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イベントレポート

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2017年2月23日(木)19:00~21:00

森山 瑠水,森山 晃嗣 /

『がんにおける最新代替療法』

がんで亡くなる方は1日に1,000人を超えているという。さらに、糖尿病などの患者も増加傾向にあり、日本は「生活習慣病大国」になりつつあると言える。がん治療には様々な治療法や可能性が存在しており、本セミナーでは、正常分子栄養学の視点からがん対策やがん治療、その他米国式最新代替療法について紹介させていただいた。

代替療法によって西洋医学の治療の効果をより高める

日本国内におけるがん患者の死亡数は年間38万人。その数は統計を追ってみるとこの30年で倍増している。これを防ぐには、やはり「早期発見、早期治療」が大切だ。が、はたしてそれだけでいいものだろうか。 この日のセミナーは『NPO法人がんコントロール協会』の代表である森山晃嗣氏と、娘で理事の森山瑠水氏がゲスト。がんの代替療法、とくに長年取り組んできたという食事療法について知見を広める機会を設けていただいた。

最初に定義したのは「がんの代替療法とは何か」。簡単に言えば「現代西洋医学が切り捨ててきた全ての治療法」。そこには漢方や鍼灸などの伝統医学もあれば、マッサージ、指圧といった整体療法もある。 他にも催眠療法や瞑想などの心身療法、そして食事療法がある。ここで大事なのは、『だからといって西洋医学を否定しないこと』だ。

「代替療法と聞くと、がんが鍼灸だけで消えたみたいな夢のような話を想像されてしまうことが多いのですが、私たちが定義する代替療法は違います(瑠水氏)」

 代替療法とは正しくは「西洋医学の治療の効果をより高めるための体の土台づくりを含めた総合的な療法」のこと。『がんコントロール協会』の本部があるアメリカや隣国のメキシコではドクターたちがさまざまな代替療法を用いてがんの治療に当たっているという。

「代替療法によって体ができてくると薬は少量でも圧倒的に効くようになります(瑠水氏)」

 その体づくりでもっとも大切なのが食事療法だ。人間の体はすべて細胞からできている。正常な細胞はどんどん細胞分裂を繰り返し、ある一定の回数が終わると自滅して排泄される。こうした代謝の連続で人間は生きているのだが、異常な細胞であるがん細胞はいったんできると死ぬことなく増えつづける。このがん細胞が死なない理由は「死ぬための栄養素が足りないから」。正常な細胞は内部にマグネシウムとカリウム、それにビタミンBが存在し、外側にはナトリウムとカルシウムがある。こうした栄養素がバランスよく保たれていてはじめて細胞は正常な機能を発揮する。しかし、がん細胞はこれが働かずに増殖ばかりを繰り返してしまうという。

正常分子栄養学で正常な細胞をつくる

正常な細胞に必要な栄養素はタンパク質、脂肪酸、ビタミン、ミネラル、植物栄養物質の5種類。森山氏たちはこれらを「いのちの鎖栄養物質」と呼んでいる。それを裏づけるのが「正常分子栄養学」だ。 「正常分子栄養学」とはアメリカの生化学者である故ロジャー・ウィリアム博士が発表した「生命の鎖栄養理論」をもとにしたもの。「栄養素はひとつではなくチームで働く」という考えから生まれた栄養学だ。

その目的は「60兆個の細胞の質を良くし、細胞を正常に代謝させる」こと。日本で主流を占める、炭水化物、タンパク質、脂肪酸の三大栄養素からなるカロリー栄養学と大きく違うのは炭水化物が含まれていない点だ。なぜ炭水化物が除かれているかといえば、原因はそこに含まれている糖質にある。

「がん細胞の特色は糖質をエサにして成長するところ。もしがん患者の方が白米やパン、うどんなどの小麦粉でできているものばかりを食べていたとしたら、せっせとがんにエサを与えていることになる。これではせっかくの治療も水の泡と化してしまいかねません(晃嗣氏)」

 細胞を作っているのは日々自分が口にしている食事。たとえがん患者ではなくても、健全な細胞を作るには糖質は極力下げてミネラルやビタミン、タンパク質を摂取することが重要だ。

晃嗣氏は「とくに勧めたいのがオーガニックなものです」と訴える。

「たとえばトマト。化学肥料や農薬を使ったトマトのカリウムが1だとしたら、アメリカのオーガニックのトマトは1,000もあります。それが野生のトマトだと1万に増える。同じ食べ物を食べるなら栄養素の高いものを選んでください。とくに無農薬野菜や海藻などミネラル豊富なものをとることで細胞はビタミンBやミトコンドリアが働いて元気になります」

 健康な人でもまずは血液の質と循環を変えること。同じ朝食でもトーストとコーヒーだけで済ますよりも、玄米に漬物に納豆に味噌汁といった組み合わせの方が血液の質は高まる。よく「がんや生活習慣病の予防には適度な運動が効果的」と言われているのも、そうすることで血液の循環がよくなるからだ。

食事によって遺伝情報も修復できる

がんというとよく耳にするのが遺伝子との関係。確かに先天的に遺伝子に異常があればがんになる確率は高くなる。だがこれも必ずしもそうではなく「後天的な環境によって遺伝情報は修復される」という。「後天的な環境」を作るのは言うまでもなく食事だ。

「数年前に私も遺伝子の異常から前立腺がんを疑われて検査を受けました。結果は問題なし。たとえ遺伝子がおかしくても、そのスイッチがオフであれば病気にはならないんです」

ここでは食事療法とともにがん治療に効果があると言われているビタミンCの大量点滴などの代替医療や、『がんコントロール協会』の主催するコンベンションなどを紹介。毎年7月に行なわれるコンベンションではアメリカや国内各地で代替医療に取り組んでいる医師たちによる最新の事例報告などが聞けるという。

セミナー後半では正常分子栄養学を学んでいるMさん(女性)が登壇。2年半前に子宮平滑筋肉種となり、手術を経て抗がん剤を投与。副作用に苦しんだために現在は正常分子栄養学中心の代替療法に切り替えて健康を取り戻したという体験を語ってくれた。

「正常分子栄養学を取り入れてからはガリガリだった体も体重が戻りました(Mさん)」

NPOとしての活動だけではなく、企業や社団法人としても正常分子栄養学に基づいた健康食品の開発や健康指導師の育成に取り組んでいる晃嗣氏と瑠水氏。その目的とするところは「人々の健康長寿人生」にあり、両氏の「夢」もその実現にある。

「日本のお医者さんは患者さんに『何でも食べていい』という人が多いですね。そうじゃなくて食事のことからその人に合った優しい治療法を考えていくという転換がこれからは必要になると思います(晃嗣氏)」

「父は69歳。あと30年は頑張ると言っています。今私たちが取り組んでいるのは栄養満点の水耕栽培。父と一緒に開発できればと願っています(瑠水氏)」


※本セミナー内容は講師の見解です。

講師紹介

森山 瑠水,森山 晃嗣
森山 瑠水,森山 晃嗣

森山 瑠水(もりやま るみ)
大手損害保険会社の法人営業を経て、栄養コンサル会社であるボタニック・ラボラトリー株式会社に入社。細胞レベルの最先端栄養学である「正常分子栄養学」を30年以上前から提唱し続けてきた父、森山晃嗣のもと、幼い頃から食に関する意識を持つ家庭で育ってきた。現在、NPO法人がんコントロール協会理事、(一社)健康指導師会 副理事長としてがんや生活習慣病の方の栄養指導を行なっている。
森山 晃嗣(もりやま あきつぐ)
20歳の時に脳膜炎、喘息、皮膚病になり薬漬けの生活をしていた時、農学博士のアドバイスにより食事療法と栄養素療法を実践し健康を回復。その後、米国の医学大学通信講座にて正常分子栄養学の基礎を学び、講演活動や健康相談を開始。 日本各地はもちろん、アメリカ、カナダ、台湾などで講演を続け、これまでの講演回数は 6000 回以上、その参加者はおよそ100万人を超えている。1995年からは代替療法に取り組む医師らを招き、癌治療の最新報告を行なう「代替・統合療法日本がんコンベンション」を開催。 現在、NPOがんコントロール協会代表。ボタニック・ラボラトリー(株)代表、(一社)健康指導師会理事長。