スルガ銀行 Dバンク支店

SURUGA d-labo. Bring your dream to reality. Draw my dream.

イベントレポート

イベントレポートTOP

2016年9月25日(日)14:00~16:00

高橋 典子(たかはし のりこ) / ドッグホリスティックセラピスト

もしものときに実践できる!愛犬を守る知識とケア方法

災害が起こったとき、大事な家族の一員である愛犬も助けたい。それはきっと、飼い主全員の共通の想いなのではないだろうか。本セミナーでは、いざという時の引き出しをふやす、愛犬を守る知識とホリスティックケア方法を紹介。講師は、d-labo湘南ではおなじみ、Comfort Shonan代表高橋典子氏。湘南T-SITE 1号館1階「GREENDOG」との共同開催セミナーである。もしものときの知識を備えておけば、飼い主の咄嗟の判断で愛犬を守ることができるかもしれない。愛犬との毎日を安心のある日々にするための、学びの時間となった。

ペットの命を守ることは、人間の“心”も救う

ペットシッターになって13年目になる高橋氏。「預かる子たちのストレスケアのために」とホリスティックケアを学んだ。代表を務めるペットシッター・ホテル「Comfort Shonan」では、10頭ほどの犬を同時に預かっても、ホリスティックケアの効果もあってストレスが軽減されるのか、ほとんど吠えることがないという。

「今日は、『愛犬を守れる飼い主に!』という思いで、もしものときに役立つホリスティックケアをお伝えしたいと思います。私たちが暮らす日本は、災害列島とも呼ばれ、国土の大きさは世界の陸地面積の0.25%にすぎないのにも関わらず、統計によっては、世界の自然災害の約15%が発生していると推計されています。大地震や火山の爆発、風水害などが発生した時、動物は、人間と同じように対応することはできません。飼い主の皆さんは、『自分とペットの命を守る』ために、日頃からいざというときの準備をしておくことが大切なのです」

「ペットの命を守ることは、人間の心も救う」と高橋氏は強調する。「たとえ自分だけが助かっても、きっとその先、ペットを守れなかったことは、精神的なダメージになる。そうならないように、忙しい毎日ではありますが、心と体、そして物の準備をしておきましょう」

災害発生時には、飼い主一人ひとりが取り組む「自助」、獣医師や町内、NPOなどで力を合わせる「共助」、行政による「公助」が不可欠となるが、重きをおきたいのは「自助」。災害発生時に自分や家族、ペットの命を守れるのは、やはり自分だけなのである。

避難する際にペットをどうするか、という判断については、「環境省による『災害時におけるペットの救護対策ガイド』では、飼い主とペットの同行避難を推奨しています。しかし、地域の特性や住環境、災害の種類などによっては難しい場合もあるでしょう」と高橋氏。実際に、高橋氏が、自身が暮らす町の自治会長に避難所について確認したところ、「ペットとの同行避難には対応していない」とのことだったという。避難場所の確認とともに、同行避難の可否も調べておくとよいだろう。

自宅が無事で安全であれば、自宅で家族と一緒に過ごすか、ペットだけを自宅に置いて毎日世話に戻るというスタイルもある。そのためにも、自宅の防災化、安全化を図っておくことが大切だ。「家の中でどこが一番安全かを確認」「ペットケージの安全な置き場所を決め、固定する」「家具や家電の転倒防止策をとる」「ガラスの飛散防止フィルムを貼る」「就寝中の災害に備えて枕元に懐中電灯と靴を用意する」といった、自宅避難を想定した準備も進めておくべきである。

同行避難する場合でも、「吠えない、待て、おすわり、咬まないなどの基本的なしつけができている」「ケージやキャリーに入って落ち着くことに慣れている」といったことができていれば、飼い主とペットの避難所でのストレスやトラブルを軽減することができる。「ペット同行の避難訓練や、野外キャンプなどで、普段の環境と異なる場面に慣れさせておくこともおすすめします。日頃から近所の犬仲間や地域の人たちとのつながりを大切にし、地域で犬を受け入れてもらうためにコミュニケーションを図ることを心がけましょう」

ペットのための防災リストをチェック

どんなに準備していても、いざ、災害が起こると、目の前の異常事態に対してただちに行動をすることは難しい。煙が迫ってきていても、逃げる、という行動を起こすまで、ある程度の時間がかかるものだ。「いざというとき、人は、普段やっていることしかできません。また、人は同調しやすく、他の人の動きにつられて動いてしまうものです。災害時に一番大切なのは、とにかく“冷静になる”こと」

極度の緊張から脱却するために、高橋氏は呼吸を整える方法を紹介。息を「吸って、吐く」ではなく、あえて順番を変え、「吐いて、吸う」と、気持ちが落ち着くのだという。また、自律神経を落ち着かせるためには、「お尻をぐっと意識して締め、声を出して『大丈夫』と言いながら、どちらかの手で自分の胸の辺りをとんとんと叩く」とよいそうだ。

さらに高橋氏は、「準備しておきたいペットの防災リスト」を提示。フード(フードボール)、水(水入れ)、首輪(ハーネス)、ペットシーツ、ケージ・キャリーなどのほかに、狂犬病予防注射の札・ワクチン証明書、鑑札・名前札、そしてペットと一緒に写っている写真を用意しておくと、迷い犬になったときの飼い主探しにも役に立つ。

犬の情報を書き込む「エマージェンシーカード」も、迷い犬になったときのフォーマットとして活躍する。JKC(ジャパンケンネルクラブ)のホームページからダウンロードできる。

「スムーズに避難するためには、避難経路を歩き慣れていることが必要です。初めての所だと、犬はいろんなにおいが気になって、思うように歩いてくれません。避難所に指定されている場所まで、危険箇所や給水・トイレのある所などを確認しながら、時々愛犬と散歩するとよいでしょう」

さらに、風呂敷を使ったキャリースイングの作り方も披露。布一枚で愛犬を抱えつつ、両手を空けることができるので、避難時におすすめだ。避難用の持ち出し袋の中に風呂敷を一枚入れておくとよいかもしれない。

やろうやろうと思っていてもなかなかできないのが防災アクション。高橋氏は「私もまだまだなんですけれど」と苦笑しながら、「今日のセミナーをきっかけに防災に対する意識をもち、少しずつでも準備をしていただければ嬉しいですね」と語った。

講師紹介

高橋 典子(たかはし のりこ)
高橋 典子(たかはし のりこ)
ドッグホリスティックセラピスト
ホリスティックケアをとりいれたペットシッター・ホテル、Comfort Shonanの代表。
湘南エリアを中心にペットマッサージに関するホリスティックケアセミナーなどを多数開催。日本ペットマッサージ協会の公認講師として活躍しており、その他愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケアカウンセラー、ペット東洋医学アドバイザーなどペットに関する様々な資格を保有している。神奈川県動物愛護推進員。
Comfort Shonan:http://www.comfortshonan.jp