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イベントレポート

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2015年7月20日(月)10:00~12:00

吉田 珠子、吉田 龍 /

夏の暑さに負けない!
和ハーブまるごと体験講座&苔玉つくり体験講座

デトックス、リラックス効果の高い和ハーブと、涼しげな苔玉で快適な夏を過ごそう。今大人気の「和ハーブ」と「苔玉」を両方楽しめるお得な講座。

【和ハーブまるごと体験講座】
和ハーブとは長く日本人の生活に取り入れられてきた植物のこと。本講座では和ハーブティを飲みながら淹れ方のコツについて学ぶ。さらに和ハーブ精油を使ったバスソルト作り体験も。

【苔玉つくり体験講座】
鉢に植えつけないで仕立てる手法のひとつに「苔玉」がある。インテリアとしても人気の高い苔玉を初めての方でも簡単に作れて楽しめる講座。お気に入りの器にのせて、今年の夏は涼しげな苔玉をお部屋に飾ってみては?

身近にあるのに知らない楽しい和ハーブの世界

横浜市栄区で園芸店「草のよしだや」を営むお二人が講師となって開催された、夏にぴったりのセミナー。まずは奥さまの珠子氏から、和ハーブをテーマにお話いただく。

「ハーブ、という言葉が日本に入って来たのが昭和40年頃。その葉や樹木、実、花、根、樹皮などが、人間にとって有用な植物のことを、総じてハーブ、と呼びます。そして、和ハーブとは、日本に長く自生し、生活に根付いて活用されてきたハーブのこと。今日は、和ハーブについて知っていただくことで、皆さんの足元にある植物に目を向けていただき、日本古来の知恵を受け継いでいけたら、と思っています。まずは、和のハーブティを飲んでいただきましょう」

配られたのは、冷たいクロモジ(黒文字)のお茶。クロモジは、和菓子に使われる高級爪楊枝としてお馴染みの植物だが、お茶として飲むこともできることは、あまり知られていないのではないだろうか。味は非常にスッキリとしていて飲みやすく、西洋ハーブのシナモンと近種だと聞いて深く納得。胃腸や喉の不調、血行促進によいとされ、夏の疲れた体をリフレッシュさせてくれる。

「クロモジは、国学者の柳田邦男さんが『日本人の脳の奥に宿る香り』と称した、代表的な和ハーブです。このお茶は、ハーブティは苦手という男性の方にもとても評判がいいんですよ」

ほかにも、たとえば夏の庭に生えるドクダミは、日本三大和薬のひとつであり、殺菌や血行促進の効能をもつ。あの独特の臭いも乾燥させると薄くなるということで、珠子氏は、実際に自宅で採ったドクダミの葉を各テーブルに配付。ザルに入れて乾燥させたドクダミに鼻を近づけると、ほんのりと甘い香りがして、驚く。爪でしごいて香りをかくと、強いシナモンの香りがするニッケイや、葉をもむとミントのような香りがするカキドオシも見せていただいた。

「ドクダミや和ハッカは、緑茶と一緒に熱湯で抽出すると飲みやすくなります。ローズヒップと同種のハマナスも、自生しているものの実をよく乾燥させて、ハチミツをかけてデザートに入れるとおいしいですよ。公園や道端でよく見られるカキドオシは、血糖値を下げたり、利尿作用もあることから、最近はダイエットハーブとして注目されています。どれも身近にある植物です」

和ハーブは、熱湯や水で抽出したり煎じたりしてハーブティとして楽しむほか、料理にもさまざまに活用できる。暮らしの中に上手く取り入れられれば、より快適に毎日を過ごせるはずだ。

ヒノキの爽やかな香りでリフレッシュ

高級建築材として知られるヒノキも、和ハーブのひとつ。鎮静、緩和、抗菌作用があり、アロマとしても楽しめる。今回は、ヒノキの精油と天然塩を使って、バスサシェを作ってみることに。テーブルには、布と塩、麻ひも、リボン、そして精油の入った小ビンが数種類用意されている。

「塩は、ミネラルを多く含み、デトックス効果の高い天然塩を用意しました。まず、塩50gに、精油を6滴ほど、点々と滴らします。ヒノキを4滴、あとは柑橘系を2滴くらいだと、香りのバランスがいいと思います」

バスサシェづくりが始まると、会場は爽やかな香りでいっぱいに。塩を布でくるんで麻ひもで口をしばり、リボンをかわいらしく結んで出来上がり。香りがあるうちはサシェとして玄関などに置き、数日後にお風呂へ。塩とヒノキの効果で、むくみの解消やリラックスも期待できる。

「ヒノキの精油をアルコールに溶かして水に滴らしたルームスプレーもおすすめです。防虫効果があるので、生ゴミや、臭いの気になるところにシュッとひと吹きしておくといいですよ」

もう1杯、今度は温かい和ハーブティをいただく。伊豆半島の山地に自生するアマギアマチャのお茶で、砂糖の1000倍の甘さがあるのに、なんとカロリーはゼロ。その驚くほどの甘さに、試飲した参加者からは「すごい!」との声が。「糖尿病患者の料理にも使うことができます」と珠子氏。身近な植物にこんなパワーがあるなんて、と、和ハーブの奥深さに感心させられた。

小さな苔玉で夏の室内を涼しげに演出

次は、苔玉つくりに挑戦。テーブルに配られた植物を前に、参加者はエプロンと手袋をして準備。園芸家の龍氏が「苔玉を作ったことがある方、いらっしゃいますか?」と尋ねると、数人が手を挙げた。

「今日は水苔で作ります。用意した植物は、防虫効果があることでも知られるニーム、プレクトランサス、葉っぱの色も楽しめるキク科のミカニアの3種類。どれも耐陰性が強く、逆に強光に弱いので、室内のインテリアとしておすすめです」

まず、それぞれの植物の根の周りについた土を落とす。「土が残っていると土中に卵があったり虫が潜んでいて、虫が発生する原因になります」との龍氏の言葉に、参加者はできるだけ丁寧に土を取り、現れた根をそっと水苔でくるんでいく。3種類の植物の根をそれぞれ水苔で包んだら、それをひとつに合わせて大きなおにぎりを握るように、丸い玉に形作り、ひもで巻いていく。3つの根を片手で支えながら丸くし、そこにハイゴケをタコ糸で巻く作業がなかなか難しく、龍氏が各テーブルを回りながらアドバイスしていく。

「いろんな方向から見てバランスをとってくださいね」「もっと固く握ってください。おにぎりにたとえると、ふんわりしていない、あまりおいしくないおにぎりです(笑)」「お、これは、まるで島のような、個性的な形ですね」

最後に、周りに緑色の苔を巻いて再び形を整え、螺旋状に糸で縛る。しっかりと、でも植物を傷めないように、慎重に仕上げて、完成だ。

「小さなお皿などにのせて、ご自宅の明るい場所に置いてください。乾いたな、と感じたら、苔玉を水の中に入れて水を吸わせます。あまりいつも濡れた状態にしておくと根腐れを起こしますので、ちゃんと乾燥させてあげることがポイントです。苔は乾いたらその都度霧吹きで湿らせてあげてください。何かの理由で苔が枯れて茶色になったりして、苔玉をやめたいな、と思ったら、鉢植えにして楽しんでください」

出来上がった参加者の苔玉は、同じ3種類の植物を使っていても、不思議と、それぞれに形や印象の違う仕上がりに。袋に入れて、大切にお持ち帰りいただいた。

穏やかな笑顔とわかりやすいお話で、植物の魅力を教えてくださった吉田夫妻。夢は、「植物を通じて、多くの人とつながり、世界を広げていくこと」。「日本人は古来より、日々の暮らしのなかで植物と深く関わってきました。その知恵を現代に伝え、都市生活の中に組み込んでいきたい。本当の意味で人と植物とが“共存”できる、そんな社会をつくるお手伝いができたら、と思っています」

講師紹介

吉田 珠子、吉田 龍
吉田 珠子、吉田 龍

吉田 珠子(よしだ たまこ)
和ハーブ協会認定 和ハーブインストラクター
横浜市出身。農学部農芸学科卒業。
横浜市栄区の園芸屋「草のよしだや」を夫婦で営んでおり、現在は和ハーブインストラクターとして、「育てる和ハーブ」の楽しみ方や、「季節の和ハーブでクラフトつくり」などを中心に活動している。

吉田 龍(よしだ りゅう)
園芸家、日本ガーデンデザイン専門学校講師
横浜市栄区の園芸屋「草のよしだや」の代表取締役を務める。近所や街並みとの調和を考慮したデザイン提案や、ガーデニング初心者でも取り入れやすいグリーンの提案など、地域に根差した園芸屋を営み、緑ある空間づくりを提供している。