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イベントレポート

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2015年6月13日(土)13:00~15:00

寺尾 太伸(てらお たけのぶ) / ビーチグラスアーティスト

第8回BLUE FLAG CAFE
父の日に贈るビーチグラスのフォトフレーム

BLUE FLAG CAFEとは、NPO法人湘南ビジョン研究所が主催する、湘南の海と未来を考えるミニフォーラム。今回のフォーラムでは、「ビーチマネー」についてのお話しを聞いたあと、「ビーチグラス」を使って父の日に贈るオリジナルフォトフレームを作る。ころんとした、曇りガラスのような「ビーチグラス」。地域通貨としても使えることをご存知だろうか?ビーチクリーンをしていると、運が良ければ出会える、海からの貴重な贈り物だ。フォーラムの最後には、楽しい製作風景を写真に収めてプレゼント!

子供たちが裸足で遊べるビーチを目指して

湘南地域の持続可能なまちづくりを目指すNPO法人「湘南ビジョン研究所」。「湘南のビジョンをつくる」ことと、「市民の立場から実践する」ことをミッションとして、20代?70代のおよそ60名で、さまざまな活動を行なっている。なかでも一番力を入れているのが、藤沢、茅ヶ崎、鎌倉などの海水浴場で国際環境認証基準「ブルーフラッグ」を日本で初めて取得しよう、という取り組み。BLUE FLAG CAFEもその一環で、2014年の秋から藤沢市を中心に開催され、d-laboを会場とした今回が8回目となる。

最初に、「湘南ビジョン研究所」理事長の白石氏より、活動についての説明をいただいた。

「湘南ビジョン研究所は、2011年5月、地元の仲間たちが10人ほど集まってビーチクリーンを始めたことからスタートしました。NPO法人となったのは2013年12月です。『みんなで湘南の未来を考えよう!』というのが、私たちの想いです」

2013年には、10年後の湘南地域の理想のまちづくりビジョンとして「湘南都市構想2022」を策定。その実現に向かって、観光促進イベント、海岸清掃事業などのイベント事業や、フリーペーパー『読む湘南』を発行して情報発信を行なっている。

「ビーチクリーンなど、海をきれいにするための活動は、すべての基本です。たとえば江ノ島での海底清掃プロジェクトでは、2日間で15トンのゴミを回収しました。海岸にどんなゴミが落ちているか、皆さん知っていますか?」という言葉とともに、プロジェクターに写し出されたのは、海岸で撮影したゴミの写真。花火大会の翌朝のブルーシート。バーベキューで使った串や調理道具。ガラスの破片。注射器などの医療廃棄物などなど??。

「湘南ビジョン研究所では、『子供が裸足で遊べるビーチに!』を目標に、月に一回、ビーチクリーンイベントを開催しています。皆さんもご興味があれば、ぜひ参加してください」

次は、湘南ビジョン研究所のメンバーであり、環境教育を通じて持続可能な発展を目指すNPO法人FEE Japanの理事、温泉川氏が、「ブルーフラッグ」について説明。

「ブルーフラッグとは、世界50か国と地域4000か所で取得されている、ビーチやマリーナを対象とした国際環境認証です。1985年にフランスで構想が紹介され、2001年の南アフリカでの導入から、国際的プログラムとなっていきました。日本ではあまり知られていませんが、特にヨーロッパでは、たとえばバカンスの際にはブルーフラッグを取得したビーチを選ぶなど、安全・安心の証として、一般的に認知されています」

「ブルーフラッグ」を取得する条件は、①環境教育と情報 ②水質 ③環境マネジメント ④安全性とサービス、の4項目。湘南ビジョン研究所は、この厳しい条件をクリアして、日本初の「ブルーフラッグ」を湘南に掲げるべく挑戦を続けている。

「フラッグを掲げる、という明確な目標を共有できることは、地域の意識も高めます。ブルーフラッグのサイトでは、世界中の認定ビーチ、マリーナが確認できるので、一度ご覧になってください」

湘南で流通する「ビーチマネー」の誕生秘話

いよいよ、ビーチグラスアーティスト・寺尾氏が登場。「ビーチグラスアーティスト、と勝手に名のって5年になります(笑)」と自己紹介するが、きっかけは、ビーチマネー活動を知ったことだった。

ビーチマネーとは、2006年に生まれた湘南限定の地域通貨。茅ヶ崎に本社を置く自然派洗剤メーカー「がんこ本舗」から始まった活動で、「ビーチクリーンをして、そのついでにビーチグラスを拾ってきてくれたら、何かおまけするよ」というショップスタッフとお客さんとのやりとりから生まれた。ガラスや陶器などの欠片が海で削られ、小さく、丸くなったビーチグラスを、加盟店でエコマネーとして使うことができる仕組みで、現在では湘南だけでなく全国に広がっている。

よくある白や透明、茶色は30円相当、珍しい赤や黄色、2色混合は200円相当など、色や、形によっても価値が変わる。商品の代金からその金額を引いてくれる店もあれば、プラスアルファのサービスをしてくれる店もある。

「海に遊びに行って、その帰りにひとつでもいいからゴミを拾う。そして、空いているほうの手でビーチグラスを拾って、ゴミはゴミ箱に、ビーチグラスは地元のお店での買い物や食事に。最後には、みんながエコならぬ『ニコ』っとなるように、という活動です」

寺尾氏自身、日々ビーチクリーン&コーミング(漂流物を拾うこと)をしながら、集めたビーチグラスを使ってアクセサリーや雑貨を作っている。ワークショップのほか、環境教育も行なっており、湘南ビジョン研究所のメンバーとして、裸足で走れる安全なビーチを目指して活動を続けている。「海をきれいにするためには、多くの人がつながり、情報を共有することも必要。今日のセミナーで、何かひとつでいいから、みなさんの心に残るものがあったらいいな、と思っています」

カラフルなビーチグラスでフォトフレームを

ここで参加者に、フォトフレームと、色とりどりのビーチグラスと貝殻3種類がセットになった、キットが配られる。「ワークショップなどではたくさんのビーチグラスからお好きなものを選んでもらうんですが、今日は時間がないので、こちらで選んだものを使ってください」

子供たちは、嬉しそうにビーチグラスと貝殻を取り出しては、木のフレームの上に載せていく。「きれいだね」「これはなんていう名前の貝かなぁ」など、大人たちも楽しそうだ。フレーム全体に散りばめたり、コーナーだけを飾ったり、デザインもそれぞれだ。

そして、賑やかに作業する家族や友人同士を、湘南ビジョン研究所のスタッフが記念撮影。後ほどプリントして、フォトフレームに収めるのである。

同時に寺尾氏は、会場を回りながら、参加者たちとビーチグラス談義。珍しいビーチグラスを標本のようにたくさん並べた、宝石箱のようなケースを見せると、大人も子供も思わず身を乗り出してのぞき込み、「こんなのあるのー!」「これは何のカケラ?」と興味津々。色も鮮やかだが、ビー玉のように真ん丸の「シー(Sea)玉」、ビンのフタが削れた不思議な形のもの、2層になったものなど形状も面白い。

どこに行けば拾えるのか、という質問には、「天候や潮の流れによって、流れ着く場所は日々異なります。僕は4年間毎日、どこでどんなビーチグラスを拾ったか、日記をつけているので、『今日はこういうものを拾いたいからあそこに行こう』みたいな感じで、狙いを定めて出かけるんです」とのこと。奥深い世界である。

最後は、出来上がったフォトフレームを持って全員で記念写真。

アーティスト活動と環境保全活動の両輪で活躍する寺尾氏。最終目標は「海がきれいになって、ビーチグラスが浜からなくなること。そうすると僕の仕事もなくなるんですが」と笑う。環境について学びながら、世界でひとつのフォトフレーム作りも楽しんだ、大人にとっても子供にとっても思い出深い週末となった。

講師紹介

寺尾 太伸(てらお たけのぶ)
寺尾 太伸(てらお たけのぶ)
ビーチグラスアーティスト
1968年9月生まれ、横須賀市出身。幼少期を海と山、田畑を駆けずり回り育つ。2010年に湘南に移住。ビーチマネー活動と出会い、自然の大切さを再認識する。子供達が裸足で安全に走り回れる綺麗なビーチを引継いで行くための活動をライフワークとし、ビーチグラスアーティストとして活動している。