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イベントレポート

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2017年7月6日(木)19:00~20:30

吉田 友和(よしだ ともかず) / 旅行作家

誰でも行ける世界一周

世界一周、誰もが憧れる究極の旅が、近年身近なものになりつつある。工夫次第では低予算、短期間でも実現可能である。今回の講師である吉田氏はこれまでに計3回、世界一周をしており、そのうち最短のものはわずか10日間。マイレージを貯めて手に入れた航空券で7か国を旅したそうだ。普段より少しだけ長めの海外旅行といった感じで、帰国した翌日にはいつもどおり職場へ通勤していたぐらいだという。本講演では、世界一周の実現方法や楽しみについて、実体験談を交えながら紹介していただく機会となった。

世界一周は10日間から、現役世代の人でもできる

これまでに世界一周の旅を3回。
普段も「旅をして旅のことを本に書く」ことを仕事としている吉田友和氏。はじめて海外旅行に出たのは2002年のこと。新婚旅行で世界45か国をまわったこの旅が1回目の世界一周だったという。

「このときは妻と2人で607日間かけて世界を一周しました。ただ、世界一周は必ずしも長い時間をかけなくてはいけないというわけではありません」

一般の人が「世界一周」と聞いて思い描くのは「世界一周=お金持ちの旅」、「世界一周=時間が必要」、「世界一周=全部の国に行く」といったもの。だがこれらはすべて「誤解」だという。確かにクルーズ船による世界一周などはどんなに安くても100万円以上かかるし、吉田氏自身も最初の世界一周は長期旅行だった。

「でも、2010年にやった2回目の世界一周は12日間、2013年の3回目の世界一周は10日間。当時は会社に勤めていたので9月のシルバーウィークに休みを重ねて行きました。世界一周は働いている現役世代の人でもやろうと思えばできるんです」

利用したのは航空会社が発券している「世界一周航空券」。世界の航空会社は各社間で提携しグループを組んでいる。世界一周航空券はそのグループ間のフライトをつないで世界一周ができるといったものだ。値段は30万円から35万円程度。この他、飛行機の搭乗やクレジットカードなどで貯まるマイルも使用可能。期間は最短で3泊5日、最長で1年間。正規運賃と同等の扱いを受けるのでフライトを変更したいときなども格安航空券と比べると融通がきく。また1年を通して運賃が変わらないため、年末年始や夏期のシーズンに使えばかなり割安感が得られる。吉田氏は2回目、3回目の世界一周では、ANAやシンガポール航空などが所属するスターアライアンスの世界一周航空券を「貯まっていたマイル」で利用したという。移動に払ったお金は「燃油サーチャージと各地の空港税のみ」。マイルは、たとえば日本から北米に往復すると通常は5万マイル以上は必要となるが、世界一周の場合は数か国をまわるにもかかわらず最低6万マイルからと、ここでもかなりお得感がある。

旅を楽しむ最大のコツは「ワン都市ワンテーマ」

「旅は人それぞれの考え方次第。絶対という正解はない」と語る吉田氏。世界一周についても柔軟な考えを持っている。

「世界一周航空券には、実は『太平洋と大西洋を最低1回は横断して元いたところに戻る』という世界一周の定義が決まっています。だけど、ルートによっては大西洋を横断せずに五大陸をまわるといった旅の仕方もあります。私はこれはこれで世界一周だと考えています」

今回は「誰でも行ける世界一周」がテーマ。そこで直近に行なった3回目の世界一周を振り返りながら、旅のコツなど実践的な話や立ち寄った国々でのエピソードを披露していただいた。

日本を発つ10日間の旅で訪問したのは、台北(台湾)、バンコク(タイ)、ムンバイ(インド)、アジスアベバ(エチオピア)、パリ(フランス)、ポルト(ポルトガル)、ニューヨーク(アメリカ)の7都市7か国。使ったマイルは8万5000マイル。このうち1泊もしなかったのは台北だけで、ポルトまではホテルに1泊ずつ、ニューヨークでは2泊した。台北に宿泊しなかった理由は「寄る場所を増やす」ため。航空会社には24時間以内の乗り換えは「乗り継ぎ」、24時間をこえると「途中降機」扱いになるというルールがある。マイル利用で世界一周航空券を利用した場合、立ち寄ることのできる都市の数は限定されるが、「乗り継ぎ」を間に入れればそれを増やすことができるのだ。海外旅行好きの人たちはこうしたテクニックを駆使して安上がりに旅を楽しんでいるという。

「10日間の世界一周には他にもいくつかコツがあります。まずは時間を短縮することです」

 1ヶ国目の台湾では、渋滞を避けて空港から台北市内へは新幹線を利用。観光に費やせる短い時間は「あえて定番」の中正紀念堂を訪れた。そのあとは小籠包で食事。定番をおさえることでほんのわずかな時間でも「台湾に旅行に来た」という気分が味わえたという。

このように10日間の世界一周では「ワン都市ワンテーマ」を各都市に設定するのがポイント。宿も事前にネットなどで予約をしておいた方が時間の節約になる。

旅は工夫次第、地域によって訪れる曜日も考えよう

2か国目のバンコク(タイ)は「これまで50回くらいは来ている」。海外旅行というと行ったことのない国を目指したくなるものだが、数か国をまわるときはスタート直後によく知っている国に来るとちょうどいいウォーミングアップになるという。バンコクでは「どうしても行きたかった」というウィークエンドマーケットへ。そのためにバンコク滞在が土日に当たるようにした。

「世界一周で曜日感覚は意外と大事です。
ヨーロッパなら週末は避けて平日に、イスラム圏は観光施設でもあるモスクが礼拝で入れない金曜日は避ける。これも旅のコツのひとつです」

バンコクからはインドのムンバイへ。3か国目のムンバイはそれほど観光名所には恵まれていないが、街を歩いているだけで人なつこい現地の人々から声をかけられる。ここでの宿は有名なタージマハールホテル。伝統的な宿は、調べてみると思ったよりも低料金で「泊まるだけで観光になりました」という。

つづく4か国目は、当初はエジプトを予定していたが政情が不安だったためエチオピアに変更。アフリカ諸国の中でも長い間独立を保っていたこの国には固有の文化が残っていて、同時に短いイタリア統治時代にもたらされた食文化などにも触れることができる。

5か国目のパリ(フランス)は夜着の翌日午前発。短い時間は「お気に入りのレストランに直行」し、フランス料理を楽しんだ。

6か国目のポルトガルはポートワインの産地として有名なポルトの古城ホテルに宿泊。ホテルのスタッフに教えてもらったレストランで「この旅でいちばんおいしかった料理」を食べた。

最後のニューヨーク(アメリカ)は「着いた途端に熱が出て体調を崩した」。あらかじめ2泊を予定していたのが結果的に幸いした形となった。こうして辿ってみると、わずか10日間とはいえ、かなり密度の濃い旅であることがわかる。こんなおもしろい旅が、実は誰でもできてしまうのだ。

「世界一周航空券は途中の降機地に日本を入れれば、例えばゴールデンウィークにアジア周遊、夏休みにアメリカとヨーロッパを周遊するといった分割で使うこともできます。結論として、旅は工夫次第ということですね」

昨年は長女、今年は次女に恵まれたという吉田氏。「夢」は「家族4人での世界一周」だ。

講師紹介

吉田 友和(よしだ ともかず)
吉田 友和(よしだ ともかず)
旅行作家
1976年千葉県生まれ。世界一周新婚旅行の模様を描いた『世界一周デート』で旅行作家デビュー。その後、世界一周ブームの先駆けとなる本格ガイド『してみたい!世界一周』や、超短期旅行の魅力を綴った『週末海外!』シリーズが大きな反響を呼ぶ。『自分を探さない旅』、『10日もあれば世界一周』など旅の著書多数。