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イベントレポート

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2017年7月23日(日) 13:30~15:00

張 麗香(ちょう れいか) / 安藤医院副院長

専門医に学ぼう!正しい「低糖質ダイエット」

理想のカラダづくりにチャレンジするd-labo湘南の『Body Making Challenge 2017』。今回は、「低糖質ダイエット」をテーマにしたトークショーを実施した。「少ししか食べていないのに痩せない」「カロリー計算しても体重が減らない」「減ったけどリバウンドした」そんな経験はないだろうか?健康的に効果的に、そしてリバウンドなく痩せたい!そんな切実な思いを抱えるみなさまにオススメしたい、今回のセミナー。最近よく耳にする「低糖質ダイエット」とは、そもそも何なのか?どんな人に効果的で、どんな取り組み方が正しいのか?糖尿病専門医として多くの患者さまの減量を指導してきた講師が、医学的な知識から"正しい低糖質ダイエット"のコツを伝授した。正しい食事管理の方法を身につけて、健康的なカラダづくりを実践!

脂質制限から糖質制限へ。ダイエットの常識が変わった

糖尿病の専門医として、月に300人もの患者を診ているという張氏は、クリニックで低糖質ダイエットによる減量プログラムを実施し、効果をあげている。「薬を出すよりも、体重を減らすことが大切だと実感する」と、健康のためにも低糖質ダイエットが有効だと語る。

「1980年代以降、脂質、つまりコレステロールの摂り過ぎが肥満の原因と考えられていた時代がありました。摂取カロリーを抑えることがダイエットにつながる、という考えです。しかし、アメリカでは、カロリー制限を提唱しても、肥満や糖尿病は増えていった。そこで、2008年に、有名な医学雑誌にも報告された臨床試験が行なわれ、低糖質ダイエット・地中海式ダイエット・低脂質ダイエットを比較したところ、低糖質ダイエットが減量に効果的であったとの結果が出ました」

食事を摂ると、血糖値が上がる。そのあがった血糖値を適性に下げるためにインスリンが分泌されるが、インスリンは同時に、余分な脂質を脂肪に変換する働きをする。結果、飽食の時代でかつ日常生活の中で体を動かすことが少なくなった現代では、エネルギーの元となる糖質が余り気味になり、それが脂肪に変換されて、太ってしまうというわけである。

「糖質が切れると体は脂肪をエネルギーにするので、脂肪が燃えて痩せる。これが糖質制限で痩せるメカニズムです」

張氏は、糖質制限のパターンを「スーパー糖質制限」「緩やか糖質制限」「プチ糖質制限」の3つにわけて説明。

「ご飯1杯150gのうち、糖質は55g。普通に一食食べた場合、だいたい200~250gの糖質をとることになります。アメリカで2007年頃に流行ったアトキンスダイエットは、1食の糖質を20g以下、Dr.江部の糖質制限では1日の糖質量を30~60g以下にするというもの。これが『スーパー糖質制限』です」

「糖質、炭水化物大好き」な張氏は、かつてこの「スーパー糖質制限」に挑戦したことがあるが、ストレスが強く挫折してしまったという。

「対して『緩やか糖質制限』は、1日一食はご飯やパンなどの主食を食べてもいい。『プチ糖質制限』は、1日一食だけ主食を抜く、というもの。そして、今日おすすめするのは『緩やか糖質制限』。『スーパー糖質制限』ほどストイックでなくても、十分効果が見込める糖質制限です」

緩やか糖質制限の効果・メリットとして、
・体重減少
・血糖値などの数値の改善(メタボ予防)
・甘いものが欲しくてたまらないという状態を止める
・アンチエイジング効果
・ガンやアルツハイマー病の予防(がん細胞は唯一糖分をエサにする)
・カロリー計算の必要がない
などが挙げられるという。

ご飯、パン、芋類、根菜、フルーツ…糖質が多い食材を知ろう

では、緩やか糖質制限では具体的にどんなことがポイントになってくるのか。

「一食の糖質は20g~40g。ご飯なら半膳、パンなら8枚切り1枚、麺類なら半玉。精製されていない玄米や雑穀、もち麦などを混ぜると、食物繊維が摂れるのでいいですね」

「低糖質スイーツなら10gまでOK」というのも、甘いものが好きな人には嬉しい。また、食物繊維と脂肪分解に必要なビタミン・ミネラルを多く含む野菜は、350gとたくさんとりたい。「目安としては手の平にいっぱいくらい。緑黄色野菜120g、そのほかで230gを目標に。芋類や、にんじん、タマネギ、ごぼうなどの根菜類、とうもろこしは、糖質が多いので摂りすぎに注意してください」

ほかにも、小豆、ひよこ豆、春雨、カシューナッツ、バナナやぶどうなどフルーツも糖質が多いので控えたい食材。逆に不足気味の食物繊維は免疫力をアップする効果もあるので、20gを目安にしっかり摂りたい。

「食物繊維を20gというと、キャベツならまるごと1個、しいたけなら40枚、にんじんなら5本。なかなか摂りにくい量ですので、もち麦入りミネストローネや海藻サラダなど、レシピにも工夫して上手に食事に組みこみましょう。サプリを利用するのもおすすめです」

調味料にも注意が必要だ。ケチャップやソース、とろみのための片栗粉、カレー粉などは糖質が多い。魚肉ソーセージやかまぼこなどの加工品、炭酸飲料、アルコールならビールや日本酒といった醸造酒も同様だ。

さらに、糖質制限ではカロリー制限がないぶん、植物性の大豆製品、魚、卵、肉類の良質のたんぱく質で置き換えることもポイントになってくる。脂質もクルミなどナッツ類、エゴマ油、亜麻仁油、オリーブオイルといった良質の油脂を摂ること。トランス脂肪酸の多いマーガリンやショートニング、腸内悪玉菌を増やすとも言われている肉の脂(ラード、牛脂)はできるだけ避けたい。

「低糖質ダイエットは、減量や血糖値の改善に効果が高く、隠れメタボやBMI値が高い人に特に向いています。ただ、大規模な臨床試験がまだなく、オフィシャルな定義やガイドラインもないので、主治医と相談しながら行なうようにしてください。体重の5%を目標に、4週間しっかりやれば効果は出ます」

肥満人口を減らすことが、多くの問題解決につながる

糖質制限のほかにもダイエットの方法はいろいろある。地中海地域の人々にガンや動脈硬化などが少ないことから、その食生活を取り入れようという「地中海式ダイエット」、アメリカメディアから3年連続ベスト・ダイエットに選ばれた「DASHダイエット」、さらには伝統的な和食も「THE JAPAN DIET」として、動脈硬化系の疾患がある人に効果が高いとされている。

「何を食べるかだけでなく、どう食べるかも大切。痩せる食べ方として、『野菜、たんぱく質、炭水化物の順で食べる』『朝の欠食、夜の遅食は避ける』『お腹がすいたらゆっくりよ~く噛んで食べる』。彩り豊かな食卓で、色からエネルギーをもらうことも重要です。そして、とにかく腹八分目は医者いらず。食べ過ぎにも注意しましょう」

張氏はまた、「Right Sized Portion Plate」という、ワンプレートで適正な栄養を摂ることができる献立のたてかたを推奨。お皿の半分を野菜、1/4をたんぱく質、1/4をご飯などの主食とすると、一食でバランスのよい献立となる。張氏のブログでは、「Right Sized Portion Plate」の考え方に基づいたレシピも公開しており、今回のセミナーでも胸肉と野菜のソテーのレシピ動画を紹介。まずは食事への意識を変えることが大切なのだということがよくわかった。

「実は、自動車の販売台数が増えるとともに糖尿病患者も増えているのです。飽食の時代を生きる現代人にとって、生活習慣の改善は重要な問題。食事だけでなく、運動、睡眠、ストレスマネジメントで上手にダイエットしましょう」

ダイエットの成功にはサポートを得ることもポイントだ。張氏のクリニックではオンラインのダイエットプログラムを提案している。「グループで行なうので励ましながら取り組め、挫折が少ない。さらに、自己流でやって体調を崩してしまうということもありません」

張氏は、「ダイエットの先にあること」を意識して欲しいと強調する。「なぜ体重を減らそうと思うのか。何のために食べるのか。あなたの体は、あなたが食べたものでできているということを、常に意識していただきたいと思います」

質疑応答の時間では、「一日三食がよいのか」「宴会が続いたときは?」といった具体的な質問が多く挙がり、参加者の関心の高さがうかがえた。

張氏の夢は「肥満の人口を減らすこと」。「そうすれば病気も予防できて、医療費も減り、健康寿命も伸びる。そのために、さまざまな形で草の根活動を続けていきたいと思っています」

講師紹介

張 麗香(ちょう れいか)
張 麗香(ちょう れいか)
安藤医院副院長
糖尿病専門医。総合内科専門医。健康スポーツ医(日本医師会)。
東京都出身。筑波大学医学専門学群卒業。NTT東日本関東病院の勤務を経て、安藤医院副院長となる。(現在もNTT東日本関東病院で糖尿病内分泌専門外来を担当。)糖尿病専門医として10年以上患者と向き合う中で、減量について十分な指導がされていない現状に疑問を抱く。
食生活への意識を変えることの重要性を感じ、クリニックにてダイエットセミナーを開催。現在はオンラインダイエットプログラムも開催している。
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