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イベントレポート

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2015年5月9日(土) 14:00~16:00

佐藤 朗(さとう あきら) / フォトグラファー

美味しい料理を美味しく撮ろう!料理写真ワークショップ

ブログ、FacebookなどSNS上で毎日見かけるお料理の写真。どんなに美味しくても、本当に美味しそうにカメラで撮るのは難しいと感じている方も多いのでは?本講座では、お料理写真の上手な撮り方のコツを、現役のカメラマンが、お手持ちのカメラで自然光を使って撮れるように分かりやすくアドバイス。カメラはコンパクトデジカメ、ミラーレス、一眼レフ等なんでもOK。初心者の方も楽しみながら参加できたワークショップとなった。

写真への慣れとカメラへの知識が上達の秘訣

雑誌を中心に活躍するフォトグラファー、佐藤氏が、料理写真に特化した写真教室を始めたのには、きっかけがあった。女性誌や情報誌などの取材でレストランでの撮影をする際に、お店の人から「どうやったらうまく撮れますか?」と聞かれることが何度もあったのである。

「HPや広告などに使うメニューの写真を、プロのカメラマンに頼むとお金がかかるから、自分たちで撮ろうとする。でも、うまくいかないんです。私も、普段お世話になっているお店の人なので、何かよいアドバイスをしてあげたかったんですが、なかなか伝えるのが難しくて。それで、写真教室をやるようになったんです」

写真に対する“慣れ”と、カメラの“基礎知識”があれば、おいしそうな料理写真は必ず撮れる、と佐藤氏は言う。「いいカメラならきれいに撮れますか?」という質問を受けることも多いというが、「いいカメラを買ったら急に写真がうまくなるわけではない」と話す。

「高画質=きれい、おいしそう、ではなく、高画質でも、おいしそうに見えない写真が撮れてしまいます。カメラの性能の問題ではないんです。そこで、今日は、皆さんのお手持ちのカメラを使って、どういうふうに撮ればいいのか、をお教えしたいと思います」

参加者に配られたテキストには、「お料理を必ずおいしそうに撮る10の法則!」が紹介されている。そのテキストに沿って、レクチャーが始まった。

光をコントロールすることを覚える

【法則1】出来上がりをイメージする。
「これは、料理に例えるなら、献立をたてること。どういう写真を撮るか、をイメージしたうえで、そこに向かってやっていくわけです。雑誌やネットから、いいな、と思う写真を見つけてきて、それを真似するのも、上達への近道です。カメラを持つ前、写真を撮る前の段階でやらなければいけないことですね」

【法則2】直射日光は避け、窓際で自然光をうまく利用して撮る!
【法則3】やや逆光で撮影する(料理写真の王道)。
【法則4】暗くても電気を消す。
【法則5】レフ板を使ってコントラストをやわらげる。

「この4項目は、すべて光に関することです。料理写真に限りませんが、やわらかい光のほうが、写真がのりやすい。直射日光や、蛍光灯などの人工的な光源は、コントラストが強すぎて、目で見たようには撮れません。明るすぎると白くとんでしまって、写真から情報がなくなってしまう。そうすると、見る人に伝わりません」

実際に、光の強さや向き、光源の種類を変えて撮った写真をパネルで見比べる。驚いたのは、鶏の照り焼きを逆光で撮ったものと順光(撮る人の背中から光がきている状態)で撮ったものとの違い。逆光で撮ったものは、肉の表面に照り感が出て、ふっくらと立体的に、おいしそうに見える。一方、順光で撮ったものは、全体が同じように明るく写っていて、のっぺりとした印象。まったくおいしそうに見えない。

ほかにも、佐藤氏自作のレフ板を使って、シャドウの出方を試してみるなど、一つひとつの法則の効果を、目の前で体験。光が、写真の出来を左右することを実感する。

「明るさは、電気ではなく、カメラの設定で調整してください。光の効果を理解して、コントロールすることができれば、おいしそうな写真が撮れるようになります」

一眼レフ、コンデジ、スマホ。どんなカメラでも対応可能

続いては、カメラの使い方について。

【法則6】レンズの望遠側の部分を使い、近ければ自ら遠ざかる!
【法則7】暗ければISOを上げ高感度を利用する。
【法則8】カメラのモードはAかAvで。暗ければ露出補整でプラスに!

「カメラのレンズは3種類あり、たとえば一般的なデジタル一眼レフの場合は、標準レンズを35mm、それより上の数値を望遠レンズ、下の数値のものを広角レンズ、といっています。どのあたりの望遠を使えばいいかは、カメラによって違うので、皆さんのカメラを見せてください」

ソニー、キャノン、ニコン、オリンパス。ミラーレス一眼、コンパクトデジタルカメラ。佐藤氏は参加者のカメラを一つひとつチェックし、料理写真に最適なレンズの数値を教えていく。

「レンズを設定したら、そのまま動かさず、被写体との距離は自分が寄ったり遠ざかったりして変えていきます。望遠レンズは被写体の形を正確に写すことができ、広角だと被写体がデフォルメされます」

ISOで感度を上げ下げするテクニックは、暗い室内での撮影時に効果的だ。

「かつては『感度を上げると粒子が荒れる』というのがセオリーでしたが、今のカメラは優秀なので、それは当てはまりません。感度を上げるとシャッターをより速いスピードに設定できるので、手ブレが起きにくいため三脚も不要になり、機動力もアップします」

カメラのモードをAかAvの絞り優先にし、F値を動かして背景のボケをコントロールするのも、覚えたいテクニックのひとつだ。さらに、+/-での露出補整もマスターすれば、撮りたいイメージの写真にぐっと近づくことができる。

最後は、構図の説明。

【法則9】タテで撮る。
【法則10】料理にポーズをつける。

「タテで撮ることで、手前と奥に差が出るので、ボケを効果的に表現することができます。また、料理にポーズをつけるというは、正面から撮るのではなく、「寄る(近づく)」「左右に振る」「画面の端に寄せる」の組み合わせで、構図を工夫するということ。料理がある“場の雰囲気”を想像させることも、『おいしそう』に見せるポイントになります」

以上の10の法則を頭に置いて、実際に料理の写真を撮ってみることに。用意されたのは、鶏肉のグリルとハンバーグの2種類の料理。とてもおいしそうだが、果たして目で見た以上に、「おいしそうな写真」は撮れるのか。

参加者たちは順番に、それぞれのカメラで撮影していく。佐藤氏と一緒に画面を見ながら、「もっと寄って」「右側のスペースを空けてみて」「上から撮って」などとアドバイスを受けてシャッターをきると、なるほど、おいしそうに写っている。スマホで撮影する際のアドバイスを受ける人もいて、InstagramやFacebookにも活かせると好評だった。

「SNSでも、おいしそうな料理写真には、みんな反応してくれます。10の法則をマスターするのは大変だと思いますが、ぜひ、やってみてください」

講師紹介

佐藤 朗(さとう あきら)
佐藤 朗(さとう あきら)
フォトグラファー
日本大学芸術学部卒業。2004年独立後フォトグラファーとして、雑誌、書籍、webなどで撮影活動中。食の撮影に携わり、多くの方が料理写真撮影で困っていることを受け、2011年に料理専門の写真教室felica spicoをオープン。著書に『もっとおいしく撮れる!お料理写真10のコツ』(青春出版社)がある。