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イベントレポート

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2016年5月22日(日)10:30~12:30

高橋 典子(たかはし のりこ) / ドッグホリスティックセラピスト

梅雨~夏に向けて!愛犬の熱中症予防と夏のケアのヒント
~メディカルアロマで愛犬の虫よけスプレー作り~

犬の熱中症は、梅雨の時期から発症し始めるということをご存知だろうか?大事な家族の一員である愛犬のために、普段の生活からケアを取り入れていきたいもの。本セミナーでは、ドッグホリスティックセラピストが、ご自宅での夏のペットケア方法について解説した。

人よりも犬の方が熱中症にかかりやすい!?

ホリスティックケアをとりいれたペットシッター・ホテルを運営する高橋氏による、ペットをテーマにした講座。今回は、梅雨から夏の時期にかけて特に注意したいことについてお話しいただいた。

「これから梅雨になり、あっという間に夏になっていきますが、気をつけたいのが熱中症です。人間は全身に汗をかくことで体温調節ができますが、犬は、足の裏など一部でしか汗をかくことができません。そのため、口を開けてハアハアと呼吸して、体の熱を逃がしているのです。人間に比べて体温調節しにくい犬は、熱中症にかかりやすいといえます」

熱中症と聞くと、真夏の病気と思いがちだが、「気温が22℃、湿度が60%を超えると発症する可能性が高くなる」とのことで、「気温以上に、湿度が大きく関わる病気。まだ暑さに体が慣れていない梅雨の時期にも注意が必要です。蒸気が充満した風呂場や、真冬の暖房が効きすぎた部屋でも熱中症を起こすことがあります」

高橋氏の先代の愛犬は、トリミングとシャンプーをした後に、熱がこもって熱中症になったことがあったという。毛が長い、または密集している犬種にとっては、たとえ風がある日でも、強い日差しの下では熱がこもってしまうことも。

「フレンチブルドッグやボストンテリアなどの、鼻がペチャンとしている短頭種、シベリアンハスキー、ピレネー犬などの北方原産の犬は、熱中症にかかりやすいと言えます。太り気味の子、呼吸器が弱い子、シニア犬も注意してあげてください」

犬の熱中症の症状は、おおよそ次のような段階を追って発症する。

● 呼吸が普段より速くなる
● よだれが大量に出ている
● 脈拍・心拍が速い
● 足先や耳が触るだけで熱い。犬の平熱は38℃前半から39℃程度。
● 嘔吐や下痢
● 目が充血したり、眼球が異常な動きをしたりする
● 元気がない、ぐったりしている、意識がない
● 舌や口の中の粘膜が青紫色などの暗い色になるチアノーゼが起こる
● 脱水症状になる。皮膚をつまんでみて戻りが悪いと脱水症状の危険あり。
● 心臓発作などのショック症状を起こす

「応急処置としては、屋外ならペットボトルなどを使って冷たい水を全身にかける、屋内なら水で濡らしたバスタオルを全身にかけて扇風機などで風を当て、気化熱を利用して体温を下げるなどします。保冷剤や氷嚢、凍らせたペットボトルなどをタオルにくるんで、首の横や後ろ、脇の下、後ろ足といった太い血管が流れているところに当てるのも効果的です。これからの時期は、お散歩のとき、いつもより1本多く水を持って行くといいでしょう」

応急処置をしながら、かかりつけの病院に連絡する。どんな症状か、状況や試みたことを伝え、他に何かすべきことがあるかを確認。平素から体温や皮膚の状態など、愛犬の様子を把握しておくこと、いざという時のための夜間対応を考えておくことも大切だ。

熱中症を予防するために気をつけておきたいこととは

愛犬を熱中症にかからせないためには、どんな予防方法があるのだろうか。

「気象庁が発表している気温は、地面から150cmの高さで測定しています。夏場の午後のアスファルトの道で、150cmの高さで35℃だとすると、ペットカートの高さ約50cmでは38℃、地面は約55℃にもなります。まずはこうした、人間と犬、それぞれにとっての気温の差を、意識してあげてください」

屋外では、炎天下での散歩や運動を避け、外に出る場合は路面を手で触って温度や照り返しの強さを確認する。キャリーバッグやペットカートでの外出時には、保冷剤や凍らせたペットボトルを入れておくのも効果がある。水で濡らして絞った服を着せたり、服にスプレーをしたり、黒い犬には白い服を着せたりするとよいそうだ。また、たとえエアコンを付けていて短時間であったとしても、車内に犬だけを放置するのは厳禁。

屋内では、湿度計付き温度計などを使って、湿度と温度を管理すること。風とおしを良くし、熱や湿気がこもらないように気をつける。新鮮な飲み水を十分に用意し、あまり水を飲まない犬には、たとえばミルクに混ぜる、出汁を混ぜるなど工夫して、水分をとらせてあげたい。留守番をさせる際の環境にも注意すること。

室外飼育の場合は、ハウスを日陰になる場所に移動させる、よしずを用いて日よけする、クールマットなど冷却効果があるものを敷く、保冷剤や凍らせたペットボトルをハウスに入れるなどして、温度と湿度を管理する。

「梅雨から夏を乗り切るためのキーワードとなってくるのが、元気の素である“水分”です。地球の生き物は体の大半が水分でできていますが、犬も同じで、体重の約60~70%が水分です。犬にとって水分は、体温・塩分調節や食物の消化、不要な物質の排出など、さまざまな生命活動に関わる重要なもの。本来肉食だった犬は、水分たっぷりの肉を主食としていましたし、人間と暮らすようになって雑食系動物に変化したあとも、人間の食材を使った調理ごはんを食べていたころは、水をあえて飲まなくても、十分水分がとれていました。ところが、水分5~10%のドライフードを食べ、室内飼いが一般的になって運動不足に陥りがちな現代の犬は、たくさんの水分を必要としているのです」

飲水量が少ない犬は、ドライフードを吸収するために自らの体液を使うことになってしまう。犬が1日あたり必要とする水分量は、「30ml×体重+70ml」だそうで、愛犬の場合は1日どれくらいの水を飲むべきか、計算しておくとよい。

「水分不足になると、体の中にたまった有害なミネラルや化学物質を体外に排出する能力が低下します。解毒=デトックスも、元気の基本です」

また、高橋氏は、暑い夏には「飲む点滴」と言われている甘酒を活用することを提案。麹を発酵させたブドウ糖を含む甘酒は、エネルギーになりやすく、かつ太りにくい。ビタミンやアミノ酸も多く含むので、疲労回復、老化防止、新陳代謝の活発化など、さまざまな効果が期待できるという。

「食後にとると消化を助ける効果もあります。愛犬には、ごはんのトッピングに小さじ1(小型犬)~大さじ1(大型犬)を。人は、食後にジュースなどに混ぜて飲んでいただくといいと思います」

セミナー終了後は、多くの参加者が高橋氏にさまざまな質問をしていた。大切なパートナーである愛犬への想いが随所に垣間見られた、和やかな雰囲気のセミナーとなった。

講師紹介

高橋 典子(たかはし のりこ)
高橋 典子(たかはし のりこ)
ドッグホリスティックセラピスト
ホリスティックケアをとりいれたペットシッター・ホテル、Comfort Shonanの代表。
湘南エリアを中心にペットマッサージに関するホリスティックケアセミナーなどを多数開催。日本ペットマッサージ協会の公認講師として活躍しており、その他愛 玩動物飼養管理士、ホリスティックケアカウンセラー、ペット東洋医学アドバイザーなどペットに関する様々な資格を保有している。神奈川県動物愛護推進員。