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イベントレポート

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2015年11月21日(土)10:30~12:00

小竹めぐみ、小笠原 舞 / こどもみらい探求社

子どもの力がぐんぐん伸びる遊び方講座!〈0~3歳編〉

子どもの力を伸ばす遊びには、ちょっとしたコツとボイントがあるのだそうだ。「子どもとどう遊べばいいの?」「どんなおもちゃを買えばいいの?」 そんなハテナにお答えしながら、楽しく学ぶ親子のための90分!内容は「遊びの必要性を知る」「玩具のいろいろ」「現代の落とし穴」「関わり方のコツ」など。人気の講座に、0~3歳の子どもたちと親が集まった。

子どもの遊びは、物事を深く探求する時間

「子どもの世界と大人の社会のかけ橋に」と、保育や子育て、家族をテーマにさ まざまな活動をしている「こどもみらい探求社」。今回は3歳までの乳幼児と、その保護者を対象に、“遊び方”を考える。d-labo 内は、大人が集まって座る椅子スベース、子どもたちが遊べる大きなマットが敷かれたスベースと、2つに分けられており、子どもたちは場所に慣れるまで、マットの上で親と一緒に遊ぶことに。

この日は、現役保育士と、保育士を目指して勉強中の大学生が、「おやこパートナー」という子どもを見守る助っ人としてお手伝いに来てくれていた。紙皿や紙コッブ、新聞紙、アルミホイルなどの日用品や、自然の物であるまつぼっくりがおもちゃ代わりに置かれており、子どもたちは和やかに遊んでいる。

まずは、大人同士3~4人で集まって自己紹介。年の近い子どもをもつ親ということで、すぐに話がはずみ、打ち解けた雰囲気に。
「今日は、いくつかのワークを行ないながら、子どものこと、遊びのことを考えていきたいと思います」
テーマに沿った質問を受けて、それに対する答えを紙に書き、発表する。日々 を振り返りながら考え、それを参加者同士共有することで、さまざまな気づきを呼び起こすのが、こどもみらい探求社を主宰する小竹氏と小笠原氏が提案するワークである。子どもと大人の違いは?子どものどんな遊びを見たことがある?そのときに子どもたちはどんな表情をしていた?参加者からはさまざまな意見が出た。

「子どもにとって、遊びは“探求”の時間だ」と小竹氏は言う。「保育園に勤めていたとき、『折り紙しましょう』と言うと嫌そうな顔をする子もいました(笑)。工作、お絵かきなどもそう。子どもにも、遊びに対する「好き・嫌い・得意・不得意」があります。いわゆる“子どもの遊び”が全て、必ずしもその子にとっての“遊び”の時間にはならないんじゃないか、と思ったんです。何を“遊び”と感じるかは、その子によって違うんじゃないか、と」

たとえば「ただ白線の上を歩く」「ちょっとした出っ張りをずっと触っている」など、日常のなかで、子どもが関心をもって集中しているときがある。それが、子どもにとっての“遊び”なのだと小竹氏は説明する。「そういえばお椀を出しては並べ、またしまう、というのを延々やっていた」「無心でトイレットベーバーを全部出した」など、参加者からもユニークな探求の場面が挙がった。

遊び=おもちゃ、ではない?現代ならではの落とし穴

子どもの遊びというと、すぐにおもちゃを思い浮かべるが、「おもちゃを買い与えるのではなく、身の回りにあるもので代用しては」と小竹氏。確かに、今日も子どもたちは、紙コッブを積んだり、新聞紙をビリビリと破ったり、アルミホイ ルをクシャクシャにしたりして楽しんでいる。

「積む、見る、書く、叩く、挟む、つまむ、引っ張る...子どもたちは、こういうことを全力でやっています。保育園で、床のあちこちにビニールテーブを貼って、その角をちょっと剥がしておく、ということをよくやっていたのですが、子どもたちは集中して剥がして回っていました。なるべく、身近にあるものを活 かす。自分だけで考えず、協力してもらうのもいいと思います」
小さな子どもには、時間の概念がなく、「あとで」「また明日」と言われても理解できない。彼らは今、この瞬間しか見ていないから、大人の時間の都合で遊びを始めたり、切り上げたりすることは難しいのだ。だからこそ、いったん遊びに集中すれば、とことん探求するのである。そういう、子どもならではの力を伸ばすために、大人はどんなふうに関わればいいのかということについても、さまざまなエビソードを交えてのレクチャーがあり、参加者たちは熱心に聞き入っていた。

保育の現場を経験してきた小竹氏と小笠原氏は、子どもの遊びに関して、現代社会ならではの落とし穴がある、と警鐘を鳴らす。「対象年齢○歳」と書いてあるおもちゃや、童謡や絵本など、子ども向けをアビールするものは多いが、そればかりを与える必要はない。ボタンを押すと反応がある、というような、受け身のおもちゃでは“遊ばれる”だけで“遊ぶ力”がつくとは限らない。元気に騒いでいるときだけが子どもの遊びではない...。「子どもの力が伸びるのは環境次第、つまり、大人次第なんです」という言葉に、深く納得するとともに、気が引き締まる思いがする。

「大人も子どもも、もっと遊ぼう。遊びが未来をつくっていく、というのが、私たちからのメッセージです」

育児の分野を超えて、生きることに共通するヒントを得る

セミナーのまとめとして、チームで感想を話し合う振り返りの時間を設けた。
「子どもは外で元気に遊ばせることが大切だと思っていましたが、静かに集中しているときも大事な遊びの時間なんだと知りました」
「『〜しちゃダメ!』と否定の言葉を使いがちなので、気をつけたいと思いました」

「子どもがお友達を叩いたり、焼きもちをやいたりするので、困っていましたが、見守ることも必要なのではと思うようになりました」
「今まで気づかなかったことをたくさん教えていただきました」
「子どもを見ていると、つい、できること、できないことばかりが気になってしまいますが、結果ばかりを求めるのではなく、逆の視点が大事なんだと気づきました」
と、多くの意見が挙がった。

「私たちのやっていることは、一見、子ども向け、親向けの企画のようですが、実は、もっと広い意味で、自分以外の誰かの幸せのために仕事をしているんだと思っています」と小竹氏。「まずは私自身が、生きることを楽しみ続けたい。そうしないと、他の人にも、思いを伝えることができないから」
最後は子どもたちも一緒に写真撮影。ここから明るい未来が生まれていくに違いない。

講師紹介

小竹めぐみ、小笠原 舞
小竹めぐみ、小笠原 舞
こどもみらい探求社
園を飛び出した2人の保育士は、業種を越えて、地域を越えて、こどものために手をつなぎ、挑戦することを決めました。こどもの世界と大人の社会のかけ橋になれたなら…きっと、未来は明るくなる。
コラボレーションを軸に、”こどもにとって、本当に良い” を、時代に合わせて形にしています。

小竹 めぐみ(めぐ せんせい)
幼稚園・保育園で保育士として勤務し、こどもは大人の鏡であることを知る。同時期に、世界の家々を巡る1人旅を重ね、特にアマゾン川の暮らしに活動のヒントを得る。
こどもがよりよく育つには、環境が大切だと気づき、2012年に独立。
“そのまんま大きくなってね”とこどもに言える社会を目指して、会社とNPO、二足のワラジで活動中。人間のもつ、凸凹(違い)を大事にしている。

小笠原 舞(まい せんせい)
幼少期に、ハンデを持った友人と出会ったことから、福祉の道へ進む。
大学生の頃ボランティアでこどもたちと出会い、【大人を変えられる力をこどもこそが持っている】と感じ、こどもの存在そのものに魅了される。社会人経験を経て保育現場へ。保育士の社会的地位向上と保育士の専門性を社会に広げ、新しい子育て支援の形を探求している。