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イベントレポート

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2016年1月24日(日)14:00~16:00

千葉 敦子、稲垣 雅彦 /

キレイになるための漢方・薬膳講座

年末年始で食べ過ぎ・飲み過ぎによる胃腸の疲れを感じていないだろうか?
本講座は、漢方や薬膳を気軽に日常生活に取り入れ、身体の中からキレイになる方法を学べる講座だ。ストレスを感じることが多い現代社会では、いつのまにか身体のバランスを崩し不調を感じることがある。今の自分の体調や体質を知り、身体が必要としているものを上手に摂取して、本来の元気やキレイを引き出そう。
体質チェックシートを使って体質チェック。また体質ごとのおススメ食材や薬膳料理レシピもご紹介いただいた。

健康、とは、心身のバランスがとれていること

講師は、藤沢駅近くの「あやみ薬局」薬局長の千葉氏。「今日はスーパーで手に入る食材を使って日常生活に気軽に取り入れられる薬膳をご紹介していきたいと思います」

辛いものを食べると身体が温まって汗が出る。ミントの香りで鼻がスッキリする。お酒を飲み過ぎた翌日にしじみの味噌汁を飲むと身体に沁みわたり生き返るような気がする。こういった経験は、「食べ物が私たちの身体に何らかの作用をする」ということを教えてくれる。千葉氏は、まず、「たとえば年越しの暴飲暴食。私もそうですが、お酒を飲み過ぎた翌日は、『あなた誰ですか?』というほどに顔がむくむ(笑)。そんなとき、身体はどうなっていると思いますか?」と、東洋医学の考え方を、例えを用いて解説する。

「東洋医学では、“気(き)”“血(けつ)”“水(すい)”という身体を巡っている3つの要素と、自然界の五行、つまり“木”“火”“土”“金”“水”を、身体の臓器と機能に当てはめて考える五行説を基本とします。先ほどの暴飲暴食、というのは、“土”に当たる臓器である“脾”の動きが異常になっている状態です」

顔がむくみ、身体が重くなるのは、身体に余分な水分が溜まっている=土に水が溜まってブヨブヨしている状態。お腹が張って食欲がないのは、脾に熱がこもっている=洗濯機に洗濯物を詰め込んで、無理に回しているのと同じこと。だから、1月7日には、利尿や消化促進に効果がある野菜を集めた七草がゆを食べるのである。

「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ。七草がゆには、脾を養い、水はけをよくする食品がたくさん入っています。漢方の考え方は、科学的に成分をひもといても、その効果の高さは理に適っています。最近の病院では、漢方を使う先生も増えています」

「原因を突き止め、悪いものを取り去る」のが西洋医学の治療。対して東洋医学は、「足りないものを補い、多いものは出して、バランスをとる」ための治療であると、千葉氏は説明する。どちらが優れているか、ではなく、それぞれに長所がある。たとえば、インフルエンザになってしまったとき。西洋医学で抗ウイルス剤を使うことは非常に有効な方法であり、回復期の体力回復や免疫の向上などは、東洋医学が役に立つ。なんとなく調子が悪いが、検査では原因がはっきりとわからないという「未病」と、「病気」の間が、東洋医学の得意とする範囲だといえるだろう。

“気”“血”“水”と陰陽五行説を学ぶ

東洋医学のベースになっているのは、「心身一如=心と身体は一体」という考え方だ。病気ではなく、病人を診る。そのときに大切なのが、“気”“血”“水”の、身体を巡る三要素である。

「人間の命のエネルギーである“気”には、先天のものと後天のものがあります。先天の“気”は、両親から授けられたパワーで、生まれながらに持っているもので変えることはできません。対して後天の“気”は、飲食物や、呼吸からつくられるものです。“血”と“水”は、この後天の“気”が変化したもの。“血”は身体の中の赤い液体、つまり血液。“水”は身体を循環する無色透明の液体です」

東洋医学のもうひとつの基本となるのが、陰陽五行説。ものの見方を「陰」と「陽」でとらえつつ、自然界の木火土金水を身体の臓器と機能に当てはめて考える。

木=肝…気の流れをスムーズにする。不調時には筋肉の痙攣や眼の充血が起こり、イライラして怒りっぽくなる。

火=心…血を循環させる。意識をしっかり保ち、精神を安定させる。不調時は不眠になったり、動悸がしたり、情緒不安定になったりする。

土=脾…消化吸収を司る。不調時には食欲低下や下痢を起こし、くよくよと思い悩みやすくなる。

金=肺…天空の気を取り入れ、身体の気をつくる。呼吸機と皮膚の昨日を維持する。不調時には咳や痰が出て、皮膚が荒れる。悲しみの感情が出やすくなる。

水=腎…水の代謝を行ない、成長と生殖を担当。耳、骨、歯の機能を維持する。不調時には老化現象が進み、頻尿、集中力の低下、驚きやすくなるなど。

この5つの要素は、互いに生かし、あるいは抑制し、と、影響し合う関係にある。そうしてバランスがうまくとれていれば、身体がよい状態にある、ということになる。

こうした東洋医学の考え方をふまえたうえで、医食同源の理念のもとに、“気”“血”“水”の異常を食べ物で治していこう、というのが、薬膳である。

「食べ物の性質は、“酸”“苦”“甘”“辛”“鹹(かん)”の五味(味)と、“熱”“温”“平”“涼”“寒”の五性(身体を温めるか冷やすのか)に分けられます。胡椒、ネギ、唐辛子、羊肉などは温熱性の食べ物、豆腐、茄子、スイカなどは寒涼性の食べ物、米、豆類、芋類などは平性の食べ物です」

五味は、以下のとおり。それぞれに身体への作用が異なる。
“酸”=身体を引き締め、汗のかきすぎなどを抑える…梅、酢、りんごなど
“苦”=のぼせなどの熱を冷やし、イライラを鎮め、余分な水分を排出…ゴーヤ、ゆり根、レタスなど
“甘”=滋養効果があり、疲労を回復。痛みを和らげ緊張を解きほぐす…もち米、牛肉、鶏肉、うなぎなど
“辛”=身体を温め、血行をよくする。肺や皮膚によいとされる…唐辛子、生姜、にんにくなど
“鹹”=塩味を感じるもので、しこりを柔らかくしたり、鎮静・排出の作用がある…蟹、しじみ、のり、昆布など

「それでは、これまでにご紹介した東洋医学の考え方にもとづいて、皆さんの体質チェックをしてみましょう」

体質チェックシートで現在の健康状態を知る

参加者に「体質チェックシート」が配られた。AからEまでのカテゴリーの中に、「目が疲れる」「肩こり、頭痛がある」「身体がだるい」「のどがつかえる感じがある」「むくみやすい」といったチェック項目が10項目書かれている。このチェック項目が多いほど、そのカテゴリーの体質の傾向が強い、ということになる。参加者は真剣にチェックシートに記入。千葉氏からの解説を待った。

「チェック項目の中には、ひとつだけでもその体質に当てはまるという特徴的なものがあります。また、体質は季節や環境によって変化しますし、ひとつではなく、複数の体質に当てはまる場合も少なくありません。体調に変化があった場合は、またこのチェックシートを活用してみてください」

A:血虚(けっきょ)タイプ=血が不足している状態
【チェック項目】「目が疲れる」「皮膚がカサカサする」「こむらがえりする」
【オススメの食材】黒米、黒豆、黒ごま、青魚、かつお、レバー、クコの実など。
【オススメレシピ】黒豆ごまの雑穀米

B: 瘀血(おけつ)タイプ=血の流れが悪い状態
【チェック項目】「目の下にくまができる」「腹部に痛みがある」「舌の裏の血管が紫色」
【オススメの食材】にんにく、生姜、にら、たまねぎ、鯖、蟹、菜の花、クレソンなど
【オススメレシピ】鯖のカレーソテー

C: 気虚(ききょ)タイプ=気が不足している状態
【チェック項目】「疲れやすい」「食欲があまりない」「身体がだるい」
【オススメの食材】米、玄米、山芋、じゃがいも、大豆、肉類、しいたけ、キャベツなど
【オススメレシピ】鶏と山芋ときのこの炊き込み御飯

D:気滞(きたい)タイプ=気の流れが悪く停滞した状態
【チェック項目】「のどがつかえる感じがある」「気分が落ち込みがち」「時間によって気分が変わる」
【オススメの食材】しそ、セロリ、三つ葉、香葉、大根、柑橘類、ターメリックなど
【オススメレシピ】タコの香草マリネ

E: 水滞(すいたい)タイプ=水の流れが悪く身体の水はけが悪い状態
【チェック項目】「胃がチャポチャポする」「むくみやすい」「舌がはれぼったく歯形が残る」
【オススメの食材】小豆、はと麦、春雨(緑豆)、あさり、はまぐり、冬瓜、鯛、スズキ、とうもろこしなど
【オススメレシピ】あさりとわかめのスープ春雨

「こうして見ていくと、季節の食材を取り入れることが大切だということがわかります。ここ、藤沢は、海も山もあり、相模湾の魚介も、湘南野菜もある。医食同源の考え方を参考に、皆さまが本来持っている“キレイ”をどんどん引き出してほしいですね」という千葉氏の言葉に、参加者たちは深くうなずいていた。

今回のセミナーの監修を務めた稲垣氏も「地産地消。その土地のものを、その季節に食べるのが一番いいこと。基本は、毎日の食事とお水です。それでも体調を崩してしまったときには、薬膳や漢方を利用する。体調管理のためにも、ぜひ、気軽に薬局を訪れてください」と挨拶。疲れの出やすいこの時期には、特に役に立つ情報が満載のセミナーとなった。

講師紹介

千葉 敦子、稲垣 雅彦
千葉 敦子、稲垣 雅彦

千葉 敦子(ちば あつこ)
インターハート株式会社 取締役/あやみ薬局 薬局長
病気ではなく、人を診るという漢方の考え方に興味をいだき、漢方薬・生薬認定薬剤師を取得。食べることと飲むことが大好きで、身近な食材で簡単な薬膳料理を作り日常生活に漢方を取り入れている。趣味はウクレレと型絵染め。

稲垣 雅彦(いながき まさひこ)
インターハート株式会社 代表取締役
四代続く薬屋の家系。昭和大学薬学部薬学科/医学部臨床薬理学教室を卒業。28歳で創業し代表取締役として湘南地域を中心に薬局を展開中。薬理学を専門分野とした臨床は患者や医師から厚い信頼を受けている。未病や介護に関する幅広い知識と資格を持ち、かかりつけ薬剤師としても飛び回っている。写真家としての一面も持ち様々な賞を受賞。個展や写真集を上梓している。