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イベントレポート

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2016年7月10日(日)13:00~14:30

山﨑 友也、久保田 敦、小林 佳果 /

たまプラ鉄道サマーフェス Vol.1

「今この一瞬にすべてをかける!」鉄道写真を撮る際、このような熱い想いで撮る方も多いのでは?天候、時間、タイミングによって「二つとない瞬間」が切り取られることだろう。
今回、鉄道写真家の山﨑友也氏と久保田敦氏をスペシャルゲストにお迎えしたトークイベントが実現!さらに、トークを盛り上げていただくメインパーソナリティは伊豆急オモシロ駅長も務めるフリーアナウンサーの小林佳果氏!豪華3名の方々に、鉄道写真の魅力や鉄道写真をうまく撮るためのちょっとしたコツをお話ししていただいた。

人気鉄道写真家ふたりのトークに会場は大盛り上がり

梅雨晴れで青空の広がる暑い日となったこの日。d-laboたまプラーザは、デジタルモニターに鉄道写真が映し出され、書棚の上を鉄道模型が走る、「鉄道サマーフェス」らしい空間となっていた。走る模型の写真を撮る人、鉄道談義に花を咲かせる人と、開始前から会場は賑やかで打ち解けた雰囲気に。スタッフからの紹介を受けて鉄道写真家の山﨑氏と久保田氏、そしてパーソナリティの小林氏登場の折には、大きな拍手が沸き起こった。

山﨑氏「今日は思うぞんぶん楽しんでいってください」
久保田氏「こんな天気の日は、本当は撮影に行かなければならないんですけれどね(笑)」
小林氏「鉄道写真家の先生おふたりから、いろいろな撮影テクニックを教えていただこうというセミナーです。いい写真を撮るコツって、あるんですか?」
山﨑氏「いいカメラを買うことですね(笑)」

と、身もふたもないコメントが出たところで、まずは第一部、山﨑氏と久保田氏による対談がスタート。

山﨑氏「ただ今ご紹介にあずかりました超有名カメラマンの山﨑です(笑)」
久保田氏「まあまあ有名カメラマンの久保田です(笑)。最初にすみません、ここに、『鉄道写真家になりたい』という方、いらっしゃいますか?(3~4人が手を挙げる)おお~いらっしゃいますね。おいくつですか?17歳!ああ~なれますね。そちらの方はおいくつですか?47歳!?うーん厳しいかなー(笑)」

山﨑氏も久保田氏も、ともに大学の芸術学部写真学科で写真を学んだが、「たまたま大分で撮影をしているときに山﨑さんに会ってスカウトされた」と言う久保田氏に対し、山﨑氏は「学生時代、歌舞伎町で写真を撮っているときに、鉄道写真専門のカメラマン事務所の住所をたまたま目にして、その足でアポなしで行ってみた」のがこの世界に関わるきっかけだったと告白。以来、漫画家が編集部に持ち込みするような感じで、鉄道写真を撮っては持参し、見てもらうことを繰り返して、大学を卒業するタイミングでちょうどスタッフに空きが出たのでそのまま事務所に就職したのだという。
「運とタイミングもありますよね」としみじみ頷くふたり。

久保田氏「僕は鉄道雑誌によく投稿していましたね。多いときには、1冊に50枚くらい写真が掲載されたこともありました。プロになった今でも、撮影現場で当時の編集者に会う機会がありますが、よく覚えてもらっています」
山﨑氏「雑誌は、プロもよく見てますよ。僕らだって、ここだけの話ですけど、いい作品があったらパクらせてもらってますから(笑)」
久保田氏「真似は大事ですよね」
山﨑氏「人真似できたら一人前、という言葉もあるくらいで、なかなか真似するのも難しいですよ」
久保田氏「上手い人の真似をすることが大事なんです」
山﨑氏「鉄道写真にもいろいろありますが、商売として一番売れるのは“編成写真”ですよね。車両をきれいに撮る、という。これ、奥が深いんです。究極の編成写真って、なかなか撮れんよー」
久保田氏「僕、儲かるからじゃなくて、好きで編成写真撮ってるんですけど、評価されにくいんですよね。山﨑さんのおっしゃるとおり、なかなか奥深い分野なんですが。『鉄道ジャーナル』の表紙も6年くらい撮っていますが、年に12冊発行されるなかで、自分で本当に気に入る出来のものは1冊くらい」

現在、山﨑氏は写真事務所を主宰。久保田氏は山﨑氏の事務所を経て、フリーランスとして活動している。

山﨑氏「JRの時刻表の広告やらガイドブックやら全部を受けて、みんなでやったのは楽しかったなぁ」
久保田氏「E257系あずさが出たときですよね。ふたりでロケハン行きましたね」
山﨑氏「鉄道写真家、作家として、一匹狼でやっていきたいという思いがある反面、みんなで大きな仕事をやっていく楽しさも代え難いものがある」
久保田氏「やっぱり、まずは写真事務所に入るのが、鉄道写真家になる近道なのかもしれませんね。なかなか入れてもらえないと思うけど」
山﨑氏「技術は教えられるけど、人となりはどうにもならないから。鉄道写真に対する熱意を伝えてみることに尽きるかな」

山﨑氏が新人の頃、100万円くらいのレンズを「崖から飛び降りる覚悟で(笑)」クレジットカード72回払いで購入した話からスルガ銀行の「一眼レフ購入ローン」「超望遠レンズ購入ローン」の話題で盛り上がったかと思えば、久保田氏が大寝坊してロケに遅れそうになった失敗エピソードをはじめ撮影裏話も次々飛び出し、会場は大爆笑の連続であった。

プロからのアドバイスに熱心に聞き入る参加者たち

ここで「さすがのおふたり、漫談を見ているかのようでしたね〜」と、小林氏が再登場。話題は、今後の鉄道関連の注目ポイントへと移っていった。

2017年春から運行予定の、JR西日本の周遊型豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(みずかぜ)」や、JR東日本の周遊型豪華寝台列車「TRAIN SUITE 四季島」、2016年3月に引退した寝台特急「カシオペア」が期間限定で復活する「カシオペアクルーズ」「カシオペア紀行」など、さまざまな話題が挙がる。

「年末に個展を開催する」という山﨑氏は、「テーマは『車両のない鉄道写真』。これで鉄道写真業界に風穴を開けようと(笑)」と意気込みを語った。

小林氏とともに「伊豆急オモシロ駅長」を務め、伊豆急開業55周年記念特別企画として開催されるフォトコンテスト『伊豆急カレンダー2017』にも特別選考員として関わっている久保田氏は、「皆さんもぜひ応募してくださいね。コンテストで入選するのもプロになる道のひとつです」と、鉄道写真家を目指す参加者を鼓舞。

さらに、今回、d-laboに鉄道模型を設置していただいた鉄道模型メーカーTOMIXの鈴木雅之氏がゲストとして登場。久保田氏が「鉄道ファンの間では有名人ですよ」と紹介するだけあって、参加者から大きな拍手で迎えられていた。トワイライトエクスプレスや北斗星といった、運行終了する車両を鉄道模型にした限定品「さよなら~」セットの誕生秘話や、次はどんな鉄道模型が企画されているかなど、ファンにはたまらないトークが繰り広げられた。

鈴木氏「夏休みには鉄道模型コンテストやホビーショーなど、“模型系”イベントがたくさんあるので、ぜひ皆さんも足を運んでいただきたいですね」
久保田氏「鈴木さん毎年夏は忙しすぎて死にそうになってますもんね(笑)」

鉄道模型の話題でひとしきり盛り上がった後は、「たまプラ鉄道サマーフェス」第2部へ。参加者が記入したアンケート用紙をもとに、山﨑氏らゲストがさまざまな質問に答えていく。

質問「一番大変だった撮影は?」
久保田氏「先ほども言いましたが、寝坊して遅刻しそうになったEast-i(イースト・アイ)の撮影ですね(笑)」

質問「上手に撮れる列車はどれですか?」
山﨑氏「いいカメラを買えば上手に撮れます(笑)」
久保田氏「いっぱい撮ること。練習あるのみですね。あとは“好きな電車”を“大きく”撮ること」

質問「フィルムがデジタルに変わって、よくなったこと、悪くなったことは?」
山﨑氏「ISO感度の数字が上がって、肉眼で見えないものもしっかり撮れるようになり、表現の幅が広がりましたね」
久保田氏「1枚のフィルムを、みんなでルーペで見るというような、品評会をする機会は、デジタルになってからなくなりましたよね。ライブラリー的な意味では質が落ちたのかなという気はします」
久保田氏「風景を見せようとして車両が小さくなると、景色に溶け込んでしまうんですよね。あとは光の使い方でしょうか。車両を目立たせる方法を考えて撮ってみては」

質問「小林さんに質問です。イケメンだと思う車両は?」
小林氏「SL好きですね。やっぱりD51(デゴイチ)かな。人間ならゴツゴツした人より、ジャニーズ系の爽やかな人のほうが人気だったりするけど、車両の場合は、ドン!と存在感あるのがいいですよね」

質問「雨男と言われている山﨑さん、雨の日の楽しい撮り方を教えてください」
山﨑氏「発想を変えて、雨の日にしか撮れない写真を撮ってみる。雨のしずく、濡れたレール、水たまり、山沿いの低くたれ込めた霧とか…」

質問「車両と風景、どちらも撮りたくて、中途半端になってしまいます」
山﨑氏「優先順位を決めて、心を鬼にして他は捨てる。1番は車両、2番は花、3番は山…とか。写真は欲張ったらダメです」
久保田氏「なんかプロの格言っぽいこと言ってますね(笑)」

成果はそれぞれ…しかし確実に意識は変わった!

最後は豪華景品が当たる大抽せん会!アンケート用紙を抽せん券にして、山﨑氏らゲストが任意に選んでは、当せん者を発表していく。

久保田氏のサイン入り「2016年上田電鉄カレンダー」、スルガ銀行特製マグカップ、TOMIXバス模型「ザ・バスコレクション」、TOMIX鉄道模型、「鉄道模型ショー2016」ペア招待券、上田電鉄の車両模型と、なんとプレゼントが全員に行き渡る贅沢な抽せん会となった。

さらに、山﨑氏、久保田氏のサイン入り写真集をじゃんけん大会で争奪。「最初はグー!じゃんけんポン!」と、勝ち抜きで熾烈な戦いが行なわれ、各1名が貴重なプレゼントをゲット。会場は笑顔と喜びの声でいっぱいになった。

「たまプラ鉄道サマーフェス Vol.1」と銘打っての開催となったセミナー。小林氏の「Vol.1、ということですので、ぜひVol.2、Vol.3と続けていきたいですね!」という言葉に大きな拍手が。セミナー終了後もd-laboたまプラーザ内は鉄道ファンの冷めやらぬ熱気にあふれていた。

講師紹介

山﨑 友也、久保田 敦、小林 佳果

山﨑 友也
鉄道写真家。広島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。
真島満秀氏に師事後、1998年に独立。2000年、有限会社 レイルマンフォトオフィス設立。同社代表。
著書に『僕はこうして鉄道カメラマンになった―鉄道写真に魅せられて』『ドラマティック鉄道写真術』他。

久保田 敦
鉄道写真家。長野県生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。
会社員、フリーカメラマンを経て2001年に有限会社レイルマンフォトオフィス入社。
現在はフリーになり『鉄道ジャーナル』(鉄道ジャーナル社)を中心に活動のほか、一般誌でも活躍中。

小林 佳果
フリーアナウンサー。静岡県生まれ。明治大学文学部英米文学科卒業。
大学卒業後ホリプロアナウンス室所属を経て、現在オフィスキイワード所属。
2012年5月、伊豆急行 伊豆急オモシロ駅長「下田生まれのアナウンサー駅長」に就任。