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イベントレポート

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2016年10月2日(日)14:00~16:00

山口 岩男 / ギタリスト、シンガー・ソングライター&ウクレレ・プレイヤー

山口岩男のハワイアンスラックキー・ギター1Dayレッスン
~『Kalena Kai』にチャレンジ!~

スラックキー・ギターとは、ハワイ生まれの独自のチューニング法を用いたギターのこと。ギター自体は、アコースティックギターでも、クラシックギターでも、エレキギターでも、なんでも演奏可能だ。少ないコードで演奏できるので、初心者でも挑戦しやすい。本レッスンでは、スラックキー・ギターの基本チューニングである「Taro Patch」を使い、3つのコードだけで構成されるハワイアンミュージック『Kalena Kai』を、1日で習得していただいた。自分の指から流れてくるハワイアンサウンドに感動したひと時となった。

ハワイの風を感じるスラックキー・ギターの魅力

ギタリストとして活躍する山口氏を講師に迎えてのレッスン。ギター持参の参加者も多かった。「皆さん、見るからに“ずっと使っていない感じのギター”を持ってきてくださいましたね(笑)。今日は、まったくギターを触ったことがないという人でもそれなりに雰囲気が出せるくらいになるまでいきたいと思っています。ハワイアンカルチャーについてのお勉強や、ミニコンサートもはさみながら、楽しんでやりましょう」

今日チャレンジするのは「スラックキー・ギター」という、ハワイ発祥の奏法。その始まりはウクレレよりも50年ほど早かったという。

「一般的なギターのチューニングは、弦を押さえない開放弦の状態で、1弦からミ、シ、ソ、レ、ラ、ミ、の音になっています。これは、いろんな曲を弾くのに適したチューニングなんですね。たとえば…」と言いながら、山口氏はボサノヴァ、ブルース、フラメンコ、と、次々とそれぞれの典型的なメロディを奏でてみせた。「でも、世界にはもっといろいろなチューニングがあるんです。そのひとつがスラックキー・ギター」

スラック、とは“ゆるめる”という意味。つまりスラックキー・ギターとは、一般的なチューニングよりも弦をゆるめたギターということ。ハワイの人たちが、ギターをポンと渡されて、弾き方もわからないままに、自分たちの気持ちのよい音を探して弦をゆるめていった結果、誕生したチューニングなのだ。

「1弦がオープンG、つまり何も弦を押さえないでGのコードが出るようになっていて、人差し指だけでコードが弾けます。別名『タロパッチ』、ハワイの言葉で『タロイモ畑』のチューニングとも呼ばれています。ハワイの海や風に合う音なんですよ」

ちょっと弾いてみましょうか、という山口氏の演奏に、拍手が起こる。波の音が聞こえてきそうな、ハワイアンらしい優しい音色に癒される。

「余談ですが、これと同じことが、アメリカ南部ミシシッピ州でも起こっています。同じスラックキーのチューニングで、黒人たちはブルースを弾きました」

そう言って山口氏は、先ほどのハワイアンと同じチューニングのままで、一転、渋いブルースを演奏。参加者から「おおー」という感嘆の声が上がった。人種、風土の違いで、同じチューニングでも生まれる音楽はこんなに違うのか、と驚く。

「ローリング・ストーンズもオープンGのチューニングを使っています。ハワイアンとローリング・ストーンズが同じチューニングで弾けるというのも面白いですよね」

ベースラインとメロディラインをそれぞれに練習

各自のギターのチューニングを山口氏に調整してもらった後は、いよいよ本日の課題曲『Kalena Kai』にチャレンジ。ハワイ語で「Kai」とは海のことで、『Kalena Kai』は「カレナの海」という意味だ。

「ハワイアンスラックキー・ギターは、親指でずっとベースラインの低音を弾きながら、メロディラインも同時に弾く演奏法です。いきなり両方は難しいので、まずはベースラインを覚えましょう」

左手は弦を押さえず、開放にしたまま、右手の親指で5弦、4弦、5弦、4弦…とベースラインを弾いていく。「これは簡単ですね」。曲の最後は左手の小指で1弦5フレット、薬指で2弦5フレット、人差し指で3弦4フレットを押さえて、5弦からポローンと弾き下ろすG6のコードで。「このG6が入るとハワイアンっぽくなります。ギターを揺らすと音も揺れて、さらに雰囲気が出ます」

3分間ほど、それぞれに練習する時間をとる。「手の位置、持ち方にも気をつけて」と、山口氏が参加者の間を回りながらアドバイス。指が慣れてきたところで、参加者がベースラインを、山口氏がメロディラインを一緒に弾いてみる。「まだ恐る恐るといった感じですね。もう少し強くはじいてみましょう」。何度か繰り返すうちに、演奏がだんだん馴染んできたようだ。

次にメロディラインを練習する。TAB譜(ギター用の譜面)の見方の説明を受け、フレットの押さえ方を教わってから、まずは1~2小節のメロディラインを弾いてみる。「ソーソーラーソーレシー」…。「人差し指で押さえて」「指をそのままずらすように」「もっと強く弾いてください」など、丁寧にポイントを教えていただき、順番にひとりずつ弾いてみる。「素晴らしい!」

ここで5分休憩…ということだったが、その間も参加者は熱心に練習を続けていた。

後半スタート前、山口氏から、いつも演奏前にやっているというストレッチを教えていただく。手首や指の運動、肩回し、ヨガの“戦士のポーズ”…。「楽器を演奏することが、頭で考えたことを手に伝えること。神経経路を活性化させることが大切なんです」

頑張って練習した後は、ミニライブに癒される

さらに3~4小節を練習した後、1~4小節まで続けて弾いてみる。「今、ここをとおりかかった人が聞いても、まさか今日が初回だと思わないくらい上手に弾けていますよ」と山口氏に太鼓判をいただいた。さらに7小節目までを練習し、最初からとおしで3回弾いてみる。練習開始から1時間余りで、驚くほど形になってきた。

「最後の9~10小節は、一番難しいけれど一番ハワイアンっぽいメロディです。通常のレッスンなら3回めくらいで練習するレベルなので、無理しなくていいですよ」と山口氏。しかしもちろん参加者は、8小節目までとはワンランク難易度が高いメロディにも果敢に取り組む。

3分間の練習の後、いよいよ、頭からとおしで弾いてみる。たどたどしいところはあっても、優しく爽やかなハワイアンがd-labo内に響きわたり、感動的だった。演奏後、「手が真っ赤!」「疲れたー」という声があがったが、全員とても満足そうな笑顔を浮かべていた。

「楽器の演奏は、自転車と同じで、1回できるようになれば、できない体にはならないので、これをきっかけにスラックキー・ギターを本格的に始めていただきたいですね。楽器屋さんで試し弾きをするときには、ぜひさっきのフレーズを弾いてみてください。店員さんが感心しますから(笑)」

最後に、特別ミニライブとしてハワイアンの名曲などを数曲披露していただき、大きな拍手でセミナーは終了。ハワイアンスラックキー・ギターを学び、弾き、聴いて楽しんだ、充実の2時間となった。

ミュージシャンとしての活動以外にも、最近ではSUP(スタンダップパドルサーフィン)や畑仕事、食や健康に関する活動にも取り組んでいる山口氏。体と心によい暮らしが、音楽にも大きな影響を与えていると語る。「ゼロから始める楽器としては、スラックキー・ギターはすごく簡単でおすすめです。弦をゆるめるだけで、こんなに気持ちがいい世界があるということを知ってもらえたら嬉しいですね」

講師紹介

山口 岩男
山口 岩男
ギタリスト、シンガー・ソングライター&ウクレレ・プレイヤー
茅ヶ崎市在住。ギタリスト、シンガー・ソングライター&ウクレレ・プレイヤー。ハワイを始め、ニューヨーク、タイ、オーストラリア、韓国、台湾など、海外のウクレレ・フェイスティバルに出演する。ギタリストとしては、原田真二、森山直太朗、ケツメイシなどのツアーをはじめ、多数のレコーディングに参加。2016年3月にはユニバーサルミュージックジャパンよりアルバム「Pacific Touch」を、5月にはオーシャンビューレコーズよりソロ・ギタリストとして初のアルバム「Slow Music~Iwao’s Hawaiian Collection 1 」をリリース。
http://iwao-breeze.com
https://www.facebook.com/iwao1963/