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2013 Aug.7
東洋経済オンライン セミナーレポート

世界へ挑め!
『時代を変える事業の創り方
-新世代リーダーのためのイノベーション講座-』

「夢」は"Cange the World!(チェンジ・ザ・ワールド)"、そのために必要なのは「イノベーション」。では、イノベーションを起こすためには何が必要なのか。さる6月26日、d-laboコミュニケーションスペースで開催された東洋経済オンライン主催のセミナー。ここではd-laboのコンセプトの1つである「Change(変える)」にフォーカスし、電動バイク事業で世界の市場を舞台に事業を展開するテラモーターズ株式会社代表取締役の徳重徹氏を講師に「時代を変える事業の創り方」について語っていただきました。家電メーカーをはじめとする日本企業の凋落が著しい現在、ベンチャー企業による「圧倒的な成功」こそが日本再生の突破口になると訴える徳重氏。エネルギッシュなその講演の内容をお届けします!

講師
徳重 徹(Terra Motors株式会社 代表取締役)
主催
東洋経済オンライン
協賛
d-labo
世界へ挑め!『時代を変える事業の創り方 -新世代リーダーのためのイノベーション講座-』

「失敗」は「成功へのプロセス」

「失敗」は「成功へのプロセス」

冒頭、挨拶に立ったのは『東洋経済オンライン』編集長の佐々木紀彦氏。昨年11月にリニューアルをした同サイトのコンセプトは「新世代リーダーのためのビジネスサイト」だ。今回のセミナーは「これからは文字に加え、リアルなイベントで魂を伝えていきたい」という編集部の想いから実現したもの。こうしたイベントは「今後もふやしていきたい」という。会場にはビジネスマンから学生まで、『東洋経済オンライン』の読者を中心に「起業」を志す多くの人が集まった。

拍手とともに登壇したのは徳重徹氏。自身が代表取締役を務めるテラモーターズ株式会社は国内では電動バイクシェア1位。大手の2輪メーカーを大きく引き離している。会社が設立されたのはわずか3年半前。人々の関心の目はトップである徳重氏に注がれている。質疑応答を合わせた90分の講演では、まずテラモーターズ創業に至るまでの講師自身の軌跡をお話しいただいた。

「僕は山口県の出身。父には、お前の成功は一流大学に入って一流会社に就職して部長になることだ、と言われて育ちました。」

人々の関心の目はトップである徳重氏に注がれている。

家では厳しく育てられ、月に1回は「正座をさせられてのお説教の時間」があった。いくつもある戒めの中には「自分で会社をやってはいけない」「将来は山口に戻る」といった項目もあったという。

大学では化学を学んだ。理系ではあったが「試験管を振るよりもビジネスやベンチャー企業に興味があった」。学生時代から目は海外へと向いていた。ホンダやソニーのように世界の市場を相手とする企業に入りたいと願っていたが、当時はまだ「いずれは故郷に戻る」と考えていたので地元にも支店のある住友海上火災に就職した。経営企画部に5年。部署での仕事は充実していたし、社費でのMBA留学も可能だった。しかし、働いているうちに「経営者になりたい」と思うようになっていた。若い人間が経営者になるにはベンチャー企業を立ち上げるしかない。だとすれば、めざすは本場のシリコンバレー。父親や周囲の反対を押し切って会社をやめ、自費でMBA留学をすることにした。29歳のときだった。

「しかし、ここで挫折を味わうわけです。」

入ろうと思っていたカリフォルニア大学バークレー校やスタンフォード大学には落ちてしまった。

「啖呵を切って会社に飛び出したというのに本当に格好悪い話です。」

とにかくシリコンバレーに行こうと、合格できたサンダーバード大学院に入った。大切なのは、どんなプロセスを踏もうと目的を達成すること。大学での化学の実験もそうだった。正しい結果に辿り着くまでは、実験を何百回も繰り返す。それは失敗の連続だが、結果が出れば「失敗」は「成功へのプロセス」に変わる。

「日本で駄目なところは、チャレンジができないこと。イノベーションはチャレンジがないと絶対に起きないんです。」

チャレンジに失敗はつきものだ。だが日本人は優秀な人ほどこうしたリスクを嫌ったりする。

「頭がいい人にいちばん足りないのはエネルギー。昔の起業家は、だいたい学歴がないか貧乏か女の子にもてないかのどれかでした。でもこうしたものがエネルギーになったんです。」

「スピード感」を武器に電動バイクで世界の市場を開拓する

「スピード感」を武器に電動バイクで世界の市場を開拓する

失敗もまたエネルギーの源だ。MBAを取得した徳重氏は、その後5年半ほど、シリコンバレーでコンサルタントをしながら技術系のベンチャー事業に携わった。自分が考えている事業は「日本の技術で世界にイノベーションを起こす」もの。そのためには「市場」があって、なおかつ「競合相手」が少なく、そして自分の「想いがキープでき」、人々が賛同し応援してくれるような「社会性を持った事業」を見つける必要があった。やはりここでも「失敗」を経験しながら前へと進んだ。そして辿り着いたのが電動バイクだった。EV車は4輪ではかなり進歩しているが、2輪ではまだまだ。大手メーカーの動きは鈍くベンチャー企業にも勝機があった。しかも市場は東南アジアなど海外にある。まさに描いていた事業がそこにあった。

日本のバイク市場は年間30万台とけっして多くはない。徳重氏の目は最初から海外の市場に向いていた。ニーズを感じたのは、町にバイクが溢れ返っているベトナム。人々は排気ガス対策にマスクやサングラスをしてバイクに乗っている。この国はクリーンな電動バイクを必要としていた。しばらくすると、フィリピンでも国家プロジェクトで国民の足である3輪タクシーのEV化が計画され、入札が始まろうとしていることを知った。3輪車開発は予定になかったが素早く「軌道修正」をして入札に加わることとした。立ち上がったばかりのベンチャー企業が国家プロジェクトに参画できれば基盤となる事業になる。他にもインドしかり、台湾しかり、海外の新興国にはチャンスが溢れていた。

ありがたいこともあった。日本では「歴史が浅い」「従業員が少ない」と相手にされないベンチャー企業だが、アジアでは違った。

「僕たちの会社の価値が100とすると、日本では30程度にしか見てもらえない。だけど台湾やインド、ベトナムに行くと、300にも400にも見てくれるんです。」

理由は3つ。1つめは「日本の会社だから」だ。落ち目とはいえ、日本の製品や日本人に対する信頼感は依然アジアでは高い。そんなアジアの人々は「日本の会社とビジネスがしたい」と願っている。これが2つめ。そして3つめはベンチャーならではの「大企業にはないスピード感」。徳重氏は「この3つめがいちばん重要」と力を込める。

日本企業の弱点は「意志決定の遅さ」だ。これが足を引っ張って、ここ10年、新興国の市場では韓国勢や中国勢に遅れをとっている。アジア最後のフロンティアとして注目されているミャンマーでも「日本企業は調査には来ても具体的なアクションがない」と、もはや不要物扱いされているのが現状だ。同じようなことはアジア各国で起きている。どこに行って目に入るのはサムスンやLGのロゴ。いったい日本企業は何をしているのかと、地団駄を踏みたくなるような状況がアジアの新興国ではつづいている。

「悔しいしアドレナリンが湧く。だからこそテラモーターズはアジアで圧倒的な成功事例を出したいと考えています。」

“チェンジ・ザ・ワールド”をめざして!

では、世界で勝負するために必要なことは何だろうか。よく言われているのは「英語力」や「異国の文化を理解する力」。しかし、もっと大切なものがある。

  • ブロークンでも闘う、交渉する英語力
  • ダイバーシティの中の調整力
  • スピード
  • リスクテイキング
  • 不確実な中での業務遂行能力
  • 意思決定者が現場感覚を持つこと
  • 「海外OS=グローバル感覚」を持って、物事を判断する
  • 自分の軸、自国に対する誇り

「僕が仕事を通して感じているのは以上のようなことです。例えば、インドなどで交渉をすると、相手は言いたいことをぶわっとまくしたててくる。それを塞き止めてこうじゃないかと押し返すにはブロークンでも闘える英語力が必要です。」

スピード感もアジアではまるきり違う。へたをすると一度目の交渉で「契約」がまとまったりする。一方で、海外ではリスクや不確実性はつきもの。マーケットを調査するにも新興国ではデータが揃わなかったりする。交渉にスピード感を持たせるためにも相手のことは事前に徹底的に調べておかねばならないが、それでもわかることはいいところ60パーセント。ときには騙されたりすることもある。そうした中で決断をするには「肌感覚」と「海外OS=グローバル感覚」が求められる。そのためにも意思決定者たるトップは現場のフロントに立つべきだ。が、これは大手企業では難しい話。やはりそれができるのはベンチャー企業だ。

忘れてはならないのは「自分の軸を持ち、日本の民族に誇りをもって」交渉に臨むことだ。

「基本的に海外のエリートはみんな愛国心が強い。お互いに自分の国をよくしたいと思っているから相反することもあるけれど、意見をぶつけあうことで尊敬しあう関係にもなれるんです。」

今、世界を見ると、アメリカをはじめ、経済を引っぱっているのはメガベンチャーと呼ばれる企業ばかりだ。アメリカの液晶テレビ市場でシェア1位を収めているのは2005年に設立されたばかりのビジオだ。台湾のHTCはアップルやサムスンを向こうにまわし、携帯電話市場で売上を伸ばした。同じく台湾の部品メーカーであるフォックスコンは15年程前は売上25億円程度だったものが、今では10兆円のメガベンチャーに成長した。このような会社は残念ながら日本には存在しない。

ただし、過去を見れば日本にもそうした企業はいくつもあった。ソニーやホンダがそうだったし、全日空は農薬散布を主な事業とする日本ヘリコプターが前身だった。そこには常に優秀なリーダーがいた。徳重氏がベンチマークとしているのはソニー創業者の盛田昭夫や新日鉄会長だった永野重雄氏。永野氏などは「夜逃げ」まで経験したことのある豪気な経営者だった。この時代の日本は戦争に敗れ、どん底からの再スタートを切らねばならないとき。企業の経営者の多くが実は40代だった。そうした経営者たちが日本を経済大国に育てあげたのだ。

「むろん、今の日本にもベンチャー企業はたくさん生まれていますが、シリコンバレーに行くとやはりすごいと感じます。向こうの人たちのベンチャーに対する考え方は、まず基本というか、最低ラインが"チェンジ・ザ・ワールド"なんです。自分たちの事業で世界を変えるんだと。日本とはスケール感が全然違うんです。」

徳重氏も考えているのは「チェンジ・ザ・ワールド」だ。「EVの2輪を世界市場に送り出すことで、シリコンバレーの人々を驚かせてやりたい」と、そう考えて事業に邁進している。

日本を再生するには「ビジョンと覚悟を持った優秀なリーダー」

「最後に、日本再生のキーポイントについてお話したいと思います。」

まずは「圧倒的成功モデルをつくること」。1人が成功を収めれば、後につづく人間は必ず出て来る。いい例が大リーグで活躍する日本人選手たちだ。

「もう1つはビジョンと覚悟を持って新世代のリーダーを生み出すことです。日本の最大の問題は優秀な人材はいても優秀なリーダーがいないことです。」

組織の大改革ができないのも、リスクを取った思いきった判断ができないのも、意思決定のスピードが遅いのも、また臨機応変な対応ができないのも、すべては「優秀なリーダーがいない」からだ。これらを解決し、事業を前に進めるには「断固とした覚悟とコミットメントができるリーダー」が不可欠だ。そして、そういうリーダーは過去の日本には確かに存在した。

「戦後の経営者だけでなく、日露戦争を勝ち抜いた明治のリーダーたち。あのときのリーダーたちには国家がなくなるかもしれないという危機感がありました。」

現在の日本も財政赤字という危機に直面している。優秀なリーダーの登場がこれほど待ち望まれているときはないだろう。

日本を再生するには「ビジョンと覚悟を持った優秀なリーダー」

講演は質疑応答へ。話の中でも語られたテラモーターズ創業のトリガーとなった出来事や失敗談、繰り返し必要性が訴えられた「スピード感」、ベトナムでの2輪事業に特化している中でフィリピンの国家プロジェクトへも入札するという「軌道修正能力」について、等々の質問に歯切れよく応じる徳重氏。「チェンジ・ザ・ワールドの先に見えているものはどういう世界ですか」という質問には「テラマフィアというものをつくりたい」と答えてくれた。

「シリコンバレーにはペイパル(PayPal)マフィアという言葉があります。今現在、メガベンチャーで活躍している経営者たちの多くはもとはペイパルという会社にいたんです。テラモーターズには若い社員が多い。彼らに頑張ってもらって、いずれは外に飛び出してもっとすごいベンチャー企業を作ってほしい。僕は周りにはへんな社長と思われているけれど、いい意味でクレージーさを引き継いでもらえればと思っています。」

「日本に対する想い」と「世界の市場を知っている」ことが起業家としての徳重氏のユニークネス。最近は「使命感で動いているせいかスランプがない」という。

「僕は悲観的楽観論。今の財政を見ていると日本は一度はとことんまで落ちるかもしれない。ハードランディングするかもしれないけれど、そこから必ずV字回復するはずです。」

興味深いのは、過去に起きたことが周期的に繰り返されるという事実だ。明治維新に敗戦、日本の大変革は70年周期で起きている。だとすれば次は2015年。「臨界点」は近付いている。

「あの明治維新のような時代がくるのだとすればおもしろい。そのときに活躍できる人材になっておきたいですね。」

Information 1

徳重 徹 氏

1970年、山口県生まれ。九州大学工学部卒業。住友海上火災勤務を経て渡米。サンダーバード国際経営大学院にてMBA取得。シリコンバレーでベンチャー支援のハンズオンビジネスを展開後、2010年、EVベンチャーのテラモーターズ株式会社を設立。現在、同社代表取締役。著書に『世界へ挑め!-いま、日本人が海外で戦うために必要な40の発想』(フォレスト出版)がある。

公式サイト
Terra Motors

Information 2

東洋経済オンライン

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公式サイト
東洋経済オンライン

Information 3

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文 中野渡淳一