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イベントレポート

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2017年5月3日(水) 13:30~15:00

重野 功(しげの いさお) / 湘南 蔦屋書店 旅行コンシェルジュ

海外に飛び出そう!社会人でも諦めない方法

社会人になったからと海外への夢を諦めていないだろうか?「ワーホリに興味がある」「学生時代に留学しておけばよかった」「海外でボランティア体験をしてみたいけれど今の仕事は続けたい」「将来は海外に住んでみたいけれどどんな準備をすればいいのだろう...」。そんな思いを解消すべく蔦屋書店旅行コンシェルジュに種々のアイデアでお答えいただいた。一歩踏み出す勇気が湧いてくるようなセミナーとなった。

おすすめは短期で何度も滞在するショートリピートステイ

湘南蔦屋書店で旅関連のコンシェルジュを務める重野氏による「旅カフェ」。旅行業界で働き海外勤務も経験、個人旅行でも多くの国を訪れている重野氏の体験談に基づいた具体的なお話が前回好評を呼んだ。第2回となる今回は、社会人になってからの海外暮らしがテーマだ。

「まずワーキングホリデー。休暇目的で海外を訪れ、滞在している間に生活費を賄うための労働であればしていいですよ、という主旨です。若い人たちに対して、長期滞在することによって現地の異文化を理解し、視野を広げてもらうことが目的でつくられた制度ですね。申請時に18歳~30歳であること、一定額の旅費を所持していること、といった基本条件がいくつかあります。2017年現在、カナダ、ニュージーランド、韓国、フランス、イギリスなど17か国がワーキングホリデー提携国になっています。人気が高いオーストラリアは、実際に行った人によるとここ数年飽和状態になっており、なかなか仕事がないという話も」

インターンシップは、主に学生が海外の企業やNGOで一定期間働く経験を積む制度。企業を訪問し、会社や業務等の説明を受け、仕事を体験する「見学・体験タイプ」、講義を通じて業界・企業・仕事を学び事業内容を理解する「講義タイプ」、インターン生でチームを組み、受け入れ企業が出す課題に取り組む「プロジェクトタイプ」、実際の職場で業務を体験し、雰囲気、従業員との関係構築、業務を理解する「実践タイプ」がある。

「有給のものにはJICA(国際協力機構)のインターンシップがあります。個人でならエージェントを通じて自分に合ったインターンシップを選ぶこともできます」

ロングステイは期間にかかわらず海外で生活をするもの。最初は通産省の「シルバーコロンビア計画」としてスペインや南欧を対象地にして始まったが、生活レベルの違いなどがあり失敗。現在では東南アジア、ハワイ、カナダ、オーストラリアなどで行なわれており、なかでもマレーシアは人気だ。

「マレーシアは10年の滞在ビザがとれますが、50歳未満は約1,500万円の資産証明、月額30万円(手取り)の収入証明、約900万円をマレーシア国内の銀行に定期預金する、という条件があります。50歳以上は金額が変わり、資産証明が約1,050万円、定期預金が450万円になります」

重野氏がおすすめするのが「NPO南国暮らしの会」という団体。会員が実際の海外生活を報告し親睦を深める懇親会のようなもので、とても細かく様子がわかるという。

「ロングステイで背水の陣のように考えて日本で家を売って永住するつもりで行ったのに、現地の暮らしが合わなかった…ということも多いんですね。そこで提案したいのがショートリピートステイ。現地を自分で体験して、気に入れば何度も訪問するスタイルです。フィリピンのマニラ郊外で1LDKにベッドルームが2つある部屋が1万5千円から2万円程度で借りられますが、そこを年間で借りきって好きな時に行っている、という人もいます」

海外ボランティアは目的意識を持って応募

海外へボランティアで行く場合は、自分が滞在する期間内である程度目的を達成することを念頭におきたい。公的機関ではJICAの青年海外協力隊(39歳まで)とシニア海外ボランティア(40歳以上)、在外大使館の臨時職員(期限付き在外交官職員)、外務省の国際機関人事センターに登録するなどの方法があるが、いずれにしてもはっきりとした目的意識が必要だ。

「JICAは年に2回応募があります。海外青年協力隊は一括採用後振り分けられますが、シニアのほうは案件別の応募なので、日本語教師は20倍、観光業は20~30倍となることがあり、案件によって倍率がかなり違います。『何も特技がなくて…』という人はコーディネーターという役割もあるので、自分に合った案件に応募してみては」

重野氏自身もシニアボランティアとしてミクロネシア連邦の経財省で働いた経験がある。「出社ものんびり、1日だいたい4時間くらいしか働かない日もある(笑)。いろんな現地事情や現地での触れ合いも楽しめた、とても面白い経験でした」

ここで閑話休題、お金に関する話。「両替は現地のほうが割高になることもある」「高額紙幣で払うとおつりをくれないことも」「枕銭をするのは日本人だけ」「ショッピング機能とともに、VisaのATMで各国通貨で引き出しができ、日本で入金すればすぐ使えて、送金の手間がないデビットカードが一番便利」など、旅経験の豊富な重野氏ならではのエピソードが紹介された。

海外交流やホームステイ、留学という方法もある。日本政府は各省ごとに国際交流プログラムを行なっていて、外務省では「21世紀東アジア青少年大交流計画 JENESYS 2.0」や「日露青年交流事業」「日中21世紀交流事業」、北米地域との交流を行なう「カケハシ・プロジェクト」などを実施。内閣府でも「日本・韓国青年親善交流事業」など様々な国との交流事業を行なっている。

アメリカに語学留学するなら、カリフォルニア州限定の「Free ESL」というプロジェクトがおすすめ。学生が移民に英語を教える無料の授業に参加することができる。「若干訛りがありますが、シンガポールやフィリピンへの英語留学も盛んです」

経験者が語った海外留学・交流のさまざまな魅力

ゲストとして湘南蔦屋書店アルバイトの大学生、土佐氏がマイクを持つ。彼女はこれまで3度の海外留学・交流経験があり、今年も行く予定があるという。

「どうして海外へ行こうと思ったのですか?」という重野氏の質問には、「趣味として音楽や本で海外の作品に親しんでいて、中学生のときからその作家が暮らした場所を見てみたいと思っていた」とのことだった。

高校時代にはイギリスのパートナー校に2週間留学。「英語にはそれほど自信がなかったが、どうしてもイギリスに行ってみたかった。友達もでき楽しかったし、日本のことを客観視できたのもよかった」。

大学生になってからはカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュ・コロンビア大学へ約1か月留学し、語学特別コースに参加。英語だけで生活、研修した。

「今年の3月には外務省のカケハシ・プロジェクトで再びカナダへ。この審査は厳しかったです。学校だけでなく現地の日本大使館や、カナダの学生、大臣とも交流し、現地文化を習得することもできました」

そして再び、今度は文部科学省の「トビタテ!留学Japan」という官民共同で取り組む留学促進キャンペーンを利用して、「芸術関係を勉強したいので、イギリスかアメリカ、あるいはドイツ」への留学を計画している。

留学時の写真をスライドで見せながら思い出を語った彼女は、「海外で暮らすことで自分も変われたと思う」と振り返る。重野氏も「我々もまだまだチャレンジできるので頑張りましょう」と参加者にエールを送った。

最後に第1回の旅カフェでも質問の多かった通信に関する豆知識を紹介。「日本から携帯電話をローミングすると受信でも課金されるので、料金がかなり高くなってしまう」「現地でSIMフリーの携帯電話を買うとよい」「中国では利用が制限されていてつながりにくいうえ、ネットカフェは中国の身分証明書がないと入れないので旅行者は利用できない」「通信関係は日進月歩なので、渡航前によく調べていくことが大切」など、役に立つ情報をたくさんいただいた。

参加者たちは大いに旅心を刺激されたはず。新たな夢のきっかけになるようなセミナーだった。

講師紹介

重野 功(しげの いさお)
重野 功(しげの いさお)
湘南 蔦屋書店 旅行コンシェルジュ
旅行会社、海外添乗、海外ホテルの日本窓口、現地手配、在日政府観光局、JICAシニアボランティアなど観光を支える各分野を経験して得た「作る側」からの情報と、自分で訪ねたさまざまな地域で体験した「旅する側」からの情報を基に、これからの新しい旅、楽しい旅を提唱している。