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イベントレポート

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2015年5月21日(木)19:00~21:00

チャーリィ 古庄(ちゃーりぃ ふるしょう) / 航空写真家

写真で見る世界のビックリ空港&おもしろエアライン

世界には、日本では考えられないような豪華なフライトを提供する航空会社や、変わった場所にある空港が数多くある。今回は、「世界で最も多くの航空会社に搭乗した人物」としてギネス認定されているチャーリィ古庄氏をお招きし、エアラインをその町の風景とともに写し込む独特の技法により撮影した、世界各地の写真をご紹介いただいた。さらに日本人で最も多くの旅客機を撮影した経験から、通常ではなかなか見ることのできない豪華プライベートジェットや普段見ることの出来ない飛行機の機内の様子、普段体験の出来ないフライトの様子などもお話しいただいた。

20歳で渡米、航空会社勤務を経て写真家に

立ち見も出るほど活況を呈したこの日のセミナー。内容はタイトルどおり「ビックリ空港」や「おもしろエアライン」の画像が盛りだくさん。今回の講師は自身もパイロット免許保持者であり、「世界で最も多くの航空会社に搭乗」でギネス記録も持つ航空写真家のチャーリィ古庄氏。普段は「成田空港の滑走路脇に住んでいる」というチャーリィ氏に、撮影にまつわる苦労話などのエピソードなども交えながら、ユニークな作品の数々を披露していただいた。

セミナーは自己紹介から。20歳で渡米。飛行機の免許を取得しパイロットに。現地では「チャーリィ」というミドルネームまで持っているチャーリィ氏。実は出身地は東京の下町。「飛行機好き」は子どもの頃からの話で、「羽田空港に行っては航空機の写真を撮っていましたね」という。

長じると、好きが高じてパイロットに。「免許取得後はロサンゼルスからグランドキャニオンまでを飛んでいる航空会社でプロペラ機のパイロットをしていました」

客室乗務員やオペレーション、航空機の売買も体験。日本ではスカイマークの立ち上げに関わった。フリーの航空写真家になったのは2001年。現在は雑誌、書籍、ANAを含め国内外航空会社の販促物、映画、テレビなどさまざまなメディアで活躍している。

講師自身の人となりに触れたあとは、世界の航空会社のユニークなサービスを紹介。期間限定で食べられるANAのラーメンや「エコノミーでも横になって眠れる」というニュージーランド航空のフルフラットシート。ダウンステアにトイレを集中して配置したエア・インディアの機内。なぜか半分は後ろ向きになっているブリティッシュ・エアウェイズのビジネスクラス。ロールスロイスやオリエント急行をイメージさせるシンガポール航空のファーストクラスやビジネスクラス。そして「究極はこれ」というプライベートジェット。アメリカではプライベートジェットの保有は一種のステータス。「ハリウッドのお膝元」の空港となると、スティーヴン・スピルバーグやトム・クルーズ、ブリトニー・スピアーズといった個人のが所有する飛行機も見ることができるという。

「当たり」を求めて訪れた空港は500か所以上

セミナー前半は、あらかじめ寄せられた質問に答える形で進行。「写真整理法を教えてください」という問いには「フォルダーを、日本に乗り入れている会社、日系の航空会社、それ以外、とざっくり分けている」。「それ以外」はさらに「すべて機種別」。写真は撮りすぎると整理に手間取るので現場では「なるべくカット数を少なくバシッと決めて撮ります」。「咄嗟の撮影方法は?」は、「感度をオートにしておくのがコツ」。「仕事のリクエストで珍しいものはありますか」という質問には、チャーリィ氏らしく答は複数。ANAの広報からのリクエストでは「キャプテンをターミナル内で流し撮りにした」し、雑誌や書籍の仕事では文章に合わせて「飛行機のアンテナ」にピントを合わせたり、「鳥を追い払うための空砲を撃っているところ」に狙いをつけたりする。航空写真というと、飛行機の機体や美しい空の景色といったイメージが強いが、「実は仕事としては普通の飛行機が写っている写真の方が仕事になる」。

「珍しい気象条件の写真は?」という質問には「虹」や「ブロッケン現象」、「地球の影」などが写った画像で回答。そして「どんなことを考えて撮影しているのでしょうか」への返答は「世界の町や景色を入れて撮りたい」。カメラを持つときは、たんに飛行機だけではなく、常に「なにか絡まないかなー」と思って撮っている。もちろん、主役は飛行機そのもの。とりわけ「カラーリングや機体番号に興味がある」。見せてくれたのは「ボーイング737の6000機目の機体」。航空機は無数にあっても「こういうのは滅多に出会わない」という。そうした「当たり」に出会うべく、訪れた空港は約500か所。もちろん、どの飛行機がどこにいるのかは、ネットや時刻表を駆使して調べる。モニタ―に現われるのは珍しいカラーリングの数々。尾翼にアンデルセンなど北欧三国の偉人の肖像を描いたノルウェジアンエアシャトル、実は創設期にスカンジナビア航空との資本提携があってカラーリングが似ていたタイ航空のレトロカラー機。旅客機だけど軍用機のような色をしたアルジー・エクスプレスの機体。夏はヨーロッパ、冬はカナダへと出稼ぎで活躍の場を変えている「CのGRKB」というボーイング737。どれも「へえ」と驚くものばかり。チャーリィ氏はこうした飛行機との出会いを追い求め、世界を旅しつづけている。

リスクと隣合せの撮影。夢は「もう一度ギネス申請を」

航空写真家をしていてよく言われるのは、「プロだからどこでも入って撮影できるんですよね」。答はNO。空港に撮影に適した「展望デッキ」があるのは「日本とヨーロッパの一部だけ」。撮影場所は空港内や滑走の端、あるいは見晴らしのいい場所。そうしたところで望遠レンズや、ときに無線機などを持って撮影をしている人物は、警備担当者や警察官からは「スパイ」に見える。

「この間、ニューヨークで撮っていたときは1日で3回職務質問を受けました。パリのシャルルドゴールではレンタカーごと拘束されて本国にパスポート照会されました」

インドやフィリピンなど途上国の空港はスラム街に隣接していたりもする。そうした場所では犯罪に遭う危険性もある。セスナやヘリからの空撮も多いが、そういう撮影費用はもっぱら「自腹」だともいう。

後半は各地の空港の画像。ユニークなターミナルや「砂漠の中古車(機)センター」などの他、飛行機を使った家など、最後まで飽きない写真の数々に参加者の目は釘付けとなった。ゲストとして作家で航空ジャーナリストの秋元俊二氏も登壇。「取材にはよく一緒に行く」という秋元氏に、現場でのチャーリィ氏がどのように撮影をしているのか、気になるものを見つけると突進していくその様を愉快な語り口でお伝えしていただいた。

セミナーの最後は質疑応答。「夢」は「いろいろあります」とチャーリィ氏。

「南極にも行きたいし、スクラップの飛行機を買って家にしたりもしたいです」

「夢」のひとつは「もう一度ギネス申請すること」。おそらくは「世界でいちばんいろんな飛行機を撮っているのは自分」。

「写真を整理して、いつか老後にでも申請してみようかなと思っています」

講師紹介

チャーリィ 古庄(ちゃーりぃ ふるしょう)
チャーリィ 古庄(ちゃーりぃ ふるしょう)
航空写真家
1972年東京都生まれ、旅客機専門の航空写真家。世界で最も多くの航空会社に搭乗したギネス世界記録を持つ。主に国内外の航空会社、空港などの広報宣伝写真撮影、航空雑誌の撮影、カメラメーカー主催の航空写真セミナーの講師なども行っている。旅客機関連の著書、写真集は20冊ほどあり。最新刊は「びっくり飛行機で行く世界紀行」(イカロス出版)がある。Canon EOS学園航空写真教室講師。ANAのFacebookの飛行機写真やANAマイレージクラブの航空写真セミナー講師を務める。
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