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イベントレポート

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2017年1月15日(日) 13:30~14:35、14:45~15:45

乾 たつみ(いぬい たつみ) / コスプレサイト “Cure WorldCosplay” 管理人

世界から見た"ジャパンポップカルチャー" / 失敗しないコスプレ衣装オーダー術

海外では「オタク」と「カワイイ」がかっこいい

講師の乾たつみ氏は世界中のコスプレイヤーが集まるコスプレのコミュニティーサイト「Cure World Cosplay」の管理人。今回のセミナーでは、海外のアニメイベントなどでコスプレコンテストの審査員やコスプレ専門番組の解説員などを務めている乾氏に、「海外から見たジャパンポップカルチャー」と、「コスプレ衣装のオーダー術」についてお話をお願いした。

まず掘り下げてみたのはよく耳にする「クールジャパン」という言葉。国の施策であるクールジャパンの目的は、ファッションやデザイン、また世界で人気の高い日本のアニメやマンガなどのコンテンツを広めて日本ブームを創出し、新たに市場を開拓したうえで海外から人を呼び込み日本で消費してもらおうといったものだ。実際、近年は海外から日本への旅行者が増え、施策としては一定の成果を挙げている。が、海外の現場を見てきた乾氏によれば、実態としてのクールジャパンは「僕たちの想像していたものとはちょっと開きがあります」という。

「日本ではテレビメディアなどを見るとクールジャパン=アニメと打ち出していますが、実際のクールジャパンは食文化や観光が中心。それをサポートするクールジャパン機構でもアニメやマンガ関連の事業に対する支援は数えるほどしかありません。そのせいか海外のアニメイベントのイベンターにクールジャパンと言っても、通じないことが多いですね」

では何と言えばいいのか。ここで思い出してほしいのが“OTAKU=オタク”や“KAWAII=カワイイ”といった言葉だ。

「オタクとカワイイは日本のポップカルチャーを象徴するキーワード。この2つの言葉が海外ではかっこいいとされています。皆さんもフェイスブックなどで海外の方と交流されるときは、クールジャパンと言わずにオタクやカワイイを使ってください」

何でもありの海外アニメイベント

アニメやマンガ、ゲームなどの日本のポップカルチャーは海外で大人気。アジアやヨーロッパ、アメリカ、南米などでは盛んにイベントが開催されている。その特徴は「日本と違って何でもあり」なところ。日本ではカテゴライズがはっきりしているアニメイベントだが、海外では日本のアニメに混じってアメコミが入っていたり、逆にアメコミのイベントに日本のアニメが加わっていたりする。それだけではなく「日本文化と言いながら日本人の目から見るとおかしなもの」もたくさん紛れている。たとえばアニメを含む日本文化全般を紹介するイベントとして有名なフランスの「ジャパンエキスポ」。会場に足を運んでみると「空手と謳っているのに中身はテコンドーだったり、観光地のお土産屋で売っているようなサテン地の着物を着て茶道をやっていたりと、なんちゃってな出し物もけっこうあります」

「見ていると好きなもの、憧れているものを一同に集めている感じ。日本の企業がブースを出すときは海外の人が何を求めているのかをよく調べてから行った方がいいですね」

アニメイベントで人気があるのはガンダムなどのプラモデルやフィギュア、アニソン、カードゲーム、コミック、同人誌、カプセルトイなど。もちろん会場にはコスプレイヤーの姿も多い。

「日本と違うのはコスプレイヤーが芸能人扱いされている点です。コンテンツホルダーである日本の場合はコスプレイヤーの活動にはある程度制限がかかってしまうけれど、海外ではそのへんが割とフリーダムなんです」

もしはじめて海外イベントに参加するならば「お勧めは台湾」。台湾は比較的日本語が通じるうえ雰囲気も日本に近い。それでいて目新しいものも多く「収穫が多い」という。

あとでがっかりしないためのコスプレ衣装オーダー

ざっと海外のイベント事情を紹介したあとは、日本でも近年のハロウィンブームなどで楽しむ人が増えたコスプレのオーダー術。お気に入りのキャラクターになりきるのに必須のコスプレ衣装をどのようにして手に入れるか、細かいところまで指南していただいた。

コスプレオーダーのメリットは何といっても「自分にスキルがなくても欲しいものを作ってくれるところ」だ。対してデメリットは「オートクチュールだから高い」点。満足のいくものを手に入れたければ「30万円から80万円はかかります」。それだけに「このキャラクターは自分がいちばん似合う」、「これに命を賭けるんだ」といった思いがほしい。

実際に衣装をオーダーする場合、注文はネットから行なうのが一般的。このときどんな業者を選ぶべきか。ポイントとなるのは「日本国内に店舗や事務所がある」、「電話番号がサイトに表記されている」、「サイトの日本語がおかしくないか」など。というのも、コスプレ衣装の大半は中国や東南アジアで製作されているからだ。作られるのは外国でもせめて「担当者は日本人」でいきたい。

業者を決めたら見積もりを依頼。その際はリクエストをわかりやすく箇条書きにすること。いざオーダーとなったら入金。資料としては三面図やフィギュアなど全身や後ろ姿がわかるものを用意したい。採寸は正確を期するためになるべくなら衣服をつけずに、またつけたとしてもTシャツ程度に留めて家族や親しい人に頼む。最大の問題はキャラクターのシルエットにいかにして近づけるか。顔の大きさや肩幅、また膝下の丈などについては業者に相談するといい。

「他にも使用する生地や細部のデザインなど、相手もプロですから相談すればこうするといいですと提案してくれるはずです。そうでなく何でもOKというような業者は要注意です」

いちばん失敗が多いのが帽子や兜のサイズ。採寸する際はウィッグをつけることを忘れずにいたい。完成まではだいたい1か月半から2か月。ここで大事なのは業者まかせにはせずに必ず途中で進捗状況を問い合わせすることだ。こうすることで納期の遅れを防ぐことができる。送られて来たらすぐに試着をすること。万一、サイズや色、模様、シルエットなどが注文と違っていた場合に備えて、証拠となる発注書などは大切に保管しておきたい。

「高いものですから、あとでがっかりはしたくないですよね。オーダーする際はちょっとうるさいくらいのお客さんになるといいです」

同じコスプレをするならばより完成度の高い衣装を着て高揚感に浸りたい。そのためにも相手によく伝わるオーダーの仕方が重要だ。

講師紹介

乾 たつみ(いぬい たつみ)
乾 たつみ(いぬい たつみ)
コスプレサイト “Cure WorldCosplay” 管理人
国内外のアニメコンベンションイベントでコスプレコンテストの審査員や、コスプレファッションショーのディレクションを手掛ける。自身もコスプレを嗜み、コスプレカルチャーを通じ国際交流を推進している。
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