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2015 Mar.7
『六本木ビブリオバトル』レポート Vol.5

2015年もビブリオバトルは熱い!
16名のプレゼンターとスペシャルゲストが贈る「この1冊」
『六本木ビブリオバトル』in d-labo

出場者の集合写真

読書が与えてくれる感動はさまざま。なかには「読んでみて人生観が変わった」、「世の中の見方が変わった」という1冊もあるはず。感動が大きければ大きいほど、誰かに「読んでみなよ」と薦めたくなるのが人間というもの。複数のプレゼンターが限られた時間の中で、自分が読んでおもしろかった本、インスパイアされた本をオーディエンスの前でプレゼンし、「いちばん読みたいと感じた本」を投票で選んでもらう『六本木ビブリオバトル』。今回は9か月ぶりにd-laboコミュニケーションスペースで開催されたバトルの模様をレポート。2名のスペシャルゲストによるプレゼンも交え、魅力的な本の数々を紹介いたします!

予選は3ブロックに分けてスタート

挨拶をする実行委員の平林友也氏

2013年7月の初開催以来、毎回盛り上がりを見せている『六本木ビブリオバトル』。今回は15名の参加者が3つのグループに分かれて1分間のプレゼンテーションを実施。各ブロックとも上位1名が決勝に進出し、3月に行なわれた予選会の優勝者1名と合わせ、計4名でそれぞれ5分間のプレゼンに挑戦。最終的に1冊のチャンプ本を選ぶといった流れで進行した。予選の司会は小口健太郎氏。まずは恒例の「メチャクチャ緊張しているプレゼンターのための拍手の練習」。そして初参加となるプレゼンターやオーディエンスを対象に実行委員の平林友也氏から「六本木ビブリオとは」という紹介を兼ねた挨拶。隣の人と言葉をかわして会場全体の空気を和ませる「アイスブレーク」を経て、さっそくAブロックより予選がスタートした。

西野美穂氏

一番手は西野美穂氏。「昨日の夜に知り合いの誕生パーティーに行ったら実行委員の方に"でないか?"と誘われてやって来ました」という西野氏がプレゼンしてくれたのは『探すのをやめた瞬間、"運命の人"はやってくる!』(ワタナベ薫著/大和出版)。33歳独身で彼氏がいない。去年の今ごろは〈こじらせ女子〉だったという西野氏。しかし、「この本を読んで彼氏を探すのをやめたら9歳年下のイケメンの彼氏が現われました」という。
「コツを知りたい人は投票してください(西野氏)」

平林友也氏

つづく二番手は実行委員でもある平林友也氏。その手にあるのは『孤独と不安のレッスン』(鴻上尚史著/大和書房)。
「現代に生きる人で不安でない人はいない。不安で眠れない夜は私にもあります。孤独と不安に終わりはない。大切なのはそれらと向き合いながら楽しく生きること。この本は本当の孤独と前向きな不安を見つけ、それらと向き合いながら楽しく生きていくことを教えてくれます(平林氏)」

やましたみよこ氏

三番目は「たまに出る関西弁も楽しんでください」と笑って登場のやましたみよこ氏。紹介してくれたのは『蟹座の君へ』(鏡リュウジ著/サンクチュアリ出版)。「最近どうしても叶えたい夢ができた」というやました氏。そのときに「出会うべくして出会った」のがこの本だったという。とくに胸打たれたのはサブタイトルの「誰かのためなら強くなれる」。
「読んでいて涙がぽろぽろ出ちゃうような感じ。寄り添ってくれるメッセージがいっぱいある本です(やました氏)」

磯部あい氏

38人の先人たちの物語を紹介した『断言する。情熱で人生は変えられる。』(是久昌信著/KADOKAWA/中経出版)を「1冊」に選んだのは磯部あい氏。
「引っ込み思案だった10代、理想と現実のギャップに悩んだ20代。私を励ましてくれたのは先人たちの言葉でした。人生で何かを成し遂げた人たちはずば抜けた才能があった人たちでしょうか。答はノーです。成し遂げることができたのは、自分の才能を信じる力と情熱が人一倍あったからです。この本にはあなたにもぴったりくる物語が見つかるはずです(磯部氏)」

田畑猛氏

Aブロックの最後に登場したプレゼンターは田畑猛氏。掲げてみせてくれたのは学習帳の大ロングセラー『ジャポニカ学習帳 さんすう』(ショウワノート)。
「なんでジャポニカ学習帳を5分間かけてみっちり紹介したいのか、他のみなさんよりも強いメッセージを持っています。ビブリオバトルの根底から訴えかけたいというメッセージを用意していますので気になったら投票してください」と熱く語る田畑氏。
「予選で落ちつづけても毎回チャレンジしたいと思っています!(田畑氏)」

Aブロック予選通過者発表の様子

5名のプレゼンが終了したところで、オーディエンスとプレゼンター全員が目を閉じて挙手。いちばん多く手が上がったのは西野美穂氏の推す『探すのをやめた瞬間、"運命の人"はやってくる!』(ワタナベ薫著/大和出版)だった。

胸を打つリーダーの評伝

須見篤氏

Bブロックのトップバッターは「学生なんで緊張しています」という須見篤氏。「3・11のときは帰宅困難者になってしまいました」と東日本大震災を振り返る須見氏がプレゼンしたのは『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』(佐々涼子著/早川書房)。
「私たちがよく手にとっている『NARUTO』や『ワンピース』といったコミックや『永遠の0』といった文庫本。その紙を造っているのが日本製紙石巻工場です。津波に襲われた石巻工場が必死に復旧を成し遂げた、その力強さを読んでみてください(須見氏)」

井田一成氏

「中年サラリーマンをやっております」と笑顔で自己紹介してくれた井田一成氏の推薦本は『大人のための勉強法』(和田秀樹著/PHP研究所)。
「会社にも慣れてつまんないなという生活を送っているときに、ふと図書館で手にしたのがこの本でした。2000年に出たのでけっして新しくないけれど、読んでみると非常に新鮮でした。要約すると、つまんないな、と思うのは感情の老化。大事なのは新しくておもしろいことを学ぶこと。そんなわけでスイッチを押してビブリオバトルに来ちゃいました(井田氏)」

樋山浩平氏

d-laboは「1年前、はじめてビブリオバトルに出たときの思い出の場所」と語るのは樋山浩平氏。本日、紹介するのは『信念に生きるーネルソン・マンデラの行動哲学』(リチャード・ステンゲル著/英治出版)。南アフリカの元大統領であったネルソン・マンデラ氏は「若い頃は政治犯として指名手配され、牢屋の中で一生を終える運命の人だった」という。
「マンデラさんはそこからどうやって立ち上がったのでしょう。実は牢屋にいた27年間こそが彼の信念を形づくったと言われています。それはなぜか、がこの本の見どころです(樋山氏)」

橘和明氏

四番手の橘和明氏が紹介してみせたのは『サラとソロモン』(エスター&ジュリー・ヒックス著/ナチュラルスピリット)。
「主人公のサラは幸せになりたいと思っている。でもまわりには意地悪な弟やクラスメイト、厳しい先生がいて毎日がつまらない。そんなある日、サラは言葉を話す不思議なふくろうのソロモンと出会います。サラはソロモンから人生を幸せに送る法則を学びます。この本を読んだらまわりの風景が変わります。どう変わるか? それはみなさんが体験してください(橘氏)」

瀧澤陽介氏

Bブロック5人目のプレゼンターである瀧澤陽介氏は『実物大ラーメン図鑑』(学研パブリッシング)を大プッシュ。
「内容はひとつだけ。本当においしいラーメンを本当においしそうに載せているだけ。ダイエット? なんですか。1000キロカロリーオーバー? ラーメンとはからだに悪いからおいしいのです。雪が降るほど寒いラーメン日和の今日、この本を通して伝えたいことは一個だけです。今宵、ラーメンを食べに行きましょう!(瀧澤氏)」

Bブロック予選通過者発表の様子

ビブリオバトルらしい多彩な本が紹介されたBブロック。決勝進出に選ばれたのは樋山浩平氏の『信念に生きるーネルソン・マンデラの行動哲学』(リチャード・ステンゲル著/英治出版)。ビブリオバトルの選考基準は「プレゼンのうまさやどれだけウケたかではなく、あくまでも読みたくなった本を選ぶこと」。偉大なリーダーの評伝は多くのオーディエンスの興味を惹いたようだった。

小説のテーマにもなった「ビブリオバトル」

川西克典氏

Cブロック最初のプレゼンターである川西克典氏は「今日はせっかくなのでプレゼンターの方々にも向けて」と『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』(山本弘著/日本創元社)を持参。
「高校のビブリオバトル部に女の子が入ります。この女の子、SFが大好きでしょうがないけど、誘ってくれた男の子はSFを読んでくれない。この女の子がビブリオバトルに出る目的は、その男の子にSFが好きって言わせたいだけ。それがいったいどういった青春の物語を生んでいくのか。これを読んだら、みんな同じことを思います。この場に立ちたくなるはずです(川西氏)」

熊谷由美氏

「寝る前に15分だけ愛される。そんなフレーズを聞いたら誰を思い浮かべますか?」と問いかけて登場したのは熊谷由美氏。「おもしろいところが多過ぎて1分じゃおさまらないけど、伝えたくて持って来ちゃいました」とプレゼンしてくれたのは『「胸キュン」で100億円』(上阪徹/KADOKAWA/角川マガジンズ)。
「半分くらい読み進めたところで、この本超おもしろい!って気付きました。寝る前に15分だけ愛される。愛されたいって気持ちがずっとつづく仕組がここに書いてあります(熊谷氏)」

滝沢浩之氏

普段はビブリオバトルの「裏方」として写真撮影をしている滝沢浩之氏。「笑っていただければ」と紹介したのは「爆笑エッセイ集の『石川くん』(枡野浩一著/集英社)」。
「明治の歌人・石川啄木。清貧で好青年、親孝行というイメージがあるんですが、その短歌を現代風に訳してみるととんでもない。ナルシストで金遣いは荒いわ女癖は悪いわ、親には仕送りしないわ、すぐ怒るわキレるわ、何なんだよこいつはということがわかります。笑いながら読んでいくうちに、最後は泣いてしまいました。なんでか、読めばわかります(滝沢氏)」

飯島なな氏

「桜の季節なので髪の毛をピンクにしたら梅の色になってしまいました」とかわいらしく登場したのは飯島なな氏。プレゼンの「1分」にかけて持って来たのは、トップジョッキーが競馬界の現状に対して本音を綴った『騎手の一分』(藤田信二著/講談社)。
「競走馬は1000メートルを約1分で駆ける。これは大変なことです。人生も同じ。みなさんの人生も前半早すぎちゃったら後半は楽にしたりとか、うまく力を抜いたりすれば適正距離を正しく走れるのではないかと思いました(飯島氏)」

菅原雅貴氏

予選の最終プレゼンターは「この場所に立つのがすごい楽しみでした」と話す菅原雅貴氏。
持って来たのは『君の歳にあの偉人は何を語ったか』(真山知幸/講談社)。
「名言集はたくさん読んできたけれど、この本は違いました。その言葉がどういう背景のもとに語られたかが書かれているので、読んでいてすっと心に響いてきます。もし目の前に大きな壁が立ち塞がったとき、あなたはどうしますか? この本に出てくる偉人たちが選んだのは前に前にと進むことでした。ぜひこの本を読んで"前に進む力"を感じてください(菅原氏)」

Cブロック予選通過者発表の様子

ビブリオバトルをテーマにした小説から謎の「愛され本」に偉人伝まで、A、Bブロックに負けず劣らず興味深い本が競り合ったCブロック。勝利本となったのは滝沢浩之氏がすすめる『石川くん』。

司会の中野秀俊・あまね夫妻

決勝は、前述の3人と、3月の予選会で優勝した藤井忍氏を含めて4名の戦い。司会は小口氏から中野秀俊・あまね夫妻にバトンタッチ。熱いバトルはd-laboスタッフ高野よりd-laboコミュニケーションスペースの説明、ビブリオバトルと合わせて開催されている「プレゼンターを被写体にしての写真コンテスト」の告知、それに「今回の優勝者は『新刊ラジオ』に出演していただきます」というニュースを挟んで、1人5分の持ち時間で始まった。

持ち時間は5分。決勝は4名のバトル!

藤井忍氏

決勝のトップバッターは藤井忍氏。「ネットで送料無料と言われて、つい買うつもりのないものを買っちゃった人、いますか?」という質問から始まったプレゼンで紹介したのは『その損の9割は避けられる』(大江英樹著/三笠書房)。
「送料無料は罠。損したくない気持ちがかえって損を呼び込んでしまう。この本は行動経済学の観点からそういうケースをたくさん紹介しています。おすすめしたい理由はお金で損しないノウハウがいっぱいあること。自分の損得の価値観がものすごく揺さぶられる。そんな経験ができる本です。そして心の仕組を利用してお金を増やすノウハウも書かれています。知っていれば避けられる損がある。読めば世の中の見え方が変わる。見え方が変わると選ぶものも変わる。選ぶものが変われば人生が変われる。ぜひ読んでみてください!(藤井氏)」

西野美穂氏

二番手は『探すのをやめた瞬間、"運命の人"はやってくる!』の西野美穂氏。自称する「こじらせ女子」とは「自分に自信がなくて、常に私を求めてって言っている状態」に陥っている女性のこと。その「こじらせ女子」だった西野氏が同書に出会ったのは一昨年の秋頃。
「それまでの私はガチで婚活してお見合いパーティーや合コンに行っていたんですね。でも誰からも声をかけられない。もがいていたときに出会ったのがこの本。それで書いてあることを実践して、読書会に参加するようになりました。そうしたら毎日が楽しくなって、気が付いたら彼氏が欲しいとかはどうでもよくなっていた。だけどそうしたら逆にいろんな人と出会って、結果的にすごく居心地がいいなと思った人が彼氏になってくれました。執着したいくらいやりたいってものがある方はぜひ読んでください。ヒントがたくさん詰まっています(西野氏)」

樋山浩平氏

 『信念に生きるーネルソン・マンデラの行動哲学』で壇上に立った樋山浩平氏は、真っ向勝負で本の中身=ネルソン・マンデラの人物像を熱弁。
「マンデラさんはノーベル平和賞をとった南アフリカの元大統領です。雲の上の人というイメージがあるんですが、実際はお茶目でチャーミングな面も持っています。大統領時代も宿泊先のホテルでは自分でベッドメーキングをしていたそうです。そのマンデラさんが終身刑で牢屋に入れられたのは44歳のとき。そこからどうやって立ち上がったんでしょう? 実はそれは白人の刑務官との交流から始まったといいます。憎むべき敵である白人の心を動かしていったマンデラさん。その姿からは、人はどんな状況におかれても立ち上がれるんだということがわかります。偉大なリーダーの本を読んで魂を奮い立たせてみませんか。(樋山氏)」

滝沢浩之氏

ラストを飾る滝沢浩之氏の推薦本は予選とは違う『写真がもっと好きになる。』(菅原一剛著/ソフトバンククリエイティブ)。医薬品メーカーの営業をしながら、副業ではカメラマンをやっている滝沢氏。そのためか、写真やカメラに関する質問をされることが多いという。
「よくあるのが、〈どんな写真を撮ったらいいのか?〉という質問。カメラを買ったはいいけれど、何を撮ったらいいのかがわからないという人がけっこういるんです。どう答えたらいいのか悩んでいたときに出会ったのが『写真がもっと好きになる。』。対象は"にわかカメラマン"。よくカメラの本にある露出やホワイトバランスなどの難しい話は書いていません。〈人の写真を真正面から撮ろう〉とか、〈写真の始まりはいつもお散歩〉とか、この本を読んだおかげで私も説明がすごく楽になりました。まずは気軽に手にとってください(滝沢氏)」

矢島雅弘氏上阪徹氏

4人のプレゼンが終了したところで投票タイム。開票を待つ間はスペシャルゲストの矢島雅弘氏と上阪徹氏が登場。ポットキャストの書評番組『新刊ラジオ』のパーソナリティーである矢島氏は「まさかの番宣」で自著の『一冊からもっと学べるエモーショナル・リーディングのすすめ』を、そして経営者などの著書をブックライターとして70冊以上執筆、自著も約20冊という上阪氏も予選で熊谷由美氏が一押しした著作の『「胸キュン」で100億円』について、滑らかなトークでプレゼンしてくれた。

迎えた結果発表では2位、1位を決定。2位は西野美穂氏の『探すのをやめた瞬間、"運命の人"はやってくる!』、1位=優勝は藤井忍氏の『その損の9割は避けられる』。まさかの1位に「決勝当日まで不眠症になっていた」という藤井氏は「これでやっと眠れます」と満面の笑み。実行委員会からはトロフィー、d-laboからは副賞の本やd-laboのオリジナルカップが贈られた。

優勝トロフィーを持つ藤井忍氏

『六本木ビブリオバトル』も今年で3年目。「今年は学校を舞台に開催します」という平林氏の言葉でイベントは幕を閉じた。