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イベントレポート

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2015年11月19日(木)19:00~21:00

西 加南子(にし かなこ) / 自転車競技(ロードレース)選手

男性も必見!プロロードレーサー・西加南子さんと今シーズンを振り返る「女子サイクリングトーク第2弾」

現役プロロードレーサー女王の西加南子さん(LUMINARIA所属)。「女は年齢じゃない、肌と筋肉だ!」をモットーに強さと美しさを兼ね備え走り続ける西加南子さんに、LINKAGE CYCLINGの"サイクリング大好き"石井美穂さんと"初心者&運動音痴"の佐野朋子さんが、一般女性からの目線でインタビュー。
今回は今シーズンの活動からレースの裏話、来シーズンの抱負、前回のトークイベントで聴き足りない話まで、プロのロードレースの世界を語っていただきました。

シーズンのスタートは沖縄でのトレーニング

4月につづいて第2弾の開催となった「女子サイクリングトーク」。今回もリンケージサイクリングのスタッフである石井美穂さんと佐野朋子さんが、プロ自転車選手である西加南子さんを囲んで楽しい女子トークを展開。2時間のセミナーはリンケージサイクリング代表の田代恭崇さんを司会に、前半が西氏の今シーズンを振り返る「女子サイクリングトーク」、後半は質問タイムとワインを飲みながらの懇親会という形で進行した。

まずは画像を見ながら西さんの今シーズンの活動を紹介。毎年、春先は花粉症から逃れるために「沖縄でアパートを借りて一人暮らしをしている」という西さん。今年も1月から4月半ばにかけて沖縄で過ごしていたという。雑務に追われない沖縄での生活は自転車に乗ることと食べることが中心。ナショナルチームのメンバーでもある西さんの場合、この時期から「乗りこんで」いないと2月から行なわれる海外のレースに間にあわないため、「食べるのを楽しみにしつつトレーニングをハードにしている」という。
2月にはタイで行なわれたアジア選手権に遠征。ここではアジア選手権では初というナイトレースで繁華街のクリテリウムに出場。ゴールスプリンターの役目を担っていたものの、「途中から日本選手が二人になり、それぞれの役割が中途半端になってしまった。さらにゴール手前で落車が起こり、それを避けて先頭集団から離れて17位でゴール」という結果に終わった。日本帰国後は休む間もなくその夜の便でニュージーランドに渡航。ここでのレースの2日目に前回のトークでも話題となった「顔の怪我」を負うことになる。この怪我は「今も治療中」。結果を言えば、今シーズンはこの怪我が最後まで影響することとなってしまったという。

6月には「苦手なヒルクライム」である『栂池高原ヒルクライム』で4位、『富士山ヒルクライム』で7位。勾配のきついこうしたレースは「自分へのノルマ、修行ですね」。

ヒルクライム直後に行なわれた『全日本選手権』は「体調も回復してきていて優勝を狙っていたけれど、ラストのスプリントがかかったときに前の4人につけなくて5位」。
「このコースは試走を重ねていて勝負どころもわかっていたんですけど、後続の集団が接近していることに気づいて、余裕がないのに先頭に出て足を使ってしまったんですね。気持ち的にも余裕がなく、よれよれになって5位に終わりました」

怪我で不調だった今シーズン。来年の目標は「全日本選手権の表彰台」

つづく7月の『石川ロードレース』も5位。同月26日の『湾岸クリテリウム』は路面温度40度という灼熱の中でのレース。あまりの暑さに直前まで冷房の効いた商業施設に避難することに。当初は「スプリントになればいただき」と思っていたが、暑さに勝てず力が入らなくて、やはり5位というリザルトに終わる。

8月の『みやだヒルクライム』は6位。翌日に開催された『みやだクリテリウム』は3位。9月の『経済産業大臣旗』は6位。なかなか順位に恵まれないなか、夏場は毎年恒例の「体をつくりなおすトレーニング」を敢行。シーズン途中であったが、ウェイトトレーニングをしっかりと取り入れる。
このトレーニングの目的は10月の『ジャパンカップ』。昨年優勝したこのレースではもちろん優勝を狙っていたという。それが今年は台風でコースが短縮。「休みどころがなくなった」ためスプリンターの西さんには結果的にきついコースとなった。写真を見ると、トップ集団を形成しているのは「レースの5日前まであった全日本の合宿のメンバーばかり」。互いに誰がどれだけ走れるかわかっているため、最初からある程度結果は見えていた。
「1位から6位まで、やっぱり合宿で強かった順。私は6位。これがこのときの力でした」

こうしたレースのときは、トップを走る選手はお互いを「牽制する」のが常。牽制とは、「集団の中で相手の動きを見てスピードを落としたり、自分の力を温存して勝負どころまでとっておく」こと。レース中は「すごく遅いときもあれば、一気にスピードがつくときもある。そのスピード差につくことが大事」だという。逆にペースが遅いときなどはベテラン選手同士だと「レースに関係のない話」をしていたりもするという。
「『あそこで応援していた人、前にも見たね』とか。『この間あそこに行ったんだよ』とか。あとは話さないときでも、『あ、このサドル使っているんだ』と他の選手のギアを見たりもしています」

怪我が祟って全日本以外は体調の思わしくなかった今シーズンの西さん。来年の目標は「全日本でもう一度表彰台に上ること」だ。
「来年は45歳になっていますから、その歳で表彰台に乗ったらちょっとした記録ですね」

沖縄で、オーストラリアで、サイクリングを楽しむ

ここまではレースの振り返り。では、プロ選手はその他の時間は何をしているのか。トークではゲストライダーとして参加した『ツール・ド・おきなわ』やその前日に開催した「女子限定」の「お茶会」などの模様を紹介。「サイクリング」として走った『ツール・ド・おきなわ』では「レースではできないことをしよう」と、朝食はあえてジャンクなファーストフードを選択。3か所のエイドステーションでもノルマのように出ているものを全部食べたり、アイスクリーム屋を見つければやはり自転車をとめたり、途中できれいな場所を見つけるとカメラを向けたり、とファンライドを堪能した。

2001年から2006年までは毎年オーストラリアに行っていたという西さん。このセミナーでは地元のサイクリングクラブのメンバーとの交流や広大なオーストラリアの自転車事情についても語っていただいた。現地でももちろん自転車は大人気。日本人との違いは「体形を気にしないで恥ずかしがらずにレーサーパンツを履くところ」だという。オーストラリアでのサイクリングはワイナリーを巡ったり、カンガルーと並走したりといった日本にはないもの。いつかはそこを舞台に「女性だけのツアー」を開催したいという。

後半は質問コーナー。「レースに向けての気持ちの持っていきかた」や「男性サイクリストにしてほしいこと」など、いくつかの質問に西氏だけでなく、石井さんや佐野さんにも答えていただいた。

西さんの「夢」は「活動的な老人が集まったウェイトトレーニングジム付きのケアホームを自分でつくること」。
「宝くじが当たったらつくりたいですね」

講師紹介

西 加南子(にし かなこ)
西 加南子(にし かなこ)
自転車競技(ロードレース)選手
静岡県掛川市出身。静岡県立掛川西高等学校卒業後、日本大学短期大学部入学。その後、二松学舎大学に編入。大学卒業後、本格的に自転車競技を開始し、初出場となる全日本自転車競技選手権大会では7位。2009年全日本自転車競技選手権大会優勝。2010年ジャパンカップオープン女子優勝。2011年ジャパンカップオープン女子優勝(2連覇)2014年ジャパンカップオープン女子優勝。

石井 美穂/ 佐野 朋子(トークパートナー)

アテネオリンピックプレーヤー田代恭祟さん率いるLINKAGE CYCLING(リンケージサイクリング)のスタッフ、石井美穂さんと佐野朋子さん。サイクリングパートナーとして、日々、自転車の楽しさを初心者サイクリストに伝播している。