スルガ銀行 Dバンク支店

SURUGA d-labo. Bring your dream to reality. Draw my dream.

イベントレポート

イベントレポートTOP

2016年5月14日(土)13:30~15:30

渡部 亜矢(わたなべ あや) / 実家片づけアドバイザー / 一般社団法人実家片づけ整理協会代表理事

実家の片づけ~らくらく整理収納術~

誰しもが関心を持っている「実家の片づけ」。興味はあるけれど、どこから手を付けたらいいのかわからない!という方も多いはず。そこで、自分も親も簡単に取り組め、高齢になっても安心・安全な片づけのアプローチや、簡単にできる整理収納のコツをお話しいただく。
「親子が幸せになる片づけ」をスタートさせるタイミングは、親が元気なうちがベスト。今回は、TVでも引っ張りだこの「片づけのプロ」渡部亜矢氏を講師に迎え、片づけから家のリフォームまでトータルにアドバイスをしていただいた。

一生使える片づけのコツとは?

今回のテーマは「実家の片づけ」。終活やエンディングノートの普及など、来たる日に備えた活動が注目される昨今、親(または自分)が元気なうちにできることをやっておきたいと考える人が増えている。どんなことから始めればいいのか、今マスコミも注目の渡部亜矢氏に、基本的なことからお話をうかがった。
「実家の片づけは自宅の片づけとはまったく違います。今日は、ぜひコツをつかんでくださいね。」

実家の片づけが難しい理由は、相手が身近すぎるため。増えすぎた物の取捨選択でケンカしたり、つい傷つけたりしてしまうことも多いそうだ。年をとればとるほど物の量は増えていく。
「平均寿命が伸び、単身世帯が増加しています。子世代としては、一人一軒以上の家を預かることになり、手が付けられなくなった家は空き家のままにしてしまうという問題も増えているので、実家を片づけることの重要性が増しているのです。」

親子共通の片づけのゴールは、安心・安全・健康に暮らせる家にすること。
「最初に、いる物といらない物を分けます。これらは一瞬でわかりますが、やっかいなのはグレーゾーンです。判断がつかない物は一時保管しておきましょう。」
今ほど物が潤沢になかった時代に育っている親世代は、捨てるという行為に拒否反応を示す場合が多い。そんなときは、目の届かないところに移動させるのがおすすめだという。
「見えなくなると忘れてしまうことも多いですし、寄付するといえば賛成してくれることもあります。また、その物について話をすることも大切なことです。」
思い出や歴史を語ることで納得して「もういらない」となるケースもあれば、写真を撮って処分しよう、となる場合も多いとのこと。
「親世代は大抵、話を聞くよりは自分がおしゃべりしたいことが多いです。何が大切な物なのか話してもらい、無理せず、自分たちができそうな手法から取り入れてください。」

片づける順番はハートに遠いところから

本来はくつろげて癒される場所である実家だが、最近ではそれが迷惑資産になる可能性が高まっているという。
「片づける順番はハートから遠いところから始めるのがおすすめです。」
趣味の物、思い出の品、写真などは後回しに。具体的には庭、玄関、廊下、階段などを優先するといいそうだ。
次に良く使うスペースである寝室やリビング、キッチン、お風呂などをチェックしていく。

「個人的には、寝室から始めるのがいいと考えています。寝室は、人生の1/3を過ごす場所ですから。すっきり快適な方が気分が上がります。リビングもよく使う場所ですが、色々な物がありすぎてやや難しいかもしれません。わかりやすい物から整理してみてください。」
押し入れも一時保管場所になっている場合が多いので、スキルを上げてから挑戦するのがおすすめとのこと。

正論より習慣を優先

スペースの効率化や利便化は一般的な収納・整理の鉄則はあるが、それよりも習慣を優先するべきだと渡部氏。
「片づけに完璧はあり得ませんし、習慣を変えるのは大変なことです。リバウンドしないように、チェックと修正を繰り返していけばいいのです。」

早めの対策には、利点がある。亡くなってしまったらすべての物は遺留品。つまり思い出の物に変わってしまう。
「あの時、片づけておけばよかった、と後悔することほどつらいことはありません。」
片づけは健康のバロメータ。「物」のためでなく、「人」が生きるための片づけや整理収納をすることが大切、と渡部氏は語る。
「片づけをしていると、時々、お金や商品券が出てくることがあります。思いがけないラッキーは片づけのモチベーションを上げてくれます。でも、もっと素敵な家族の思い出が発見されることもあるのです。」
たとえば、自分が生まれた日の新聞や参観日に着ていたスーツ。そんな、家族のちょっとした心温まるエピソードに触れることができるのが、片づけの醍醐味だという。

一番好きなことや未来への思い、希望は、案外身近な家族にもわからない物。これから始めたい趣味や行きたい場所などは紙に書いて残しておくのがいいだろう。
「亡くなった後も自分の人生は続く、という前提で自分の人生を演出するための「未来ボックス」をつくるのもいいと思います。」
「未来ボックス」とは亡くなった時に家族に開けてもらう箱のこと。宝物やお気に入りの遺影、引き継いでもらいたい形見の品、プレゼントなどを詰めたタイムカプセルのような物だ。 「実家の片づけは、物を片づけるだけでなく、幸せな親子関係を見直すきっかけになる物だと思います。ぜひ、無理のない一歩を踏み出していただけたらと思います。」

片づけだけにとらわれるのではなく、上手に暮らしの質を上げ、自分の趣味や好きなことに時間を使ってほしい、というのが渡部氏の願いである。まずは自分たちでやってみて、それでも家族だけで抱えきれない場合は片づけの専門家に相談してみるのも一案だろう。
文・土屋 茉莉

講師紹介

渡部 亜矢(わたなべ あや)
渡部 亜矢(わたなべ あや)
実家片づけアドバイザー / 一般社団法人実家片づけ整理協会代表理事
銀行、出版社等を経て、片づけ上手塾エグゼカレッジ表参道校を共同で設立後、2016年一般社団法人実家片づけ整理協会の代表理事となる。「実家片づけアドバイザー」育成講座や、出張片づけサービスを展開中。メディア出演多数。
著書:『カツオが磯野家を片づける日~後悔しない「親の家」片づけ入門』SBクリエイティブ、『プロが教える実家の片づけ』ダイヤモンド社、『「5つの鉄則」でラクラク!実家の片づけパーフェクトBOOK』光文社