っている。それだけで楽しい」「波が立ってくるときに、魚がたくさんいるのが見えたりすると、天然の水槽みたいだと思う」「湘南でも、ビルの3〜4階くらいの波が立つことがあった。そういう伝説的な日は絶対逃したくない」「北海道から沖縄まで、全国各地に波乗り友達がいる」…などなど、二人が語る波乗りの魅力、海の魅力は、尽きることがない。

「もちろん、海はただ楽しいだけではなく、怖いことだってあります。でも、大切なのは海を学ぶこと。海で遊び、海を知ることは、水難事故を未然に防ぐ事にもつながると思います」

サーフィンフォトグラファーの吉岡昌彦氏によるボディボード専門webマガジン「rising magazine」も創刊され、注目が高まるボディボード界。2020年の東京オリンピックでは、プレ種目として採用されるかもしれないという話もあるとか。内田氏は「畠山美南海プロ、大原沙莉プロなど、日本のレディースはレベルが高く、世界に一番近いと言われています」とアピール。「体験したことがない、という人は、ぜひこの機会にやってみてください」

最後に、内田氏が近藤氏に、今後の目標を聞くと、「選手としては、やはり世界を獲りたい」と、力強い答え。

「今まで何度も諦めかけました。でも、自分はこれまでずっと、周りの応援に支えられてやってきた。その想いに応えたい。これからも、世界一を狙って活動していきたいと思っています」

講師紹介

近藤 義忠 (こんどう よしただ)
近藤 義忠 (こんどう よしただ)
JPBA公認プロボディボーダー
神奈川県平塚市の海のそばで生まれ、小さいころから海とふれあいながら育ってきた。14歳でボディボードをはじめ、18歳でサーフィン、ボディボードのオリンピックと称される「WORLD SURFING GAMES」に日本代表として出場。これまでに日本チャンピオンを7回獲得し、世界的にも評価の高いプロボディボーダー。