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イベントレポート

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2015年9月12日(土)10:30~12:00

中許 竜宏、前川 貴宏 / 私立湘南学園小学校教諭

考えるっておもしろい! ~授業であそぼう~

学校のお勉強はちょっと苦手、というお子さまも多いのではないだろうか。でも本当は、「分かること」 「学ぶこと」って、うれしくて楽しいこと。本セミナーでは、2つのあそびをとおして、自分で考えて理解することの楽しさを、お子さまたちに体験していただいた。講師は、現役の小学校の先生たち。
たくさんあたまを使って、「授業」を楽しもう!

絵本と手作りおもちゃで遊びながら考える

藤沢市鵠沼にある私立湘南学園から、現役の先生を招いて行なわれたセミナー。幼稚園の年中から小学校低学年のお子さまを対象に、「考えること」の楽しさを伝えていく。

まず1時間目は「絵本の世界を楽しもう」として、前川氏が、『びゅんびゅんごまがまわったら』(宮川ひろ 作・林明子 絵)という絵本を読み聞かせする。子どもたちだけ前川氏のまわりに座ってもらい、おはなし会がスタートした。

びゅんびゅんごまとは、厚紙にタコ糸を通した素朴な手作りおもちゃで、糸をリズミカルに引っ張ることで厚紙がクルクルと回るとともに、びゅんびゅん、ブンブンと面白い音がする。小学校の図工の時間や、学童などで作るので、「知ってるー!」と子どもたちにもお馴染みだった。

ある日のこと、学校の遊び場で、男の子がケガをしてしまう。以来、遊び場にはカギがかけられてしまい、子どもたちは自由に遊ぶことができなくなった。不満を言う子どもたちに、校長先生は、「びゅんびゅんごまが回せたら遊んでいいよ」と条件を出す。一生懸命練習して、やっとできるようになった子どもたちが、校長先生のところに行くと、先生はひとつだけではなく、ふたつ、みっつ、そしてよっつと、こまを同時に回してみせ、子どもたちは「かなわない…」とがっかり…。果たして子どもたちは、遊び場を開放することができるのか?

あまのじゃくな校長先生と、子どもたちが、びゅんびゅんごまや竹馬、草笛など、昔ながらの手作りおもちゃをとおして心を通わせていく、ほのぼのと楽しい内容に、セミナーに参加した子どもたちもすっかり緊張がほぐれた様子で、「僕もふたつ回せるよ」「草笛吹けるよ」と声も上がる。

「それでは、皆さんにびゅんびゅんごまをプレゼントしますので、ちょっと回してみましょう」と、ひとりにひとつ、先生たちが手作りしたびゅんびゅんごまが配られる。両手を使って回せたら、今度は足にひっかけて回して、同時にふたつをリズミカルに操る子もいた。

前川氏もお手本を披露。両手、両足、右手と右足、左手と左足、と、なんと4つのこまを回すことに成功!会場から大きな拍手が起こり、「先生、できるかどうか緊張して…よかった!」という前川氏の言葉に笑い声も起こった。

「びゅんびゅんごまに色をつけると、回転によって色が変わったりします。自分で『どうしてこうなるのかな』と考えながらこまを作ったり、回す練習をしたりすると、いろんな発見があると思います。お家に帰ってやってみてくださいね」

「シロクマくんゲーム」で「わかった!」瞬間の喜びを感じよう

2時間目は、講師を中許氏にバトンタッチして、机の上で考える授業を。最初は、「保護者の方も一緒に考えてください」という「シロクマくんゲーム」。サイコロを3つ同時にふり、出た目によって、「シロクマの数」「エサを食べられるシロクマの数」を当てていく。どういうルールで「シロクマ」と「エサを食べられるシロクマ」をカウントしていくのかを考えるゲームである。

サイコロの目が「4」「3」「1」が出た。「ここにシロクマくんは全部で6頭います。エサを食べられるのは2頭です」
「2」「3」「5」が出たときは、「シロクマくんは8頭います。エサを食べられるのは6頭です」
サイコロの目が変わる度に、シロクマの数と、エサを食べられるシロクマの数が発表される。子どもたちは思いつくままに「わかった!」「10頭!」と発言していくが、保護者たちは考え込み、どんどん真剣な表情に。ここで中許氏がヒントをくれた。

「シロクマのエサはアザラシです。シロクマは、アザラシが氷の裂け目から顔を出した瞬間を狙っています。これが大ヒントです」

サイコロの目は「5」「1」「2」が出た。「ここにいるシロクマくんは6頭です。エサを食べられるシロクマは4頭。そして“エサ場”は2個あります」

このあたりから、「わかりました!」という保護者が出てきて、解答を中許氏に耳打ち。「正解です!」の言葉に、「おおーっ!」と会場から拍手が起こる。

「わかった瞬間って、本当に楽しいですよね。その感覚を忘れないでほしいんです。子どもたちは、これから勉強でも人生においても、つまずいたり、わからないことにぶつかることがたくさんあります。大切なのは、そこで考えることをやめないこと。そして、そのときに保護者が一緒に考えてあげることです」

単純なルールだけれど、自分自身で発見したときは、大人も子どもも関係なく嬉しい。この喜びが、考えることの楽しさなのだと実感した。

いろんな形を組み合わせて考える「キューブであそぼう」

最後は、「キューブであそぼう」。小さな立方体を数個ずつ貼り付けて、長方形や凸型、L字型などにしたものを使って、さまざまな形を作っていくパズルだ。6個入りでワンセットになったキューブが配られ、子どもたちは興味津々。早速積み木のように積み上げたり、並べたりしている。

中許氏がプロジェクターに「いす」「バス」「やま」といった形を写し出していき、子どもたちはキューブを使ってそれを再現していく。平面だった問題が、だんだん階段のような立体となり、難易度が上がっていったが、「ヒントちょうだい!」「わかった!」「できた!」と、元気な声が会場に響いた。子どもと保護者が一体になって考えることを楽しんだ、充実したセミナーとなった。

子どもたちが「わかった」と目を輝かせる楽しい授業を目指して、ユニークなカリキュラムを展開している湘南学園小学校。「お子さま方の未知なる可能性を引き出せるように」というのが、中許氏、前川氏ら、先生たちの願いだ。

講師紹介

中許 竜宏、前川 貴宏
中許 竜宏、前川 貴宏
私立湘南学園小学校教諭

中許 竜宏(写真左)
4年生理科を担当。入試広報主任。
グラウンドを走り回り、何事にも一生懸命に立ち向かう。人への優しさや人との出会いの大切さを教えている。いつになっても教え子たちが戻ってきてくれるような先生になるのが夢で、日々、笑顔を忘れず、子どもたちと共に歩んでいる。

前川 貴宏(写真右)
読書指導やコンピュータの使い方などを学ぶメディアという授業を担当。1年生から6年生まで全クラスの子どもたちと関わりをもつ。忘れられない一冊に出会ってほしいと、読書に親しむことや、これからの時代に必要な情報活用能力を育てることを目指して、日々奮闘している。