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イベントレポート

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2015年7月4日(土)13:30~15:00

鈴木 麻美(すずき あさみ) / 日本茶インストラクター

おしゃれに楽しむお茶の新しいカタチ
~しずおかO-CHAコレクション~

今年静岡市で開催される第69回全国お茶まつり静岡大会とコラボレーションし、d-labo 静岡でも数回にわたりお茶をテーマにセミナーが開催される。今回はその第一弾。講師は竹沢製茶(株)に勤務する鈴木麻美さん。会社に併設されたTeaサロンで季節のお茶をはじめ年間100種類以上のお茶を用意し、シーンに合わせて新しいお茶の楽しみ方を提案している。作り手が見える茶農家を応援する、「しずおか・茶の町コンシェル」でもある、鈴木さんが一体どんな夢を追ってお茶の世界に飛び込んでいったのか、冷茶のおいしい入れ方の実演も含めて話を伺った。

お茶に見出した! 初めて夢中になれること

日本茶インストラクターの鈴木麻美さんがお茶の世界に入ったのは約10年前。

「高校時代は夢や目的を何も持てなかったんです。でも周りの友人達は当たり前のように大学進学を希望していたので地元の大学を受験しました。」

結果は不合格。もともと行きたい学校ではなかったので失敗とは思わず、アルバイトをしながら今しかできないことは何かを模索した。

これまでは両親の庇護のもと守られて暮らしてきたが、高校を卒業した当時、自分だけで生活できるのか試してみたい気持ちが強くなった。

その結果ワーキングホリデーでオーストラリアへ行くことに。20歳でまずはパースへと旅立った。その後約1年間いくつかの都市を巡り、21歳で帰国。

「オーストラリア滞在で身についたこと、それは度胸です。半年も過ぎるとお金が少なくなって自分からダイビングの会社に雇ってもらえないか交渉したりもしました。」

帰国後はホテルの中華レストランで働くことに。そのレストランで中国茶と出逢い、これまで全く知らなかった中国茶の魅力に引き込まれていく。

「初めて興味を持てるものが見つかったんです。それがこの中国茶でした。」

中国茶は発酵の度合いによって大きく6種類に分類できる。広大な中国で採れる茶葉は本当に様々で、こんなにも色・香り・味が違うものなのかと驚いた。

初めて大きく心を惹かれた中国茶。その奥深さと面白さにどんどん引き込まれていく。もっと詳しく知りたい! との思いから中国で茶芸師の資格を取得。

「1週間観光もしないで勉強漬けでしたが楽しかったです。」夢中で中国茶についての勉強を続けるうち、ふと日本茶のことは何も知らないことに気が付いた。

日本にいながら日本茶のことを知らないなんて恥ずかしい、そう感じた鈴木さんは中国茶を離れ、日本茶にのめり込んでいく。

お茶の世界で生きる! お茶の神様が背中を後押し

当時静岡で日本茶を提供する喫茶は2、3軒しかなく、もちろん求人募集も出ていない。そこで発揮したのがオーストラリアで身に着けた度胸。

「茶空間というお店に電話して単刀直入に働きたいのですが、と聞いてみました。」

店長も随分驚いたそうだがタイミングよくスタッフの入れ替えがあり、鈴木さんはそこで働くこととなった。

そうこうするうち、転機のきっかけとなる話が舞い込んでくる。

「静岡茶のアンテナショップを静岡駅の地下に作ることになり、そのオープニングスタッフとして参加できることになりました。」

喫茶一茶というその店は静岡市内の茶流通業者でつくる静岡茶商工業協同組合運営の、日本茶のカフェ。店内では参画する組合員約50店のお茶が楽しめる。

季節やシーンに応じた味わい方を紹介するほか、美味しい淹れ方やお茶選びのアドバイスも行なう。鈴木さんは週替わりで3種類のお茶を提供することになった。

「生産者の方にはそのお茶の特徴、こだわり、お勧めの淹れ方などをしつこいくらいに質問しました。」

エンドユーザーであるお客さまにお茶の魅力を伝えたい、茶葉の特徴を生かした淹れ方でおいしく味わってもらいたい、そんな熱い思いで日々を突っ走る。

しかし、鈴木さんが勤めていたのはお店。売り上げその他考えなければいけないことが多々あった。机上の知識だけでなくお茶の現場で働いている人々に触れて、自分の中でもっとお茶のことを深めていきたい、と一旦この場所を離れることを決意する。そして丸子紅茶や手もみ茶の現場、お茶農家などを訪ね歩く日々が続いた。

「お茶が大好きなのはわかるけれど、それで食べていけるの?」娘のことを思い、心配する母親に聞かれることもあったという。

それでも鈴木さんの「お茶で生きていく!」という直感とお茶の神様の後押しは健在だった。

再び鈴木さんにチャンスが訪れる。現在の職場である竹沢製茶(株)がお茶のサロンオープンさせるという話があり、鈴木さんも参加することに。

それが「Teaサロン」だ。季節のお茶をはじめ、年間100種類以上のお茶を無料で飲み比べできる。

お茶を通じて縁を結び、未来を拓く

今回は参加者へ試飲として冷茶をご用意いただいた。種類は、茶処・静岡でも有数のブランド「本山茶」のやぶ北・浅蒸し(静岡、安倍川上流)とまろやかな味が特長のあさつゆ(九州)、ゆず入りの緑茶(高知県)、ミント入りのほうじ茶(北海道)の4種。

日本茶はお茶を摘み取った後の蒸し時間の長さにより浅蒸し茶と深蒸し茶に分けられ、味・香り・色などに違いが出る。

また、低温で淹れると甘みと旨みが、70℃以上で淹れると渋みと苦みが出る。70℃とはお湯を入れた容器を何とか手に持てるくらいの温度だ。

冷茶の場合、渋みを楽しみたい時は普段より多めの茶葉(1.5倍程度)で淹れたお茶を氷たっぷりの耐熱容器に注ぐのがお勧め。

逆に甘めの冷茶で癒されたい時は冷茶ポットに茶葉を大匙2~3杯と水1Lを入れて冷やすか、急ぎの場合は茶葉とボトル半分ほどの水を入れ10分ほど抽出した後に氷を入れて混ぜればOK。

参加者からは「さすが、おいしい!」と感嘆の声が漏れ、試飲後にさらに詳しく質問したいと列ができるほどだった。

鈴木さんは最後にこう語った。

「夢や希望というと遠くに求めがちですが、実は身近な足元にありました。日常の中に夢の種があり、突き詰めると大きなことに繋がっていくと思います。」  

講師紹介

鈴木 麻美(すずき あさみ)
鈴木 麻美(すずき あさみ)
日本茶インストラクター
日本茶インストラクター。20代の頃中華料理店に勤務して中国茶に携わり、日本茶について深い興味を持ち日本茶の勉強を始める。喫茶一茶でオープニングスタッフとして活躍後、現在は竹沢製茶(株)に勤務。会社に併設されたTeaサロンで季節のお茶をはじめ年間100種類以上のお茶を用意し、気分やシーンに合わせて新しいお茶の楽しみ方を提案している。