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イベントレポート

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2015年10月17日(土)14:00~16:00

殿村 政明(とのむら まさあき) / 笑伝塾 塾長

コミュニケーションに困らない人とは?
~相手も自分も明るくなる 3つの法則~

「笑いには『センス』と『スキル』の2つの要素があり、『スキル』の部分を身に付けることにより、実践的なコミュニケーション力が向上するのです」と語る笑伝塾塾長の殿村政明氏。同塾の狙いは「仕事に笑いやユーモアのエッセンスを取り入れる事でコミュニケーションを円滑にして、仕事も人生もハッピーにする」というもの。今回は笑いのプロからトップセールスマンになった殿村氏をお招きし、10年の歳月をかけ笑いを科学し開発した、誰でも身に付く教育プログラムについてお話しいただいた。相手を喜ばせるための笑いのスキルは『人間力アップ』につながる。人間力をアップさせたいという思いを持った多くの人が集まった。

「コミュニケーションを“さぼって”ませんか?」

「はい皆さん、こんにちは!ベビーフェイスとのむらです!」という第一声とともに笑顔で登場した殿村氏。吉本興業の所属タレントとして活躍し、芸人を引退後、ハウスメーカーでサラリーマンに。コミュニケーションスキルの重要性を身をもって知ったという。コミュニケーショントレーニング塾『笑伝塾』を開講して以降は、個人だけでなく、企業や自治体などの研修にも引っぱりだこだ。

「今日やることは、簡単な話、『コミュニケーションを“さぼって”ませんか?』ということ。これは笑わせる手前の部分です。家に帰って嫁さんの話にノーリアクションになってませんか?相手に対して心の壁を閉じてしまっていませんか?」

殿村氏によると、コミュニケーションに必要なのは「相手をリラックスさせること」。「あなたに対して緊張していませんよ」という雰囲気を出すことがまず重要なのだという。

「プライベートでも、ビジネスシーンでもそうです。大人になって『自分、人見知りなんですよ』とか『お客さんの前で緊張しちゃって』とか言うてたらダメです」

コミュニケーション上手=話上手、では、けっしてない。その証拠として殿村氏は、ハウスメーカー時代に営業成績がよかった“大久保さん”のエピソードを挙げた。大久保さんは、お客さんの前で自分が一方的にしゃべるのではなく、相手の話を聞きながら、ちょっとだけ、自分自身に関する失敗談などを話す。そうしているうちにだんだんと、お客さんの方から打ち解けてきて、「実はうちのキッチンね…」「予算は…」と、“勝手に”営業話が始まってしまうのだという。

「売り急ぐことは、相手の心を閉じること。大久保さんは引き出し上手だったんです。それから、最近多いパターンなんですが、丁寧なだけ、真面目なだけ、というのも、案外クレームがきやすいですね。コミュニケーションというのは、相手との温度差があると、うまくいかない。相手をリラックスさせ、さらにそこに笑いのエッセンスを入れていければ、コミュニケーションはもっと円滑になります」

「こんにちは!」で笑いのスキルアップを目指せ

笑い、と聞くと、センスの問題のように思ってしまうが、殿村氏は「センスだけでなく、スキルも必要。そしてスキルはトレーニングで身に付けることができる」と言う。そこで、実際に『笑伝塾』で行なっている、笑いのスキルアップのためのプログラムを参加者全員でやってみることに。まずは「表情&言い方トレーニング」。

「感情を込めて『こんにちは!』と言ってください。ポイントは“アホになる”こと。かっこつけない。よーい、スタート!」

参加者は全員立ち上がって、隣の人とペアになり、相手に向かって「こんにちは!」と言う。知人同士のペアも、たまたま隣に座った初対面同士のペアもあるが、大きな声で何度も「こんにちは!」「こんにちは!」を繰り返す。

「『こんにちは!』と言った後、その表情をすぐにやめたらダメですよ。『もっとあなたとしゃべりたいわ』という余韻を残す。“好き好きビーム”を根拠なく出してください。ただし、ふざけてはいけません。相手をイラッとさせてしまいます」

「こんにちは!」のほかにも、「うまっ!」「久しぶり」「ただいま」「おかえり」と、言葉を変えてトレーニングは続く。無表情で言ってみたり、感情を込めて言ってみたり、声のトーンを上げたりと、さまざまな言い方を試すうちに、会場全体がだんだんと楽しそうな雰囲気になってきた。

ある参加者は、「どうでした?」と感想を聞かれて、「疲れました」と答えた。

「疲れた、ということは、ふだんコミュニケーションに力を使ってない証拠です。これも場数です。まずは、いつもの挨拶の声のトーンを上げていくこと。相手に挨拶されてからではダメですよ。先に言われたら負けだ、というくらいの気持ちで挨拶してください。大事なのは“アホになること”、つまり“オープンマインド”であることです」

リアクションは、相手を思いやるマナー

次は、「リアクション」のトレーニング。教材として、あるバラエティ番組の一場面がプロジェクターに投影された。お見合いパーティで、事前にビデオレターを見て男女ともに一番好意を抱いていた、いわゆる相思相愛だったにもかかわらず、実際に話してみると、積極的に話しかける女性に対して、男性のリアクションが悪く、結局ふたりは結ばれなかった、というエピソードだった。

「この男性は、けして悪気はないんです。彼なりに、女性の言葉に反応しているつもり。でも、相手には伝わらない」

ここで『笑伝塾』のスタッフがペアとなり、雑談のシミュレーションを披露。ひとりが名前や出身地、好きな食べ物、昔好きだったアイドルについて語る。聞き役の方は、最初は無表情で「はあ」「そうですか」を繰り返すだけ。2度目は、「へえーそうなんですか!」「僕も大好きです!」と、大げさなほどのリアクションで会話する。もちろん、2度目のほうが話は盛り上がっている。

「よく、雑談が苦手だという人がいますが、相手の話を映像化して、『あーおいしそうですね!』『わーそれ嫌ですね…』と、自分の共感した感情を最大限に表現すると、話が続きます。リアクションは、あなたの話を聞いていますよ、というシグナル。相手を思いやるマナーです」

リアクションは“親切”、ノーリアクションは“不親切”だと殿村氏は言う。相手が何をしてほしいか、言ってほしいか、気づいてあげることだと。それは、テクニックうんぬんよりも、「よく観察していればわかる」と。

また、「人に好かれようとするのではなく、自分から相手のことを好きになる努力をしてみる」ことの大切さを力説。「好かれるために人に合わせようとしても、いつかはうまくいかなくなる。自分を出していけば、人と合わないこともあるけれど、いずれは、理解してくれる人が増えてくる。自分から人を好きになる努力をしながら、同時に嫌われる勇気をもつことも必要なんです」

冒頭の「コミュニケーションをさぼってませんか?」という問いかけがよみがえる。コミュニケーションの本質とは、相手を大切にする気持ちであり、それを伝えようと行動をすること。笑いのスキルは、その次のステップなのだ。

「人はひとりでは生きていけませんから。おせっかい講座でした」という殿村氏のまとめで、セミナーは終了。厳しい言葉と楽しいプログラムで、コミュニケーションの真髄を教えられた、濃い2時間となった。

講師紹介

殿村 政明(とのむら まさあき)
殿村 政明(とのむら まさあき)
笑伝塾 塾長
1968年兵庫県明石市生まれ。19歳でオール阪神巨人に弟子入りし、その後笑いを極めるべく吉本総合芸能学院に「NSC11期生」として入学。500組中5組に選抜され、ダウンタウンがデビューしたことでも知られる「心斎橋2丁目劇場」で5週勝ち抜き、吉本興業の所属タレントに。同期にはケンドーコバヤシ・陣内智則・中川家・たむらけんじなど。1997年に芸人を引退後、ハウスメーカーの営業マンになり、笑いを交えたトークを武器に3か月間で全社営業トップに上り詰める。その後、数社を起業し、2007年、10年の歳月をかけて「笑い」のメカニズムを科学。一般人が習得できる教育プログラムを開発し、コミュニケーションスキルアップを目的とする研修会社(株)ヒューマンコメディックスを設立し、自身が塾長を務める、コミュニケーショントレーニング塾『笑伝塾』を三軒茶屋に開校。2012年からは個人だけでなく、企業や自治体、教育機関など様々な業界からの依頼を受け、全国で講演・研修を実施。笑いのコミュニケーション講演・研修・笑伝塾の参加者は毎年2万人を超える。また、NHK『めざせ!会社の星』に講師として出演し、2012年のベスト企画に選出される。2015年オフィスと塾を三軒茶屋から海と山の自然に囲まれた鎌倉に移転し、現在に至る。