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イベントレポート

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2016年2月27日(土)14:00~16:00

乾 たつみ(いぬい たつみ) / コスプレサイト“Cure World Cosplay”管理人

海外アニメコンベンションイベントのススメ

今や全世界の共通語となった「OTAKU」や「KAWAII」。海外では日本のアニメやマンガ、ゲームなどを主題としたコンベンションイベントが数多く開催されている。開催される規模も日本のものよりも大きなものもあり、アニメが好きな方なら海外のイベントに参加すると通常の海外旅行では味わえない素晴らしい出会いと楽しい体験ができると乾たつみ氏は語る。海外アニメコンベンションイベントの楽しみ方や歩き方についてもお話しいただいた。

世界中で開かれているアニメ関連イベント

海外で日本を紹介するジャパンフェスなどのイベント。以前は伝統芸能や和食、武道などが日本を紹介するコンテンツの中心だったが、最近のトレンドは何といってもアニメや漫画、ゲームなどのポップカルチャー。アジア、北南米、そしてヨーロッパと、いまやアニメ関連のイベントは世界中で開かれている。そこで必ず見られるのが好きなキャラクターに扮したコスプレイヤーたちの姿だ。
講師の乾たつみ氏は世界中のコスプレイヤーたちが登録しているコスプレサイト「Cure World Cosplay」の管理人にして世界コスプレサミット・チャンピオンシップの審査員。このセミナーでは、毎年、世界各地のアニメコンベンションイベントを訪れている乾氏に、海外のアニメイベントの楽しみ方や行き方について、お話をお伺いしてみた。
世界でも無数と言っていいほど存在する同人誌即売会などのアニメ関連イベント。海外ではどんなことが行なわれているのだろうか。
「まずはアニメグッズを売る物販ブース。海外では日本では絶版になった掘り出し物や、この発想はなかったといったおもしろいファングッズに出会えたりします」
人気作品の上映会もあればアニソンのカラオケ大会もある。カードゲームの大会では言葉の違う者同士が対戦を楽しんでいる。人気はやはりコスプレイヤーたちに出会える「コスプレ広場」。「鉄板」は『ドラゴンボール』や『ワンピース』、『NARUTO』、『セーラームーン』などの超人気作品。乾氏いわく「日本人がこのあたりのコスプレをすると必ずもてます」。他に海外のコスプレの特徴は「大型兵器などの大きな装備品を持つコスプレイヤーが多く見られる」ところ。
「アメリカやヨーロッパのコスプレイヤーたちは大型の物は車の屋根に積んで来るんです」
最近の傾向は作品に対する「時差のなさ」。インターネットを通じて日本の新作アニメがすぐに見られる今の時代、放映の告知がされたばかりの作品のコスプレが海外のイベントに登場したりすることも珍しくないという。

イベント情報はSNSで収集を

もうひとつ、おもしろいのは「握手会」。
「日本のコスプレイヤーは基本的には素人です。でも向こうに行くと芸能人扱いで握手会が開催されたりサインやハグを求められます」
セミナーでは乾氏がこれまでに訪れたアメリカ、フランス、中国、台湾、マレーシアなどのイベントを紹介。海外イベントと日本のイベントの違いはスポンサーの有無。自主開催が多い日本に比べ、海外のイベントは国や企業がスポンサーについている場合がほとんど。中には日本企業もスポンサーがついている場合がある。そこにはポップカルチャーを通して「海外の若い人たちに日本に憧れを持ってもらおう」というインバウンド政策的な目的もあるという。
他にもヨーロッパではロシアやドイツ、イギリスで開催されるイベントが「熱い」。日本人には馴染みの薄い南米でも「日系移民の二世、三世たちがアニメで日本文化を広げています」。
では、実際に海外のアニメイベントに行くとして、そのための準備は何をすべきか。普通の海外旅行ではないアニメイベントの場合、最初にすべきはどこでどんなイベントが開かれるかという「情報収集」だ。「開催日や開催場所の情報が転がっている」のがSNSだ。おすすめは「写真がメインで煩わしいコミュニケーションを取らなくて済むInstagram」と「世界最大のSNSであるFacebook」。乾氏が運営している「Cure World Cosplay」も世界12か国語での登録が可能とあって世界中で開催されるさまざまなイベント情報が入ってくる。
「例外があるとすれば中国。この国ではtwitterやFacebookが使えませんが、それとほぼ同じ機能を持つ中国版のサービスがあるのでそこに登録するといいでしょう」
数ある海外のイベントのうち、乾氏がいちばんにお勧めするのが台湾だ。
「台湾は治安もいいし日本語がけっこう通じるので初心者には安心です」
「中級者向け」は英語が使われているアメリカ、シンガポール、マレーシア。実は「英語が全然できない」という乾氏だが、「スマホの翻訳アプリがあればコミュニケーションに不自由はしない」という。お隣の中国、韓国は「英語ではなく会話が自国語なので上級者向け」。ただし「日本人の場合は筆談で意思を伝えることができます」。その上をいくのはタイ。
「タイの文字は僕らには読めないし、タイではタクシーの運転手にも英語が通じません」
それでも親日国のタイでは「日本人を大切にしてくれます」。

アニメやコスプレは「言語の枠を越えたコミュニケーションツール」

イベント会場のチケットの入手は「ネットで早めに買えば安い」。それが面倒なら現地で当日券を購入すること。言葉が通じなければ「迷わず日本語を使う」。こうした日本系のイベントでは日本語を使っていれば「必ずどこからか日本語を話すことのできるスタッフや参加者が助けに来てくれます」。実はこれが海外アニメ関連イベントのいいところだ。
「普通の観光旅行やイベントよりも日本人としては居心地がいいし過ごしやすい。それが海外アニメイベントのオススメポイントなんですね」
持って行くと便利なアイテムは「コンビニ袋」や、名前とURLだけの「SNS名刺」、小型の「変圧器」や「アダプター」、「のど飴」に「自撮り棒」、空港でレンタルできる「WiFiルーター」など。パソコンやスマホなど複数の機器を充電するのに現地仕様のコンセントタップも買うと便利だ。今回は数日後にマレーシアに行くという乾氏がキャリーケースに詰まった自分の荷物を披露。衣装やウィッグなどが入っているところはいかにもコスプレイヤーの荷物といった感じだ。
イベント会場では当然ながらさまざまな人たちとの出会いが待っている。求められるのは「文章力」よりも「単語力」と「ジェスチャー力」だ。ハグやハイタッチも当たり前。無論、政治や宗教の話はこういう場ではタブー。
相手の好きなキャラクターやカップリングを否定してはいけないというのも常識だ。
アニメイベントに参加すると伝わってくるのは海外の人々が日本のポップカルチャーに対して抱いている「夢」や「希望」。乾氏の「夢」はそれを介してより多くの人に世界の人と交流を持ってもらうことだ。
「アニメや漫画やコスプレは言語の枠を越えて海外の人と仲良くなれるすごくいいコミュニケーションツールです。日本人もそれに誇りを持って、だけど奢らずに、グローバルに交流していってほしいですね」

講師紹介

乾 たつみ(いぬい たつみ)
乾 たつみ(いぬい たつみ)
コスプレサイト“Cure World Cosplay”管理人
国内外のアニメコンベンションイベントでコスプレコンテストの審査員や、コスプレファッションショーのディレクションを手掛ける。自身もコスプレを嗜み、コスプレカルチャーを通じ国際交流を推進している。
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