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2013 Jul.9
『世界は君を待っている!MBA留学とグローバルリーダーシップ』特別インタビュー Vol.1・後編

シリコンバレーへのMBA留学、そして起業! 太陽光発電に賭ける金当一臣の「夢」

今年3月に出版された『世界は君を待っている!MBA留学とグローバルリーダーシップ』(中央経済社)は、「多くの人が世界中から集まる学生たちとディスカッションし、自分を磨き、グローバル人材としてはばたいてほしい」というMBA留学経験者たちの思いが込められた1冊。

この特集では、「本では伝えきれなかった!」という著者の方をお招きし、夢や生き方について熱く語っていただくコーナーです。今回はMBAホルダーであり、起業家でもある金当一臣さんをゲストにお招きしてお話を伺いました。12年半勤めた大手商社を退職しての私費でのMBA留学、そして起業。そこには大きな「決断」があったはず。個人力で勝負するこの時代、金当さんを支えた「夢」とは何なのか。後編となる今回は、起業に至った経緯や太陽光発電の未来についてお伺いしました。

聞き手:スルガ銀行d-laboスタッフ 杉山・和智

『世界は君を待っている!MBA留学とグローバルリーダーシップ』特別インタビュー Vol.1・後編 シリコンバレーへのMBA留学、そして起業! 太陽光発電に賭ける金当一臣の「夢」

日本の国土には太陽光発電が合っている

金当さんインタビューの様子

杉山スタンフォード大学のMBA課程を修了してMBAホルダーになられたのが2008年、パシフィコ・エナジーを起業されるまでの4年間は何をなされていたのですか。

金当日本やアメリカの電力事業会社で自然エネルギーの事業に携わっていました。風力発電に力を入れている会社に太陽光発電の事業開発部門を設立したり、実際に事業開発に着手したり、アメリカのネバタ州で太陽電池発電プロジェクトのプロジェクトマネージャーをやったり。その間に日本国内で70ヶ所ほど太陽光発電の候補地を見てまわったり、スペインやカナダで仕事をしていたりもしました。いろいろと経験した末、やはり自分の信じた道を進むには起業がベストだと判断して会社を起こしました。

杉山太陽光発電専門の会社とお聞きしていますが、具体的なプロジェクトや事業内容はどんなものなのでしょう。

金当主に日本国内に限って、太陽光発電の開発、投資、運営を行います。発電規模は1発電所につき30メガワット以上を基本としています。

和智自然エネルギーには風力発電などもありますが、太陽光発電に特化されたのはなぜですか。

金当日本の国土を考えた場合、風力よりも太陽光の方が合っていると考えたからです。風力発電には砂漠のような広大で風が安定している土地が向いている。日本は山が多く、平地が少ないため風もあまり安定していない。船舶技術などを応用すれば海上での発電も可能ですが、コストがかかる。その点、太陽光は参入障壁が低い。風力発電と違ってムービングパーツがなく、そのぶんメンテナンスや運営にかかる人件費も安くて済む。この先日本のみならず新興国などの貧しい国でも普及していく可能性が非常に高いだろうと判断して太陽光を選択しました。

杉山風力は騒音問題などもあるそうですね。

金当あの風車の羽は見ているとゆっくりまわっているようですが、実は尖端部は新幹線並のスピードなんです。音もかなりのものだから、人家のある場所には建てられない。となると人里離れた僻地が好立地となりますが、そのような場所では稀少な野鳥などが風車に接触して落ちてしまうといった事故がある。そうなると稼働を停止し、1日かけて野鳥の会や大学の先生に事故報告をしたり、点検や検証をせねばならなくなる。これがけっこう大変なのです。

和智太陽光ではそうした事故はないのですね。

金当パネルがずらっと並んだ広い発電所だと、鳥が湖と間違えて下りてきたりしますね。僕がラスベガスでプロジェクトマネージャーをしていた発電所は、何百メートルもパネルが並んでいました。鳥が海と間違えるのも無理はないと思うくらい壮観なものでした。まあ、それでも海と間違えるだけだからダメージはそれほどなくて済む。

アメリカ勤務時に手がけた太陽光発電所
アメリカ勤務時に手がけた太陽光発電所

ゴルフ場を発電施設に

金当さんインタビューの様子

杉山30メガワットというと、どれくらいの広さで、何世帯分の電気使用量に相当するのですか。

金当広さはだいたい60ヘクタール。東京ドームが4ヘクタールだから、東京ドーム15個分です。わかりやすく言うとゴルフ場くらい。ゴルフ場すべてにパネルを張ったらもっと発電量は上がりますが、フェアウェイの樹木のない部分だけをパネルで覆った場合は30メガワット。ちょうどいいって感じですね。ですから今は経営の厳しくなったゴルフ場などを候補地として当たっているところです。また、30メガワットで何世帯分かというと、だいたい一般家庭9,000世帯分ですね。

和智ゴルフ場ですか。なるほど、そういう手があったかといった感じですね。

金当日本には約2,400のゴルフ場があるのですよ。バブルの頃につくって、今はあまり使われていなくて売りに出ているゴルフ場がけっこうあります。こういうゴルフ場やあるいは閉鎖になった遊園地や動物園といった施設を太陽光発電所として再利用するんです。発電施設ならゴルフ場と違って農薬の問題も発生しません。ゴルフ場の中でも平で、広くて、送電線に近いこと。この3つの条件を満たすところに的を絞って交渉を進めています。会社を始めてすぐに立ち上がったプロジェクトは40メガワットの施設。これで1万2,000から1万3,000世帯くらいはカバーできます。太陽光発電は、発電量自体はまだ電力全体の1パーセントも満たしていませんが、太陽光パネルが汎用品になるにつれ、需要が増えて市場拡大と共にコストは下がり続る。10年も待たずに近い将来コスト的には世の中でもっとも安い発電源になるはずですから、これからどんどん伸びつづけると思います。技術が進めばみなさんの着ている服が日光を浴びて発電するようになるかもしれません。石油にしろガスにしろ化石燃料は有限であるため、この先自然エネルギーがますます脚光を浴びていくことは間違いないはずです。

杉山化石燃料の他、最近は水資源の獲得競争も起きています。日本の水源も外資に狙われているそうですが。

金当僕たちが土地を探しているときの競合相手がそういった水源を求める外資だったりするんです。九州なんか土地の取り合いがすごいですよ。水か太陽光か、と。会社をつくる前にスペインに3か月ほど太陽光事業開発のために住んでいて、そのときに夢を見たんですよ。夢のなかで、太陽光パネルに水が流れているんです。いまの夢はなんだったろうと自分なりに考えてみたら、そこに太陽光発電の1つの可能性が見えてきた。世界には電気にアクセスできない人がまだ全人口の3分の1ほどいる。水不足に悩む人たちも大勢いる。そうした電気も水もない土地に分散電源が可能な太陽光発電所をつくって、その電力で水を汲み上げれば問題は解決するのではないか。それどころかそこにコミュニティーが生まれるかもしれない。これは、多くのメリットを享受できる地産地消がコンセプトのソリューションです。自分たちが提供するソリューションで町が1つできるとしたら夢がありますよね。ビジネスですから、社会貢献をして、お金もしっかり儲ける。今はそれをめざしているところです。

「夢」を持つことが大事

杉山自然の力を使ってエネルギーを循環させる。そうしたシステムを子孫に残そうという金当さんの考え方には非常に共感できます。それと同時に大きな会社で責任ある仕事をやっていたのにかかわらず、それをやめてあえて起業というリスクをとったという姿勢にも感銘を受けます。

金当大きな波が来ているのだから乗るしかないだろうと思ったのです。こうした時代の波ともいえる新しいビジネスの世界では、「遅くて正しいディシジョン」よりも「間違っていても早いディシジョン」の方がいいという考え方があります。むろん、動く前に石橋は叩く。物事は自分が表現する前にしっかり調べ上げて、専門家と意見交換して確実なものにしてから発信しないと危ない。それをいかに速く短くやるかですね。僕が丸紅に入社したとき、当時の社長が「我々の敵は伊藤忠でも三井物産でも三菱でもない。時代の流れなんだ」とおっしゃっていました。新人の僕は「何言ってんだろう。敵は他社じゃないか」と思ったのですが、今はその言葉の意味がよくわかります。とくに最近はすごいスピードでグローバル化、ソーシャル化が進んでいる。ツイッターなどのちょっとした発言で個人の力が試される。日本は企業単位で見ればグローバル化に成功したといえますが、個人単位ではグローバル化はしていない。世界の舞台で勝負をしてリーダーシップがとれる日本人が少ないように感じるのが残念です。

和智そうしたリーダーシップをとることができるのが、金当さんのような挑戦する姿勢を持ち続ける熱いM方々だと思います。

金当やっぱり「夢」が大事ですね。最近、若い方々と語る機会に「夢は何?」とか「5年後の自分、10年後の自分は何をやっている?」と聞くのですが、夢を語れない方々が多いように感じています。夢を持たなければ、将来の自分に対するビジョンも語れないし、夢に向かってあきらめずに挑戦するようなチャレンジ精神も生まれてこないので、悪循環な気がします。d-labがこれからも夢を発信し続けて、創造力の豊かな日本人を刺激して日本を元気にし続けられれば良いし、やはり僕らが既得権者とも戦いルールを変えていかなければならないんだと再確認しました。

杉山そうですね。d-laboは個人の夢を応援するという形で社会に貢献ができればと願っています。今日はありがとうございました。

金当さんインタビューの様子

Information 1

パシフィコ・エナジー株式会社代表取締役社長 金当 一臣氏

1972年、東京都生まれ。95年慶応義塾大学理工学部卒業、丸紅入社。海外電力プロジェクト部でアジア諸国の発電・送配電施設の建設、投資事業に従事。2008年、スタンフォード大学経営大学院修士課程修了。2011年、東京大学イノベーションマネジメントスクール卒業。MBA取得後は、ユーラスエナジーホールディングス、アセア・ブラウン・ボベリ社で、日本、ヨーロッパ、北米での太陽光、太陽熱発電プロジェクトの事業開発を担当。2012年、日本の太陽光発電事業に特化したパシフィコ・エナジー株式会社を設立。現在、プロジェクトを推進中。

パシフィコ・エナジー株式会社代表取締役社長 金当 一臣氏

Information 2

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