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SURUGA d-labo. Bring your dream to reality. Draw my dream.

イベントレポート

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2015年5月23日(土) 14:00~16:00

西畠 清順、中原 典人 /

夢いっぱいのドリームツリーをつくろう!

植物を通して夢を運ぶプラントハンター西畠清順氏、建物への夢を叶えるインテリアデザイナー中原典人氏に、夢についてお話しいただいた。その後、参加者と共にそれぞれの想いを紙に描いて、清順氏がはこんできた木に飾り、夢でいっぱいのドリームツリーを完成させた。夢の研究所であるd-laboが、夢と笑顔でいっぱいになった。

植物と建物の心地いい関係を目指して

d-labo湘南の空間でひと際存在感を放っている、数本の大きな木。メキシコの砂漠に生えているユッカロストラータという木で、その生命力にあふれた個性的な姿が、d-labo湘南のモダンなスペースによく似合う。

この木をセレクトしたのが、世界中から植物を見つけてくる「プラントハンター」の清順氏だ。今回は、d-labo湘南をともに手がけたインテリアデザイナーの中原氏との対談形式で、「夢」をテーマに語っていただいた。「西畠さんのファン」という小さな女の子から、「ぜひ一緒にお仕事がしたい」という男性、遠方からやってきたご夫婦など多くの参加者が集まり、d-labo内は熱気にあふれた。

まずは、清順氏の提案で、自己紹介代わりにお互いに“他己紹介”することに。中原氏が清順氏との出会いを振返る。

「西畠さんとは、4年ほど前に、音楽バーやレストラン、ギャラリーなどが集まる『代々木VILLAGE by kurkku』の仕事で出会いました。音楽プロデューサーの小林武史さんやインテリアデザイナーの片山正通さんとプロジェクトを進めていくなかで、片山さんから『訳の分からない植物をいろいろ持ってくる面白いヤツがいる。ぜひ彼と一緒にやりたい』と紹介されたのが西畠さんだったんです。西畠さんのすごいところは、モノに対しての執着心と他にはないものを持ってくるぞという姿勢。一緒に仕事をしていて、非常に前向きになれる、とても楽しい仲間です」

次は、清順氏が中原氏を紹介。

「中原さんはね…いい人なんですよ(笑)。UDSという会社のお偉いさんで、すごいお洒落なホテルを設計・運営したり、都市開発をしたり、d-laboのような『クリエイティブなスペースをつくりたい』という要望に応えたりしています。内装や設計、デザインといった“枠”にとらわれないで、幅広くお仕事されています」

2011年にオープンした商業施設「代々木VILLAGE by kurkku」は、代々木駅から徒歩1?2分という立地にもかかわらず、清順氏が世界中から集めた100種類以上もの珍しい植物があり、都会の中のオアシスのような場所として多くの人に愛されている。「ここ数年で植物への注目度は急激に上がった」と清順氏は言う。中原氏も「かつては建物を建てた後、余った敷地に緑を植える、という考え方がほとんどだった。それが最近は逆転してきて、自然の中に建物がひっそりと佇んでいるほうが心地いいという感覚になっている」と話す。

清順氏は「代々木VILLAGE by kurkku」を、「未来へのメッセージにしたいと思った」と語る。「動物と人、人と人、人と植物が共存できる場所をつくりたい。子どもたちに世界の植物が集まって仲良く暮らす光景を見せたいという想いがありました」

「西畠さんも僕もやりたいことは同じで、『世界に対してちょっと“いいこと”をして、日本を変えていきたい』という気持ちで仕事をしています。量の時代から質の時代に変わってきた今、安易にフリーメンテナンスのものを使うのではなく、ちゃんと手をかけることで、物に対して愛着をもつ喜びを伝えたい」

描いた夢をオリーブの木に飾ろう

ここで、中原氏から清順氏に質問。

「夢を実現するためには、どうしたらいいと思いますか?」

「よく聞かれるんですよね、『夢はなんですか?』って。でもオレ、実は夢はないんです。毎日めちゃくちゃ忙しいから、『何かを目指す』という夢はない。ただ、大好きな植物を扱う仕事をしていて、自分が集めてくる植物を待ってくれている人が世の中にいっぱいいる、というこの毎日が夢の中のようで…、ほんと夢中ですね」

150年続く花と植木の卸問屋に生まれながら、幼い頃は「植物にまったく興味がなかった」という清順氏。21歳のとき、ボルネオ島で見た世界最大の食虫植物に衝撃を受け、「植物に物心がついた」のだと言う。

「夢に到達するまでの道のりには、いいことも悪いこともあるけれど、何があっても全部受け止めて、自分は進んでいくんだ、という覚悟は必要ですよね」

中原氏は自身の夢について、「僕の場合は、やりたいことがどんどん変わっていくんですよね。趣味と仕事が一緒になっているから、自然とやりたいことに向かって行く、というか。ワークとライフのバランスを、自分で曖昧にしていることがあります。そういう働き方ができれば、モチベーションも上がるし前向きにもなれる」

いよいよ、参加者全員で、画用紙に自分自身の夢を描いていくことに。会場に用意されたクレヨンも使って、皆、思い思いにカラフルな夢を描いていく。

皆が真剣に夢の絵を描いている間にも、清順氏と中原氏の興味深い対談は続く。「子供たちにはできるだけいいもの、本物を見せてあげたい」「生産効率だけを求めていくと、もののよさは消されていく」など、植物や建物に限らず、現代社会のさまざまなことに通じるお話しに、参加者たちは深くうなずいていた。

描き上がった「夢の絵」を、西畠さんが用意したオリーブの木に飾る。七夕のように枝に下げられたたくさんの夢を、お二人が一つひとつ見ていった。

「ハートがいっぱい! 家族愛を感じますね」

「家族が健康で幸せに…究極の夢ですね」

「中原さんの夢はどれですか?」

「僕、『SHOP』って書いたんですけど、今度ショップ事業を始めるんです」

「宣伝ですか?(笑)」

「いや、3年前くらいからずっとやりたくて。もともと小物がすごく好きなので。西畠さんの夢は?」

「『一生、このまま!』が夢です。でも、最近ちょっとだけ欲が出てきました。仕事って、自分や家族、従業員のためにしますよね? でもそれが、あわよくばちょっとだけ社会に役立ったらいいな、と。オレが植えた植物は、オレが死んでもそこにあるでしょう。自分の仕事が、未来にずっと残っていくんやなあ、ということまで意識するようになりましたね」

「ずっと残るような仕事がたくさんできたらいいですよね」

ドリームツリーの前で、笑顔いっぱいの記念撮影

質問タイムでは、たくさんの手が挙がった。プラントハンターという仕事の精神的、金銭的なリスク。小豆島に樹齢1000年のオリーブの木を持ってきたときのエピソード。樹齢を経た巨木のもつ有無を言わせぬドラマのこと。この夏、銀座のポーラミュージアム・アネックスで開催される「ウルトラ植物博覧会」など、清順氏が手がける注目のイベントについてもご説明いただいた。

最後に、中原氏はその幅広い活動について質問を受け、自身の生き方をこう分析した。

「僕が空間をつくるときに考えているのは、余白を残す、ということ。全部つくりこんでしまうと、5年経っても10年経っても変えられない、変わらない窮屈なものになってしまう。でも余白があれば、そこをギャラリーにしたり、グリーンを植えたりできますよね。建築でもインテリアでも、余白を残し、心にもゆとりを残して、時代とともに変えていければいいなと思います」

たくさんの夢で飾られたドリームツリーの前で、全員で記念撮影。笑顔と夢があふれたセミナーとなった。

講師紹介

西畠 清順、中原 典人
西畠 清順、中原 典人

西畠 清順(にしはた せいじゅん)
プラントハンター / そら植物園 主宰
幕末より約150年続く花と植木の卸問屋「花宇」の五代目。日本全国・世界数十ヶ国を旅し、収集している植物は数千種類。日々集める植物素材で、国内はもちろん海外からの依頼も含め、年間2,000件もの案件に応えている。2012年、ひとの心に植物を植える活動「そら植物園」をスタートさせ、植物を用いたさまざまなプロジェクトを多数の企業・団体と展開し反響を呼んでいる。著書に「教えてくれたのは、植物でした人生を花やかにするヒント」(徳間書店)、「そらみみ植物園」(東京書籍)などがある。

中原 典人(なかはら のりと)
UDS株式会社 Creative Design Director
コーポラティブハウス、集合住宅、戸建などの住宅をはじめ、ホテル・商業施設・オフィスなど建築の分野にとどまらず、インテリアデザイン・家具のプロダクト等もトータルで手掛ける。ジャンルにとらわれず、新築からリノベーションまでさまざまな手法により、独自の空間を幅広いデザインにより表現する。
東京建築賞奨励賞、グッドデザイン賞、まちなみ100選優秀賞など多数受賞。