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イベントレポート

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2015年12月20日(日)13:30~15:00

佐原 秋生(さわら しゅうせい) / 料理評論家

ワインの楽しみ方
~ワインを味わう知識と知恵~

古い歴史を持つワイン。今や、日本でも多くの人に親しまれ、ワインブームを足掛かりに国内のワイナリーも増えてきた。
おいしい「つまみ」とともにいただくだけでも十分に楽しめるワインだが、少しの知識を持つだけで、よりおいしく、さらに楽しむことができるのだという。
今回は、日本ソムリエ協会で名誉ソムリエに就いている佐原先生をお招きし、ラベルの読み方から料理との相性・保管方法などのワインの基礎知識に加えて、人気上昇中のチーズなどについても語っていただいた。
知れば知るほど奥が深いワインの世界に、あなたも飛び込んでみてはいかがだろうか。

ワインに関する基礎知識

今回のセミナーは、ワインを楽しむための知識と知恵をわかりやすく学ぼう!というテーマで開催された。講師は料理評論家の佐原秋生先生。現在名古屋外国語大学教授でもある。

「大学で講義をするようになって、話が下手になったように思うのです。なんだか、つい講義っぽくなってしまって…。でも、ここは楽しむ場所ですから講義っぽいな、と感じたら遠慮なく“抗議”してくださいね。」と和やかな雰囲気の中でセミナーはスタートした。まずは、ワインの基礎知識から。ワインの種類は、白ワイン、赤ワイン、そしてロゼワインの3種類に分けられる。ワインの色の違いはブドウの皮の色による。
「白ワインの原料は、白ブドウと黒ブドウ。赤ワインは、黒ブドウから出来ます。赤ワインの色は黒ブドウの皮を使用するためで、皮をむけば黒ブドウも白いので白ワインの原料になります。ロゼは、途中で皮を取り除くので、白ワインと赤ワインの中間色になります。」
もうひとつの分類の仕方は、泡があるかないか。泡ありのワインで有名なものはシャンパンだが、これは、フランスのシャンパーニュ地方で醸造されたものだけを指す。
「泡ありのワインというと白を思い浮かべますが、赤もロゼもあります。ただ、数が少ないので、日本ではあまり出回っていません。もし、泡ありの赤ワインに出会ったら、ぜひ味わってみてください。」
ワインの生産量1,2を争うのが、フランスとイタリア。昨今では、これに中国が追随している。

ブドウの起源は、もともとペルシャ(現イラン)とされる。

「ブドウは温帯の植物といわれ、暑すぎても寒すぎても育ちません。年間平均気温が10℃~15℃、緯度30度~50度の地域で栽培されます。」

緯度30度~50度というと、アメリカ、地中海周辺、アルゼンチンおよびニュージーランド。その他、インド北部やチリ、オーストラリア南部および南アフリカの一部地域も。我々が目にするワインの産地が、すっぽりとはまっている。

では、ブドウの品種には、どのようなものがあるのだろう?

「様々ありますが、とりあえず今日は白ワインならシャルドネ、赤ワインならカベルネソービニヨン、とこれだけ覚えてください。ちょっとした集まりでワインの話をするときなどなら、このふたつを知っていれば、相手もなるほど、と納得してくれますから。」

ワインと料理の相性

次にワインの年代と格付けについて。

「ワインは古いものほど良い!というのは間違いですよ。」と佐原先生。
一般的に、白ワインは3~4年目、赤ワインは5~6年目が飲み頃だそうだ。

では、耳慣れない格付けとはなんだろう?
ワインは、2009年からEUの規定により3カテゴリーに分類されている。ラベルに記載されているのが格付けだ。
「AOC又はAOPが上級、IGPが中級、SIGが並を示します。」

かつて、フランスなどでは、4分類が主流であったが、現在はこの3分類が一般的だ。
とはいえ、この格付けが必ずしも味の良さを示すものではない。
「どれがいちばんおいしいワインか、そんなことは言えませんね。今日もきれいなご婦人がたくさんいますけれど、その方々の中でいちばん美しいのは誰かだなんて言えないのと同じです。」
飲み物と料理の調和を、フランス語で「マリアージュ(=結婚)」という。
では、ワインはどんな料理と相性が良いのだろうか?

「肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワインという刷り込みは忘れてください。」
ワインとの相性は材料ではなく、調理の方法で決まるという。その料理が赤っぽい色ならば赤ワインが合うし、白っぽい色ならば白ワインがピッタリくる。
「たとえば“仔牛のクリーム煮”には白ワインが、“魚の赤ワイン煮”には赤ワインがピッタリきます。とりわけ、料理に使用したものと同じワインを飲むのがおすすめです。」

ここで、参加者から「お寿司にはどのようなワインが合いますか?」との質問が挙げられた。
「う~ん、お寿司にワインはやめたほうがいいですね。というのも、ワインに酢は敵なんです。味が合わないんです。」
酢飯には日本酒や、氷を入れずに冷たい水で割ったウオトカ(ウォッカ)などがピッタリとのこと。

では、カレーにはどうでしょう
という質問に対しては
「あえて言うならロゼでしょうか。ロゼは、中華料理とはバツグンに合いますよ。」

続いて、ワインを美味しく飲む適温について。
「白ワインは冷やして、赤ワインは室温で、とよく言われますが、これも忘れてください。」
ここで言われる室温とは約18℃。我々の生活において、通常の室温はこれより高いためだ。
「白ワインは良く冷やして、赤ワインは軽く冷やすといいでしょう。」
ただし、赤ワインを白ワイン同様に、ギンギンに冷やすのは、渋みが強くなるので厳禁。
なお、泡のあるワインは、さらによく冷やすと美味しく頂けるそうだ。

難しく考えず、のびのびと楽しんで!

ピンからキリまであるワインの値段。格付け=味の良さではないと学んだが、では、どの価格帯のワインを選べばよいのだろうか?
「1500円から5000円くらいのものを選ぶと、コストパフォーマンスが良いと思います。」
買う店は、自分の好みを分かってくれている馴染みの店がおすすめ。そうでなければ、ワインが美しくディスプレイされて店員の応対が良い店、またはデパートだという。
「考え方は、洋服を買うときと同じです。デパートを薦めるのは、ちょっと値段は高いかもしれませんがハズレがなく、安心できるからです。」

しかし、せっかく良いワインを購入しても、よほどのことがない限り、一般の住宅にワインセラーなどはないだろう。
「急激な温度変化がなければ、それほどこだわる必要はありません。また、置き方ですが、コルクがワインに接していないと脆くなるので、横に寝かしておくのがいいでしょう。」
また、フルボトル(750cc)など飲み残してしまったときは、空のミニ(1/4)ボトル(スクリューキャップ)を用意し、小分けにして保存すれば10日から2週間は大丈夫とのこと。
直射日光は厳禁、持続的な振動、急激な変化は不可です。

さて、ワインと相性抜群のおつまみといえばチーズ。チーズは、以下のように分類される。
・フレッシュ…モッツアレラ
・ソフト(白カビ)…カマンベール
(ウオッシュ)…臭い匂いが特徴のもの
・セミハード…ゴーダ
・ハード
・青カビ…カビは食べてもOK
・山羊
ワインとチーズの相性に関しては「非常にシンプルに言うと、あまり馴染みのないチーズには、白ワインがおすすめです。」と佐原先生がわかりやすい選び方を教えてくれた。

ここで試飲タイムに。
用意されたのはチリ産の白ワインと赤ワイン。
「ワインのテイスティングは目と鼻、口、頭で、と言われます。頭で、というのは、このワインはどうだったかな?と考えることで、次のワインにつながっていくからです。」

そんな佐原先生から、最後にメッセージをいただいた。
「私は、ワインやチーズの話をする上で、不必要に難しく言うことはしないようにしています。難しく考えると広がっていかないと思うからです。堅苦しく考えないでのびのびと楽しんでもらえたらと思います。」

文・土屋 茉莉

講師紹介

佐原 秋生(さわら しゅうせい)
佐原 秋生(さわら しゅうせい)
料理評論家
ホテル日航ニューヨーク社長、JALホテルズ専務取締役を経て名古屋外国語大学教授。料理評論家としてフランス政府から農事功労章、日本ソムリエ協会名誉ソムリエ。著書に「ワインとチーズ、おいしい食卓」「上級グルメへの招待」訳書に「ガストロノミ」ほか。