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2017年4月20日(木)19:00~20:30

伊藤 亮太(いとう りょうた) / スキラージャパン株式会社取締役、東洋大学経営学部ファイナンス学科非常勤講師

近年の経済動向に適した資産運用スタイルとは

株価は大きく下がったときこそ買うチャンス

 毎日変動する株式市況。ことにこの春の日本の株式はシリアや北朝鮮問題におけるアメリカの対応で大きく動いている。

「日本の株式市況というのは、このようなことがあるとすぐに影響を受けます。ただ、それは短期的な話。今日は、数年単位という長期的な目線で世界経済を俯瞰してみたいと思います」

 講師の伊藤亮太氏は、資産運用のプロフェッショナル。このセミナーでは、日本株や外国株の動向や今後の見通しなど、投資をするのに最低限押さえておきたいポイントについて、過去のデータや指数なども交えながらわかりやすく解説していただいた。

最初に見てみたのは、2016年から2018年にかけての3年間の国・地域別のGDPの成長見通し。先進国を見比べてみると、アメリカは2パーセントから3パーセントという高い数字。ユーロ圏や日本はほぼ横ばい。 豪州は資源価格の上昇で3パーセントの成長が見込める。一方新興国はというと、ブラジル、ロシアといった資源国が2016年はマイナス成長だったものの、2017年以降は持ち直す傾向にあり、世界全体で見れば この1~2年は戦争リスクなどを別にすれば「明るい状況」にあるという。

とはいえ、日本にいるとどうしても地政学的リスクが気になるところ。過去のデータを見ると、日本の株式は北朝鮮の核実験やイギリスのEU離脱などが起きたときは必ず株価が急激に下落している。 だが、実はこれは投資家にとってはチャンスだという。

「何かあるとどーんと下がるのが日本の株式。私はこういうときは買いに立ち向かっていきます。なぜならば必ず株価は戻るから。大きく下がったときにそれをチャンスと捉えることができるかどうか。 これが今の資産運用では大事です」

買うか、売るか。PERや外国人投資家の動向を見る

日経平均株価で日本株を見ると、為替に左右されやすいという特徴がある。円安になれば株価は上がり、円高になれば下がる。これを知っているだけでも資産運用には役立つ。もうひとつの目安であるGDP成長率は、1パーセント以上成長できていれば株価は比較的安定する。ここで覚えておきたいのは「日本の景気サイクルは7年ごと」ということ。絶対とは言えないまでも、これまでの動きを振り返ると日本の景気は7年ごとに変化している。直近で景気が上向きとなったのは、2013年のアベノミクスから。そう考えると東京オリンピックが開催される2020年はどうなるか。早ければ日本銀行の総裁が交替する来年あたりから「怪しくなってくる」可能性があるという。

「2018年から2020年にかけては、どこかで資産運用の中身を変えた方がいい。株式の割合を低くして、債券や現預金の割合を高くするとか、万一の備えが必要です。日本株の場合、ずっと持っているのがいいとは言えません」

日本株で利益を生み出したければ、1年の間に売り買いするといった資産運用スタイルもあり。日本の株式市場の傾向として、毎年4、5、6月のどこかで下がりはじめ、夏頃に下落のピークを迎える。ここ数年を見ていると、下限の目安は日経平均で1万6,000円台から1万7,000円台、上限は2万1,000円といったところだ。これを理解していれば、どの時点で買ってどの時点で売ればいいかがおのずと見えてくるはずだ。同時に、為替に影響されやすいという特徴も押さえておくと、たとえば前述した北朝鮮の核実験やEU離脱の是非を問うフランスの大統領選挙など、ピンポイントで株価が上下しそうなときが予想できる。

  ところで、なぜ日本株は、毎年春に株価が下がりはじめるのか。答えは「外国人投資家が売るから」。日本の株式の約6割は外国人が保有している。彼らの動向を見ていないと「ババをつかむ」ことになってしまうので注意が必要だ。指標として覚えておきたいのはPER(株価収益率)。これは株価を一株当たりの利益で割ったもの。日経平均で言うと、今期のPERは大雑把に言って15。セミナー開催時の一株当たりの利益は1,300円だったので、そこから計算すると株価は1万9,500円となる。これを標準として考えれば、ここより高いところで買うと「ババをつかむ」ことになり、低いところならば買った方がいいという答えが導き出せる。 もちろん、それだけでなく為替、とくにドルと円の動きを注視することも重要だ。

もうひとつ、「信じるか信じないかは自分次第」だが、不思議なことに統計を見ると株価は干支によって上がったり下がったりする。酉年の今年は「上がりやすい年」。この傾向は2020年までつづくというので参考にしたい。

分散投資&リバランスを心がけよう

こうした株価の動向を見るとき、やはり目が離せないのはアメリカ経済だ。とくに注目したいのは消費金利。アメリカの金利が上がるとドル高円安になるので日本人にとってはプラスの材料となる。これと併せて見ておきたいのは、ISM製造業景況指数と非農業部門雇用者数。前者は50以上なら良好。後者は増え続けているかどうか。今年はトランプ大統領就任で大揺れに見えるアメリカだが、数字を見る限り景気は絶好調。とくにエネルギー関係や金融、情報関連の企業はいい状況にある。

アメリカだけではなく、世界全体で見ればGDPは長期的に成長している。そうなると考えたいのが分散投資だ。もし10年、20年という長期で持つならば外国の株式や債券を。対して日本の株は短期で売り買いして利益を得る。理想的なのはこれに加えて現預金や保険などに資産を分散することだ。どれをどれだけの割合にするか、リバランスは伊藤氏の場合は「半年に1回は見直している」という。

最後は資産運用の際のチェックポイント。
・世界に分散されているか
・業種分散されているか
・長期投資に向いているか
・コストを抑えた運用ができているか
・高い利回りが期待できるか

上記の5つからわかることは、株式は日本だけではなくアメリカや新興国の、それも好調な業種をいくつか選んで分散する。長期投資ならばなおさら業績が絶好調なものに的を絞る。投信だったら極力販売手数料や信託報酬の安いものを。不動産の利回りは4パーセントから5パーセント、できればそれよりも高い利回りを、といったことだ。

 講演やセミナーで全国を駆け巡っている伊藤氏。「夢」は「自分の話や考えが少しでも皆さんの役に立つこと」だという。

「あのときの話が参考になったよ、と言ってもらえれば嬉しいですね」

※上記は、伊藤氏の見解です。
※特定の金融商品の勧誘を目的としたものではございません。

講師紹介

伊藤 亮太(いとう りょうた)
伊藤 亮太(いとう りょうた)
スキラージャパン株式会社取締役、東洋大学経営学部ファイナンス学科非常勤講師
慶應義塾大学大学院修了後、証券会社にて営業・経営企画部門・社長秘書・投資銀行業務などに従事する。現在、独立系FPとして、資産運用と社会保障(特に年金)を主軸に、FP相談・執筆・講演を行なっている。東洋大学経営学部ファイナンス学科非常勤講師。