特集
2016 Oct.6
コレクターズRoom Vol.20「ヴィンテージGジャン・Tシャツ」
原宿老舗古着屋ベルベルジンの藤原裕が語る。コレクション人生で手にした3つの喜び

愛するモノに囲まれた暮らしは、豊かさと刺激に溢れているはず。「コレクターズルーム」では毎回、さまざまなコレクターを取材。コレクションする楽しさや自慢の品、収集に必要なお金のやりくり術などを紹介します。
今回登場いただくのは、ヴィンテージGジャン・Tシャツコレクターの藤原裕さん。数多くの古着屋が軒を連ねる原宿において、老舗の店として知られるアメリカン・ヴィンテージ・ショップ『BerBerJin(ベルベルジン)』のカリスマスタッフとして知られるの藤原さんは、やはりご自身もヴィンテージ・ウェアのコレクターでした。どうしてGジャンとTシャツなのか?こだわりのポイントは?真夏の原宿『BerBerJin』店内でお話を伺いました。
好きが高じてヴィンテージショップで働くことに
高知県で生まれ育った藤原さん。中学生の頃から古着に興味を持ち始め、高校生になってから古着を購入するようになったといいます。当時は94~96年頃で、すでに古着ブーム。情報源である雑誌だけでなく、古着店自体も多かったそう。
「高校のときの先輩にコレクターがいて、色々と教えてもらいましたね。当時はサッカーをやっていて、バイトもしてなかったので、お母さんからもらった食事代をコツコツ貯めては古着を買ってました」

そんな藤原さんが今コレクションの主軸としているのは、GジャンとTシャツです。ヴィンテージ・ウェアといえば〈リーバイス〉の「501XX」などのデニムというイメージがありますが、どうしてこの2つなのでしょうか?
「古着店で仕事をしていると、どうしてもデニムが服装の中心になるんですよ。好きなんですが、僕にとっては制服のようなものでもある。その反動でGジャンにコレクション熱が向かったんだと思います。ジャケットのなかでもショート丈のGジャンは特に目がないんです」

なるほど。ではTシャツは?
「Tシャツのなかでも〈チャンピオン〉のTシャツを特化して集めています。20歳の頃、フリーマーケットを周っていたときに〈チャンピオン〉の霜降りグレーのTシャツを発見して魅了されました。自分で色々と調べていくうちにTシャツの奥深さを感じだしたんです。
たとえば、『時代の移り変わりと共にブランドタグの変遷があるんだな~』とか。そうしていくうちに各年代のものを集めたり、プリントの違いのパターンを集めたりするようになりました。もともと収集癖はあるほうだったんですけど、火が点いちゃいましたね(笑)」


今回の取材にあたり、たくさんのコレクションを見せてくれた藤原さん。全部でいったいどれくらいの数をコレクションしているのでしょうか?
「Gジャンは厳選しているので、12着くらいですかね。お客様に売ってくれと言われることもありますが、売りませんよ(笑)。Tシャツは60~70枚くらい。昔はもっと持っていたんですけどね。若い頃、別の古着屋さんの先輩に『一度でいいから毎日買い物をしてみろ』と言われ、1か月毎日近所の古着屋さんを周ってたことがあって、一時期200枚以上を持っていたんです。冷静に考えたら『こんなに持ってても着られないぞ』と思い、いくつか手放しちゃいましたが」
■藤原‘s ヴィンテージGジャン コレクション 高価なもの■
〈リーバイス〉ファースト(1940~1941年)


「〈リーバイス〉のファーストと言われるモデルで、1940~1941年のものですね。僕は15年ほど前から『大きいサイズをかっこ良く着る』という提案を続けていて、これがまさしく大きなサイズのもの。生地のサイズの都合上、大きいサイズのGジャンって背中の真ん中に継ぎ目ができて、カッコいいんですよ。当時は市場価値が低いおかげで安く買えましたが、この1~2年くらいで一気に相場が跳ねあがりました」
■藤原‘s ヴィンテージGジャン コレクション 定番■
〈リーバイス〉ファースト、セカンド、サード

右からファースト、セカンド、サード
「古着を買い始めた頃、Gジャンのコレクションをしようにも〈リーバイス〉のファースト(右)はとても高くて手が出せなかったんです。でも90年代末~2000年代前後にヴィンテージ・ブームが落ち着いた時期があって、その頃に自力で探しました。頑張れば買えなくはない値段だということで、はじめて憧れのファーストを手に入れたんです。そこからファーストの年代別や色落ち別のものを計10枚も集めていました。
このファーストはペンキがついていますが、当時着ていた人がつけたもの。『カッコいい!』と思って、塗装屋の友だちにジーンズを貸して『これ履いて仕事してみて』って言ったんですけど、『絶対こんなにかっこよく汚れない』と言われました(笑)。ファーストのあとはセカンド、サードと順に集めていきましたね」
■藤原‘s ヴィンテージGジャン コレクション 思い入れがある逸品■
〈リー〉ワークジャケット

「これは古くから持っている〈リー〉のワークジャケット。丈がレギュラーとロングの2種類のモデルがあるんですが、ロングの数が圧倒的に少なく、今までこの1枚しか見たことがない。かなりレアな一品と言えますね」
■藤原‘s ヴィンテージTシャツ コレクション 高価なもの■
〈チャンピオン〉無地TとフットボールTシャツ

右から無地T、フットボールTシャツ

無地Tのランナーズタグ
「数あるTシャツの中でも〈チャンピオン〉に惹かれたポイントは、見た目のかっこよさと素材、そして着やすさですね。その中でもこの無地Tのような霜降りグレーのものに夢中になりました。これにはランナーズタグと呼ばれる、今の〈チャンピオン〉のロゴとはまったく違うタグがついていて、40年代のもの。『5万で売ってくれ』と言われたこともありますが、売りません。10万円だったら考えるかな(笑)。
そしてもうひとつは〈チャンピオン〉のフットボールTシャツ(左)です。アメリカンフットボールで使われるので、肘と肩の部分の生地が2枚重なっていて、珍しい。これは1950年代のものになります」
■藤原‘s ヴィンテージTシャツ コレクション 変わり種その1■
〈チャンピオン〉Vネック、ポケT、2トーン

右からVネック、ポケT、2トーン
「VネックのTシャツは80年代に作ったのに全然売れなかったみたいで、1シーズンで終わったんです。今では買った当時の10倍以上の値段にまで上がっています。
そしてポケTも珍しいTシャツ。そしてこっち(左)は首元のリブ部分だけの色が残って、ボディーだけ色落ちしたために、よく見ると2トーンのTシャツに。あまりにも珍しいので『なんですかその2トーン!』ってよく質問されます」
■藤原‘s ヴィンテージTシャツ コレクション 変わり種その2■
プリントTシャツ

「コレクションを始めた当時は特にプリント系に魅力を感じていましたね。なかでも表面にプリントが張り付いているものではなく『染み込みプリント』という、生地自体インクが染み込んだプリントが好きですね」
コレクションをしてきたおかげで人との出会いに恵まれた
ここでも掲載できないほどの、たくさんのコレクションを紹介してくれた藤原さん。お仕事柄、各アイテムの値段は紹介できませんが、非常に高価なものばかり。実際にこれらのアイテムは着用されているのでしょうか?
「僕は実際に着る派ですね。コレクションを家に飾り、眺めてお酒を呑むコレクターもいますが、そういうタイプではないんです。基本は着ることを目的に買っています」
でも、レアなものや高価なものを着る時、緊張するのでは?
「緊張してたら着られないですよ(笑)。とはいえ僕にも穿く基準というものがあって、その額は50万円。さすがに100万円を超えちゃうと気を使ってしまうけど、50万円ならOKと、僕の中で決めています」

藤原さんが企画した〈リーバイス〉「501XX」の写真や資料を収録した書籍
では最後に、ヴィンテージ・グッズのコレクションを始めて、藤原さんの人生はどう変化しましたか?
「好きなことを仕事にできた喜びがありますね。あとは、買った時はそこまで価値がなくても、後に値段が上がると、自分の“目利き力”が認められたような気持ちになるのも嬉しいです。そして何より人と出会えること。コレクションをしているおかげでたくさんの人と知り合えて、人生が豊かになりました」
- ■コレクター's データ■
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- コレクション:ヴィンテージGジャン・Tシャツ
- コレクション歴:20年以上
- Gジャンのコレクション数:12着
- Tシャツのコレクション数:60~70枚
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Information
- BerBerJin(ベルベルジン)
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JR原宿駅から徒歩7分。Tシャツ・ジーンズ・ジャケット・スニーカーなど、アメリカ物のヴィンテージなどを備えるお店として知られ、メディアやファッション関係者からの支持も厚い。通販サイトの運営も行なっている。
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