特集
2017 Mar.22
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.174
“欠点”こそが個性に…。一眼レフ用・オールドレンズの魅力を探る

コンパクトデジタルカメラやスマートフォンの普及により、誰でも気軽に写真撮影を楽しめるようになった今、デジタル・フィルム双方の一眼レフで使用するオールドレンズの人気が上昇しています。
利便性が求められる現代において、なぜオールドレンズが人気を集めているのか?その答えを求めて「大人の趣味の店」をコンセプトにカメラ製品などを扱う「レモン社」銀座教会堂店の三宅弘二さんを訪ねました。
オールドレンズでしか撮れない
味のある写真とは?

インタビューに答えていただいた三宅さん。
-オールドレンズを買い求めるお客さまが増えていると聞きました。
「理由は2つあると思います。1つ目は、SNSやブログで撮影した写真を発信されている方たちが、人とは違う写真を求めているということ。オールドレンズは今のレンズでは撮れない写真が撮れるので、SNSやブログで発信すれば人目を引くことができます。
2つ目は、多種多様なオールドレンズのマウントアダプターが発売されたこと。最新のカメラボディとオールドレンズでは、装着部の規格が異なるため、連結するためのマウントアダプターが必須です。このマウントアダプターの種類が増え、手軽にオールドレンズが使えるようになったことも、人気の高まりを後押ししていると思います」
-そもそもオールドレンズとはなんでしょうか?
「クラシックカーのように『何年に作られたものがオールドレンズ』といった明確な定義があるわけではなく、名前のとおり『昔に製造されたレンズがオールドレンズ』、という非常に曖昧なものです。
一般的には、現在発売されているカメラボディで利用する場合に、専用のマウントアダプターを装着しなければ連結できないもの、さらに焦点を調整する“ピント”とレンズから入る光の量を調整する“絞り”をマニュアルで設定しなければならないものを、オールドレンズと呼んでいます」

-オールドレンズを使って撮った写真と、今の高性能レンズ。両者の違いはなんでしょうか?
「今の進化したレンズはすべてコンピューターで設計されており、撮影する環境に応じて、自動で最適な設定をしてくれます。そのため色味やピントなど、誰でも完成度の高い写真を撮ることが可能。一方、オールドレンズは“欠点のある写真”を撮ることができます」
-写真の“欠点”とは、具体的にどのようなものですか?
「たとえば、特定の色だけが強調されてしまったり、四隅に暗がりが出る“周辺光量落ち”が出てしまったり、フレアやハレーションと呼ばれる光の像が映ってしまう写真。そういったものは、本来は写真の欠点なので、進化したレンズでは出てこないように設計されているんです」

四隅が暗くなる“周辺光量落ち”。

中央に映る白い円の光の像が、ハレーション。
-なぜ人々は、“欠点のある写真”を撮りたいと思うのでしょうか?
「今のレンズでは生み出せない表現ができるからでしょうね。欠点とされている余計なものも、写真の味や個性と考える方が増えているのではないでしょうか」
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強烈な個性を持つオールドレンズは撮るほどにハマっていく
-多種あるオールドレンズですが、選ぶ際に重要なポイントはありますか?
「レンズの持つ個性だと思います。先ほど申しあげたようにオールドレンズは、周辺光量落ちやハレーションなどの余計なものが写ってしまうという欠点がありますが、それら欠点が、そのオールドレンズの個性になります。
昔は手作業でレンズを作っていました。そのため同じメーカーの同じ種類のレンズでも、製造年が違うだけで写真の仕上がりが違うことがありますし、オールドレンズの数だけ、個性が存在するともいえるでしょう。
オールドレンズを使っていく中で、カメラ愛好家たちは各レンズの持つ個性を知り、その個性にどんどん愛着を感じていく。『このオールドレンズだと淡い色の写真が撮れる、こっちだと濃い色の写真ができる』、そうやってどんどんオールドレンズの世界にハマっていくんです」

発色が地味でレトロ感漂う写真に仕上がる
オールドレンズも。

逆に、鮮やかなカラーが持ち味のオールドレンズも。
-オールドレンズの個性を知るためには、どのような環境下で撮るのがいいでしょうか?
「早朝か夕方に、屋外で写真を撮るのがおすすめです。この時間帯は太陽光が少ないからこそ、レンズの持つ個性を実感しやすいと思います。
写真はカメラが捉えた光を利用して、映像を記録しています。太陽光が眩しい日中や、屋内の照明の下では被写体に多くの光が当たっていますが、早朝や夕方の屋外では光量は少なめ。そうした環境でレンズが光をどう捉えるかで、レンズの個性が如実に現れます」


絞りを変えることでも、オールドレンズの個性をより知ることができる。
左上は絞りを開放、右下はF16に絞った状態で撮影。
-操作に関してはどうですか。どんな操作をすることで個性を実感できますか?
「いろんな絞り値で写真を撮ってみましょう。同じ風景を撮るにしても、異なる絞りで撮ることでまったく違う写真になります。もちろんどこにピントを合わせるかも、自分で決めてくださいね。『この絞りで撮り、ここにピントを合わせる』、そうやって自分で決めることで自分の作家性を生み出せるんです。
すべてオートでカメラ任せに写真を撮ると、自分で考える作業が省略されてしまいます。自分で絞りとピントをどうするかを決めることで、風景に対する見方も変わります。ファインダー越しに目の前の風景を見て、『どこにピントを合わせるか?』『どの絞り値で撮るか?』と考える。それらのステップを踏むことで、景色をじっくり見つめる機会になるのではないでしょうか。
今のレンズでも絞りを調整することで、いろんな写真を撮れますが、オールドレンズはとくに顕著にその差が出ます」

-オールドレンズにハマった方がより写真を楽しむために、オススメしたいことは?
「ぜひフィルムで写真を撮って欲しいですね。フィルムでの撮影は、オールドレンズと同様に、自分で操作をしなければいけない不便な工程が増えます。でも、その不便な作業をあえてすることでさらに写真を撮る楽しみを味わえるんです」
Information
- レモン社
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東京・銀座で創業し33年。「大人の趣味の店」をコンセプトに、見て楽しい、さわって楽しい商材をそろえる。ライカ、ハッセルなど、高級輸入カメラにおいては、顧客の満足を考えた品揃え・価格設定で知られている。カメラだけでなく、時計、万年筆、鉄道模型、ミニカーも取り扱っている。
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