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イベントレポート

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2015年10月23日(金)19:00~21:00

小竹 めぐみ(こたけ めぐみ) / 合同会社こどもみらい探求社共同代表・NPO法人オトナノセナカ代表理事

男性限定!パパノセナカ~パパだけ男対話~

「パパのセナカ」とは、パパたちだけで行なう"飲み学び"。誰かに聞いてみたかった、ずっと知りたかった「子育て」や「家族」に関するあれこれを、お酒を片手に楽しみながら語り合い、学び合う「子どものために大人が元気であること」を大切にするNPO法人オトナノセナカの大人気コンテンツだ。独身から夫婦の2人になり、夫婦から子どもを授かり家族になると、ひとりで自由に過ごす時間も限られてくる。仕事が終わってほっと一息もつかの間、家に帰ると子どもたちのお世話やお話・お遊びの時間・ママとの対話・家事など...パパだって色々あるさ!!!を同じ子どもを持つパパ同士で共有しよう。普段は言えないパパたちの想いを語り合う時間となった。

金曜の夜に開催されたパパたちだけの“飲み学び”

NPO法人オトナノセナカは、「子どもも大人も凸凹(違い)を認め合える社会を目指して」を理念に、さまざまなイベントを企画・開催している団体。代表理事を務める小竹氏は、「フリーランス保育士」の肩書きも持っている。保育士として園に6年間勤めた経験から、「子どもが幸せになるためには、大人がまず幸せでなければ」と気づき、活動を始めたという。

「オトナノセナカは、対話を通して、多様性と自分らしさに出会う場所です。今回の『パパノセナカ』は、ママに比べてなかなかつながりを作りにくいパパたちに向けた企画。平日の夜にふらっと立ち寄れる、パパによるパパのための新しい“飲み学び”の時間です」

男同士で、子育てのこと、夫婦のこと、家庭のことを語り合う対話型ワークショップ「パパノセナカ」は、東京、大阪、神戸などの各地で開催され、好評を博している。湘南地区初開催となる今回は、間もなくパパになるというプレパパ1人を含む8名が参加。4人ずつ、2つのテーブルに分かれて座る。

過去に何度も「パパノセナカ」に参加したというリピーターのパパが音頭をとり、持参のお酒やワインなどで乾杯。各テーブルで自己紹介をすることに。ただし、小竹氏からお題が。「お名前と、お子さんの年齢と性別、それから奥様の自慢をひとつ、お願いします」

「男3人兄弟です」「上の子が反抗期で」「4歳なんですがイヤイヤ時期に入ってきて」など、子どもの年齢も兄弟姉妹構成もバラバラなパパたち。奥様自慢では、「しっかりしている」「文句も言わずに子育てを頑張ってくれている」「結構かわいいんですよ」などと、ちょっとした自慢(ノロケ?)合戦になっていた。

夫婦間の「言葉」と「行動」について振り返ってみる

すっかり打ち解けたところで、小竹氏から本日のテーマが発表される。

「本日は、“夫婦の会話”について考えていきます。そのために、ふたつの質問をしますので、その答えを、お手元の紙に書いていってください。書き上がったら、テーブル内で発表し合いましょう」

夫婦で普段交わしている言葉を、時間をかけて思い出しながら答えを書き、グループごとで読み合わせし、代表者が発表する。「うんうん」と共感する部分、「へえー」と感心したり驚いたりする部分があり、夫婦の会話について、パパたちはそれぞれに思うことがあったようだ。

「言葉」の次は「行動」について考えてみる。家事に関することや、子どもとの関係性を含めた父親としての行動など、自宅での自分の姿を振り返る時間だ。パパたちの発言から、各家庭、各夫婦の関係性が窺い知れて興味深い。

「それでは、ここからはアウトプットタイム。女人禁制の“男対話”を始めましょう」

小竹氏は、「対話するときに大切にしたいこと」として、「聞く」「伝える」「自分と違う意見を否定しない」「沈黙も対話の一部として大切にする」「もやもやする感情に気づいたら、それは自分自身を知るチャンス」、そして「どんどん脱線してください」と言う。さらに、「話す人を可視化するため」に、各テーブルに貝殻を用意。発言者は、この貝殻を手に持って話し、終わったらまたテーブルの真ん中に戻す、というルールをつくることで、人の話を意識して聞けるようになるのだという。

貝殻を順番に手にしながら、パパたちの“男対話”が始まった。各テーブルには大きな紙が用意されており、気づいたこと、感じたことはそこにメモをしていく。

「今日あったこと、をお互いに話すことは大事」「うちは妻も仕事をしているので、それぞれの仕事の話を」「子どもの勉強について意見が食い違ったことがあって…」「お金のことも話したほうがいいと思うんだけど…」と、夫婦の会話について、さまざまな意見が出る。「パパ」という立場以外は、年齢も仕事環境も子育て方針も異なる、初対面のメンバーだからこそ、普段は言わない本音も出せるのかもしれない。

テーブルのメンバーを半分入れ替えたり、まだ話していない人とペアになったりして、さらに“対話”は続く。話したことのポイントは、テーブルの上の大きな紙にメモしていく。他の人が書いたメモを見ることで、話はふくらんだり脱線したりしながら、盛り上がっていった。

対話の後でわき上がった感謝の気持ち

「対話を通じて、なんとなく見えてきたものがあったのではないかと思います。まとめとして、“答えのようなもの”を、紙に書いてください」

今日話し合ったことについて、「これが正解だ」という答えがあるわけではない。しかし、何かしら“答えのようなもの”を出すことは、自分の立ち戻れる場所を作るために、必要なことだと小竹氏は言う。「人生は、答えのない問いだらけですから」

書き終わったら、テーブルをつなげて、小竹氏も含めて全員が輪になって座り、ひとりひとり発表。パパたちが出した“答えのようなもの”は、「お互いを認め合って思いやる会話」「ママの育児の貢献度を考える」「相手の価値観、性格、タイプをふまえた会話」「ママの感情を想像する」「ありがとう、という感謝の気持ち」といった、育児に奮闘する奥様のことを尊重した言葉が並んだ。

最後に、今日の感想を述べ合う。
「自分は普段から子どもに関わっているほうだと思うが、パパたちには子育てに関する温度差があり、なかなかここまで濃い話ができる機会はない。ここは温度が高い(笑)」
「愚痴を言い合う会なのかと思って参加したが(笑)、奥さんに対して肯定的な話が多くて意外だった。うらやましい話をたくさん聞きました」
「父親としての経験談を求められるのかと思っていて、自分は子どもが3人いるので少しは自信があったが、テーマがまさかの夫婦のことで驚いた」
「第2回は居酒屋でやりましょう(笑)」

「家に帰ったら『ありがとう』って言わなくちゃ」というひとりのパパの言葉が、今日の対話の何よりの成果となった。

「『オトナノセナカ』は、人間向けメンテナンスです。自分自身のメンテナンスと、関係性、チームとしてのメンテナンス。このふたつのメンテナンスの意識が持てると、煮詰まったときにいい」と小竹氏。

「すごい先生を見つけるよりも、身近にいる人と対話をすることで、いろんなことを気づいていけたら」。セミナーを終えて帰宅するパパたちの背中が優しく緩んでいたのが印象的だった。

講師紹介

小竹 めぐみ(こたけ めぐみ)
小竹 めぐみ(こたけ めぐみ)
合同会社こどもみらい探求社共同代表・NPO法人オトナノセナカ代表理事
保育士として園に6年勤めた後、独立。世界の家々を巡り、家族の多様性を学んだ経験も活かし、子どもがより良く育つための”環境づくり”を生業とする。
現在、オトナノセナカでは、自分自身・家族・職場などの関係性をよくするために、“対話のある暮らし”を広げることを推進している。探求社では、様々な企業や家族と、子ども・子育て・家族に関わる企画・開発をする等、他分野に渡ってコラボレーションをしている。関東・関西を中心とした日本全国を飛び回っている。