特集
2017 Jul.18
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.196
『家電批評』編集長に聞く!イマドキ“デザイン家電”の実力&魅力

カッコいいだけじゃない、機能もハイレベルで使うほどに愛着がわく「デザイン家電」。そんな家電の新進家電メーカーを、辛口批評で知られる『家電批評』の編集長・武田義尊さんに紹介していただきました。
『家電批評』編集長が注目する
“日本発”新進のデザイン家電メーカーとは?

月刊『家電批評』は、消費者目線を第一に、広告に頼らず実売率で勝負する「ホンネで語る」テスト誌。それゆえ、辛口&中立な評価をしているのが特徴のひとつ。武田編集長から見て、最近のデザイン家電はどうでしょうか?
「いわゆる『デザイン家電』というと、ひと昔前は、性能が二の次という製品も多かったですね。しかしここ数年、機能が高くて使い勝手の良い製品をつくる家電メーカーが国内で台頭し、オススメできる製品も増えています」
そう、いくらデザインがいい家電だからといって、ビジュアルだけでは本末転倒。性能まで含めてしっかり評価している武田編集長に、自身のイチオシを教えていただきましょう。
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デザイン、性能、使い勝手。至高をめざすものづくり哲学
「BALMUDA(バルミューダ)」

「最近、話題となったトースター『BALMUDA The Toaster』は、稀に見る傑作品です。以前、兄弟誌である『MONOQLO』で、トースターを20台集めてきて、2か月間で2,000枚のパンを焼くというテストをした際に、第1位に輝きました。
パンの種類に合わせて焼き加減が調整でき、表面はパリッと、内側はしっとりふわふわの食感に。使い勝手もよく考え抜かれていて、デザインも抜群にいい。2万円オーバーですが、価格に十分見合った製品だと思います」

バルミューダは、2010年に「Green Fan」というDCモーターを搭載した扇風機を出して、一躍注目を集めた新進のメーカー。一般的な扇風機に比べて、約4倍に広がる自然に近い風をおこし、電気代も低コスト。昨今の高級扇風機ブームのきっかけをつくったメーカーだといいます。


「何を一番に優先すべきなのか、本質をしっかり考えているメーカーです。余計なことはしない、でも欲しい機能やクオリティはしっかり揃っている。そんなものづくりの哲学が、あらゆる製品に反映されていると思います」
スタイリッシュな白物家電を叶える、新進気鋭
『cado(カドー)』

「まだ知名度は高くありませんが…」と次に挙げてくれたのが、大手家電メーカーから独立したエンジニアとデザイナーが立ちあげたカドー。編集部でも期待が集まる注目株とか。
「除湿機や加湿器、空気清浄機、ウォーターサーバーなどの白物家電を手がけるメーカーです。この手のアイテムは概して野暮ったく、洗練されたデザインと機能を兼ね備えた製品は少なかったのですが、カドーは見事に両立させました」
カドーは、2012年に日本メーカーで初めて、世界ナンバーワンの空気清浄機能を実現したほどの実力派。空気の清浄度に合わせ、空気清浄機のライトが赤、黄、青と移り変わるのもスタイリッシュ。おしゃれなエコライフを実現してくれそうです。


生活を面白くする発想力。自慢できるアイテム揃い!
「amadana(アマダナ)」

2008年にNTTドコモが「amadanaケータイ」を発売したことから、その名が広く知られるようになったメーカー。プロダクトは、通信機器やオーディオ機器から、キッチン家電、電子計算機などまで幅広く展開しています。
「家電で生活を豊かに面白くしようという心意気を感じますね。最近わたしが注目したのは、サントリーと共同で開発したビアサーバー。家庭用ビアサーバーにありがちなチープなルックスではなく、バーのカウンターに置いてありそうなビジュアル。350ml・500mlの缶ビールを入れるだけで、クリーミィでキメの細かい泡のビールを自宅で楽しめます」
秘密はビールの温度を保つ保冷機能が搭載されていることと、1秒間に5万8,000回の高出力超音波を発生する内部構造。ビールメーカーとの共同開発とあって、泡への半端ではないこだわりを感じます。


「スピーカー内蔵のオールインワンタイプのレコードプレーヤーなども出していて、『次は何をつくるの?』と目を離せないメーカーの1つです」

売り切れ状態となるほど好評のレコードプレーヤー。
スターウォーズモデル、ローリングストーンズモデルなどの限定品も出ている。
独創性×先端技術で、使う人をワクワクさせるプロダクト
「Cerevo(セレボ)」

ロボットテクノロジーなどを取り入れた製品開発で、わが道を行くのがCerevo。メカニックっぽいデザインで、コアな家電ファンを魅了しています。
「“攻め”を感じさせるメーカーですね。ワクワク体験という点ではピカイチ。プロジェクター搭載のホームロボット『Tipron』は、スマホアプリでラジコン的に角度を動かせて、壁や天井に80インチのスクリーンを投影でき、自動操縦で部屋を移動することもできます」


このほか、「攻殻機動隊S.A.C.」のキャラクターをモデルにした、動いてしゃべるロボット「1/8タチコマ」(左下写真1枚目)、スマホやiPadなどのアダプタ8つを内蔵でき、接続した照明の明るさをコントロールできる調光ユニット「OTTO」(右下写真2枚目)、話しかけると自動で変形・点灯するロボット・デスクライトなど、オンリーワンの製品が多く、ラインナップを見るだけで楽しめます。


「価格面ではまだ手が出しにくいですが、独創性という点でポテンシャルの高いメーカー。価格や実用面でもう少し一般ユーザーに近づけることができたら、世界で大ブレイクする可能性があると思います」
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かつてデザイン家電といえば、欧米メーカーが多く、機能面やメンテナンスで不都合が生じることがあったそう。しかし今は、台頭してきた“日本発”の小さな家電メーカーが、日本人の細やかな感性・美的センスに合った、デザイン・機能ともに優れた製品を次々と世に送り出しています。
「実用性やコストパフォーマンスで優れているパナソニック、またかつての自由な発想を取り戻し、復活の兆しを見せるソニーなどの既存大手メーカーに加え、洗練されたデザインやムダのない機能を追求する新興のメーカーも家電選びの選択肢として広がってきました。
その意味では、今の日本の家電市場は成熟して、ユーザーにとっては面白いといえますね。とくに、見た目から機能や使う喜びまで含めて家電を楽しみたい方は、『デザイン家電』という選択はアリだと思います」