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イベントレポート

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2015年6月14日(日)15:00~17:00

清水 直哉(しみず なおや),滝本 洋平(たきもと ようへい),小林 嶺司(こばやし れいじ) /

旅大学オープンキャンパス「好きな場所で旅するように働く方法」

「旅を学ぶ、旅から学ぶ」をコンセプトに、さまざまな場所とスタイルで新しい学びの場を提供する、TABIPPO主催の「旅大学」が、d-labo湘南を会場に開催された。今回は、好きな場所に住んで働いている人達をゲストに呼んでのトークセミナー。彼らの話を聞きながら、理想の働き方について考え、新しい働き方のアイディアを得たいと、多くの参加者が集まった。

鎌倉で暮らし、働く2人が語る仕事の楽しみ方

参加者はほとんどが学生。地元神奈川以外にも、東京、愛知、金沢、山梨、大阪と、遠方から駆けつけてくださった方もいらっしゃり、会場は熱気にあふれていた。最初に進行役の清水氏が、「せっかくの機会ですから、最初に5分間ほど、隣や前後の人とアイスブレイク(自己紹介)してください」と提案。今日、初めて会った人同士、2~3人で組になって、名前や、旅の経験などについて話すことに。旅に興味をもつ人ばかりとあって、あっという間に会話は盛り上がり、すぐに打ち解けた雰囲気となった。

「旅大学」を主催するTABIPPOは、代表の清水氏が、大学生時代に世界一周の旅をしている間に知り合った仲間たちと立ち上げた団体で、4年間の活動を経て法人化された。創業メンバー全員が世界一周を経験しているユニークな会社だ。現在は「旅」にまつわるイベントやトークライブ、もの作り、キャリア支援活動などを行なっている。

「日本人のパスポート所持率って、どのくらいだと思いますか? 50%? 60%? 実は23?26%。ものすごく低いんです。日本から出ることに興味がない人が多ということが残念です。旅から学べること、旅でしか学べないことはたくさんある。ひとりでも多くの若者が旅をする文化を創ろう、というのが、TABIPPOの想いです」

今回のテーマは、「好きな場所で旅するように働く方法」。既存の働き方にとらわれることなく、自分らしく仕事を楽しんでいる2人をゲストに、清水氏が進行役となってトークを進めていく。

編集者の滝本氏は、サンクチュアリ出版での勤務を経て、自由人・作家の高橋歩氏と共に、2003年から出版を中心としたファクトリー・A-Worksを経営。現在は鎌倉に在住、子育てを楽しみながら仕事をしている。

「今はどこに住んでいても、インターネットにつながりさえすれば仕事ができる時代。鎌倉に移住して3年目ですが、距離的な意味での不自由さを感じたことはほとんどないですね。むしろ、できるだけ都内に行きたくないから、なんとかメールや電話で済まそうとしている(笑)」

もうひとりのゲストである小林氏は、バックパックで1年間に50か国を旅した後、大学を中退し起業。現在はシェアハウスの運営を手がけている。滝本氏と同じく鎌倉に暮らし、オフィスも海まで徒歩一分という仕事環境。

「海辺にオフィスをつくる、というのは夢のひとつでした。波がいい日は社員みんなでサーフィンをします。朝一番に海水を浴びるのは、僕にとってはお清めというか、儀式のようなもので、頭がスッキリするので、仕事も楽しめます」

「やりたいことをやって生きていく」覚悟

ゲストが2人とも鎌倉在住とあって、鎌倉という街の魅力が話題となり、清水氏が小林氏に「世界中でいろんな街を見てきたと思いますが、そのなかで鎌倉に似た街はありましたか?」と尋ねると、「鎌倉を越える街はない」と断言。滝本氏も「観光地だから、たくさんの観光客がいて賑やかですが、それがまたいい。街を歩いている人がみんな嬉しそうなんですよね。ハッピーなオーラが土地全体に漂っていて、街全体が、いいポテンシャルを生んでいる」と分析。「日常生活の中に旅がある、旅を取り込んだ暮らしができるのが鎌倉」だと語る。

都内のシェアハウスで、13人で暮らしているという清水氏は、「僕は、仕事もプライベートもあってないようなもので、同居人の13人中11人が世界一周旅行経験者で、13人中7人は、うちの会社で働いています。職場も家も一緒。旅好きの仲間もよく出入りするので、常に旅を意識した日々ですね。うちの会社では、旅をすること=評価につながるんです」と言う。

3人とも、大学を卒業して企業に勤め、満員電車で通勤、という働き方からすれば、ずいぶんと自由な生き方を叶えているように見える。「学生のとき、社会人生活に希望を見出せなくて旅に出た」という清水氏は、「世界一周して感じたことは、『日本に帰ったらやりたいことをやろう』ということでした。紛争や貧困など、さまざまな理由で、やりたいことができない人ってたくさんいますよね。日本人は、それができる環境にあるのに、どうしてやりたいことをやらないんだろう、と思ったんです」と振り返る。小林氏も、「僕は大学受験で第一志望に行けなかったことにとらわれていて、あるとき、『もうこれからは、自分の人生は自分で決めるんだ』と決心したんです。そして、大学2年のときにカフェを立ち上げ、自分の力で何かを社会に表現していくことの面白さに目覚めました。起業したときも、何か具体的にプランがあったわけではなく、まず会社をつくろう、と(笑)。何も知らない状態のほうが行動に移せる」

「好きなことを仕事に」というのは、3人の共通したスタンスだが、「趣味で始めたTABIPPOが仕事になった」という清水氏、「好きなことしかしないし、好きなことから外れてしまうような働き方はやめたい」という小林氏の言葉を受けて、滝本氏は「好きなもの、大切にしたいことの優先順位は、ライフステージによって変わってくる。常に、今自分にとってのベストは何か、ということを考えて、そして、それを仕事にしようと思うなら、覚悟をもってやっていくことが必要なのでは」と語った。

失うものよりも、得るものの方を大切に

学生時代の思い出や旅の話、スポーツにまつわるエピソードなど、時折脱線しながら、楽しいトークは続いた。自由度の高い働き方のなかで、どうやってオンとオフのスイッチを切り替えているかという話題にもなり、朝型で5?6時には起きているという小林氏は、「起きたら、1日のスケジュールをしっかりたてる。そのための時間を大切にしている」、清水氏は「僕は仕事もプライベートもあってないようなものなので、旅先でいろいろなアイディアを思いつくことが多い」、滝本氏は、PCを持ってお気に入りのカフェに行くのだとか。

「好きな場所で旅するように働く」ことは、簡単なことではない。そのためには、たとえば世間的な評価や、高い報酬や、便利さや、楽しさなどを手放さなければならないかもしれない。けれど、「何かを選んだり、変えたりしようとするときには、失うものの方ばかりに目が向いてしまいがちですが、本当は、それを失った後に得るものの方が大事」だと滝本氏は言う。小林氏も、「僕のクライアントは全部都内にいます。でも、自分は、『海辺にオフィスを構える』『いつかは出身地の茅ヶ崎で仕事をする』という夢を実現するために、移住した。今では逆に、短い時間を有効活用できるようになりました」と続ける。

「ひとりひとりが、自分の精神状態に合った働き方を見つけてほしいと思います。僕たちも、いろいろチャレンジしてみて、ようやく今の働き方に辿り着いた。やろうと思ってもなかなか実現できることではないかもしれませんが、今日のこの時間が、皆さんが一歩を踏み出すきっかけになればと思っています」という清水氏の言葉で、「旅大学」は終了。参加者たちも、きっと夢に近づけたに違いない。

講師紹介

清水 直哉(しみず なおや),滝本 洋平(たきもと ようへい),小林 嶺司(こばやし れいじ)

清水 直哉(しみず なおや)
起業家・株式会社TABIPPO代表取締役社長
東京学芸大学在学中に、就職活動に悩み、世界一周の旅へ。帰国後にTABIPPOを立ち上げ、それ以来代表を務める。卒業後は大手WEB広告代理店である株式会社オプトに入社、ソーシャルメディア関連事業の立ち上げに参画する。入社2年目からの最年少マネージャー の経験などを経て、2013年11月に退職。TABIPPOを法人化へ。
滝本 洋平(たきもと ようへい)
編集者
広島県広島市生まれ。大学3年時にサンクチュアリ出版に入社。3年間で本の搬入・総務・広報・営業・編集と出版に関わるすべてのことに携わる。自由人・高橋歩の著書『LOVE&FREE』の制作をきっかけに一緒に本を創りはじめ、2003年に出版を中心としたファクトリー・A- Worksを高橋兄弟と共に設立。編集者として活動しながら、野外フェス『旅祭』のイベントオーガナイザーも務める。2010年3月に長男、2012年4月に長女が誕生。現在は、鎌倉に住みながら二児の父として親バカ満喫中。
小林 嶺司(こばやし れいじ)
冒険起業家
1989年生まれ。世界一周のバックパックの旅の後、当時通っていた法政大学を中退し、2012年独立。株式会社IPPOME(イッポメ)を創業。WEBマーケティング・シェアハウス運営が主な事業で、シェアハウスは2年で湘南エリアで6棟に。古都・鎌倉を拠点に、若者の新たな人生への一歩目をサポートするプラットフォー ム(場)づくりをする。主な著書は「旅ニ生キル」(サンクチュアリ出版)が全国書店にて発売中。2015年7月より新たなWEBサービスを立ち上げ予定。