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イベントレポート

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2015年8月30日(日)13:30~15:00

チャーリィ古庄(ちゃーりぃ ふるしょう) / 航空写真家

写真で見る世界のビックリ空港&おもしろエアライン

世界には、日本では考えられないような変わった場所にある空港や、豪華なフライトを提供する航空会社が数多くある。今回は「世界で最も多くの航空会社に搭乗した人物」としてギネス認定されているチャーリィ古庄氏をお招きし、飛行機をその町の風景とともに上から下へと写し込む独特の技法によって撮影した世界各地の写真をご紹介いただいた。訪れた空港の数は500以上、搭乗した航空会社は200を超える。100人を超える活況を呈したミッドタウンの講演をバージョンアップしての静岡講演となった。

LA留学、米系航空会社勤務の後にフリーの航空写真家へ

今回のセミナーは早い時間から席が埋まり、開演前から熱い雰囲気となった。県外から駆け付けた参加者は約3分の1、中にはミッドタウン講演にも参加した熱烈なファンも。

講師はアメリカにて航空機操縦資格を取得、航空マネジメントを学び米系航空会社にて勤務後、航空写真家として独立したチャーリィ古庄氏。

プロペラ機のパイロットや航空会社の客室乗務員・オペレーション、航空機売買等の経験もある。現在は雑誌・書籍の出版にTV出演、ANAを含めた国内外航空会社の販促物に携わるなど多忙を極める。

まず、初めに映し出された写真は常夏のビーチの上を低く飛んでいく大きな機体。

「誰に見せても、“合成でしょ?”って言われたんですよ。でも、これ本物なんです」

それはカリブ海のセント・マーティン島にあるプリンセス・ジュリアナ国際空港(オランダ自治領シント・マールテン)。

白い砂、青い海をまさかこんなに低空飛行で飛行機が横切っていくなんて、確かに俄には信じがたい光景だ。「CMに使われたこともあり、今では有名になりましたが、これを見せた当時は誰も知らなくて。ヒストリーチャンネルでは“世界で最も危険な空港”第4位に選ばれています」

続いて世界のユニークな航空会社のサービスについて。

座席の下がガクッとさがり、エコノミーでもフルフラットで眠れるというニュージーランド航空のシート。ロールスロイスやオリエント急行をイメージさせるシンガポール航空ファーストクラス・ビジネスクラス。

シャワーにバーカウンターと至れり尽くせりのエミレーツ航空のファーストクラス。

窓側の席だけ後ろ向きになっているため、知らない人と向かい合って機内食を食べることになるブリティッシュエアウエイズのビジネスクラス。

期間限定でサーブされるANAビジネスクラスのラーメンやアイスクリーム。

「アメリカにはもっとすごいものがあるんです」とチャーリィ氏は語る。その“すごいもの”とはプライベートジェット。

ハリウッド近くの空港ではジム・キャリー、ブリトニー・スピアーズといったセレブリティ個人所有の飛行機をみられるという。

「プライベートジェットといってもジャンボより高い高度を飛びますし、例えば静岡からならニューヨークまで休まず余裕で飛んでいきます。自社ロゴが入っていてなかなかかわいいナイキの飛行機や、小牧空港にあるトヨタの飛行機など、企業で所有することもあります」

各空港にはプライベートジェットで海外へ出発する乗り場がある。

「もちろん、富士山静岡空港にもあります。また民間のサービスを利用して、例えば旅行の際、六本木からヘリコプターで成田まで行き、成田からプライベートジェットでさっそうと海外へ、なんていうことも可能です。スルガ銀行さんからの融資で一機いかがですか?」参加者の中には真剣に考えている方も!? ともかくワクワクする話だ。

愛好家に優しい富士山静岡空港と世界のユニークなラウンジあれこれ

飛行機にはそれぞれ個体番号が付いており、同じ番号はふたつとない。

機体番号をチェックすれば、過去の使用履歴や現在の保管場所まですぐに検索できるようになっており、この番号を観察したり、記録・撮影するファンのことをスポッターと呼ぶ。

1940年代にイギリスの貴族たちが始めたことが起源と言われており、ヨーロッパではイギリス人やドイツ人に多いそうだ。アジアでは断トツで日本人。

「ある一説によるとスポッターの歴史は日本のほうが古いとも言われているのです」

17世紀の江戸時代、武士の家紋などを一覧にした書籍が出版され、それと照らし合わせて大名行列を見物する人が多かったのだとか。これは日本特有の“スポッター”なのかもしれない。

「富士山静岡空港の展望デッキにもスポッターがたくさんいますね」。

開港当初から関わりが深く、現在もフォトコンテストの審査員などの仕事で富士山静岡空港に頻繁に立ち寄るというチャーリィ氏。

「いろんな空港がありますが、富士山静岡空港の展望台では来場者をサポートする“デッキコンシェルジュ”が活躍していることもあり、愛好家に対して優しい空港だと思います」

また、富士山静岡空港は外国人観光客の搭乗者数が現在全国8位。地方空港としてはよく健闘している。「時々、ラッキーエアなどの、とっても珍しい飛行機が飛んでくるのも愛好家にはたまらないですね」。

ラッキーエア(雲南祥鵬航空)とは中国雲南省昆明を拠点とする格安航空会社(LCC)。

めったに見られない機体に加え、カラーリングもおしゃれなので遠方から駆け付けるファンも多いそうだ。

続けて世界のおもしろ空港の話へ。ロッキー山脈を意識した、テントで作られたデンバー国際空港(アメリカ)、溶岩台地に建てられた出発ゲートがオープンエア(壁や仕切りがない)のハワイ島のコナ国際空港(アメリカ)、レストランやカフェと隣り合わせにスロットマシンが並んだラスベガスのマッカラン国際空港(アメリカ)。

管制塔もなく燃料もパイロット自身が入れなければならない砂漠の中のデスバレー空港(アメリカ)。空港の中に国境があるユーロエアポート・バーゼル=ミュルーズ空港(フランス)。

この空港はフランス領にありながらスイス・バーゼル市の主要空港として機能している。

「空港の中のラウンジも素晴らしいものがあります」。

チューリッヒ空港(スイス)にあるラウンジの世界一長いバーカウンター、ロンドン・ヒースロー空港(イギリス)にあるヴァージンアトランティック航空のラウンジ内には美容院やビリヤード施設も。

ターミナルのエキゾティックなインテリアが印象的なエティハド航空のアブダビ国際空港(アラブ首長国連邦)にはシャワーにバーカウンター、アラビック料理満載のふたつのラウンジがある。

尽きない夢と目標。行ってみたいのは南極やサモア。

ユニークな写真やユーモアあふれる撮影秘話と苦労話が一通り終了すると参加者からの質問タイムへ。数多くの質問が寄せられたがここではその一部を紹介。

Q1.最も危険を感じた空港は?
「安全には配慮しているのでそういう機会はあまりないのですが、敢えていうなればパリとロサンゼルスです。パリのシャルルドゴール空港は基本的に撮影禁止なのですが、夢中で写真を撮っていて、気づくとマシンガンを抱えた人たちに取り囲まれ、パスポートも没収、拘束されてしまいました。ロサンゼルスでは目の前で借りていた車の窓ガラスを割られて中の物を持ちだされ、追いかけたところ銃を突き付けられたのでそのまま諦めました。とはいえ、これは特殊な例だと思うので怖がらずに、でも無理しないでいろんな空港へ出かけてみてください」

Q2.これから行ってみたい場所は?
「ぜひ行ってみたいのは南極です。それからサモア。ここには体重によって料金が変わるエアラインがあるのでぜひトライしてみたいです。 あとはモルディブ。いい写真が撮れそうな環境のホテルは最近値上がりして…。でも、いつか行ってみたいです」

Q3.初心者が撮影しやすい空港は?
「日本国内の空港は展望デッキがあるので、そちらがいいと思います。アメリカには残念ながら展望デッキがある空港は一つもありません。アジアでは香港、ヨーロッパではアムステルダム、フランクフルト(夏季のみ)。スイスには滑走路のバスツアーがある空港もあるのでおすすめです」

Q4.航空写真を撮るとき使用するフィルターは?
「基本的に順光の場合PLフィルターのみです。PLフィルターとはコントラストを強調するフィルターで、強すぎると濃い写真になってしまうので注意が必要。逆光のときは露出を調整します」

Q5.現像ソフトは使用しますか?
「ほぼ撮って出し(加工なし)です。もともとフィルムレンズでバッチリ決めて撮るように鍛えられたのであまり使用しません」

Q6.最後にチャーリィ氏のこれからの夢・静岡バージョンを聞かせてください!
「今年5月富士山静岡空港に航空グッズ専門店『Runway Shop“FSZ”』がオープンしました。そちらの店内にチャーリィ古庄コーナーができる予定です。おもしろいものを提供できたら嬉しいです」

講師紹介

チャーリィ古庄(ちゃーりぃ ふるしょう)
チャーリィ古庄(ちゃーりぃ ふるしょう)
航空写真家
1972年東京都生まれ、旅客機専門の航空写真家。世界で最も多くの航空会社に搭乗したギネス世界記録を持つ。主に国内外の航空会社、空港などの広報宣伝写真撮影、航空雑誌の撮影、カメラメーカー主催の航空写真セミナーの講師なども行っている。旅客機関連の著書、写真集は20冊ほどあり。最新刊は「びっくり飛行機で行く世界紀行」(イカロス出版)がある。Canon EOS学園航空写真教室講師。ANAのFacebookの飛行機写真やANAマイレージクラブの航空写真セミナー講師を務める。
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