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2014 Feb.28
Be Unique! ~オンリーワンであること~ Vol.5

スタートは「ひとり家電メーカー」Bsize 八木啓太の社会に役立つプロダクト

『Be Unique!』では、毎回、「オンリーワン」な人や企業を訪問。その価値と魅力に迫ります。なぜオンリーワンなのか、どうやってオンリーワンな存在になりえたのか。そこにはきっと、ほかにはない「夢」や「ストーリー」があるはずです。

今回お話を聞かせてくれたのは小田原に本拠を置く家電メーカー『Bsize』。代表の八木啓太さんは若干27歳で独立起業。たった1人で「家電メーカー」を立ち上げたユニークかつオンリーワンな起業家です。経営者であると同時にデザイナーでもありエンジニアでもある八木さん。1人何役もこなすそのバイタリティーの源は?そして製品開発のコンセプトとは?「モノづくり」に賭けた八木さんの「夢」をお聞きしました。

スタートは「ひとり家電メーカー」Bsize 八木啓太の社会に役立つプロダクト

人生を決定づけた「初代iMacから受けた衝撃」

八木さんインタビューの様子

家電メーカーといえば思いつくのは大手企業。そんなイメージを覆してしまったのが『Bsize』の八木啓太さんです。「こんな製品があったら」という思いから、勤めていた会社を退職。2011年末、目に優しくデザイン性に優れたLEDデスクライト『STROKE(ストローク)』を発売。「ひとり家電メーカー」として新聞、雑誌、テレビなどで紹介され、一躍脚光を浴びることとなりました。前職の富士フイルムでは医療機器の筐体設計をしていたという八木さんが、安定した大企業からどうして飛び出したのか。小田原にある『Bsize』本社を訪問し、まずはそこから話を伺いました。

「自分がやりたかったのは、プロダクトを通して新しい価値を作ること。そのためにはベンチャーになるしかないと思いました」

独立起業は「目的達成の手段」だと言い切ります。

「富士フイルム時代は医療機器という社会貢献につながる仕事をさせていただいていて、それなりに充実はしていたのですが、やはり大手企業だと色々なしがらみもあり、僕がやろうとしていることをするには独立するしか方法はありませんでした」

直接のきっかけは、『STROKE』に使用しているLEDライトとの出会い。「手術灯に向いているのでは」とあるメーカーから紹介されたライトは、「光が自然光に近く、目に優しい」素晴らしいものだった。しかし、会社に提案しても採用はされなかった。「それならば自分で製品化しよう」と考えた八木さんは、会社を辞めて開発に乗り出します。

「もちろん、その場の思いつきではなく、チャンスがあれば挑戦しようと思っていたことでした」

子どもの頃から「工作少年だった」という八木さんの夢は「みんなに喜んでもらえる物を世に送り出したい」といったもの。

「夏休みの工作なんかで、両親や友だちが楽しんでくれるのが嬉しくて、それがそのうち誰かを喜ばせたい、誰かが困っているのならそれを解決したいと思うようになっていきました」

作っていたのは「掛け算の九九を覚える装置」や「ソーラーカー」など。プラモデルや雑誌の付録などではなく、その頃からオリジナルの「モノづくり」に夢中になっていたと言います。

ある意味、子ども時代から運命づけられていた人生。それを完全に決定づけたのが1998年に発売された初代iMacでした。

「高校1年生のときに父親がiMacを買ってきてくれました。当時の僕にとっては衝撃的な製品で、それから毎日のようにいじるようになりました」

スケルトンのボディを持つ初代iMacは、それまでのパソコンの常識を一変させるデザインが話題となりました。が、八木さんがいちばん衝撃を受けたのはコードをつなぐだけで誰でもインターネットの世界につながることができるという革新性。Appleがやろうとしていたのは、「この世の誰もが簡単にインターネットとつながる世界の実現」。「僕自身も初めてインターネットの世界に触れました」という八木さんは、当たり前のように「モノづくりを仕事にしよう」と決めます。

「当時はITバブルでソフトウェア開発が注目されていた時代。だけど、どうも僕はディスプレイの中だけで完結するものじゃ満足できなくて、ハードウェアが作りたいと思ったんです」

どんなにデジタル化が進んでも人間自体はアナログな存在。

「工作少年だったこともあるけど、やはり直接触れることで五感に訴えてくれるような物が好きでしたね」

今ある技術を応用するだけでも、世界にないプロダクトは作れる

八木さんインタビューの様子

「一時は刀工や陶芸家といった伝統工芸の職人にも憧れていた」という八木さんですが、「現代の職人というのは最先端の物を作る人たちなのでは」と考え、大学では電子工学を学びます。その間、デザインの勉強も独学で進め、公募のデザインコンテストなどに挑戦。大学院修了後は富士フイルムに入社。配属された小田原の研究所では大学で学んだ電子回路ではなく機械設計を志願したと言います。

「就職活動ではいろんな会社に行って、何でもいいから機械設計をやらせてほしい、とお願いしました。専攻以外の部署を希望していたため、行く先々の企業から断られましたが、「変わったやつだ」とおもしろがってくれたのが、富士フイルムだったんです」

自分で「モノづくり」をするには電子だけでなく機械の知識も必要。ただし専門外の「ど素人」がそれを身につけるには当然苦労をともないます。電子と機械では「陸上競技と水泳くらい違う」。同じ部署で働く人たちが持っている当たり前の知識が自分にはない。アウェーな環境の中、「スポンジが水を吸い込むように機械工学について学んだ」という八木さん。やがてこの経験が独立後に役に立つことになります。

「LEDライトひとつ作るにしてもいろんな知識が必要なんです。そのためにはその都度キャリアチェンジをして学んでいくしかない。そういう中で少しずつタフになっていけたような気がします」

富士フイルムにいた4年間は不安と確信が交差する日々。まずは目の前のタスクに集中することを要求される大手企業のエンジニアという立場にありながら、一方では横断的に広く知識を深めたいという自分がいる。周囲とは真逆のことをやりながら「本当にこれでいいのだろうか」という疑問も頭をよぎる。週末を利用してはデザインコンテストに応募を繰り返し、たまに入賞すると「間違ってはいないのかもしれない」と自信を抱く。それでも「どちらかというと不安の方が大きかった」と八木さんは振り返ります。

「それが、2010年くらいに、自分の中で、デザインと機械と電子がつながった感じがしたんです。1人で全部できるんじゃないかと、そういう気がしたんです」

そこでプロトタイプの製品をいくつか製作。そのうちのひとつが『STROKE』でした。

八木さん最初の製品『STOKE』
八木さん最初の製品『STOKE』

「スティーブ・ジョブズもスティーブ・ウォズニアックが作ったおもしろい基板を見てプロダクト化した。僕の場合はその基板にあたるものがLEDでした。日本ってそういう意味では優れた技術がたくさんあるので、ゼロから開発しなくても、もうすでにある技術をうまく応用するだけでも世界にないプロダクトが作れるのです」

会社を辞めて製品開発に集中。しかし、ここで八木さんは壁にぶつかります。『STROKE』のデザイン上の特徴は本体が1本のパイプから成っていること。パイプをきれいに曲げるには特殊かつ高度な技術が要る。どこか加工してくれる町工場はないものかと打診するものの、返って来る返事は芳しくないものばかり。ちょうど東日本大震災が発生したばかりで、どこの工場も「今はそれどころじゃない」。富士フイルム時代は懇意にしてくれていた相手も、いざ会社を辞めるとなかなか「うん」とは頷いてはくれない。加えて、八木さんの注文数は100本単位の少数ロット。技術的に難しく、しかも利益の薄い取引に、開発当初は「100社余りの会社に断られた」といいます。

「起業していちばん大変だったのがチームづくり。これも自分にとっては初めての体験でした」

それでも、熱意を受け取ってくれたある企業の人が「うちのフェイスブックのグループに入らないか」と誘ってくれた。グループにはさまざまな技術を持つ町工場の人たちが集まっていた。「工場のおじさんたち」は、若い八木さんの言葉に耳を傾けてくれました。

「『若いやつが何かわけのわからないことを言っているな、しょうがない、俺がやってやるか』という感じだったのだと思います」

メイカームーブメントの今、発想力で勝負する

その後は次々に協力企業が現われることに。全部合わせると20部品を計15社。最大の難題であるパイプの加工は自動車の配管を製造している部品メーカーが担当してくれました。

「そうやって、何とか出来上がったのが『STROKE』です」

次に必要なのは販路。自分の貯蓄はすでに使い切っていたので、ツイッターやフェイスブックを活用して宣伝。そのうちにメディアの取材が入るようになり、「ひとり家電メーカー」として名が知られるようになっていきます。

「でも、実を言うと最初の頃は1人というのを隠していました。1人でやっているなんて、信用されなさそうで……」

ところが、取材に訪れた新聞記者に「その方がストーリーになる」と言われ、記事化してもらうことに。するとたちまち話題を呼び、テレビで紹介されるや『STROKE』の人気に一気に火がつきました。

今年は第2弾としてワイヤレス充電器『REST』を発売。これは圧縮した杉材を使用した「木で出来た携帯電話用充電器」。多くの人が睡眠中、ベッドサイドで携帯電話を充電することから生まれた製品です。

ワイヤレス充電器『REST』
ワイヤレス充電器『REST』
『REST』の材料となった杉材
『REST』の材料となった杉材

「ベッドのサイドテーブルといえば木製が多い。充電器も木製だったら、とけ込んで消えてしまうだろうと思ったんです。そこでどの木材を使おうかと調べたら、日本には杉が余っていることがわかった。しかし杉材は家具に使うには柔らか過ぎるという欠点がありました。更に調べたところ、岐阜県に、杉を圧縮加工して固くする技術を持っている工場があるとわかったのです」

需要を増やせば管理されずに荒れている杉の山林も整備されるし、花粉症を減らすことにもつながる。そして国内の杉を使用した製品が輸出されるようにもなれば、日本は製品輸出と同時に資源輸出国にもなる。『REST』は杉材を家電素材と捉えるアプローチの小さな一歩になるかもしれない。八木さんが起業にあたって志したのは単なる「モノづくり」ではなく、「社会に貢献するモノづくり」。携帯電話の充電器を作るにしても、そこには「問題を解決したい」という意識が働いている。こうした「上位概念」から始まる「モノづくり」は、「高校1年生のときにiMacを通して見たAppleのモノづくりの思想から学んだもの」だといいます。

「作りたいと思う物を作ろうとすると必ず困難にぶつかる。その困難をどう乗り越えていくかが課題であり、この仕事の楽しいところでもあります。困難があればあるほど、前例もないし、みんなあきらめていく。でも、それをブレークスルーすればオンリーワンになれるのではないでしょうか」

インターネットの世界ではフェイスブックのように世界を変えてしまうようなツールが誕生している。それはプロダクトの世界でも起きようとしている。3Dプリンタの普及により、今は「モノづくり」がコモディティ化しつつある時代。世界は技術を持たない者でも発想力さえあれば「メイカー」になれるという「メイカームーブメント」の中にあるといいます。

「そうした動きの中で日本は立ち遅れているのが現状ですが、よく見ると日本ほど環境が整っていて有利な国はないと思います」

日本には優秀な技術を持つ町工場が数多くある。海外に生産を発注しなくても国内で製品を製造できる。iPhoneも中を開けてみれば半分以上の部品が日本製という現実があります。

「こうなると、あとは発想力の勝負ですね。いかにユニークなモノを生み出すか。それが自分たちベンチャーの役目だと思っています」

狙うはニッチではなくマス。

「こだわりがあるとすれば、みんなが使える物を作りたい。子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまでが使えるような、本当にみんなが困っていることを解決するような、社会の中で価値のあるプロダクトを作りたいですね」

『STROKE』、『REST』ともに注文は増加する一方。現在は第3製品を企画中。スタッフが3名に増えた「元ひとり家電メーカー」の、今後の躍進におおいに期待したいところです。

Information 1

八木 啓太 氏

1983年山口県生まれ。大阪大学工学部電子工学科卒業。同大学院電子工学専攻修了。2007年に富士フイルム株式会社入社。機械エンジニアとして医療機器の筐体設計に従事。2011年11月、ビーサイズ株式会社設立。同年12月、LEDデスクライト『STROKE(ストローク)』を発売する。同製品はグッドデザイン賞、ドイツの「Reddot design award」を受賞。

八木 啓太 氏

Information 2

Bsize (ビーサイズ)株式会社

八木氏が代表取締役社長を務める家電メーカー。LEDデスクライト『STROKE(ストローク)』、ワイヤレス充電器『REST』を発売中。屋号の「Bsize」は哲学用語の「真善美」が由来。「技術的に優れ、社会をより善くし、美しい存在であること。」をポリシーとした「モノづくり」に取り組んでいる。

公式サイト
http://www.bsize.com/

Information 3

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