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イベントレポート

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2016年6月11日(土) 13:30~15:30

浅場 守(あさば まもる) / 株式会社 安心堂

知っておきたいジュエリー講座~宝石の価値&見分け方~

永遠の輝きを放つジュエリー。心ときめくその美しさを実際に手に入れようとするとき、本来の価値を見極められなくて、迷ったり悩んだりしたことがあるのではないだろうか。宝石の価値とは?ランクの基準とは?宝石の誕生にまつわる秘密や歴史をひも解きながら、その輝きと魅力に迫ってみる。
講師にお招きするのは、長年宝飾店に勤め、現在は社員の教育指導者として活躍中の浅場守氏。実際にジュエリーを購入する際の、失敗しない選び方や見分け方についてもアドバイスいただいた。

ダイヤモンドの美しさと価値基準につい

今回のセミナーは「宝石の価値&見分け方」と題し、主にはダイヤモンドについて、さらには色石(ダイヤモンド以外の色のある宝石)やパワーストーンの歴史と価値、見分け方についてお話しいただいた。
講師にお招きしたのは浅場守氏。株式会社安心堂に勤めて50年、定年後の現在も社員の教育指導者として活躍されている宝石のプロである。
さて、最初に浅場氏が見せてくれたのは3つのダイヤモンド。

「これらは1カラットのダイヤモンドです。でも、値段はまったく違います。どれが一番高いか、みなさま分かりますか?」

大きさも輝きもほぼ同じ。加工していない状態でも違いはほとんどわからない。しかし、なんと、一番高価なものは200万円超え。二番目に高価なものは90万円。一番安価なものは1,000円とのことだった。
会場からはえ~!?という驚きの声が漏れた。一番安価なものは、キュービックジルコニア(CZ)と呼ばれるダイヤに似せた人工石だが、それにしても、見た目にさほど明らかな違いは見つからない。宝石の品質と価値とは一体どういう基準で決まるのだろうか?

「宝石の品質を決めるのはまず自然の力。つまり、産地や天然の状態での大きさや色の濃淡などです。そして、価値は需要に対する供給の不足、つまり希少性により高まります。」

現在、ダイヤモンドは宝飾品に使われる宝石のうち70%以上を占め、ルビーやサファイアが約10%、エメラルドが5%となっている。しかし、採掘できる天然ダイヤモンドは、非常に少ない。よって、その価値が非常に高くなる。

「ダイヤモンドは無色透明の石です。それゆえ、ランク付けにはある種の基準が必要とのことで4Cという基準が設けられました。」

4CとはColor(カラー)Cut(カット)Carat(重さ)Clarity(透明度)のこと。
カラーでは石の色が定義されている。ほとんどのダイヤモンドは、無色に見えるがわずかな色味の違いがあり、透明に近いほど価値が高くなる。カットとはダイヤモンドの形状や研磨の仕上がり度合いを評価するもの。ダイヤモンドの直径を基準として各部分の幅や厚み、角度が決まっており、理想に近いものから「Excellent」「Very Good」「Good」「Fair」「Poor」の5段階で評価される。
カットにはエメラルド・カット、オーバル、ラウンド・ブリリアント、ハートシェイプ、ペア・シェイプ、マーキースといった種類があるが、鑑定書にどれだけ理想的なプロポーションであるか評価されるのは、ラウンド・ブリリアントカットのみ。その他はファンシーカットと評価され、カット名のみが表記される。

「ちなみに、鑑定書がつけられるのはダイヤモンドだけ。その他の色石は鑑別書になります。」

カラットとは重さのことで、1カラット=約0.2グラムと定義されている。クラリティーとは透明度のことで炭素の結晶であるダイヤモンドには微妙なインクルージョン(内包物)がある。

「内包物は、あるよりはないほうが価値として高いのですが、これは自然の残した跡。肉眼ではほとんど見えない場合が多いので、その石の個性と考えるのがいいのではないかと思っています。」

ダイヤモンドを分類する基準として世界中で使われているのがこの4C。このうち、カットだけが人間の技術であり、その他は自然が創った石の個性である。
ただ、4Cが美しさを表す指標ではない、と浅場氏は語る。

「ダイヤモンドを選ぶ際に大切なのは4Cのバランス。そして、4Cはあくまでダイヤモンドの説明です。それを理解したうえで自分が心から美しいと感じたり、なにかを語りかけてくるようなダイヤモンドが最もその人にふさわしいものだと考えています。」

ダイヤモンドにまつわる奇跡のような真実の数々

古代ギリシャ人はダイヤモンドを「神々の涙」、ローマ人は「星のかけら」と考え、インド人にとっては病気や盗賊、邪悪な力を防ぐ幸運のお守りだった。
ダイヤモンドは、地球上で最も古くから存在する大陸、それも人々から隔絶されたような場所でしか見つかっていない。

「どのダイヤモンドも、恐竜が闊歩していた時代よりはるか以前に生成されたもので、最も新しいものでも9億年以上も前のもの。火山の噴火など、何らかの地形の変化が起こらなければ我々が目にすることはできなかったのです。」

ダイヤモンドは、数十億年前に地球の深層部で形成が始まり、18世紀初期まではインドが唯一のダイヤモンド生産国だった。男性の権力の象徴とされ、邪悪を追い払うお守りであり、強さ、勇気、無敵のシンボルだった。

「対して、女性が左手の薬指にリングをはめる習慣は古代エジプト時代にさかのぼります。リングにはダイヤモンド以外の宝石が使われ、クレオパトラはエメラルドをこよなく愛したと言われています。」

初めて日本人がダイヤモンドと出会ったのは幕末の頃。その後、鹿鳴館の時代にアメリカの使節団がお土産として持ち込んだのが最初と言われている。

「とはいえ、婚約指輪はダイヤモンド、と言った風潮が高まるのはほんの35年ほど前からです。それ以前は婚約指輪には色石を使うことも多かったのです。」

現在、ダイヤモンドの年間産出量は約1億カラット・20トン。この中から半分が宝石用として研磨される。これまでに研磨された宝石用のダイヤモンドをすべて集めてもロンドンの2階建てバス1台分にしかならないそうだ。

「そのような希少な研磨済み1カラットの宝石用ダイヤモンドに出会える確率はわずか12億5千万分の1。ですからこの出会いをとても大切にしていただきたいです。」

また、宝石を買うシチュエーションについて。

「何かの記念に購入される場合が多いと思うのです。たとえば、海外旅行に行かれた際、ピンときたジュエリーがあれば、ぜひ購入されることをお勧めします。価値うんぬんより、そのときどう感じたか、その気持ちを大切にしていただきたいからです。」

お守りとしての宝石 ~パワーストーンや誕生石~

古来より、石には不思議な力があると信じられ、権力者たちは自分の守護石を身につけてきた。たとえば、誕生石は生まれ月ごとに決められた守護石。西洋では占星術による星座別の守護石も広く信じられている。諸説あるそうだが、一般的な守護石を挙げると以下のとおり。

1月:ガーネット
2月:アメジスト
3月:アクアマリン
4月:ダイヤモンド
5月:エメラルド
6月:パール
7月:ルビー
8月:ペリドット
9月:サファイア
10月:オパール
11月:トパーズ
12月:トルコ石

山羊座:オニキス・サファイア
水瓶座:アメジスト・ラピスラズリ
魚座:アクアマリン・水晶
牡羊座:ルビー
牡牛座:エメラルド
双子座:アレキサンドライト・シトリン
蟹座:ムーンストーン・パール
獅子座:ダイヤモンド
乙女座:ローズクオーツ
天秤座:サファイア・ペリドット
蠍座:ルビー・オパール・ガーネット
射手座:トルコ石・トパーズ

「また、パワーストーンが心の支えになってくれることもあると思います。」と浅場氏。宝石は地球のマグマ活動の中、奥深いところで長い時間をかけて生成された鉱物だ。

「温泉につかるとホッとしますね。鉱泉となっているのは、約1万年前の地下1000mほどの水分に岩盤の成分が溶け込んだものと言われています。宝石はこの鉱泉よりもさらに深い場所で長い時間をかけて作られたもの。そのエネルギーは、鉱泉よりもはるかに強いとされているのです。」

人間関係を円滑にする、精神的な強さを与えてくれる、リラックス効果をもたらす…など、希望や勇気を与えてくれるパワーストーン。いくつかの種類を組み合わせることで、それぞれの石のパワーを増幅させることもできるそうだ。

さて、宝石について巧みな話術で楽しくご説明いただいた今回のセミナー。豊富な経験によるわかりやすい説明に加え、顕微鏡でダイヤモンドの内包物をチェックしたり、ご用意いただいたルース(台座に取り付けられていない、カットを施しただけの裸石)の見本で「透明な中にも微妙な色味の違いがある」ことを実感したり、と非常に盛りだくさんの内容に参加者も大満足のようだった。

最後に浅場氏の今後の夢について伺った。
「お客さま自身が宝石を見る目を養い、色々な宝飾店を回られ、その結果、安心堂がいちばん!と言って戻って来てくださる機会が増えていくことです。その場に自分がいられたら嬉しいです。」

文・土屋 茉莉

講師紹介

浅場 守(あさば まもる)
浅場 守(あさば まもる)
株式会社 安心堂
ジュエリー、時計、メガネを扱う国内最大規模の名門宝飾時計店の株式会社安心堂。
1966年に入社して以来、50年のキャリアを持つ宝飾店のプロである。
東京・藤枝・沼津店長、商品課長、外商部長、営業部長を経て定年後、社員の教育指導者として現在に至る。